業界ニュース

紙・板紙需給2月/国内出荷が11ヵ月連続で減少
 日本製紙連合会が集計した2月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比△3.7%と11ヵ月連続の減少となった。ただし、消費増税などの特需要因がなかった前々年と比較すると、+0.7%のプラス成長。
 紙・板紙国内出荷の内訳は、紙が前年同月比△4.3%の116.8万tで、11ヵ月連続のマイナス(前々年同月比△0.7%)、板紙は△2.9%の84.7万tで4ヵ月連続の減少(前々年同月比+2.6%)。品種別で見ると、前年同月比は塗工紙以外はマイナス、前々年同月比は新聞用紙、非塗工紙、衛生用紙、白板紙がマイナスで、塗工紙、情報用紙、包装用紙、段ボール原紙はプラスだった。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比+9.7%の9.6万tとなり、8ヵ月連続の増加。うち紙は+6.5%の7.1万tで、東アジア向けを中心に3ヵ月連続のプラス。板紙はさらに好調で+19.8%の2.5万t、東南アジア向けを中心に28ヵ月連続増となった。
 紙・板紙の月末在庫は前月比△1.8万tの194.6万tとなり、前月の増加から減少に転じた。うち紙は印刷・情報用紙の減少により、△2.9万tの129.8万t。板紙は+1.1万tの64.8万tで、段ボール原紙の増加により2ヵ月連続の増加。
 以下は主要品種の動向である。
〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年同月比△10.4%の23.1万tで、12ヵ月連続の減少。前々年同月比も△6.5%のマイナス。
〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比△1.4%の68.1万tで、11ヵ月連続のマイナス(前々年同月比は+1.0%)。一方、メーカー輸出は前年同月比+7.6%の5.1万tと、3ヵ月連続の増加。
〔包装用紙〕
 国内出荷は晒を中心に未晒も減少して前年同月比△1.2%の6.1万t。2ヵ月連続の減少となった(前々年同月比+0.4%)。メーカー輸出は前年同月比△8.0%の1.3万tとなり、高水準ながら5ヵ月ぶりに減少した。
〔衛生用紙〕
 国内出荷はティシュ、トイレットペーパーともに減少し、前年同月比△10.6%の13.5万t。前月よりマイナス幅を大きく拡げての2ヵ月連続減となった(前々年同月比△2.1%)。
〔板 紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比△2.7%の67.0万tで、4ヵ月連続の減少となった(前々年同月比+3.3%)。白板紙は△3.0%の11.2万tで、5ヵ月連続の減少(前々年同月比+1.2%)。

(Future 2015年4月6日号)

日本製紙/四国コカ・コーラを売却
 日本製紙とコカ・コーラウエスト(CCW)は4月3日、日本製紙の連結子会社である四国コカ・コーラボトリング鰍フ発行済み普通株式すべてを、日本製紙がCCWに譲渡することで基本合意した。譲渡価格や実施時期はまだ確定していないが、両社は今後具体的な協議を進め、速やかに最終契約書の締結を目指していくとしている。
 ともにコカ・コーラボトラーのCCWと四国コカ・コーラはこれまで、各事業エリアのリーディングカンパニーとして確固たる地位と実績を築いてきた。しかし消費者ニーズの多様化や節約志向などの影響を受け、販売チャネルが変化したり競合他社との販売競争が激化するなど、近年の両社を取り巻く経営環境は厳しさを増している。
 このような背景からCCWは四国コカ・コーラ株式の取得により、西日本地域のコカ・コーラボトリングビジネスを一元的に管理・運営し、ビジネスの効率化を図ることが重要と判断。具体的には、CCWと四国コカ・コーラが一体となってマーケティング活動を展開することによる競争優位の確立、コスト構造の効率化、人材の有効活用、サプライチェーンの統合・集約による生産性向上といったシナジー効果を最大化し、両社の企業価値増大を図ることが全ステークホルダーの利益に寄与すると認識するに至った。
 一方、日本製紙は事業多角化の一環として1963年に四国飲料梶i現 四国コカ・コーラ)を設立し、その後93年に大証第二部上場、2000年に東証第一部上場を経て、09年に完全子会社化した。その間、日本製紙は四国コカ・コーラの経営基盤強化に努めてきたが、競争が激化する飲料市場において今後も同社が地域社会とともに持続的に成長・発展していくためには、事業エリアの地域性を考慮して効率を向上させなければならないと判断。
 また日本製紙としては、今回の売却によりバイオケミカル・ヘルスケア・エネルギーといった分野に経営資源を集中することが、総合バイオマス企業としての事業構造転換を加速させ、グループ企業価値の向上につながると考えている。
 日本製紙にとって、四国コカ・コーラはもともと本業と関わりの薄い事業だが、同社はわが国清涼飲料市場の黎明期から活動を続けてきた老舗。2014年3月期の売上高は約470億円。日本製紙の15年3月期売上高予想は1兆70億円なので、四国コカ・コーラを売却することで連結売上高は1兆円の大台を割ることになる。つまり“1兆円企業”としてのモチベーションよりも、“総合バイオマス企業”として関連事業に経営資源を集中する道を選んだと言える。

(Future 2015年4月20日号)

