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紙パルプ技術協会/ 第67回定時総会で新理事長に三菱製紙・鈴木邦夫社長を選出
 紙パルプ技術協会は7月11日、東京・銀座の紙パルプ会館で「第67回定時総会」を開催し、議案の審議・承認を行うとともに役員改選、藤原・大川・佐伯三賞および佐々木賞の表彰式を行った。
 当日の総会では山崎和文理事長(日本製紙取締役)が議長を務め、開会にあたって大要以下のような挨拶を述べた。
 「現在の経済環境は消費税増税後の反動はあるが、アベノミクス効果と行き過ぎた円高の是正もあり緩やかな回復基調を見せている。しかし、紙パ業界は今後少子化や電子媒体の普及などにともない、とくに印刷・情報用紙の減少は避けられないのが実情。いずれの先進国も同じ傾向にあり、欧米を中心に生産設備の停機や統合が進められている。製紙会社は事業形態を木材加工主体やパッケージに特化し、あるいは産業用紙主体などへ転換するケースが増えており、また各社ともバイオリファイナリーに関心を寄せ技術開発を進めている。
 こうしたなかでの紙パ業界の課題は、第1に最大基盤である国内紙パルプの競争力強化である。相当筋肉質にはなってきたが、一段とコスト競争力・品質競争力に磨きをかけなければならない。現在の為替でも輸入紙は入ってきており、最近また増加する傾向を見せている。各社がコストダウン努力を継続させ、品質競争、とくにお客様にとって何が重要かを掴むことが大事になる。われわれは世界一品質に厳しいお客様に鍛えられているが、更なるニーズの先取りは欠かせない。
 次に成長市場への展開となる海外進出。世界的に紙需要はまだ伸びており、輸出あるいは海外生産へのシフトが重要である。この場合、自力にせよ合弁・M&Aにせよ海外で仕事のできる技術者の育成が大きな課題となる。技術力・語学力だけでなく現地で力を発揮できるコミュニケーション能力が求められているのである。当協会としても若い人にグローバルエンジニアとなってもらうような取組みが今後の課題となる。
 3つ目のポイントは紙パの領域を広げていくこと。事業基礎を強化しつつ、いかに紙あるいは紙関連製品へ付加価値を付けていくか、あるいはセルロースナノファイバーに代表される新素材を作り出すか、またバイオ化学品に代表されるバイオリファイナリーへ進出するかであり、その道はいろいろあるが、高度バイオマス産業への脱皮が求められていることに変わりはない。バイオマスは低炭素社会・循環型社会を構成できる原料であり、これをいかに活用し高付加価値化していくのか手腕が問われているところである。
当協会はこの1年精力的に活動してきたが、これも役員・職員、会員会社および従業員、大学・研究機関の方々の尽力によるものであり、この場を借りお礼を申し上げる。紙パ産業だけでなくそれを支える方々が共存共栄を図るため技術進歩で世界をリードする必要がある。また、優秀な人材を確保しイノベーションを成し遂げるためにも魅力ある業界にならなければならない。残念ながら国内は設備投資を活発に行う状況にはないが、海外を含めた成長分野への進出と高度バイオマス産業を目指し当協会がリードしていくことが求められる。今後とも皆様のご支援ご協力を賜りたい」
 山崎理事長挨拶のあと平成25年度事業の報告が行われ、同収支決算・貸借対照表・財産目録の議案を満場一致で承認。引き続き同協会理事および監事により任期満了にともなう役員の改選が行われ、新理事長に三菱製紙の鈴木邦夫社長を選出するとともに山崎理事長は副理事長となって理事長を補佐、小関良樹副理事長(王子ホールディングス常務グループ経営委員、王子マテリア社長、王子エンジニアリング社長)も再任となった。なお、専務理事は引き続き宮西孝則氏が務める。
 総会終了後は平成25年度の藤原・大川・佐伯三賞と佐々木賞の表彰式が行われ、平成25年度の紙パルプ技術協会賞・印刷朝陽賞の受賞者および報文が発表された。各賞受賞者の概略は以下の通り。
 (1) 藤原賞;芳賀義雄氏
 略 歴;1949(昭和24)年12月24日生まれ、熊本大学大学院工学科修士課程卒。74年4月十條製紙入社。2004 (平成16)年6月日本製紙取締役、06年4月同常務取締役、08年6月日本製紙グループ本社・日本製紙代表取締役社長、13年4月日本製紙代表取締役社長、14年6月同代表取締役会長にそれぞれ就任。
受賞理由;製紙技術発展への尽力、日本製紙社長としての功績、東日本大震災からの石巻工場の完全復興とそれによる地域経済および紙パルプ産業復興への貢献、国際企業としての取組み、「総合バイオマス企業」としての新規分野参入など。日本製紙連合会会長としての業績。
 (2) 大川賞
 受賞者;倉田博美氏
 略 歴;1948(昭和23 )年3月14日生まれ、工学院大学工学部卒。70年4月国策パルプ工業入社。2005(平成17)年日本製紙取締役、07年6月同常務取締役、10年6月専務取締役を経て、12年6月同顧問に就任。
受賞理由;製紙技術発展への尽力、日本製紙専務としての功績、抄紙マシンの設備操業改善・品質技術向上、北海道3工場の統合・合理・組織強化の功績、石巻工場長兼岩沼工場長としての東日本大震災からの完全復興、ほか。
 (3) 佐伯賞
 受賞者;千賀孝雄氏
 略 歴;1950(昭和25)年9月18日生まれ、慶應義塾大学大学院修士課程卒。75年4月三菱製紙入社。2005(平成17)年6月同執行役員、07年同上級執行役員、09年6月同取締役常務執行役員を経て、12年6月同常勤顧問に就任。紙パルプ技術協会では06年6月から08年5月まで理事、09年5月から13年1月まで理事・会誌編集委員長を務める。
受賞理由;製紙技術発展への尽力、三菱製紙取締役としての功績、技術・経営両面からのインクジェット事業拡大および機能材分野への転換推進、生産工程のワールドワイド展開によるインクジェット用紙事業での成果、紙パルプ技術協会における理事・会誌編集院長としての貢献、ほか。
 (4) 佐々木賞
 「平判紙山外観検査装置の開発」JFE電制(菱沼至社長)、王子製紙(松尾洋二副社長)
 「苛性化キルン省エネ・運転最適化技術」太平洋エンジニアリング(露木晴夫社長)
 (5) 紙パルプ技術協会賞・印刷朝陽会賞
 「高品質多孔性填料の開発」山本学、若狭浩之(以上、王子ホールディングス)、岡田比斗志(日本紙パルプ研究所)の3氏
 「オンライン微量水分計の開発」永田伸一、澤本英忠(以上、王子ホールディングス)の両氏
 ちなみに、藤原・大川・佐伯の三賞は日本の紙パルプ産業史に偉大な足跡を残した藤原銀次郎・大川平三郎・佐伯勝太郎の3氏に由来したもので、紙パルプ業界に著しく貢献した個人を対象を表彰する。また、佐々木賞は紙パルプ技術の研究・開発により顕著な成果を収め業界に貢献した個人や企業、グループに、また紙パルプ技術協会賞は前年の同協会が発行する『紙パ技協誌』に発表された論文のうちとくに優秀な報文を対象としそれぞれ表彰するもので、いずれも同協会内に設置する選考委員会で毎年決定される。
 三賞および佐々木賞の表彰式では、藤原賞受賞の芳賀氏が「先日、世界遺産登録の富岡製糸場を訪れる機会があった。同場には明治30年三井家より藤原銀次郎翁が支配人として就任、生産性向上のため最新設備を導入し増産体制を確立し、女工の給料も出来高払いに変えるなど改革を実行した。昭和62年に操業停止となったが、約140年後の今日まで世界に誇る遺産として残ることとなった経営手腕に改めて敬服する。その後は製紙業の礎を築かれ、当業界にとっても偉大な功績者であり、その銀治郎翁にちなんだ賞を頂戴することは誠に光栄である。今後も微力ではあるが、製紙業界発展に尽力したい」と挨拶、次いで各氏による謝辞が述べられた。受賞者の記念撮影が終了した後、同会場での懇親パーティへと移った。

