業界ニュース

大王製紙/北越紀州製紙が22%の筆頭株主に

 井川意高元会長に対する巨額貸付金問題に端を発し、大王製紙と創業家の間で繰り広げられてきた関連会社株式の売買をめぐる交渉が26日、意外な形で決着した。創業家側が直接・間接に保有する大王製紙本体および関連会社の株式を北越紀州製紙が買い取り、うち本体分を除く関連会社株式のほとんどを大王製紙が同日中に同額で譲受するというスキームである。
 取得価格は非公開。これにより北越紀州製紙は大王製紙株式の22.1%を保有する筆頭株主となり、大王製紙は北越紀州製紙の持分法適用会社となる。
 26日夕刻に都内で記者会見を開いた大王製紙は、この間の経緯を次のように説明している。
 「当社グループ企業による元会長への貸付金問題が起こってから、創業家およびファミリー企業の保有する関連会社株式の買取り要請を行ってきたが、今年3月14日付で創業家より、当社への株式売却の意図がない旨の書面による回答を得た。これを受け、当社としては引き続き関連会社株式を買い取る用意を整えつつも、連結子会社19社を軸とした企業グループ体制を前提としてガバナンス体制を構築するとともに、今後の事業計画の骨子を策定してきた。しかし当社グループの企業価値を最大化させ、コーポレートガバナンスを最も効果的に統制できる理想の姿は関連会社の子会社化であったことから、今般、従前より技術・資本提携関係にある北越紀州製紙の協力のもと、創業家−北越紀州製紙−当社の間で本合意に至った」
 この取引により大王製紙グループの資本構成は大きく変更される。すなわち昨年9月30日時点で、大王製紙は連結子会社37社(国内35社、海外2社)の体制だったが、このうち直接・間接に議決権の過半数を有する会社は5社にとどまり、残りの32社については創業家およびファミリー企業が直接・間接に過半数を保有していた。
 その後、子会社の異動により連結子会社は19社の体制となっていたが、今回の取引で関連会社株式の大半を同社が保有することになる。「重要なビジネスパートナーである関連会社が連結子会社となることで、従来以上に緊密な生産・販売体制を構築し、グループの競争力強化につながるものと考えている」(大王製紙)
 一連の取引を通じて創業家およびファミリー企業が保有する大王製紙と関連会社の株式は売却されるとともに、創業家は関係会社の役員を退任することとなった。これに伴い大王製紙としては、グループ全体の新たなコーポレートガバナンス体制の構築を図っていく。
 写真は左から、会見する佐光正義社長、阿達敏洋常務、西川靖企画部長。

(以下詳細はFuture 2012年7月9日号「今週の焦点」で)

日本製紙グループ/みなし節電を活用し節電要請に対応
 日本製紙グループ本社は6月12日、今夏の節電要請に対応するため、関西電力および四国電力と「みなし節電」制度の活用について電力需給契約を締結した。
 みなし節電とは、節電要請している電力会社などに対して電力の買い取りを求め、買い取られた分の電力を節電したと見なす制度。今回は、日本製紙八代工場の自家発電設備を活用し、余剰電力約3MWを両電力会社に送電する。そしてその送電分を、関西電力管内にある日本製紙グループの7事業所および四国電力管内にある7事業所、合計14事業所の節電分として見なす。
 なお、関西電力・四国電力を除く他電力会社管内の事業所については、節電と自家発電設備の活用で節電要請をクリアできる見込み。

(Future 2012年7月9日号)

レンゴー/レアアースを使わない新蛍光発光体を開発
 レンゴーは、レアアースを使用しない新しい蛍光発光体『ガイアフォトン』の開発に成功した。
 蛍光体の原料であるレアアースは現在、世界的に価格が高騰し需給が逼迫している。そのため、多くの企業や大学、研究機関がレアアースを使わずに発光する蛍光体を探索している。
 『ガイアフォトン』は、希土類元素ではない「銀」を、直径0.74nm(ナノメートル)の穴が規則的に開いたゼオライトの一種であるフォージャサイト型ゼオライトに、イオン交換法を用いて担持させることにより、焼成工程なしで蛍光体化させることに成功したもの。350nm以下の波長の紫外光を照射すると、470〜550nmに発光する。また600℃の耐熱性があり、繊維内部にこの蛍光体を含有する蛍光繊維の製造も可能。安全性については、急性経口毒性や皮膚一次刺激性などの安全性試験を、外部機関によって実施済みで、いずれも問題なしとの評価を得ている。
 すでに国内外で特許を出願しており、将来的には照明装置や液晶装置用バックライトへの応用のほか、金券やチケット、包装分野における偽造防止技術として活用が期待されている。さらに同社では、銀含有ゼオライトの抗菌・消臭・ウィルス抵抗機能と組み合わせ、ユニークな新素材としても応用開発していく計画。
 なおこの技術は、去る5月18日に開催された大阪工研協会の通常総会で、第62回工業技術賞を受賞した。レンゴーはこれまでにも、多孔性セルロース粒子『ビスコパール』(1998年)、ゼオライト高密度結晶化パルプ『セルガイア』(2005年)で同じ賞を受賞しており、今回の受賞は3回目。
 また同社では、偽造防止繊維としての研究成果を、7月に開催されるセルロース学会第19回年次大会(名古屋大学・東山キャンパス野依学術交流記念館)で発表する予定。

