業界ニュース

レンゴー/文化財保護用シート“Gas Q”を開発
 レンゴーは自社開発素材のゼオライト高密度結晶化パルプ「セルガイア」を用いたガス吸着シート“Gas Q”を、且送ソ保存器材と共同開発した。Gas Qは文化財保護などに優れた威力を発揮する。
 文化財を保護・保存する際には、空気中の特定のガスのほか、文化財自身が発するアンモニア、酢酸、硫化水素、VOCなどのガスの影響が問題となっていた。Gas Qは、セルガイアをスパンレース不織布に配合した素材を用いることで、幅広いガス種に優れた吸着性能を発揮する。また、木製や酸性紙製の保管保存容器が発する有機酸からも保護できる。
 セルガイアはゼオライトをセルロース繊維内部で高密度に結晶化させた高機能パルプで、ゼオライト保持にバインダーを使用しないため、ゼオライト本来の機能を100%発揮できる点が特長。含有率も自在に調整でき、使用による脱落もない。これまでも電化製品などに使用される銀製部品の硫化防止に効果を認められ、長年採用されてきた。
 今回の開発では、文化財保存に実績がある且送ソ保存器材が、文化財保存用不織布としてその有効性に着目し、共同で商品設計することとなったもの。Gas Qは同種の保護シートよりも、薄く・軽く、柔軟性に富み、非常に加工がしやすいという特徴を持ち、安全かつ低コストで文化財の劣化を防ぐことを可能にした。すでに、全国各地の博物館や美術館、図書館、大学の研究資料室などで採用されている。レンゴーは今後、文化財の保護・保存だけでなく他分野でも用途開拓を進めると同時に、海外市場へも展開していく考え。

(Future 2014年5月5日号)

紙・板紙需給2月/国内出荷が8ヵ月連続増
 日本製紙連合会が集計した2月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+4.7%と8ヵ月連続の増加となった。うち紙は+4.0%の122.2万tで、2ヵ月連続の増加。板紙は+5.7%の87.3万tで8ヵ月連続の増加。主要品種は、消費増税前の駆け込み需要などにより増加した。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+19.8%の8.7万tで18ヵ月連続の増加。うち紙は+10.2%の6.6万tで、東アジア、東南アジア、大洋州向けを中心に18ヵ月連続増。板紙は+65.3%の2.1万tで、東南アジア向け中心に16ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比△5.9万tの183.2万tで、前月の増加から減少に転じた。うち紙は△5.7万tの125.8万tと、印刷・情報用紙、新聞用紙を中心に減少。板紙は△0.1万tの57.4万tで、ほぼ横ばいながら段ボール原紙、建材原紙を中心に減少。
 以下は主要品種の動向である。
 〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年同月比+4.4%の25.8万tと2ヵ月連続の増加。五輪関連の増頁などがあった。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比+2.6%の69.1万tで、2ヵ月連続増。消費増税関連を中心に荷動きが堅調だった。しかし輸入増もあり伸びは鈍化。メーカー輸出は+1.4%の4.7万tで、主力の塗工紙は前月に続き減少したが、情報用紙を中心に前月の減少から増加に転じた。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比+1.7%の6.1万tで、6ヵ月連続の増加。石化向けなど重袋用を中心に、消費増税関連需要などが牽引した。メーカー輸出は引き続き高水準(+34.8%、1.4万t)。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比+9.9%の15.2万tと、前月を上回る伸び。製品輸入は増加しているが、トイレットペーパーを中心に消費増税関連需要があった。
 〔板 紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比+6.2%の68.9万tで、8ヵ月連続の増加。価格修正や消費増税関連需要が影響した。白板紙の国内出荷は+2.1%の11.6万tと、コート白ボールを中心に4ヵ月連続の増加。荷動きは堅調で一部に消費増税関連需要が影響している。

(Future 2014年4月28日号)