 CNFが成長戦略のアクションプランに

 懇親パーティでは冒頭、来賓を代表して経済産業省紙業服飾品課長の渡邊政嘉氏が大要次のような祝辞を述べた。
 「政府は昨年6月策定の成長戦略に一丸となって1年間努力してきた結果、徐々に景気動向は改善してきているが、引き続きこの回復基調を徹底させるため、先日、成長戦略の改訂版を発表した。
 成長戦略には日本産業再興プランと戦略市場創造プラン、国際展開戦略の3つのアクションプランがあり、新たな施策を積み重ねながらその充実化を図ってきた。そうしたなか、最近の紙パ業界にとっての明るい話題は、いわゆるセルロースナノファイバー(CNF)に関連する取組みとしてこの6月9日に産業技術総合研究所のコンソーシアム“ナノセルロースフォーラム”が設立されたことである。企業100社以上が法人会員で参加、その構成も紙パ関連にとどまらず化学メーカーや装置メーカー、ユーザー業界の自動車メーカーや住宅設備メーカーなど多種多様である。技術セミナーや国際標準化戦略、市場化などを積極的に進めていくため、このフォーラムは1つのツールとして活用されることになっているが、実は成長戦略の改訂版のなかで唯一具体的な素材名が記載されているのがこのCNFである。
 われわれが経済・産業の戦略を立案する際、一般的に新素材の具体名は記載しないものである。新素材にはカーボンナノチューブや炭素繊維などさまざまであり、それぞれが素晴らしい特性や将来性をもっているため、1つ取り上げれば他の素材名も入れざるを得なくなる。そうしたこともあって具体的名称は記載されてこなかったが、今回は特別な経緯もあって特別に記載されることとなった。
 与党である自民党の“循環型社会形成のための木材利用推進議員連盟”の先生方にナノセルロースフォーラムの矢野浩之会長(京都大学教授)とともに同フォーラムが取り組むプロジェクトの概念をご説明した。つまり、CNFは既存林業の概念を超える新たな工業化素材として想像できないような素材革命を起こすものであり、これを成長戦略のなかで位置づけ推進すべきだと。われわれの願いが通じたのか、翌日、自民党の議論のなかで実際にそれが提案をされ、成長戦略の改訂版にある林業の成長産業化の項に、CNFの研究開発によるマテリアル利用の促進が盛り込まれることとなった。
 そうした大きな流れに乗ることができ、また平成27年度予算の概算要求でも成長戦略関連の特別枠は3兆円を超えるといった話も出ている。紙パルプ技術協会におかれても技術セミナーでCNFを取り上げていただいたが、今秋開催の年次大会でも最新情報をフィードバックする予定なので是非とも皆様方のお力を頂戴しながら紙パルプ産業が高度バイオマス産業への構造転換を果たせるよう、この新素材であるCNFを育てていきたいと考えている」
 次いで、乾杯発声の挨拶に立った鈴木新理事長は理事長就任の抱負として大要次のように述べた。
 「現在、紙パ業界は非常に厳しい局面に置かれており、また技術面でも難しい状況にある。そのなかで紙パルプ技術協会の理事長を拝命し大いに緊張しているところである。私自身は技術論文の世界からしばらく遠ざかっていたため、昨日急いで書類や資料の山から最近の“技協誌”を探し出し読み返してみた。そうした状態にあるので山崎理事長には引き続き副理事長としてとどまっていただくとともに、小関副理事長にも再任をお願いした。両氏および宮西専務理事に助けられながら何とか頑張っていきたいと思う。非常に厳しいなかで日夜知恵を絞り、また汗を流して紙パルプ産業および木材・パルプ・紙の技術を応用展開する分野で働かれている方々に、微力ながら少しでも貢献できるよう尽力したい」
 挨拶のあとの乾杯で歓談へ移り、経済回復基調と新たな成長に対する期待で会場内が盛り上がるなか中締めが行われ、当日の予定は無事終了した。