北越紀州製紙/加ALPACを完全子会社化
 北越紀州製紙は先に、三菱商事が保有するカナダのパルプ製造会社Alpac Forest Products Inc.(AFPI)株式の70%と、そのパルプを販売する三菱商事100%出資の事業会社Alpac Pulp Sales Inc.(APSI)の株式を取得、両社を子会社化すると発表したが(本誌3月9日号)、このほどAFPI株式の残り30%を保有する王子ホールディングスとの間でも譲渡契約が設立。これによりAFPIも、北越紀州の100%出資子会社となる。
 取得価額は三菱商事のAFPIおよびAPSI持ち分が5,180万加ドル(49億4,200万円)、王子HDのAFPI持ち分が2,310万加ドル(22億400万円)で、合計7,490万加ドル(71億4,500万円) となる(1加ドル=95.4円で換算)。
 AFPIの概要は表の通り。 直近期の売上高が350億円、営業利益が31億円あるので、北越紀州の連結業績にこの分が加算される。北越紀州の2015年3月期売上高予想は2,260億円なので、単純合算すると2,600億円超となり、長期経営ビジョン『Vision 2020』で掲げた「2020年に連結売上高3,000億円以上(海外売上高比率25%)を達成する」という経営目標に一歩近づく。
 AFPIは、加アルバータ州政府から付与された640万haの森林資源を有し、単一工場としては北米最大の市販パルプ工場。2005年にFSC認証を取得するなど、環境・社会・経済のあらゆる側面に配慮した持続可能な森林経営を行っていることで定評がある。
 北越紀州製紙がAFPIとAPSIの全株式を取得し完全子会社化することは、世界的に需要拡大が続く市販パルプ事業にグループとして本格的に進出することを意味する。また製品と市場の両面で収益基盤が強化・多角化されるとともに、長期経営ビジョンで掲げた経営目標を数年前倒しで達成する可能性が高まった。
 さらに今回の子会社化により同社グループは、市販パルプ事業という紙パルプの川上から紙の加工に至る川下まで、産業バリューチェーンの全段階で事業展開を図ることになる。同社グループは「これからも紙パルプ事業に経営資源を集中投資し、川上・川下分野を含めた主要4事業(洋紙・白板紙・特殊紙・紙加工)を基軸に、グローバル製紙企業として成長・発展」していくとの姿勢を打ち出している。
 一方、保有するAFPI株式30%の譲渡を決めた王子HDは、その理由について「中核事業の一つであるクラフトパルプ事業はこれまで、ブラジルのCENIBRA、中国の江蘇王子製紙、ニュージーランドのカーターホルト・ハーヴェイに重点的な投資を行っており、今後もこれらを中心に事業展開を図る。こうした方針および選択と集中による経営資源の効率的活用という観点から、このほど三菱商事と共同でAFPI株式を北越紀州製紙に譲渡することが最善と判断した」と説明している。

(Future 2015年4月20日号)

三菱製紙/高砂工場の生産設備を一部休止
 三菱製紙は第1次中期経営計画(フェーズ2 ローリングプラン)の一環として、高砂工場の3号抄紙機と11号コーターを3月で休止した。稼働率が低かった両設備を休止し、他マシンへ移管して生産を集約するもの。
 〔休止設備の概要〕
 ・ 3号抄紙機;年産能力8,000t(感熱・感圧・IJ原紙)
 ・11号塗抹機;年産能力1万6,000t(感熱紙、感圧紙、圧着紙)

 子会社の旭感光紙を解散

 また三菱製紙は、子会社の旭感光紙の主要事業を三菱製紙に移管・集約し、同社を解散する。グループ全体の国内生産体制の見直しを進める中で、解散を決めたもの。
 旭感光紙は、陽画感光紙の生産販売会社として1960年から事業展開してきたが、市場の縮小に伴い2003年に陽画感光紙の生産を中止、その後はインクジェット用紙を中心とした国内向け商品の塗工・仕上加工を主事業としてきた。今後、旭感光紙が手がけるこれらの事業は、三菱製紙の高砂・京都の各工場に移管・集約するほか、一部業務については外部に移管し、業務の効率化を図る。
 〔旭感光紙の概要〕
 所在地;千葉県松戸市
 設 立;1960年11月
 資本金;5,000万円
 売上高;13億2,900万円(2014年3月末)
 事 業;紙製品の製造・加工・販売
 従業員;20名(2015年3月末)
 株 主;三菱製紙、ダイヤミック、東邦特殊パルプ(三菱製紙グループで株式の100%を保有)

(Future 2015年4月20日号)

日本製紙グループ/食品安全管理システム認証FSSC 22000を取得
 日本製紙グループでは、液体用紙容器の生産会社4社のうち草加紙パックと江川紙パックで、国際的な食品安全マネジメントシステム規格の「FSSC 22000認証」を取得した。FSSC 22000は、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000と、それを発展させたISO/TS22002-4を統合した、食品安全のベンチマーク承認規格。草加紙パックでは『NP−PAK』カートンを、江川紙パックでは『NP−PAK』カートンと『NS−FUJI』包材を生産している。
 日本製紙グループの液体用紙容器生産会社は、これまでもISO9001を基本にHACCPの考えを取り入れた独自の品質管理体制を確立してきたが、FSSC 22000の導入により、さらに高度で確実な食品安全管理体制の構築を目指し、継続的な改善を実施していく。また同社グループでは、三木紙パックと石岡加工の2社についても2015年度内の認証取得に向け、取組みを開始している。

(Future 2015年4月27日号)

三菱製紙/DBJ 環境格付で3年連続最高ランク
 三菱製紙はこのほど、日本政策投資銀行(DBJ)が実施する「DBJ 環境格付」 において、3年連続で最高ランクを取得した。
 DBJ環境格付は、DBJが開発した評価システムによって企業の環境経営度を評点化し、得点に応じて融資条件を設定するという、世界で初めての融資メニュー。三菱製紙は3月31日、格付に基づき融資を受けた。評価ポイントは次の3点。
 (1) JBIB(一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブの略称)のワーキンググループに参加するなど、原料採取から加工・流通の全段階で社会・環境・経済面に配慮した調達を実践しつつ、FSC森林認証紙の普及推進に注力している点
 (2) 社有林を活用した環境教育プログラム「エコシステムアカデミー」などを通じ、継続的かつ積極的な生物多様性保全活動を推進している点
 (3) バイオマス燃料や廃棄物燃料などの有効利用により、廃棄物の最終処分量・化石燃料使用量を削減し、環境負荷の少ないエネルギーへの転換を推進している点