(Future 2012年7月9日号)

王子製紙/地熱発電の事業化へ向け大林組と共同調査を実施
 王子製紙と大林組は、王子製紙社有林の美瑛山林(北海道、3,152ha)で、地熱発電の共同調査を行うことに合意した。
 地熱発電は、地下深部から供給される熱源により温められた熱水・蒸気を利用する発電方式。CO2の排出量が少なく、安定した発電量が得られる再生可能エネルギーとして注目されている。美瑛山林は国の調査により、エネルギー量の高い地熱貯留層があることが判明しており、両社の共同調査では重力・電磁探査などの地表調査を実施して地熱ポテンシャルを確認する。調査の結果、同地域が有望であると確認された場合は、事業化を視野に入れさらに調査を進めていく予定。
 王子製紙は、グループ資源を活用した資源環境ビジネスの拡大を目指しており、発電事業はその大きな柱の一つ。すでにグループが保有する水力発電所や、各工場のバイオマスボイラーなどを活用した発電事業を行っている。北海道に所有する6ヵ所の水力発電所に約20億円を投資して更新するなど、事業強化も図っており、今回の共同調査もその一環。同社では、地熱以外に「バイオマス・太陽光・風力などの再生可能エネルギーを活用した発電事業についても拡大を図る」としている。

(Future 2012年6月25日号)

大王製紙/四国電力への電力供給を今夏も実施
 大王製紙の三島工場では、昨年の夏から自家発電の一部を四国電力へ供給してきたが、今夏も継続して供給する。
 三島工場は今春までに、タービンの高効率化や制御性の改善、工場送気バランス見直しなどに取り組んできた。その効果に加え、川之江工場の休転(東日本大震災による供給不足に対応して再稼働していた設備の休転)や、定期修理期間などの発電余力も活用し、三島工場の余剰電力を四国電力に供給する。また、特に電力需給が逼迫する期間には、重油ボイラー(予備缶:通常停止設備)をいつでも運転できる体制にしておく。以上により、最大4万kW程度の電力を四国電力に供給する計画。

(Future 2012年6月25日号)

大王製紙、兼松/リグニンブラック実証設備を完成
 大王製紙と兼松は、リグニンブラック(リグニンを原料としたカーボンニュートラルな超軽量中空炭素微粒子)を製造するテストプラントを大王製紙の三島工場内に建設し、実証試験およびサンプル供給を開始する。
 両社は2010(平成22)年度よりリグニンブラックの実用化に向けた研究開発をスタート。環境省から「平成23年度環境研究総合推進費補助金」の交付を受け、1年間にわたって設備テストと設備設計を行い、今年3月末に生産能力5〜10kg/月程度のテストプラントを設置した。
 なお、リグニンブラックは産業総合研究所が開発したもので、軽量なうえ基本的なゴム補強効果と高い電気伝導性を備える。このためタイヤ用のゴム補強剤をはじめ、顔料、導電性材料などに使用されているカーボンブラック(石炭・石油などを不完全燃焼させるなどの製法によって得られる直径10〜500nmの炭素微粒子)の代替として期待されており、両社では品質の最適化および実用化に向けた研究開発を加速する。

(紙パルプ技術タイムス2012年7月号)

国際紙パルプ商事/業界に先駆け電子記録債権を導入
 国際紙パルプ商事は6月から、取引先への支払い手段として、みずほ信託銀行のファイナンス一体型電子記録債権(商品名『e-noteless』)を導入した。電子記録債権の採用は業界初。
 電子記録債権は、売掛債権や手形債権の長所を併せ持ち、取引の安全性・流動性が確保された新しいタイプの金銭債権。資金調達の円滑化に寄与することなどが期待されている。同社では、約140社の取引先から導入の了承を得ており、今後も順次拡大していく予定。また、より多くの取引先の参加を促すため、全銀電子債権ネットワーク(通称:でんさいネット)の電子記録債権にも対応していく予定で、将来的には支払いを電子記録債権に一本化する方針。