(紙パルプ技術タイムス2014年8月号)

紙・板紙需給5月/国内出荷が2ヵ月連続で減少
 日本製紙連合会が集計した5月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比△3.1%と、2ヵ月連続で減少した。うち紙は△4.6%の113.9万t、板紙は△1.1%の88.1万tで、ともに2ヵ月連続減。減少幅は品種によって濃淡があるが、総じて消費増税前の駆け込み需要の反動減が影響した。
 紙・板紙の輸出は前年同月比△1.4%の8.1万tで、2012年8月以来21ヵ月ぶりの減少。うち紙は△12.0%の6.4万tで、東アジア、東南アジア向けを中心に2ヵ月連続の減少。対照的に板紙は+85.6%の1.6万tで、東南アジア向け中心に19ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比+13.8万tの196.8万tで、2ヵ月連続の増加。うち紙は+10.4万tの136万tと、印刷・情報用紙、衛生用紙、新聞用紙を中心に2ヵ月連続の増加。板紙は+3.4万tの60.8万tで、段ボール原紙を中心に前月の減少から増加に転じた。
 以下は主要品種の動向である。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比△5.2%の63.0万tで、2ヵ月連続の減少。荷動きは商業印刷向けなどを中心に低調。メーカー輸出は△17.2%の4.7万tと、主力のアジア市場の軟調もあって、塗工紙を中心に3ヵ月連続の減少。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比△0.2%の6.2万tと、9ヵ月ぶりにわずかに減少。未ざらしは重袋向けを中心に増税前の駆け込み需要の反動減が見られたが、さらしは軽包装向けなどを中心に堅調だった。メーカー輸出は△5.7%の1.2万tで、12年7月以来の減少となったが、引き続き水準は高い。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比△8.3%の13.2万tと、トイレットペーパー、ティシュを中心に駆け込み需要の反動減などにより2ヵ月連続の減少。
 〔板 紙〕
 段原紙の国内出荷は前年同月比△1.4%の70.2万tで、2ヵ月連続減。駆け込み需要の反動減はあったが、一部ユーザーの在庫補充などがありマイナス幅は縮小した。白板紙の国内出荷は△0.6%の11.4万tで、小幅ながら7ヵ月ぶりに減少。荷動きは鈍かったものの、POPやユーザーの在庫補充などにより前年並みを維持したと言える。

(Future 2014年7月14日号)

2013年包装産業出荷統計/経済好転で2年ぶり6兆円の大台に
 日本包装技術協会は先頃、2013年の「日本の包装産業出荷統計」を取りまとめ、発表した。これは同協会が毎年実施しているもので、わが国で出荷される包装・容器の出荷金額・数量および包装機械の生産金額・数量を、経産省をはじめとする諸官庁の統計、日銀統計、包装産業関連諸団体の統計および個別企業情報などを基に集計・試算したもの。
 それによると昨年の実績は「包装・容器」の出荷金額が前年比+2.1%の5兆6,078億円、「包装機械」の生産金額が同+2.4%の4,414億円、合計で+2.1%の6兆492億円と2年ぶりにプラス成長となり、6兆円の大台を回復した。国内経済の全般的な復調の兆し、また円安などが寄与したと考えられる。構成比では2強の紙・板紙製品、プラスチック製品がともに微増。また数量ベースでは「包装・容器」の出荷が+1.7%の1,875万t、「包装機械」の生産が同△0.6%の35.6万台だった。
 次に、包装・容器の材料別に見た過去5年間の出荷金額推移で見ると、09年との対比では木製品(+7.3%)とその他(+10.0%)が伸長、金属(+0.2%)も微増しているが、紙・板紙(△4.7%)、プラスチック(△5.2%)、ガラス(△6.6%)はともにマイナスだった。13年の構成比が09年との対比で、どう変化したかをトレースすると、紙・板紙△0.8ポイント(pt)、プラスチック△0.7pt、金属+0.5pt、ガラス△0.1pt、木製品+0.2pt、その他+0.8ptとなる。
 一方、材料別の数量では紙・板紙が引き続き6割強のシェアを確保し、他の材料を大きく引き離している。また09年との対比では紙・板紙が+2.2ptであるのに対し、プラは△1.3ptと対照的な推移を示している。

(Future 2014年7月7日号)

レンゴー/富士包装紙器を子会社化
 レンゴーはこのほど、富士包装紙器の発行済株式の95.02%を取得し子会社化した。
 富士包装紙器は滋賀県に生産拠点を持ち、家電、化粧品、医薬品向けの個装箱などの製造・販売を主力事業としている。レンゴーは今後、富士包装紙器へ役員を派遣し、製造・営業から経営全般にわたって支援を実施。同社の競争力強化とともに、近隣のレンゴー直営工場やグループ企業と連携しながら、関西地区での紙器事業の拡充を図る。
 〔富士包装紙器の概要〕
・本  社;大阪府大阪市天王寺区上汐5-6-9
・工  場;滋賀県蒲生郡日野町北脇日野第2工業団地5-2
・代 表 者;佐藤和範代取社長(レンゴー理事)
・資 本 金;5,000万円
・株  主;レンゴー95.02%
・事業内容;印刷紙器、高級化粧箱の製造販売
・売 上 高;28億円(2013年9月期)
・従 業 員;158名

(Future 2014年7月7日号)