リンテック/中期経営計画「LIP-2016」を策定
 リンテックは、2014年4月から17年3月までの3ヵ年を対象とする新中期経営計画「LINTEC INNOVATION PLAN 2016(LIP−2016)」を策定した。
 2014年3月に終了した前回の3ヵ年中計「LIP−V」では、海外事業の強化や、QCD強化による国内事業の拡大と高収益化をテーマに掲げたが、震災や欧州債務問題、円高などにより、14年3月期の業績は当初目標を大幅に下回る見通しとなった。今回策定した新中計では、将来にわたって成長・発展していくため、“成長軌道への回帰”に向けて取り組む。
 「LIP−2016」の基本方針は、「攻めの経営と間断なきイノベーションで成長軌道を取り戻す」。国内事業の持続的な成長を図りつつ、経済発展が見込める国や地域での事業拡大や、革新的新製品の創出、事業戦略をスピーディに実現するためのM&Aなどに取り組んでいく。同時に、コスト改革活動を強化し、経営環境に左右されない強靭な企業体質を築き上げる。最終年度となる2016年度(17年3月期)の業績目標は、連結ベースで売上高2,400億円、営業利益200億円、売上高営業利益率8%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上。重点テーマは次の5点。
 (1) グローバル展開のさらなる推進
 ・アジア地域を中心とした海外事業の拡大
 ・未進出地域での事業基盤づくり
 (2) 次世代を担う革新的新製品の創出
 ・新製品の創出による新市場新需要の開拓
 ・新製品の創出のための研究開発基盤の強化
 (3) 強靭な企業体質への変革
 ・コスト競争力の強化
 ・選択と集中
 (4) 戦略的M&Aの推進
 ・成長戦略としてのターゲットの明確化
 ・M&A推進体制の強化
 (5) 人財の育成
 ・グローバル人材の確保と育成
 ・継続的な階層別研究の実施

(Future 2014年4月14日号)

大王製紙/グループの資金効率化を目指しCMSを導入
 大王製紙は連結ベースの資金効率を向上させるため、グループの資金を一元的に管理するキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入した。
 ・導入時期;2013年11月〜14年6月にかけて順次導入(14年6月末時点で25社導入の見込み)
 ・統括会社;大王製紙
 ・参加会社;国内連結子会社
 ・システムの概要;
 大王製紙・国内連結子会社間の銀行口座を連携させてグループの資金を一元管理し、国内連結子会社の余剰資金を大王製紙に集約する。また資金が必要な国内連結子会社には大王製紙から配分することで、グループ資金効率を向上させる。同時に大王製紙は、国内連結子会社の銀行口座の資金移動を監視できるようになり、資金面でのガバナンス強化が図れる。
 同社ではCMS導入によるコスト削減効果として、グループ全体で2013年度末までに60億円、14年度末までに100億円(累計160億円)程度の有利子負債圧縮を見込んでいる。なお、収益改善および資産売却、棚卸資産圧縮などの財務体質改善策と合わせると、13年度末の連結有利子負債残高は、12年度末実績の4,497億円から約300億円削減となる、4,180億円以下となる見込み。

(Future 2014年4月21日号)

レンゴー/中国広東省の子会社2社の出資持分譲渡を完了
レンゴーはかねて、ともに中国・広東省にある連結子会社、中山聯合鴻興造紙有限公司と中山聯興造紙有限公司の出資持分の一部(各32.764%)について、中山永発紙業有限公司との間で譲渡契約を結んでいたが、このほど中国の関係当局から承認を受け、中山永発への譲渡が完了した。
 これにより、前記2社はレンゴーの連結子会社から持分法適用関連会社となった。

(Future 2014年4月28日号)

王子木材緑化/インドネシアに木材製品の販社を設立
 王子グループの王子木材緑化はインドネシアに木材製品を販売する商事会社「PT. OJI FOREST PRODUCTS INDONESIA」を設立、3月から営業を開始した。
 王子グループは資源環境ビジネスを積極展開しており、王子木材緑化はその中核会社である王子グリーンリソースの完全子会社。王子グループの森林資源の有効活用だけでなく、グローバルな森林資源ビジネスを推進しており、今回の新会社設立もその一環。
 新会社は王子グループがインドネシア国内に所有する植林資源から生産される製材品をインドネシア国内で販売もしくは輸出するだけでなく、東南アジア市場への参入を一層強化する重要海外拠点として展開していく。
 〔新会社の概要〕
 ・所 在 地;インドネシア東ジャワ州スラバヤ
 ・設  立;2013年12月
 ・社  長;大原寛信氏
 ・資 本 金;30億ルピア(約3,000万円)
 ・出資比率;王子木材緑化90%、王子ペーパーアジア10%
 ・主な事業;木材製品のインドネシア国内取引・輸出入取引全般
 ・年  商;13億7,000万円(2014年度計画)