(Future 2015年4月20日号)

大王製紙/在宅介護者のためのコミュニティサイトを開設
 大王製紙は3月25日、在宅で家族などを介護している人のためのコミュニティサイト「けあのわsupportedbyアテント」(http://www.beach.jp/community/ATTENTO/index)を、介護用品メーカーとして初めて開設した。在宅介護を行う人々の“心の拠り所・休憩所”として、介護の悩みや想いを共有・共感し交流を深めることを目的に開設したもの。
 高齢者人口の増加に伴い要介護認定者数は着実に増加している。2014年時点の要介護認定者数は583万8,000人で、2008年の約2倍に上る。その70%以上が在宅介護であり、また介護する人も65歳以上、すなわち「老老介護」の割合は51.2%と半数を超えた。介護施設数が伸び悩む中、高齢化の加速に伴い、さらに在宅介護率は上昇すると見込まれている。
 一方、高齢者のインターネット利用率は年々上昇しており、2013年の調査では60〜64歳が76.6%、65〜69歳が68.9%、また13〜59歳では90%以上の人がインターネットを利用していた。こうした実態を踏まえ、大王製紙は介護用品メーカーの新たな試みとして、在宅介護者向けのコミュニティサイトを開設したもの。
 サイト開設に際して大王製紙が在宅介護者を対象に行った調査によると、「同じような介護をしている人と話をしたい」、「他の家庭がどんなことを思い、どのような介護をしているのか知りたい」といった声が多く、介護者同士のつながりを生むコミュニティサイトのニーズは高いとわかった。また、在宅介護における大きな悩みである「排泄介助」については、身近な人にも話しにくく、コミュニティなどで聞いてみたいという意見があることもわかった。
 そこで「けあのわsupported byアテント」では、企業目線の情報提供だけでなく、日々の介護で抱える悩みや想いを、介護を行う人同士が共有・共感し、交流を深める場を提供していく。また、介護用品メーカーの中長期的な取組みとして、コミュニティサイトに寄せられる声を活かし、介護される人、する人の声に寄り添った新たな商品開発や改善に繋げていく考え。
 サイト開設に際し、「がんばらない介護生活を考える会」委員代表で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、「長年、病院や地域でさまざまな家族を見てきて、“日々の介護生活の悩みやストレスを誰かと話したい、共有したい”というニーズがたくさんあると強く感じてきた。コミュニティサイト『けあのわ』には、そんなニーズに応えるサイトとして大いに期待する」とのコメントを寄せている。

(Future 2015年4月13日号)

日紙商/昨年に続き青学大で寄付講座を開講
 日本洋紙板紙卸商業組合(日紙商)は、昨年に続き今年も青山学院大学で、現役大学生を対象とする寄付講座「紙、その文化とビジネスを考える」を、9月24日からスタートさせる。
 今年も講師には経営・実務担当者、デザイナー、紙のユーザーなどを迎え、紙の基本知識から紙産業の課題やソリューションまで、物流センターの視察も織り込みながら、計15回の講座をわかりやすく実践的な内容にしていく。
 寄付講座とは、大学が企業や行政から寄付された資金・人材を活用して講座などを開設するという、教育形態の一つ。日紙商はこの講座を通じて学生に紙への正しい理解を深めてもらうとともに、具体的な経営の実務も解説する。
 ・担当教員:青山学院大学経営学部・加藤篤史教授
 ・対  象:同大学経営学部の2・3・4年生
 ・講座構成;まず歴史・文化を含めた紙の基本知識および紙の産業の現状について概説し、紙の文化(機能・役割・魅力、紙の新たな機能・開発、電子メディアとの競合)、紙と環境、紙産業の課題とソリューションなど、各論を展開していく。全15回のカリキュラム。
 ・カリキュラム;ガイダンス/紙の基本知識と紙産業/紙の機能・魅力@/紙の文化学概論/紙の機能・魅力A/ユーザーからみた紙の機能・魅力/紙の機能・魅力B/紙と電子メディア/紙と環境問題/製紙メーカーの経営と戦略/紙流通の経営と戦略・代理店/紙流通の経営と戦略・卸商@-1(物流センター視察)/紙流通の経営と戦略・卸商@-2(物流センター視察)/紙流通の経営と戦略・卸商A/総括・これからの紙の発展について

(Future 2015年4月27日号)

竹尾・ペーパーショウ/5月13〜17日に台北で巡回展を開催
 竹尾は5月13〜17日、台湾・台北市でペーパーショウ巡回展「PAPER SHOW ”SUBTLE” by TAKEO CO., LTD」を開催する。同社が1965年以来開催しているペーパーショウは、国内の紙関連業界においては最大規模の展覧会として広く知られている。47回目を迎えた2014年度は、グラフィックデザイナーの原研哉氏と日本デザインセンターが企画・構成を担当。「SUBTLE」(サトル/かすかな、ほんのわずかな)のテーマで、15人のクリエーターが紙の魅力の根源を探る作品を制作。国内の展示会(2014年5月東京、12月大阪)には、延べ1万7,000名が足を運んで作品を楽しんだ。
 これに続く開催地として選ばれた台湾は日本との結びつきも深いうえ、特に台北は2016年の世界デザイン首都にも選ばれている。それだけに同社としては、「紙という媒質が人の感覚にもたらした極めて繊細な世界に焦点を当て、紙の本質を浮かび上がらせていく試みに、引き続き注目してほしい」としている。
 会場は台北市中正区八徳路一段1号の華山1914文化創意産業園区内、華山紅磚六合院・西1、西2。入場無料。開場時間は13日が13〜20時、14〜17日が10〜20時、入場は19時30分まで。
http://www.takeopapershow.com