日本製紙/オリゴ糖『サンセロビオK』骨粗鬆改善効果に期待
 バイオケミカル分野でも積極的な製品開発を進める日本製紙は、このほど、その一つであるオリゴ糖製品『サンセロビオ−K』が、イソフラボンがもたらす効果(大腿骨強度)を高める作用があることを確認した。東京農業大学大学院(上原万里子教授)との共同研究により明らかになったもの。
 大豆イソフラボンの一種であるダイゼインは、腸内細菌の働きによりエクオールに変換される。エクオールはイソフラボン類の中でも最も生理活性が強く、女性ホルモン(エストロゲン)様作用を示すことで知られ、肌の皺を改善する効果や、閉経後の女性に起こりやすい骨粗鬆症や更年期障害を緩和する作用が高いと言われている。『サンセロビオ−K』には、ダイゼインからエクオールへの変換を促進する可能性があることが、これまでの研究でわかっていたが、今回の共同研究ではその効果が具体的に示された。骨粗鬆症動物モデルにおいて、エクオール吸収量の増加と、大腿骨の強度を高める作用が確認されたもの。
 『サンセロビオ−K』の主成分は、日本製紙独自の技術により木材セルロースを酵素分解・結晶化したセロビオースという糖質で、吸湿性が非常に低いという特長を持つ。ヒトの体内では分解されにくい難消化性糖質であり、食品原料として健康食品をはじめ各種食品に幅広く使用されている。これまでも各種研究機関との共同研究により、○整腸作用 ○腸内細菌 ○脂質代謝改善 ○接触性アレルギー抑制などの作用に関して有効なデータが得られている。

(Future 2014年7月14日号)

日清紡ペーパー プロダクツ/中性紙対象銘柄を見直し
 日清紡ペーパー プロダクツは、7月1日生産分より「中性紙」対象銘柄を変更する。 変更後の中性紙銘柄は次の通り。
 〔中性紙とする銘柄〕
 ・NTラシャ(白、スノーホワイト、無垢)
 ・ニューこもん(全色)
 ・モデラトーンGA(ナチュラル、ホワイト、スノー)
 ・ペセソレイユ
 ・ロベール(全色)
 ・アラベール(全色)
 ・ヴァンヌーボ(全アイテム)
 ・エムシーレフォルムGA
 ・ミルトGAスピリット(ナチュラル、ホワイト、スノーホワイト)
 ・トゥーフェイスミニッツ
 ・竹はだGA
 〔中性紙としない銘柄(いずれも紙質は従来通り)〕
 ・NTラシャ(白、スノーホワイト、無垢以外)
 ・ぐびき(全色)
 ・竹あやGA(全色)
 ・ホワイトピーチケント
 日本では現在、中性紙に関する明確な基準はないが、JIS規格には「中性紙=紙の耐久性を高めるために中性領域で製造された紙。〈参考〉書籍などの一般用のほかステンレス、ガラスなどの合紙のような用途がある」と記載されている。また国立国会図書館によると、中性紙は「pH6.5 以上の紙」とされている。

(Future 2014年7月14日号)

藤原科学財団/第55回「藤原賞」は中村栄一・宮下保司の両氏
 公益財団法人・藤原科学財団(理事長・篠田和久氏、王子ホールディングス代表取締役会長)による「第55回藤原賞」の贈呈式が6月17日、東京都千代田区の学士会館で開催され、理学博士・東京大学大学院理学系研究科特例教授の中村栄一氏(精密分子設計に基づく分子科学・技術のフロンティアの開拓)、ならびに医学博士・東京大学大学院医学系研究科教授の宮下保司氏(認知記憶メカニズムの解明)が受賞した。
 同財団は、わが国の製紙王・藤原銀次郎翁が日本を世界トップレベルの科学技術国とするため私財を投じて1953年に設立。主な事業活動として、わが国科学技術の発展に大きく貢献した研究者を顕彰し副賞賞金1,000万円を贈呈する「藤原賞」と、研究者による国際的なセミナー開催を援助する「藤原セミナー」を実施している。ちなみに、藤原賞については1975年の第1回以降計111名を顕彰し、副賞累計額は8億6,000万円に上る。
式典冒頭には篠田理事長が挨拶に立ち、大要以下のように述べた。
 「今年の藤原賞は各方面から39件の応募があり、数次にわたる選考委員会で慎重に選考を重ねた結果、中村氏と宮下氏の受賞が決定した.山崎敏光選考委員長(東京大学名誉教授)はじめ、選考委員の努力に厚く御礼申し上げる.両博士の研究業績は海外においても高い評価を受けており、今後さらに飛躍発展されることを期待している。
 当財団は昭和35年、藤原銀次郎翁が将来の日本の科学技術の振興に寄与することを目的に設立。以来多くの関係者のご支援ご指導により、藤原賞贈呈も第55回を迎えることができた。財団は2つの公益事業を行っており、1つは本日の藤原賞贈呈、もう1つは藤原セミナーの開催である。藤原セミナーはわが国の研究者が計画する国際セミナーの開催を援助するもので、毎年募集を行って2件以内を採用、今年は9月に北海道と静岡でセミナーが予定されている。内外の研究者が1つのテーマについて寝食をともにしつつ、自由な雰囲気のなかで学問の交流、人の交流を深めることを目的としており、多くの参加者から高い評価をいただいている。
 財団の運営はたいへん厳しいものがあるが、2つの事業を通して日本の自然科学の発展にいささかなりとも貢献していきたい。最後に、財団運営を支えていただいている王子ホールディングスと日本製紙、また広報面でご支援をいただいている読売新聞社には今後ともご支援をお願い申し上げる」
 今回の受賞者のうち中村博士は、有機合成化学と物理化学の両面で革新的な発見・発明を重ね、とくに分子動画の撮影とその応用に関する研究、および有機官能基化フラーレンを駆使した有機薄膜太陽電池の実用開発はそれぞれ基礎科学、社会に大きく貢献する業績として高く評価されている。前者は化学修飾したカーボンナノチューブに有機分子を固定することで分子の激しい動きを制限し、その構造変化や化学反応を電子顕微鏡を用いて動画撮影することに成功したもの。また後者は炭素原子がサッカーボールのように組み合わさったフラーレンに有機物を付与した有機フラーレンを応用した有機薄膜太陽電池の開発であり、三菱化学との共同研究によって間もなく製品化されるという。
 一方、宮下教授は大脳の認知記憶メカニズムを電気生理学、実験心理学、生物物理学の3つのフィールド視点から追究。88年、サルの大脳側頭葉内に眼で見た図形を記憶するニューロン(神経細胞)を発見し、認知記憶研究のブレイクスルーを果たしたのに続き、長期記憶の関与するニューロン、さらには記憶過程の1つ「想起」におけるニューロン過程も明らかにした。また、記憶想起には前頭葉が重要な役割を果たし、ここからの「トップダウン信号」によって側頭葉記憶ニューロンに貯えられた情報の検索が行われるとし、その存在の証明、性質の解析に成功した。現在は6層からなる大脳皮質の層間における情報の流れによってどのような処理が進んでいるかの解明に挑戦している。