(Future 2014年4月14日号)

特種東海製紙/島田工場にバイオマスボイラーを建設
 特種東海製紙はこのほど、島田工場内にバイオマスボイラーを建設することを決めた。
 投資額は約80億円、稼働予定は2016年10月。これにより、エネルギーの安定確保とエネルギー費用の削減を図る。燃料は木質バイオマス燃料などで、設備能力は100t/h(ボイラー発生蒸気量)、22.7MW(発電能力)。なおこのボイラーによる電力は自社工場で消費し、 外部への販売は計画していない。同社では、同事業を「エネルギー使用合理化事業者支援事業」へ申請する予定。

(Future 2014年4月14日号)

日本製紙/バイオマス研究がNEDOのバイオ燃料事業に採択
 日本製紙は東京農工大学および千葉大学とともに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成25年度バイオ燃料製造のための有用要素技術開発事業」へ応募、全4件のうちの1件として採択された。
 日本製紙と東京農工大学、千葉大学の研究テーマは「ゲノム育種及び高効率林業によるバイオマス増産に関する研究開発」。2013年12月から15年3月までを共同研究期間とし、バイオ燃料に適した木質バイオマス原料の収量アップ技術、生産性の高い木質バイオマス評価・選定技術の実用化を目指す。共同研究では、日本製紙グループのブラジル・AMCEL社が育成・保有するユーカリ植林地を利用する。得られた研究成果は、日本製紙の海外植林事業のエネルギー事業に活用するほか、「林業および木質バイオマスを主要原料とする幅広い製造業の強化」にも繋げていく考え。
 〔委託研究の概要〕<
 ・テーマ;「ゲノム育種及び高効率林業によるバイオマス増産に関する研究開発」
 ・期 間・平成25年度〜26年度(2年間)
 ・研究受託者;日本製紙、東京農工大学(農学研究院農業環境工学部門・澁澤栄教授)、千葉大学(園芸学研究科緑地環境学コース・加藤顕助教)

(Future 2014年4月14日号)

リンテック/カーボンナノチューブシート化技術確立を本格化
 リンテックはこのほどカーボンナノチューブ(CNT;筒状炭素分子)のシート化技術の実用化に向け、米国に新たな研究開発拠点を設立した。2016年度中の実用化を目指し、量産技術の確立に本格着手する。
 CNTは、炭素(カーボン)でできた直径がナノ(10億分の1)メートルレベルの筒(チューブ)状の素材。軽量ながら曲げや引っ張りに非常に強く、電気をよく通すなどの特性を持つ。現在、さまざまな活用方法が研究機関や企業などで検討されており、建造物の材料のほか、蓄電装置の電極や配線の新材料などとしても注目されている。
 極小パウダー状のCNTは、シートや繊維に加工することで、前記のような用途に応用できる。リンテックはかねて、CNT分野の研究で世界をリードするテキサス大学ダラス校とともに、その新規シート化技術の確立に向けた研究を重ねてきた。そしてこのほど、米国テキサス州に新たな研究開発拠点「Nano-Science & Technology Center (NSTC)」を設立したもの。施設の建屋は地上1階建て、延べ床面積約500m2で、2月から業務を開始している。
 これまで、CNTをシート状に加工するには、溶剤に分散させた上でフィルムなどに塗布し、乾燥させる手法が一般的だった。しかしこの手法を用いると、CNTの持っている強度や電気をよく通す性質などが損なわれるという課題があった。リンテックと同校が考案したシート化技術は、これまでとは全く異なる新しい手法で、強度や導電性、熱伝導性といったCNTの優れた特性を損なわないことが最大の特徴。従来手法で作ったシートの100分の1から1万分の1という極めて薄いCNTシートの生成も可能だ。用途としては、電気自動車(EV)などに搭載される蓄電装置の電極材料への活用が考えられるほか、さらに技術を応用すれば、これまで考えられなかったような新しい発想の製品開発も期待できる。
 リンテックは、同技術の3年後の実用化をにらみ、まずサンプル製品を安定供給できるよう、NSTCで量産技術の開発を進める。同時に、新たな生成技術の研究や他分野への応用展開についても、同校をはじめとする各研究機関などと協力しながら取り組んでいく考え。