(Future 2012年6月25日号)

紙パルプ技術協会/新理事長に日本製紙の山崎和文氏

 紙パルプ技術協会は6月6日、東京・銀座の紙パルプ会館で「第65回定時総会」を開催し議案の審議・承認を行うとともに役員の選出、藤原・大川・佐伯の3賞および佐々木賞の表彰式を行った。
 当日の総会では近藤晋一郎理事長(王子製紙副社長)が議長を務め、開会にあたって概要以下のような挨拶を述べた。
 「最近発表された政府の経済報告では、企業収益減少に下げ止まりの兆しが見られ全体的に小幅改善としているが、欧州のソブリンリスクや国内の電力不足および国の負債増大など深刻な問題に直面しており、下振れ懸念もないとは言えない。一方、紙の市場はリーマン・ショック後の国内景気不振やICT(情報通信技術)進展、少子高齢化進行などもあって縮小傾向が強まっており、また原燃料高や円高を背景とする輸入紙問題などもあることから、当面厳しい状態が続こう。
 このように紙パルプ産業を取り巻く環境はきわめて厳しく、かつ目まぐるしく変化しているが、われわれ紙パ技術者がなすべきことは明確である。すなわち、高品質維持、コストダウンに加え、日本の紙パが強みとする省エネや環境対策、多様な原料への対応、高い操業率などを一層強化していくということである。また国内市場の伸びに期待ができないなか、紙パの新しいビジネスへ向けた取組みも必要であろう。紙パの技術と資源を活かし、付加価値の高い素材や製品、あるいはエネルギーなどを開発していくことも求められている。当協会は今後とも紙パルプ産業とともに新たな可能性を追求し積極的に挑戦していかなければならないが、引き続き各位のご支援を賜りたい」
 近藤理事長挨拶のあと平成23年度事業の報告が行われ、同収支決算・貸借対照表・財産目録の議案を満場一致で承認。次いで同協会理事および監事により役員改選が行われ、理事長に山崎和文氏(日本製紙取締役。写真)、副理事長に小関良樹氏(王子製紙取締役常務執行役員)と金濱福美氏(三菱製紙常務執行役員)がそれぞれ選出された。なお、専務理事は宮西孝則氏の再任となった。
 総会終了後は3賞(藤原・大川・佐伯賞)と佐々木賞の表彰式が行われ、紙パルプ技術協会賞および印刷朝陽賞の受賞者が発表された。各賞の受賞者は以下の通り。
藤原賞;林昌幸氏(前日本製紙グループ本社副社長、前日本製紙副社長)
大川賞;筧赳夫氏(元王子特殊紙常務)
佐伯賞;三浦凡宗氏(元特種東海製紙専務)
佐々木賞;「光学式キャリパー計」海堀周造氏(横河電機社長。当日は同社・西島剛志取締役が代理)、「高露点密閉フードおよび付帯技術」田中春夫氏(シラトリエンジニアリング社長)
 紙パルプ技術協会賞および印刷朝陽会賞;「パルプ懸濁液中における疎水性コロイド物質とカチオンポリマーの挙動の可視化」大岡康伸、後藤至誠の両氏(日本製紙)、「連続走行紙における剪断ジワ発生要因の解析」小林孝男氏(王子製紙)
ちなみに、藤原・大川・佐伯の3賞は紙パルプ業界に著しく貢献した個人、佐々木賞は紙パルプ技術の研究・開発により顕著な成果を収め業界に貢献した個人やグループ、また紙パルプ技術協会賞は前年の同協会が発行する「紙パ技協誌」に発表された論文のうちとくに優秀なものをそれぞれ表彰するもので、同協会内に設置する選考委員会で毎年決定される。