(Future 2015年4月6日号)

日本製紙連合会/2015年の紙・板紙内需試算を発表
 日本製紙連合会は先頃、2015年の紙・板紙内需が14年の実績見込みに対して0.9%減の2,718万tにとどまり、5年連続で前年実績を割り込むとの試算を取りまとめた。品種別の内訳では〈紙〉が07年以降9年連続のマイナスを予測しているのに対し、〈板紙〉は3年連続のプラスを見込んでいる。ITC化の波に押されるグラフィック系の低調、リアルな物流を担うパッケージング系の堅調という過去数年来の傾向が一段と顕著になってきたと言える。消費増税の先送りは短期的にはプラス材料だが、人口減/少子高齢化などの構造要因や物価上昇に賃金上昇が追いついていないことから来る消費マインドそのものの低迷をカバーするほどではない、と製紙連は見ている。
 ちなみに「内需」は「メーカー国内出荷」に「輸入通関」を加えた上で、「流通在庫の増減分」を加味して算出している。また輸入には、「原紙需給に大きく影響すると見られる紙製品および原紙に類似した紙製品」として、ティシュ、トイレットペーパー、ミルクカ−トン用紙(ポリエチレンラミネートしたもの)を含めている。
 では14年の内需試算を眺めていこう。図1は品種別の増減率と構成比を視覚化したもの。構成比の大きい塗工印刷用紙や段ボール原紙の増減率が全体の動向を左右していることが分かる。
 プラス要因/マイナス要因とも新規の項目は少ないが、前者では訪日外国人旅行者数の増勢(2014年は初の1,300万人台超え)で拍車がかかる、インバウンド強化に向けた官民の取組み、また製造業の一部で強まる国内回帰指向などが目新しい材料。一方、後者では大型イベントの不在が挙がっている。
 このほか内需の実績推移と見通しを表2に、14年内需の品種別実績見込みを表3に示した。以下、品種別の試算結果である。

 〔紙・板紙合計〕
 ○近年の動向
 紙・板紙の内需は、リーマン・ショック後の2009年に大きく数量を落とし、2010年は大きな反動もなく微増にとどまった。2011年以降はマイナス成長が続いている。2014年も1〜3月は消費増税前の仮需により紙・板紙とも高い伸び(紙:5.2%増、板紙:7.0%増)を示したものの、通年で見ると紙は増税後の落ち込みが大きく、減少。板紙は反動が軽微だったことから増加した。全体では微減と4年連続のマイナス。サプライ別には、国内出荷、輸入ともに減少した。
 ○2015年の予測
 2015年の景気は、3.5兆円規模の経済対策や消費再増税の先送りが景気の下支えとなり、また好調な米国経済や円安による輸出環境の改善などから、実質GDPは4年連続のプラス成長が見込まれる。こうした経済環境の下、紙・板紙の内需は、紙が電子媒体へのシフトなどにより引き続きマイナス、他方、板紙は堅調な食品分野を中心に3年連続のプラスを見込む。紙・板紙全体では前年をわずかに下回ると見込んだ。
 紙・板紙合計について、品種別試算結果を積み上げると、内需量は2,718万t、前年に対して△0.9%、約25万tの減少となる。マイナス成長は5年連続。リーマン・ショック後では、2009年(2,791万t)に対し97.4%、約73万tの減少である。
☆紙・板紙別寄与度について、紙は1.2(ポイント)pt減、板紙は0.3pt増と、紙のマイナスが全体を押し下げると見込んだ。

 〔紙合計〕
 ○近年の動向
 紙の内需は、リーマン・ショック後の2009年に数量を落とし、2010年以降も微減で推移している。2014年は1〜3月に消費増税前の仮需が見られたが、それ以降はその反動から減少が続き、通年では△1.9%と8年連続のマイナスとなった。サプライ別に見ると、国内出荷は新聞用紙、印刷・情報用紙の減少により2年ぶりにマイナス、輸入は円安進行に伴い2年連続のマイナスだった。流通在庫は減少した。
 ○2015年の予測
 衛生用紙は底堅い需要により微増を予測したが、グラフィッ系や包装分野は紙の出版物の減少や広告の紙離れ、オフィスなどでのペーパーレス化、省包装化などから減少し、全体ではマイナスを見込んだ。
 紙合計について、品種別試算結果を積み上げると、内需量は1,554万t、前年に対して△2.0%、約32万tの減少である。マイナス成長は9年連続。リーマン・ショック後の2009年(1,687万t)に対し92.1%、約133万tの減少となる。
 品種別寄与度では、新聞用紙が△0.6pt、印刷・情報用紙が△1.5pt、包装用紙が△0.0pt、衛生用紙が+0.1ptと見込んだ。

 〔板紙合計〕
 ○近年の動向
 板紙の内需は、リーマン・ショック後の2009年に大きく減少した。2010年は前年に大幅減した反動増もあり4年ぶりに増加、2011年は大震災後の被災地支援などがプラスに寄与し、2年連続で前年を上回った。2012年は輸出関連需要の減少などから前年を下回ったが、2013年は堅調な食品需要に支えられ、また2014年は1〜3月に消費増税前の仮需で大きく伸びたことから、2年連続の増加となった。
 ○2015年の予測
 主要品種について、主力の段ボール原紙は+0.7%、紙器用板紙は+0.4%(うち白板紙は+0.4%)と、ともにプラスを見込んでいる。
 板紙合計について、品種別試算結果を積み上げると、内需量は1,165万t、前年に対して+0.6%、量にして約7万tの増加となる。リーマン・ショック後では2009年(1,105万t)に対し+5.4%、約60万tの増加である。
 品種別寄与度は段ボール原紙が+0.5pt、紙器用板紙が+0.1pt、その他の板紙が±0.0ptで、主力の段ボール原紙が牽引する形だ。