(Future 2014年4月7日号)

2013年段ボール需給/過去最高だったGDP当たりの生産量
 2013年の段ボール需給は生産が前年比+1.3%の134億5,100万m2、消費(次工程投入)が同+2.1%の93億7,800万m2、シート出荷が△0.2%の40億1,100万m2となった。
 シート出荷がマイナスに終わったこともあり、生産量は07年の過去最高実績(139億6,600万m2)に届かなかったが、消費の方は6年ぶりに新記録を達成している。
 13年の生産を前半と後半で分けると1〜6月が△0.4%の64億4,700万m2と低調だったのに対し、7〜12月は+3.0%の70億400万m2と大きく盛り返している。実体経済の回復傾向に加え、消費税増税に伴う前倒し需要が年後半の生産を押し上げた原動力と言えるだろう。とりわけ13年最後の4ヵ月は対前年同月比で9月+4.5%、10月+2.4%、11月+0.4%、12月4.6%と11月を除き、きわめて高い伸びを示している。
 生産量の記録が6年間にわたって更新されていないことから、国内の段ボール需要にはもはや伸びしろがないとする見方もある。本当にそうだろうか。前出の表1では段ボールとGDPの伸び率を一覧で比較できる形にしてあるが、さらに分かりやすくするため各年ごとにGDP1億円当たりの段ボール生産量を弾き出してみた。
 結果は13年の2,811m2が最高で、以下12年の2,802m2、11年の2,788m2と3年連続で記録を更新している。つまりGDPが伸びれば、段ボールの生産はそれを上回るペースで伸びていることになる。この間、段ボール生産伸び率の対GDP弾性値は12年が2.0、13年が1.3である。デジタルへの置き換えが不可能な、リアル物流を担う包装材料としての段ボールの強みがここに現れている。
 さらに同じく表1では段ボールシートと段ボール箱について、国内企業物価指数の推移を付け加えている(2010年100で、日銀が過去に遡及して数値を調整済み)。これによると過去18年間の最高レベルはシートが109.6、箱が101.9で、ともに2012年である。各社が適正利益の確保に注力した結果にほかならないが、同時に需要家に価値を認められたこその水準だとも言える。
 興味深いのはシートと箱の指数のの変遷だ。1995年から2008年までは一貫して箱の指数がシートの指数を上回っており、10ポイント(pt)以上の差が付く年も多いのに、09年以降は両者の関係が逆転し[シート>箱]という関係になっている。これは、大手を中心とした製函部門での競争が激化しつつあることを示唆している。
 次に地域別の生産量と構成比を見ると、前記したように13年の生産量は全体として+1.3%の伸長率だったが、これを地区別の高低順に並べると九州+3.9%→東北+3.0%→関東+2.0%→四国+1.6%→[全国平均+1.3%]→近畿+1.2%→中部△0.8%→北海道△1.3%→中国△5.5%という位置関係になる。つまり昨年は全国8地区中、3地区がマイナス成長だった。
 5年前(08年)との対比でシェアの消長を眺めると、最大規模の東京が+1.5pt、2位の近畿が+0.2ptとシェアアップを果たしているのに対し、残りの6地区はすべてシェアダウンを余儀なくされている。大都市圏への一極集中化傾向が、段ボールにおいても進行していることを物語っている。
 最後に需要部門別の消費量と段ボール箱生産金額、平均単価を過去5年のレンジで見ると、最大分野の「加工食品・飲料」がさらにシェアを高め、「通販・宅配・引越用」も増加。これに対し工場の海外移転が進んだ「電気・機械器具用」や一部プラスチックコンテナの侵食を受けている「青果物」など10部門中4部門がマイナス成長になっている。

(Future 2014年4月28日号)