(紙パルプ技術タイムス2014年7月号)

国際紙パルプ商事/広報誌『TSUNAGU』が日本BtoB広告賞で銅賞
 国際紙パルプ商事の広報誌『TSUNAGU』が、第35回「2014日本BtoB広告賞・PR誌の部」で銅賞を受賞した。
 「BtoB広告賞」は、日本BtoB広告協会がBtoB 広告の普及、振興を図るために1980年から開催しれている広告作品コンテスト。対象作品は新聞広告、製品カタログ、PR誌など全12部門に分かれ、今回は合計331点の応募があった。『TSUNAGU』は、今回が初めての応募で初受賞となった。“紙”についてさまざまな切り口から深く掘り下げている点や、またそこからスムーズに企業情報に繋げている点が評価された。
 『TSUNAGU』は、07年に年2回発行の広報誌として創刊され、12年から年4回発行の季刊誌となった。毎号、紙にまつわるアートや伝統工芸などを特集し、“紙のプロ”ならではの視点で紙の魅力を伝えている。なお、次回の10月発行号は創立90周年を記念し、増ページで自社紹介をする予定。

(Future 2014年7月14日号)

四国中央紙産業振興協議会/『紙と文化のくに 四国中央』を作成
 四国中央紙産業振興協議会(会長・井上和久氏)は四国中央市の振興を図る活動の一環として、このほど地場産業である紙産業・紙関連作業を紹介する小冊子『紙と文化のくに 四国中央』を作成した。
 内容構成は、まず、今から約260年前に始まった四国中央市の紙づくりについて明治末期の“手漉き和紙黄金時代”を経て機械抄きに至った後、1950年代からの需要拡大にともなう企業の大型化・新規参入し、さらには商社および機械・資材・薬品サプライヤーによる総合的な補完体制の整備といった地域における製紙産業の変遷を概説。一方、日本髪の元結製造を端緒とし、その技法を継承した“伊予の水引”、ならびに結納品、金封や熨斗(のし)紙製造などによって発達してきた紙加工業も解説している。
 また2004年、川之江市、伊予三島市と宇摩郡の土居町および新宮村が合併して誕生し、以来自治体単位では8年連続で“日本一の紙のまち”を堅持している四国中央市の産業特性を、地域の自然環境、史跡、文化などとともに紹介。それによると、同地域の紙産業は大消費地から遠いというハンディを克服するために商品の他品種化や新規流通ルートの開発にかねて取り組み、その結果、とくに前者については「切手とお札以外の紙はすべてある」といわれるバリエーションによって多様化する消費者ニーズにきめ細かく対応しているほか、非木材繊維や化学・合成繊維などを利用した機能紙の研究開発でも世界的に知られるところとなった。
 加えて産業基盤施設も充実しており,全国屈指の規模と陣容を誇る愛媛県産業技術研究所紙産業技術センター、日本で唯一の紙に関する修士コースである愛媛大学大学院農学研究科紙産業特別コースなどと連携した技術・商品開発が進められている。
 このほか50頁にわたって機械抄き・手漉き製紙、紙加工、製紙原料、合成樹脂製品、工業薬品、関連団体などの名簿が掲載されており、うち100社以上については企業概要と主要製品が企業メッセージとともに紹介、四国中央市の現在の姿を窺い知ることができる一冊となっている。
 〔問合せ先〕
 四国中央紙産業振興協議会・事務局
 〒799-0101
 愛媛県四国中央市川之江町4084-1
 TEL 0896-58-2055 FAX 0896-58-6240
 e-mail info@e-kami.or.jp

(紙パルプ技術タイムス2014年7月号)