(品種別の詳報はFuture 2015年2月9日号、2月16日号で)

紙・板紙需給1月/国内出荷が10ヵ月連続で減少
 日本製紙連合会が集計した1月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比△3.9%と10ヵ月連続の減少となった。ただし前年のこの時期は、4月の消費税率引上げに備えた駆け込み需要が発生したという特殊事情もあることから、製紙連では前々年対比も併せて公表しており、前々年同月比で見ると+3.3%のプラス成長となっている。
 紙・板紙国内出荷の内訳は、紙が前年同月比△3.9%の114.3万tで、10ヵ月連続のマイナス(前々年同月比+1.6%)、板紙も同じく△3.9%の82.7万tで3ヵ月連続の減少(前々年同月比+5.9%)。品種別で見ると、前年同月比は全品種マイナス、前々年同月比は新聞用紙と非塗工紙を除きプラスだった。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比+12.2%の9.0万tで、7ヵ月連続の増加。うち紙は+11.9%の7.0万tで、東アジア向けを中心に2ヵ月連続のプラス。板紙は+13.2%の2.0万tで、東南アジア向けを中心に27ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比+4.5万tの196.2万tとなり、前月の減少から増加に転じた。うち紙は+1.6万tの132.3万tで、新聞用紙の増加により5ヵ月ぶりの増加となった。板紙は+2.9万tの63.9万tで、段ボール原紙の増加により前月の減少から増加に転じた。
 以下は主要品種の動向である。

〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年同月比△6.1%の24.7万tで、11ヵ月連続の減少。前々年同月比で見ても△5.5%のマイナスとなっている。

〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比△3.7%の63.8万tで、10ヵ月連続のマイナス(前々年同月比は+2.7%)。一方、メーカー輸出は前年同月比+10.1%の5.0万tと、2ヵ月連続の増加。

〔包装用紙〕
 国内出荷は未晒、晒ともに減少し、前年同月比△4.9%の5.9万tと、前月の増加から減少に転じた(前々年同月比+2.0%)。メーカー輸出は前年同月比+24.6%の1.4万tで、引き続き高水準。

〔衛生用紙〕
 国内出荷はティシュ、トイレットペーパーともに減少し、前年同月比△1.4%の13.9万tと、前月の増加から減少に転じた(前々年同月比+7.1%)。

〔板 紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比△4.3%の65.0万tで、3ヵ月連続の減少となった(前々年同月比+6.9%)。白板紙は△1.5%の11.3万tで、4ヵ月連続の減少(前々年同月比+1.6%)。

(Future 2015年3月9日号)

紙・板紙需給12月/国内出荷が9ヵ月連続で減少
 日本製紙連合会が集計した12月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比△0.8%と、9ヵ月連続の減少となった。うち紙は△0.1%の122.3万tで、微減ながら9ヵ月連続のマイナス、板紙は△1.6%の94.2万tで2ヵ月連続の減少。主要品種は塗工紙、包装用紙、衛生用紙を除き減少している。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+14.6%の9.1万tで、6ヵ月連続の増加。うち紙は+11.8%の6.9万tで、東アジア向けを中心に前月の減少から増加に転じた。板紙は+24.0%の2.3万tで、東南アジア向けを中心に26ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比△7.0万tの191.7万tとなり、前月の増加から減少に転じた。うち紙は△2.2万tの130.5万tで、衛生用紙を中心にを中心に4ヵ月連続の減少。板紙は△4.8万tの61.1万tで、段ボール原紙を中心に前月の増加から減少に転じた。
 以下は主要品種の動向である。

〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年同月比△1.2%の27.5万tで、10ヵ月連続の減少となった。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は前年同月比△0.7%の66.0万tで、9ヵ月連続のマイナス。一方、メーカー輸出は+6.3%の4.9万tと、前月の減少から増加に転じた。

〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比+0.6%の6.1万tと、3ヵ月ぶりの増加となった。未晒はマイナスだったが、晒はプラス。メーカー輸出は+21.4%の1.3万tと、引き続き高水準を維持している。

〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比+2.9%の16.5万tで、前月の減少から増加に転じた。ティシュ、トイレットペーパーともに増加している。

〔板 紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比△1.2%の76.1万t、2ヵ月連続の減少となった。荷動きは中旬以降持ち直したが、前半の不振などが影響した。白板紙は△2.3%減の11.5万tで、3ヵ月連続の減少となった。

 1〜12月累計の国内出荷は0.7%減

 一方、12月速報値の集計を待って同時に発表された昨年1〜12月の紙・板紙需給は、生産が前年比+0.9%の2,648.2万t、国内出荷が同△0.7%の2,531.0万t、メーカー輸出が+14.3%の106.4万tとなった。円安による輸出の増加で生産はわずかに増えたが、消費税増税後の個人消費低迷などから国内出荷は低調だった。
 主要品種別の国内出荷を見ると、〈紙〉は合計で△2.0%の1,428.0万t。情報用紙(+2.4%)、包装用紙(+1.1%)、衛生用紙(+0.7%)で前年実績を上回ったが、新聞用紙(△2.0%)、非塗工紙(△5.0%)、塗工紙(△4.2%)のグラフィック用紙系がすべてマイナスだった。これに対し、〈板紙〉は国内出荷の合計が+1.0%の1,103.0万t。主力の段ボール原紙が+1.2%と伸長し、白板紙の微減(△0.1%)をカバーした。
 メーカー輸出では主力の〈紙〉が前年比+6.6%の79.0万tと引き続き増加し、〈板紙〉も絶対量は少ないものの同+44.3%の27.4万tと急拡大した。
 生産は〈紙〉が前年比△0.4%の1,512.2万t、〈板紙〉が同+2.7%の1,136.0万tと、国内出荷と同様に対照的な実績。両者の増減率の差は3.1ポイントと、かつてなく拡がっている。