ザ・パック/福岡の西日本印刷工業を子会社化
 ザ・パックはこのほど、福岡の印刷会社、西日本印刷工業を子会社化することを決めた。
 すでに4月1日現在で36.33%の株式を取得しており、5月15日までに80%を取得する予定。株式取得の相手先は、上田好章氏(西日本印刷工業代取社長)、日本紙パルプ商事、日本紙工、日之出紙器工業、新生紙パルプ商事など。また、その後も5月末日までを目途に全株式を取得し、西日本印刷工業を完全子会社とする方針。
 ザ・パックグループは総合パッケージメーカーとして、茨城・埼玉・神奈川・愛知・大阪・奈良に工場を持つ。今回の買収では、福岡に拠点を置く西日本印刷工業を傘下におさめることで、九州地区にも生産拠点を確立する。
 〔西日本印刷工業の概要〕
 ・所 在 地;福岡市博多区井相田3-1-1
 ・代 表 者;上田好章代取社長
 ・事業内容;印刷業、紙工品の製造並びに販売業
 ・資 本 金;4,500万円
 ・設  立;1959年10月2日
 ・大 株 主;日本たばこ産業19.99%、上田好章8.00%、日本紙パルプ商事7.66%、国際紙パルプ商事7.66%、日本紙工7.66%、トッパンプロスプリント7.66%、日之出紙器工業7.66%
 ・2013年3月期業績;売上高16億7,700万円、営業利益△9,700万円、経常利益△5,200万円、当期純利益△5,800万円

(Future 2014年4月28日号)

トーモク/神戸に新工場を15年3月完成予定で建設
 トーモクは、大阪工場(大阪府門真市)に次ぐ、関西地区での2つめの生産拠点として、神戸市西区の神戸サイエンスパーク内に新工場を建設する。これにより、関西地区における段ボールの生産、物流能力の逼迫を解消する。投資総額は約150億円、完成予定は2015年3月。神戸サイエンスパークは、研究開発型、先端技術型の工場や研究施設が集まる産業団地で、神戸市が分譲している。
 新工場は、需要地に近接した工場配置、労働人口の安定確保、物流の効率化、BCP対策(事業継続計画)などの立地条件を勘案して建設を決定した。人と環境にやさしい最先端の工場をコンセプトに、最新技術・システムを集結し、「清(静)・省・安・美」を具現化していく。また、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)Aクラス以上の環境配慮型の段ボール工場を目指す。
 〔新工場の概要〕
 ・名 称;トーモク神戸工場
 ・所在地;兵庫県神戸市西区井吹台東町7-4-1
 ・規 模〕;敷地面積約5万m2、延床面積約3万3,000m2、建築面積約2万4,000m2
 ・投資額;約150億円(内訳は土地取得40億円、工場建屋48億円、機械設備40億円、来期以降取得予定の機械設備22億円)

(Future 2014年4月28日号)

大久保/新設の座間事業所に業界初の溶解処理設備
 大久保では、かねて建設中だった座間事業所(日産自動車社員寮跡地;神奈川県座間市栗原873-16)を3月10日に開設した。なお、この開設に伴い、2006年から7年間にわたり営業を続けていた横浜事業所(横浜市中区かもめ町)は閉鎖した。
 座間事業所は、2012年7月に神奈川県中小企業高度化資金貸付制度の承認を受け、組合員7社で設立された協同組合SIP(Synergy Industrial Park)座間インフィニティによる企業団地の一画に建設されたもので、敷地面積2,647.8m2、建物面積1,461.2m2(工場:1,353.4 m2、事務所:1、2階:107.8m2)。国道246号にも近く、都内などへのアクセスの良い場所に立地している。
 主要設備は渡辺鉄工製150馬力ベーラー(LBP-1811-150FW)1基、ウエノテックス製破砕機(UC-110)1基、大善製溶解機(アルコン)1基、トライシステムエンジニアリング製垂直搬送機(トライα)、田中衡機工業所製トラックスケール(50t、15m)、リフト類3台、古紙管理システムCBMなどで、特に機密文書の溶解処理設備は古紙業界で初の導入と思われ、同社が参加している全国RDVシステム協議会での移動式断裁、定置式破砕処理、溶解処理と、顧客ニーズに応じた処理方法に対応でき、ワンストップサービスが可能な施設となっている。

(Future 2014年4月21日号)