紙・板紙需給4月/国内出荷が10ヵ月ぶりに減少
 日本製紙連合会が集計した4月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比△3.0%と10ヵ月ぶりに減少した。うち紙は△4.9%の117.2万tで、4ヵ月連ぶりの減少。板紙は△0.6%の93.6万tと、ほぼ横ばいながら10ヵ月ぶりの減少。主要品種の中では、包装用紙と白板紙は増加したが、それ以外は減少。消費増税前の駆け込み需要の反動減は品種によって濃淡があった。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+4.2%の8.6万tで20ヵ月連続の増加。うち紙は△1.1%の6.6万tで、東アジア、東南アジア向けを中心に20ヵ月ぶりの減少。他方、板紙は+25.7%の2.1万tで、東南アジア向け中心に18ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比+3.5万tの183.8万tで、3ヵ月ぶりの増加。うち紙は+5.2万tの126.5万tと、印刷・情報用紙、衛生用紙、新聞用紙を中心に3ヵ月ぶりの増加。一方、板紙は△1.7万tの57.2万tで、段ボール原紙を中心に前月の増加から減少に転じた。以下は主要品種の動向である。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比△4.8%の66.0万tで、4ヵ月ぶりの減少。荷動きは消費増税関連の一部積み残しはあったが、商業印刷向けなどを中心に低調。メーカー輸出は△9.4%の4.7万tと、主力のアジア市場の軟調もあって、塗工紙を中心に2ヵ月連続の減少。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比+3.6%の6.5万t。重袋向けで消費税増税前の駆け込み需要の反動減が見られたが、積み残しやユーザーの在庫補充もあり8ヵ月連続の増加。メーカー輸出は引き続き高水準を維持(+18.0%、1.2万t)。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比△14.3%の13.3万tと、トイレットペーパー、ティシュを中心に駆け込み需要の反動減などにより4ヵ月ぶりの減少。
 〔板  紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比△1.4%の74.6万tで、10ヵ月ぶりの減少。駆け込み需要の反動減はあったが、GWを控えての前倒しやユーザーの在庫補充もあり、マイナス幅は小幅。白板紙の国内出荷は+1.7%の12.2万tと、POP関連やユーザーの在庫補充などにより、コート白ボールを中心に6ヵ月連続で増加した。

(Future 2014年6月9日号)

北越紀州製紙/新中期経営計画『C-next』を策定
 北越紀州製紙はこのほど2014〜16年度を対象期間とする新中期経営計画『C-next』を策定した。この新中計は、同社の長期ビジョン(Vision2020)のもとでの前中計『G-1st』を引き継ぐ第二ステップと位置づけており、「収益基盤の強化」「環境への取組みの進化」を土台として、中国での白板紙製造をはじめとする「新規分野の創造および事業構成の変革」を進め、製紙企業としてさらなる成長に挑戦するとしている。
 この基本方針により新中計では3年間に300億円を投資、16年度の経営数値目標は連結売上高2,700億円、営業利益135億円、営業利益率5%以上、EBITDA 330億円を目指す。ちなみに11年4月公表のVision2020で描かれた、2020年時点の目標像は次の通り。
 (1) 環境経営を推進し、あらゆる企業活動において環境を重視する企業
 (2) 高い技術を有し、優れた品質とコスト競争力を持った魅力ある商品を提供する企業
 (3) 着実な成長とあくなき挑戦を、情熱を持って続ける企業
 (4) 売上規模3,000億円以上、海外売上高比率25%以上
 前中計(11〜13年度)は、この長期ビジョンの第一ステップとして策定され、四つのG(グリーン、グローバル、グローアップ、グローイング)が掲げられた。前中計期間中は、北越紀州販売の設立(11年10月)、東洋ファイバーの子会社化(12年2月)、紙加工事業本部の創設(12年4月)、大王製紙株式の取得(12年8月)などのほか、国際化の面では洋紙輸出の拡大、中国への白板紙生産拠点の建設、特殊紙製造の仏・デュマ社買収(12年9月)など、国内外で事業基盤の強化を図った。
 一方、新潟工場における大型天然ガス発電設備の導入、関東工場での太陽光発電など環境経営を積極的に推進。12年の紙生産量は90年比1.5倍になったが、同年のCO2排出量は90年比の約90%まで削減し、その功績で昨年は日本製紙連合会から温暖化対策表彰の特別賞を受賞している。
 だが東日本大震災後の紙・板紙需給の変動、円高後の急激な円安進行による原燃料高といった外的要因から計画に△129億円のマイナスが生じ、内的要因の+65億円でもカバーできず、定量的には目標未達に終わっている。
 このため新中計では前出の4Gをベースとしつつ、新たに三つのC(チェンジ、チャレンジ、クリエート)を加えて一層の成長に挑む。同社経営企画部・経営管理部担当の松木和道常務は「収益基盤の強化で国内市場が縮小する中でも、事業環境の変化に負けない成長の基礎を築く。引き続き環境への取組みも進化させて社会的責任を果たす」と新中計の骨子を説明。とりわけ中国における白板紙事業は、長期ビジョン実現のうえで大きなポイントになることから、新中計の最重要課題と位置づけ、「中国の白板紙事業を即戦力化する。合わせて国内外の成長市場と新規分野に積極的な戦略投資を展開し、事業構成の変革を進めて今後の成長を実現する」と語った。
 主要事業別の戦略では、
 ・洋 紙;グループの主力事業として、世界で戦える国内1の競争力をつける
 ・白板紙;次代の成長エンジンとしての役割を担うため、中国では2号機の増設案も含めて拡大戦略を検討する
 ・特殊紙;新規市場への展開を加速しマーケティング強化でニーズを汲み上げ、デュマ社という拠点を活かし世界市場に向けて規模を拡大する
 ・紙加工;他企業とのシナジー効果を追求し、成長が見込まれる包装分野を軸に規模拡大を実現する
と謳っている。
 なお連結売上高で見ると、16年度目標と13年度実績との差異は461億円。これを既存事業の成長+170億円、中国・白板紙事業+150億円、戦略的投資効果+100億円、連結子会社その他+約40億円で埋める。売上構成比は13年度実績で洋紙6:その他合計4だったが、16年度目標では5:5になるとしている。

(Future 2014年6月16日号)

日本製紙/セルロースパウダーの製造設備を新設
 日本製紙はこのほど、北海道工場勇払事業所内にセルロースパウダー生産設備を新設し、商業運転を開始した。
 セルロースパウダーとは、 精選したパルプを加水分解し、精製、乾燥、粉砕した微細な粉体。 植物細胞の細胞壁および繊維の主成分であるセルロースは、安定しており非常に安全性の高い物質。同社は、国内随一のセルロースパウダー生産会社であり、食品、健康食品分野から工業分野に至るまで幅広い用途で製品を供給している。今回新設した設備は、特に需要拡大が予想される食品や健康食品分野に向けた事業拡大と製品の安定供給を目指して、16億円をかけて完成した。新ラインの稼働により、同社の生産ラインは北海道工場内に2ライン、江津事業所(島根県江津市)に2ラインの計4ラインとなる。
 同社は「総合バイオマス企業」として紙以外の事業強化を進めており、今回の設備新設もその一環。