(Future 2015年2月9日号)

レンゴーグループ/丸三製紙でライナーの生産設備が竣工

 レンゴー連結子会社の丸三製紙では、かねて進めていた段ボール原紙(ライナー)生産設備(写真)の更新が完了し、3月3日に竣工式を執り行った。
 福島県南相馬市に本社を置く丸三製紙は、レンゴーグループの東北地区における段ボール原紙生産拠点として、これまでライナー用6号抄紙機と中芯原紙用7号抄紙機の2台で月産約2万tの段ボール原紙を生産していた。しかし、6号抄紙機は1973年の設置から40年超が経過しており、老朽化していたところに東日本大震災での被災が重なったため、新設備への更新が急務となっていた。
 今回竣工したライナー用8号新抄紙機は、環境面からニーズが高まっている薄物化への対応と同時に、品質向上と徹底した省エネ・省資源化も図られた。これにより、レンゴーグループの東日本地域での段ボール原紙供給体制はさらに充実し、製紙・段ボールの一貫生産体制が強化される。また、震災で甚大な被害を受けた南相馬市の企業として、「今後も継続的な産業振興と雇用の場の安定確保を通じ、地域の復興、再生にも大きく貢献していく」としている。

〔新設備の概要〕
設 備 名;8号抄紙機(既存の6号抄紙機はすでに停機)
生産品種;段ボール原紙(ライナー)
最大生産量;500t/日
設備投資額;260億円

(Future 2015年3月16日号)

北越紀州製紙グループ/北越パッケージとビーエフを合併
 ともに北越紀州製紙の連結子会社である北越パッケージとビーエフは、4月1日付で合併する。北越パッケージを存続会社とする吸収合併で、ビーエフは解散。合併に際してはビーエフの株式1株に対し北越パッケージの株式 0.76 株を割当てる。合併会社の商号は「ビーエフ&パッケージ梶vとし、代取社長には北越パッケージ社長の山本光重氏が就任する。
 北越紀州製紙グループは、新規分野の創造と事業構成の変革を進めており、今回の子会社合併は、コア事業の一つである紙加工事業の強化が狙い。これにより販路と販売量を拡大し、新製品開発を迅速かつ強力に推し 進める。各社の概要は次の通り

〔北越パッケージ〕
本  店;東京都中央区日本橋本石町3-2-2
代 表 者;山本光重・代表取締役社長
事業内容;紙器・パルプ加工品・再生紙の加工 販売
資 本 金;4億8,100万円
設  立;1977年10月18日 
株主/持株比率;北越紀州製紙87.1%

〔ビーエフ〕
本  店;埼玉県所沢市南永井 667-1
代 表 者;佐々木孝行・代表取締役社長
事業内容;帳票加工印刷、 データ・プリント処理、 郵送用帳票類・資料の封入封緘・発送代行など
資 本 金;1億2,000万円 
設  立;1961年3月20日 
株主/持株比率;北越紀州製紙87.5%

〔ビーエフ&パッケージ(合併会社)〕
本  店;東京都中央区日本橋本石町3-2-2 
代 表 者;山本光重代取社長 
事業内容;紙器加工販売、パルプ加工品加工販売、再生紙の加工販売、帳票・情報記録用カード加工印刷販売、データ・プリント処理事業、郵送用帳票類・資料の封入封緘・発送代行事業
資 本 金;4億8,100万円
株主/持株比率;北越紀州製紙96.9%

(Future 2015年2月23日号)

北越紀州製紙/カナダのALPACを子会社化
 北越紀州製紙は、三菱商事が株式の70%を保有するカナダのパルプ製造会社Alpac Forest Products Inc.(AFPI)と、そのパルプを販売する三菱商事100%出資の事業会社Alpac Pulp Sales Inc.(APSI)の株式を取得、両社を子会社化する。
 買収金額については三菱商事とまだ交渉中で確定しておらず、一部新聞では「60億円超」と報じられたが、「そんなに安くはない」(北越紀州)ようだ。なおAFPIには王子ホールディングスも30%を出資しているが、北越紀州は今後の交渉でこの分も取得したい意向。仮に100%子会社化されれば売上高350億円超が加算され、2020年目標の「連結売上高3,000億円以上」が大幅な前倒しで達成される見通しとなる。
 北越紀州製紙は、2011年4月に策定した長期経営ビジョン「Vision 2020」の中で、2020年に連結売上高3,000億円以上(海外売上高比率25%)を達成するという経営目標を掲げた。また現在、第2ステージである中期経営計画「C-next」においては、収益基盤の強化と環境への取組みの深化を基本に、新規分野の創造と事業構成の変革を進め、製紙企業としてのさらなる成長に向けて取り組むとしている。
 AFPIはカナダのアルバータ州政府から付与された640万ha(日本の四国+九州に相当)の森林資源を有し、単一工場としては北米最大の市販パルプ工場となる。2005年にFSCを取得するなど、環境・社会・経済の全側面に配慮した持続可能な森林経営を行っている。
 AFPIおよびAPSIの子会社化は、今後も世界的に需要拡大が見込める市販パルプ事業に、北越紀州として本格的に進出することを意味する。また製品と市場の両面で収益基盤が強化・多角化されるとともに、長期経営ビジョンで掲げた経営目標を数年前倒しで達成する可能性が高まる。
 さらに今回の子会社化により同社グループは、市販パルプ事業という紙パルプの川上から紙の加工に至る川下まで、産業バリューチェーンの全段階で事業展開を図ることになる。近年“脱紙パ”を掲げる同業大手もある中で、同社グループは「これからも紙パルプ事業に経営資源を集中投資し、川上・川下分野を含めた主要4事業(洋紙・白板紙・特殊紙・紙加工)を基軸に、グローバル製紙企業として成長・発展」していくとの姿勢を鮮明に打ち出している。