富士市/古紙回収の新制度を導入
 富士市は4月から、富士市、市内26地区、古紙回収業者の3者による「協働型古紙回収制度」を開始した。回収量に応じて各地区に報奨金が支給されるほか、市況悪化時でも古紙回収が安定的に継続できる仕組みを整える。
 新制度では、市は回収業者に委託料を支払わない代わりに、古紙売渡金の請求も行わない。古紙の売上げは原則として全額回収業者の収益となる一方、市はこれまで払っていた委託料を削減できる。これによって浮いた経費を使い、古紙市況の低迷時には回収業者に支援金を、各地区には回収量に応じて報奨金を支給する。また古紙市況が好況で、回収量が一定基準を超える時には、回収業者は利益の一部を地域に還元する。
 近年は、民間事業者が設置する古紙回収ボックスの増加などにより、行政が行う集積所での回収量が減っている。これに伴って市が得る古紙売渡金も減少し、逆に回収業者への業務委託料がコスト増へとつながっていた。しかし高齢者や移動手段のない人には、自宅に近い集積所は不可欠であり、集積所での回収を続けるため、富士市は今回の新制度を構築した。これにより、古紙回収にかかるコストを圧縮する。

(Future 2014年4月21日号)

DBJ環境格付/中越パルプと三菱製紙が最高ランクの格付を取得
 日本政策投資銀行(DBJ)が実施する「DBJ環境格付」および「DBJ健康経営格付」(DBJ健康格付)において、三菱製紙が「DBJ環境格付」の最高ランクを2年連続で取得、また中越パルプ工業は「DBJ環境格付」と「DBJ健康格付」の両方で最高ランクを取得した。
 環境格付と健康格付の最高ランク同時取得は初めての事例。両社とも3月31日、格付に基づき融資を受けた。
 DBJ環境格付とDBJ健康格付は、DBJが開発した評価システムによって企業の環境経営度や従業員の健康配慮への取組みを評点化し、得点に応じて融資条件を設定するという、世界で初めての融資メニュー。今回は次の点が評価された(要旨)。
 ●三菱製紙
 [DBJ環境格付]
 (1) 生物多様性ガイドラインや独自のチェック表により、事業と生態系サービスの関係性把握をより精緻化している点
 (2) 第三者の分析により、製紙事業が自然資本へ与える影響をサプライチェーンまで含めて把握し、事業の実態に即した取組みを促進させようとしている点
 (3) 森林認証制度の中でも信頼性の高いFSC森林認証の要求項目を原料調達の基準に採用し、すべての木材チップ・木材パルプについて持続可能性を確認する体制を整備している点
 ●中越パルプ工業
 [DBJ環境格付]
 (1) 国内の間伐材を原料とするCRMペーパー『里山物語』や、タケノコ生産などから発生した廃棄竹を原料とする『竹紙』の販売により、生物多様性保全と資源の有効利用に貢献している点
 (2) 地元の森林整備を積極的に進める観点から、サプライチェーンを構築する川上・川下企業と協働して、県産間伐材の需要拡大に資する製品開発に取り組んでいる点
 [DBJ健康格付]
 (1) 「健康企業中パ」の実現を目指す健康宣言のもと、会社・労働組合・健康保険組合が三位一体となって「健康経営」を推進する基盤が整備されている点
A高岡工場、川内工場、生産本部二塚製造部で、健康面を含んだ安全衛生に関する『安全衛生ニュース』を各々年間約200通発信し、ポピュレーションアプローチに努めている点

(Future 2014年4月28日号)