(Future 2014年6月9日号)

日本製紙/石炭灰の有効利用に向けゼロテクノと共同で新会社
 日本製紙は、ゼロテクノが開発した高品質フライアッシュ『CfFA』(Carbon-free Fly Ash)の実証事業の開始に向け、ゼロテクノとともに7月1日付で「日本製紙ゼロテクノ東北有限責任事業組合」を、日本製紙石巻工場内に設立する。
 フライアッシュとは、石炭ボイラーの燃焼時に副産物として生じる石炭灰。コンクリートの混和材料として有用であることが知られているが、フライアッシュ中に含まれる未燃カーボンがフレッシュコンクリートの品質管理を難しくするため、広く一般には普及していなかった。ゼロテクノが開発した『CfFA』は、この未燃カーボンを1%以下に低減し、より高品質なコンクリート構造物の建設を可能にする。
 日本製紙は従来より石炭ボイラーから発生する石炭灰の有効利用に努めてきた。その流れの中で今年1月、科学技術振興機構が実施する復興促進プログラムに、ゼロテクノ、東北大学、大分大学と共同し、石巻工場で発生する石炭灰を原料とする「復興の基幹建設材料となるコンクリートの長期耐久性を可能にする改質フライアッシュの技術開発」を申請し、採択された。日本製紙ゼロテクノ東北の設立は、高品質フライアッシュ『CfFA』の市場への供給可能性を追求する第1ステップ。今後は、まずCfFAのプレマーケティング活動を進めるとともに、東北大学の久田真教授、大分大学の佐藤嘉昭教授の協力を得ながら、東北地方の震災復興に貢献する建設資材として『CfFA』の普及を目指す。
〔日本製紙ゼロテクノ東北の概要〕
・出資者;日本製紙、ゼロテクノ、久田真、佐藤嘉昭
・出資金額;計3,000万円
・営業拠点;宮城県仙台市青葉区五橋1−1−10 第二河北ビル(東北営業支社内)
・主な事業;CfFAのサンプル提供、CfFA普及に向けた共同研究会の実施など

(Future 2014年6月16日号)

レンゴー/タイの軟包装メーカーに資本参加
 レンゴーの合弁会社、タイ・コンテナーズ・グループ社(=TCG社)はこのほど、子会社を通じ、タイの軟包装メーカー、プレパック・タイランド社に出資し、株式の22%を取得した。
 主に食品や日用品などに用いられる軟包装は、東南アジアで今後大きな伸びが期待されている分野。プレパック社は、タイのサムットソンクラム県とラヨン県に工場を持ち、年間1.4万tの生産能力を有する。グローバルな事業展開を目指すレンゴーグループにとっては、今回の資本参加は「海外での軟包装事業拡大に向けた重要な一歩」。なおTCG社は、ベトナムでも年間3,000tの生産能力を持つ軟包装工場の建設を進めており、この6月には稼働させる予定。
〔TCG社の概要〕
・所在地;タイ、バンコク
・代表者;Poramate Larnroongroj
・株 主;レンゴー30%、SCGペーパー社70%
・事 業・段ボール・紙器の製造・販売
〔プレパック・タイランド社の概要〕
・所在地;タイ、バンコク
・代表者;Paradorn Chulajata
・事 業;軟包装の製造・販売
・売上高;14.7億バーツ(2013年度実績)
・工 場;サムットソンクラム工場、ラヨン工場

(Future 2014年6月2日号)

三菱製紙/留置針固定用テープを発売で医療機器分野に新規参入
 三菱製紙は医療機器分野に新規参入、その第1弾として、留置針固定用テープ『ダイヤエクール』を、このほど発売した。経済産業省が主催する「課題解決型医療機器開発事業」で提案があった、群馬大学医学部附属病院麻酔科蘇生科・齋藤繁教授らとの共同開発品。
 医療の臨床現場で行われている処置の中で、点滴回路の確保は重要かつ頻度の高い処置。しかし固定用テープの多くは操作が煩雑で、一人で処置を行うのは難しく、作業を補助してくれる人が必要となることが多い。また、現在の形状では点滴回路と留置針のコネクト部分が皮膚に直接接触するため、長期留置が皮膚傷害の原因となり、潰瘍形成などに至るケースも散見される。これらの課題を解決する固定テープとして、『ダイヤエクール』は開発された。留置針の固定を一人で安全に、かつ清潔に行える点が特長で、三菱製紙が開発した不織布パッドにより、コネクト部分の皮膚への圧迫も軽減できる。
 同社は昨年7月に第二種医療機器製造販売業許可を取得し、この『ダイヤエクール』で本格的に医療機器分野へ参入。現在、さまざまな医療機関や研究機関とともに医療機器の開発を進めており、順次上市して行く予定。『ダイヤエクール』はシリーズ化し、売上高で3年後に1億円を目指す。

(Future 2014年6月9日号)