〔AFPIの概要〕
所 在 地;カナダ・アルバータ(AB)州ボイル市
代 表 者;寺尾 徹CEO&CFO(三菱商事)
資 本 金;2億8,500万加j
設立年月;1998年3月

 ○設立経緯
 1980年代後半、石油依存経済からの転換を目指すAB州政府が、同州北西部の州有林をベースにしたパルプ工場の誘致を行い、三菱商事、本州製紙が出資するカナダの上場パルプ会社が州有林の利用権を獲得、三菱商事、神崎製紙らとともに合弁事業を立ち上げた。当時、北越製紙も三菱商事の子会社経由で5%出資。98年に同社ほかが撤退し、三菱商事70%、王子製紙30%の株主構成となる。
 ○年産量
 LBKP54万t、NBKP8万t、合計62万t(単一工場として北米最大規模)。世界の供給量はLBKP約3,000万t、NBKP2,500万t。AFPIのシェアはLBKPで1.8%。
 ○森林面積
 AB州から付与された640万haの州有林伐採権を保有(関東1都6県の2倍相当面積)。すべてFSC CW(管理木材)認証品で、FSC Mix Credit認証品は全体の40%。
 ○連結経営成績と連結財政状態(2013年12月期)
 連結純資産5億1,893.6万加ドル
 連結総資産 8億6,627.9万加ドル
 1株当たり連結純資産27.31加ドル
 連結売上高3億6,752.0万加ドル
 連結営業利益3,277.4万加ドル
 連結純利益2,077.9万加ドル
 1株当たり当期純利益1.09加ドル
 1株当たり配当金2.09加ドル

(Future 2015年3月9日号)

王子ホールディングス/ミャンマーに新工場を建設包装材事業を強化
 王子ホールディングスはミャンマーに現地法人を設立し、ヤンゴン郊外のティラワ工業団地内に段ボール加工を含む総合パッケージングの新工場を建設する。マレーシアにある王子100%子会社のOji Asia Packaging Sdn.Bhd.とOji Asia Management Sdn. Bhd.がそれぞれ90%と10%を出資し、2月中に現地法人を設立、工場の営業開始は2016年4月の予定。
 ミャンマーは2011年の民政化以降、豊富な天然資源を背景に世界各国から事業投資先として注目され、急速に経済発展が進んでいる。とりわけ、経済の中心地であるヤンゴンには、繊維・縫製業や飲料・加工食品事業などの進出が続き、中でも日本・ミャンマーの共同事業体が開発するティラワ工業団地は、日系企業を中心とした事業進出が加速すると見込まれている。
 その一方で、電力・水・道路などのインフラ整備や、裾野産業の育成といった課題もある。包装材分野においても、近代的な加工設備を持つサプライヤーは限られ、特に高級品、輸出向けの包装需要に対応できる現地企業が大幅に不足している。こうした潜在ニーズをとらえて王子は現在、ヤンゴン市内のミンガラドン工業団地で、5月稼働を目指して段ボール工場Oji GS Packaging(Yangon)社の準備を進めており、今回のティラワ工業団地はこれに続く新工場。王子グループの技術・事業ノウハウ・人材を投入し、国際レベルの包装材ワンストップセンターを目指す。これにより、高い包装品質を求めるユーザーの需要に応え、ミャンマーの経済発展につなげていく考え。
 王子グループは現在、東南アジアに20ヵ所のパッケージング事業拠点を持っており、現在建設中の工場と今回のティラワ工業団地を加えると、全部で23製造拠点となる。

〔現地法人の概要〕
商  号;Oji Myanmar Packaging Co.,Ltd.
事業内容;段ボール箱製造販売と紙パルプ、フィルム、その他包装資材の輸入加工販売
資 本 金;予定800万ドル(約9億円)
新 工 場;ティラワ工業団地内(ヤンゴン市街中心部から南へ約20q)、敷地面積4万81m2、総投資額約800万ドル

(Future 2015年2月23日号)

王子ホールディングス/重量物用段ボールの製造会社をインドに設立
 王子ホールディングスはインドのニューデリー郊外に重量物包装用段ボール会社「Oji Interpack India Private Limited」を設立する。4月を目途に開設し、営業開始は2015年7月の予定。
 事業構造転換を推進している王子グループでは、「海外事業のさらなる拡大」を大きな柱の一つに掲げ、とりわけパッケージング事業については、経済成長を続ける東南アジアとインド地域で積極的な事業展開を進めている。インドには、すでに段ボール会社「Oji JK Packaging社」を王子グループ初のインド拠点として設立、ラジャスタン州ニムラナの工場が2014年7月から稼働している。今回の新会社は2番目のインド製造拠点であり、また東南アジア・インド地域における王子のパッケージング拠点としては、建設・準備中も含め24ヵ所目となる。
 インドでは、二輪車の生産が増加するにつれ周辺諸国への完成車および部品の輸出が増えており、これに伴う包装需要も拡大している。こうした包装需要に応えるため、新会社では重量物包装用段ボール『HiPLE-ACE』などを生産していく。Oji JK Packaging社との連携も密にし、段ボールシートは同社からの供給を受けることで万全の品質管理・サービスを実現するとともに、同社の段ボール箱・シートの配送拠点としても活用し、迅速な製品供給体制を構築する。

〔新会社の概要〕
事業内容;『HiPLE-ACE』の製造・販売、段ボール製品(箱・シート)の製造・販売
所 在 地;ウッタル・プラデーシュ州グレーターノイダ(ニューデリー中心部から南東へ約40q)
資 本 金;2,800万インドルピー(約5,600万円。王子グループ100%出資)

(Future 2015年3月9日号)