紙・板紙需給1月/国内出荷が7ヵ月連続増
 日本製紙連合会が集計した1月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+7.7%と7ヵ月連続の増加となった。うち紙は+6.0%の119.3万tで、前月の減少から再び増加に転じた。板紙は+10.2%の86.1万tと7ヵ月連続で前年同月を上回った。主要品種は、消費増税関連需要などにより増加した。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+16.2%の8.0万tで17ヵ月連続の増加。うち紙は+6.1%の6.2万tで、東アジア向けを中心に17ヵ月連続増。板紙は+73.2%の1.8万tで、東南アジア向け中心に15ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比+7.8万tの188.9万tで、5ヵ月ぶりの増加。うち紙は+6.1万tの131.4万tと、印刷・情報用紙を中心に3ヵ月ぶりの増加。板紙は+1.7万tの57.5万tで、段ボール原紙を中心に4ヵ月ぶりの増加。
 以下は主要品種の動向である。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比+6.8%の66.4万tで、前月の減少から増加に転じた。輸入からの振替や消費増税関連需要などがあった。他方メーカー輸出は△2.1%の4.5万tで、塗工紙を中心に13ヵ月ぶりの減少となった。
〔包装用紙〕国内出荷は前年同月比+7.3%の6.3万tで、5ヵ月連続の増加。石化向けの増加や消費増税関連需要などがあった。メーカー輸出は引き続き高水準をキープ(+24.2%、1.1万t)。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比+10.3%の14.3万tと、トイレットペーパー中心に3ヵ月ぶりの増加。製品輸入は増加しているが、消費増税関連需要が後押しした。
 〔板 紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比+11.7%の67.9万tで、7ヵ月連続の増加。価格修正や消費増税関連需要が影響した。白板紙の国内出荷は+3.2%の11.4万tと、コート白ボールを中心に3ヵ月連続の増加。これも、一部に消費増税関連需要が影響している。

(Future 2014年3月10日号)

王子ホールディングス、丸紅/ミャンマーに段ボール工場を建設
 王子ホールディングスと丸紅は経済成長が著しいミャンマーに現地法人を設立、首都ヤンゴン郊外のミンガラドン工業団地内に新たに段ボール工場を建設する。マレーシアにある共同出資会社GS Paper&Packaging Sdn Bhd(GSPP社、出資比率;王子HD75%、丸紅25%)が、現地パートナーと合弁でミャンマーに段ボール加工会社を設立するというスキーム。営業開始は2015年5月を予定している。
 王子グループは現在推し進めている事業構造転換の一環として、東南アジアとインドでのパッケージング事業を積極的に展開している。このほど新たに段ボール事業の開始を決定したミャンマーは人口約6,000万人。2011年の民政化以降、豊富な天然資源を背景に世界各国から事業の投資先として注目を集め、急速に経済発展が進んでいる。とりわけ、経済の中心地であるヤンゴンには各国からの積極的な投資が相次いでおり、繊維・縫製業や飲料・加工食品事業などの進出が続いている。
 また2015年には、日本とミャンマーの共同事業体(日本からは住友商事、丸紅、三菱商事の大手商社3社が参画)が開発するティラワ工業団地で、用地提供の開始が予定されており、今後も日系企業を中心に事業進出が加速すると見込まれる。これに伴い、日系を含めた外資系企業が求める高品質段ボールのニーズは高まっていくと予想されるが、現地の段ボール業界では今のところ、近代的な加工設備を持つサプライヤーは限られており、外資大手の進出はGSPP社が初めて。
 このため王子と丸紅は他社に先駆けて本格的な段ボール工場を建設、稼働させることにより、ミャンマーの国内需要を先取りする考え。日本の段ボール加工技術と東南アジア事業で培った事業ノウハウ・人材を投入し、品質・サービスの両面で顧客満足度の高い製品を提供、経済発展に伴って増加する段ボール需要に対応していく。
 王子グループは現在、東南アジアの製造拠点18ヵ所でパッケージング事業を行っており、さらに昨年12月にベトナムでUPJV社の買収を決定、インドでは今年7月の営業開始を目指して工場を建設中だ(図)。ミャンマーに建設する工場は、これらに続く21番目の製造拠点。また進出国としては、ベトナム、マレーシア、タイ、カンボジア、インドに続き6ヵ国目となる。
 一方、丸紅は1942年にヤンゴン支店を開設して以来、ミャンマーで発電所建設や資源開発などのビジネスを70年以上にわたり展開してきた。2012年にはネピドー出張所を開設し、いち早く2店体制を構築、キメ細かいフォローを目指している。
 進出の形態は、まずマレーシアのGSPP社が過半数の株式を出資して、現地パートナーと合弁でミャンマーに現地法人を設立。この現地法人がヤンゴン郊外にあるミンガラドン工業団地に工場を建設し、段ボール事業を開始する。
 〔現地法人概要〕
 商  号;Oji GS Packaging (Yangon) Co.,Ltd.
 事業内容;段ボール製品 (シート/ケース) の製造・販売
 設立年月;2014年3月(予定)
 資 本 金;1,550万ドル(約15億7,700万円)
 〔新工場概要〕
 工場所在地;ミャンマー連邦共和国ミンガラドン工業団地内 (ヤンゴン市街中心部から北へ約20km)
 敷地面積;2万5,000m2
 総投資額;約1,540万ドル(約15億6,750万円)
 年産能力;段ボールシート貼合4,200万m2、段ボールケース製函2,500万m2
 営業開始;2015年5月(予定)
 〔GSPP社概要〕<
 事業拠点;マレーシア(セランゴール、ペナンの2工場体制)
 事業内容;製紙業、段ボール製造業(マレーシア国内第1位)
 設  立;1990年
 代 表 者;Mr. Sia Boon Soon(President)