国際紙パルプ商事/連結子会社2社を合併
 国際紙パルプ商事はこのほど、連結子会社の大同紙販売と東京高田が10月1日付で合併することを発表した。紙・板紙の国内需要が減少傾向にある中、関係会社の販売と経営基盤の強化を図るのが狙い。合併は対等合併だが、法手続き上は大同紙販売を存続会社とし、東京高田は解散する。東京高田の株式4株に対し、大同紙販売の株式1株を割り当てる。
 新会社の本店所在地は、現・東京高田の本店所在地(東京都新宿区喜久井町12−1)とし、代取社長には現・大同紙販売代取社長の綱木康博氏、代取副社長には現・東京高田代取社長の稲田和彦氏が就任する。その他の役員人事については、両社長が協議して決める。また東京高田の従業員は、勤続年数を通算の上、新会社に引き継ぐ。今後は合併委員会を設置し、合併業務を遂行していく。
 両社の概要は次の通り。
〔大同紙販売〕
・所 在 地;東京都台東区元浅草3-20-1
・事業内容;和洋紙、板紙、紙加工品の販売。不動産の賃貸および管理
・資 本 金;2,903.4万円
・設  立;1950年6月8日
・主要株主;国際紙パルプ商事93.0%
・従 業 員;12名
・売 上 高;13億4,733.4万円
〔東京高田〕
・所 在 地;東京都新宿区喜久井町12−1
・事業内容;紙、紙製品、製紙原料の販売。製紙および紙加工に関する機械などの販売
・資 本 金;9,600万円
・設  立;1975年4月1日
・主要株主;国際紙パルプ商事77.4%
・従 業 員;12名
・売 上 高・11億7,688.7万円

(Future 2014年6月9日号)

竹尾/「ペーパーショウ」に連日1,000人が来場

 竹尾が1965年以来開催している「ペーパーショウ」がこのほど開催された。今回は昨年3月に東京都江東区東雲に誕生した、ユニークなアート展示場「トロット・ヒューリスティック・シノノメ」での開催。平日でも芸術関係の学生らが連日1,000人近く来場。さまざまな紙を素材にしたクリエイターの作品と、それを包み込む展示空間づくりの面白さに関心を示していた(写真)。
 展示内容の企画・構成はデザイナーの原研哉氏と日本デザインセンター原研究所。今回は「SUBTLE(サトル;かすかな)」をテーマとし、15名のクリエイターがそれぞれ繊細な感覚(サトル)を活かして創り上げた、紙の造形を展示した。また会場では連日、原氏と出展クリエイターによるトークセッションが行われ、毎回立ち見ができるほど賑わった。

(Future 2014年6月23日号)

紙・板紙需給3月/国内出荷が9ヵ月連続増
 日本製紙連合会が集計した3月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+5.4%と9ヵ月連続の増加となった。うち紙は+3.6%の136.4万tで、3ヵ月連続増。板紙も+8.0%の99.3万tで9ヵ月連続増。主要品種は、新聞用紙と非塗工紙を除き、消費増税前の駆け込み需要などにより増加した。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+13.0%の8.8万tで19ヵ月連続の増加。うち紙は+9.0%の6.8万tで、東アジア、東南アジア、大洋州向けを中心に19ヵ月連続増。板紙は+29.0%の2.0万tで、東南アジア向け中心に17ヵ月連続増。
 紙・板紙の月末在庫は前月比△3.1万tの180.3万tで、2ヵ月連続の減少。うち紙は△4.6万tの121.3万tと、印刷・情報用紙、新聞用紙、衛生用紙を中心に減少。一方、板紙は+1.5万tの59.0万tで、段ボール原紙を中心に増加した。
 以下は主要品種の動向である。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比+3.3%の76.5万tで、3ヵ月連続増。消費増税関連を中心に荷動きが堅調で、特に情報用紙がPPCを中心に2割近く伸びた。メーカー輸出は△0.5%の4.8万tで、ほぼ横ばいながら塗工紙を中心に前月の増加から減少に転じた。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比+6.1%の7.1万tで、消費増税関連需要を中心に7ヵ月連続の増加。メーカー輸出は前年9月を上回り月次最高を記録(+40.4%、1.4万t)。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比+10.6%の17.3万tと、消費増税需要を中心に3ヵ月連続の増加。
 〔板 紙〕
段ボール原紙の国内出荷は前年同月比+8.7%の79.3万tで、9ヵ月連続の増加。白板紙の国内出荷は+3.3%の12.7万tと、5ヵ月連続の増加。コート白ボールを中心に荷動きは堅調だった。

(Future 2014年5月5日号)

日本製紙/新社長に馬城文雄氏

 日本製紙は4月24日、馬城文雄取締役(写真)の代表取締役社長昇格を内定した。
 現代表取締役社長の芳賀義雄氏は代表取締役会長に、現代表取締役会長の中村雅知氏は代表取締役を退任して特別顧問に就任する。6月27日の株主総会後、正式に決定する。
 〔代表取締役人事・6月27日〕
 ・代表取締役社長兼社長執行役員 馬城文雄(取締役兼常務執行役員−企画本部長、関連企業担当)
 ・代表取締役会長 芳賀義雄(代表取締役社長兼社長執行役員)
 ・特別顧問 中村雅知(代表取締役会長)
 〔新社長略歴〕
 馬城文雄(まのしろ・ふみお)氏;1953(昭和28)年3月3日生まれ、61歳。熊本県出身。1975年九州大学農学部卒。同年十條製紙(現日本製紙)入社。2006(平成18)年6月取締役、10年6月常務に就任、その間八代工場長、原材料本部長などを務め、13年4月から現職に。所有株式数1万589株(日本製紙)。芳賀義雄氏に続く熊本出身の社長となる。
(写真左;現社長の芳賀義雄氏、写真右;次期社長に内定した馬城文雄氏)

(Future 2014年5月5日号)

ダイナパック/フィリピンに子会社を設立
 ダイナパックは東南アジア市場での拡販のため、安定した需要が見込まれるフィリピンに子会社「Dynapac(Philippines)Inc.」(仮称)を設立する。6月を目途に設立し、8月から事業を開始する予定。
 〔新会社の概要〕
 所 在 地;バタンガス州リパ市リマ工業団地内
 代 表 者;President仲野谷公美
 事業内容;段ボール、印刷紙器など包装材の物流および販売など
 資 本 金;50万ドル
 出資比率;ダイナパック100%

(Future 2014年5月5日号)


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