レンゴー/タイの軟包装事業持株会社への出資を拡大
 レンゴーはこのほどタイの合弁会社であるタイ・コンテナーズ・グループ社(TCG社)が設立した軟包装事業持株会社「TCフレキシブル・パッケージング社」(TCFP社)へ直接出資し、株式の20%を取得した。また、レンゴーの100%子会社である朋和産業もTCFP社の株式の5%を取得した。レンゴーと朋和産業を合わせたTCFP社への出資比率は合計で25%となり、TCG社を通じた間接持分を含めると、レンゴーのTCFP社への出資比率は47.5%となる。
 なお、TCFP社は2014年5月に軟包装分野の有力メーカーであるプレパック・タイランド社の株式の22%を取得しているが、今回、出資比率を72%まで引き上げ、同社を子会社化した。プレパック社は、サムットソンクラム県およびラヨン県に、合計年産能力1万4,000tの製袋工場を持つ。さらに、15年後半にはサムットサコン県で新工場を稼働し、年間生産能力を1万6,000tに拡大する計画。
 東南アジアでは、プレパック社が手がけているような食品・日用品向け軟包装の需要拡大が期待されており、TCFP社はプレパック社を皮切りに東南アジアでの軟包装事業拡充を計画している。
 レンゴーは今後、TCFP社を通じて自社の軟包装製造ノウハウを活用しながら、「東南アジアでのパッケージングニーズに応えるべく、供給体制のより一層の充実を図る」としている。

〔各社の株主と事業内容〕
朋和産業(千葉県船橋市);レンゴー100%(軟包装の製造・販売)
TCG社;レンゴー30%、SCGペーパー社70%(段ボールおよび紙器の製造・販売)
TCFP社;レンゴー20%、朋和産業5%、TCG社75%(東南アジアにおける軟包装事業の統轄・持株会社)
・プレパック・タイランド社;TCFP社72%、ほか(軟包装の製造・販売、14年度売上高15.6億バーツ)

(Future 2015年2月16日号)

セッツカートン/ベトナムで段ボールの新工場が竣工
 レンゴー100%子会社のセッツカートンは2013年11月にベトナム・ドンナイ省で段ボールケース製造会社のSettsu Carton Vietnam Corporation(写真)を設立し、新工場の建設を進めていたが、このほど完成し3月6日に竣工式を執り行った。
 グローバルな事業展開を目指すレンゴーグループは、東南アジアを重要な戦略地域と位置付け、段ボールを中心とした各種包装資材の供給体制の充実を図っている。今回の新工場建設もその一環で、「ホーチミン市近郊の日系企業を中心に高品質な包装資材を提供していくとともに、高い経済成長が期待されるベトナムでグループ事業の一翼を担っていく」。

〔Settsu Carton Vietnamの概要〕
代 表 者;会長・丹羽俊雄(セッツカートン代取社長)、社長・西川雅貴(セッツカートン専務)
資 本 金;1,000万ドル
株  主;セッツカートン80%、日商岩井紙パルプ20%
事業内容;段ボールケースの製造販売
従 業 員;39名
新工場の概要;生産品種・段ボールケース、生産能力80万m2/月、敷地面積約2万m2、建築面積約8,000m2

(Future 2015年3月23日号)

コクヨS&T/インドで新工場を建設

 コクヨS&Tのインド子会社、Kokuyo Camlin Limited(コクヨカムリン社)は、インドにおけるステーショナリー事業を強化するため、マハラシュトラ州パタルガンガにステーショナリー工場を建設する(イラストは完成予想図)。稼働開始は2016年初頭の予定で、総投資額は約10.5億円。
 コクヨグループは現在、国内外で“顧客への提供価値”にこだわり、その価値を最大化するバリューチェーンの体現を経営目標として掲げており、アジア各国でも、その市場ごとに成長する内需の獲得に主眼を置いたバリューチェーンの構築を基本戦略としている。
 インドでは、コクヨS&Tが2011年10月、大手老舗文具メーカーであったカムリン社の株式の過半を取得しインド文具市場に参入、インド全土をカバーする販売・物流網および80年超の歴史の中で培われたブランド力、充実した人材・制度・ITシステムなどの経営基盤を獲得した。以来3年にわたり、コクヨカムリン社として経営の近代化を図る一方、品質向上や、在庫水準を最適化する受発注システムの導入などに取り組んでいる。
 今回の新工場建設は、コクヨカムリン社の既存商材(マーカー、シャープペン、ボールペン、シャープペン芯など)について、マハラシュトラ州を中心に分散している工場を再編・集約するため。効率化してコスト削減を進めつつ、生産技術の蓄積、生産キャパシティの増強と安定した生産体制の構築を図っていく。また、工場内にマザー倉庫機能を取り込み、新興国特有の大幅な需要変動にも柔軟に対応できるようにする。
 なお新工場は、太陽熱の利用や廃水処理プラントの導入など、環境に配慮した工場となる予定。

〔コクヨカムリン社の概要〕
本  社;マハラシュトラ州ムンバイ
株  主;コクヨS&T65.77%、Dandekar家9.21%、その他25.02%
代 表 者;Dilip Dandekar会長
設  立;1931年カムリン創業、2011年10月コクヨカムリンに改称
資 本 金:1億30万ルピー(2013年9月2日発行完了時点)
従 業 員;約2,400人(うち正社員約1,200人)
売 上 高;45億500万ルピー(約73億円、ステーショナリー・画材全般を販売)
工  場;5ヵ所
配送倉庫;全州に29ヵ所

〔新工場(パタルガンガ工場)の概要〕
所 在 地;マハラシュトラ州パタルガンガ工業地区
敷地面積;5万6,655m2
延床面積;2万6,401m2(倉庫棟含む)
生産品目;筆記具、インク、糊を中心とするステーショナリー
従 業 員;約600名

(Future 2015年2月2日号)


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