(Future誌2013年3月17日号)

三菱製紙/八戸工場の業務運営会社を設立
 三菱製紙は4月1日付で、八戸工場と関連子会社の事業を再編し、新会社を設立する。これにより業務の集約と労務費の削減を推進する。
 同社グループは昨年11月、第1次中計フェーズ2の見直し(第1次中期経営計画フェーズ2ローリングプラン)を発表しており、八戸工場の構造改革はその見直し計画の新テーマの1つ。同工場の主力製品である洋紙を取り巻く環境は、内需の減退、輸入紙や国内他メーカーとの競争激化などにより非常に厳しい状況にある。八戸工場が将来的に存続していくためには、「抜本的なコスト競争力の強化と収益力の向上が喫緊の課題」であり、これを実現するため今回の再編を決めたもの。
 新会社は、三菱製紙八戸工場と、同工場構内の子会社である八戸紙業、八菱興業から運営管理、生産活動全般の業務委託を受ける請負会社として設立される。現在の三菱製紙八戸工場、八戸紙業、八菱興業の各組織は継続してそのまま資産を所有し、原燃料購入、生産管理、製品販売なども現状のシステムを継続し、業務委託を受けた新会社が業務運営を行う形態とする。従業員は、工場および各社から新会社に出向(一部は兼務出向)、転籍とする。新規採用については新会社で実施する。
 〔新会社概要〕
 商  号;エム・ピー・エム・オペレーション株式会社
 主な事業;三菱製紙および同社出資会社の業務の受託
 本  店;青森県八戸市(三菱製紙八戸工場構内)
 代 表 者;取締役社長・半田常彰(三菱製紙執行役員−八戸工場長)
 株  主;三菱製紙100%
 資 本 金;2,000万円
 売 上 高;60億円(予定)
 従 業 員;約1,000名

(Future 2014年3月3日号)

日本製紙/大竹工場の太陽光発電が稼働
 日本製紙は2月10日、大竹工場(広島県大竹市)で約826kWの太陽光発電設備を竣工、運転を開始した。大竹工場の敷地の一部を有効活用して設置したもので、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」を活用して中国電力へ電力を販売していく。
 同社は新規事業の育成を進める中で、特にエネルギー事業に力を入れており、太陽光発電事業については大竹工場のほか、徳島県小松島市の社有地でもメガソーラープロジェクト(三菱商事との協働事業)を進めている。
 〔プロジェクト概要〕
 所 在 地;広島県大竹市東栄2-1-18
 敷地面積;約1.1万m2
 発電規模;約826kW(太陽光モジュール容量)
 事業運営;日本製紙
 売 電 先;中国電力

(Future 2014年3月3日号)

中越パルプ工業/新社長に加藤明美氏が4月1日付で就任

 中越パルプ工業はこのほど4月1日付の社長交代を発表した。
 現・代取社長兼執行役員の原田正文氏は取締役兼執行役員に退き、現・専務兼執行役員の加藤明美氏が代取社長兼執行役員に就任する。なお原田氏は、6月開催予定の株主総会をもって取締役を退任する予定。
 新社長に就任する加藤明美(かとう・あきよし)氏は1950年4月2日生まれ、慶応義塾大学法学部卒。74年王子製紙入社、98年中越パルプ工業企画管理本部管理部上級調査役、2006年執行役員−企画管理部長、09年常務兼執行役員、11年専務兼執行役員に就任。所有株式数は2万7,000株。

(Future 2014年3月17日号)


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