 紙パルプ技術協会は6月6日、東京・銀座の紙パルプ会館で「第65回定時総会」を開催し議案の審議・承認を行うとともに役員の選出、藤原・大川・佐伯の3賞および佐々木賞の表彰式を行った。  当日の総会では近藤晋一郎理事長(王子製紙副社長)が議長を務め、開会にあたって概要以下のような挨拶を述べた。  「最近発表された政府の経済報告では、企業収益減少に下げ止まりの兆しが見られ全体的に小幅改善としているが、欧州のソブリンリスクや国内の電力不足および国の負債増大など深刻な問題に直面しており、下振れ懸念もないとは言えない。一方、紙の市場はリーマン・ショック後の国内景気不振やICT(情報通信技術)進展、少子高齢化進行などもあって縮小傾向が強まっており、また原燃料高や円高を背景とする輸入紙問題などもあることから、当面厳しい状態が続こう。  このように紙パルプ産業を取り巻く環境はきわめて厳しく、かつ目まぐるしく変化しているが、われわれ紙パ技術者がなすべきことは明確である。すなわち、高品質維持、コストダウンに加え、日本の紙パが強みとする省エネや環境対策、多様な原料への対応、高い操業率などを一層強化していくということである。また国内市場の伸びに期待ができないなか、紙パの新しいビジネスへ向けた取組みも必要であろう。紙パの技術と資源を活かし、付加価値の高い素材や製品、あるいはエネルギーなどを開発していくことも求められている。当協会は今後とも紙パルプ産業とともに新たな可能性を追求し積極的に挑戦していかなければならないが、引き続き各位のご支援を賜りたい」  近藤理事長挨拶のあと平成23年度事業の報告が行われ、同収支決算・貸借対照表・財産目録の議案を満場一致で承認。次いで同協会理事および監事により役員改選が行われ、理事長に山崎和文氏(日本製紙取締役。写真)、副理事長に小関良樹氏(王子製紙取締役常務執行役員)と金濱福美氏(三菱製紙常務執行役員)がそれぞれ選出された。なお、専務理事は宮西孝則氏の再任となった。  総会終了後は3賞(藤原・大川・佐伯賞)と佐々木賞の表彰式が行われ、紙パルプ技術協会賞および印刷朝陽賞の受賞者が発表された。各賞の受賞者は以下の通り。 藤原賞;林昌幸氏(前日本製紙グループ本社副社長、前日本製紙副社長) 大川賞;筧赳夫氏(元王子特殊紙常務) 佐伯賞;三浦凡宗氏(元特種東海製紙専務) 佐々木賞;「光学式キャリパー計」海堀周造氏(横河電機社長。当日は同社・西島剛志取締役が代理)、「高露点密閉フードおよび付帯技術」田中春夫氏(シラトリエンジニアリング社長)  紙パルプ技術協会賞および印刷朝陽会賞;「パルプ懸濁液中における疎水性コロイド物質とカチオンポリマーの挙動の可視化」大岡康伸、後藤至誠の両氏(日本製紙)、「連続走行紙における剪断ジワ発生要因の解析」小林孝男氏(王子製紙) ちなみに、藤原・大川・佐伯の3賞は紙パルプ業界に著しく貢献した個人、佐々木賞は紙パルプ技術の研究・開発により顕著な成果を収め業界に貢献した個人やグループ、また紙パルプ技術協会賞は前年の同協会が発行する「紙パ技協誌」に発表された論文のうちとくに優秀なものをそれぞれ表彰するもので、同協会内に設置する選考委員会で毎年決定される。

王子特殊紙/透けない封筒用紙を発売
 王子特殊紙はこのほど、王子製紙機能材研究所と共同で、99%以上の高不透明度を実現した「透けない封筒用紙」の開発・商品化に成功した。
 個人情報や企業情報保護の重要性が高まるにつれ、請求書や申込書、機密文書などの送付には、情報漏洩対策が不可欠になっている。そのため最近は、内容物が透けないよう、裏面に地紋印刷加工した封筒や二重化した封筒が利用されるケースが多い。
 今回、王子特殊紙と王子製紙機能材研究所が商品化に成功した封筒用紙は、こうしたニーズを受けて開発された。用紙の厚さは一般的な封筒用紙(80g/u)と同じでありながら、不透明度は99%以上の高さを実現した点が特徴だ。
 従来の封筒用紙の不透明度は92%程度で、新製品と同等の不透明度にするには、200g/u以上の厚さ(同社比)が必要だった。しかし両社は、薄葉紙の開発で培った技術を応用し、不透明度を極限まで高めることに成功。さらにこの用紙は、表裏の色相差がない白色系なので封筒のデザイン性を損なわず、また封筒製造に不可欠な糊付けなどの製袋適性にも優れている。従来の親展用封筒で使われていた裏面印刷や二重化などの工程を省略できるので、環境負荷低減や作業効率改善にもつながる。
 王子特殊紙では、封筒用途だけでなく、「シークレットラベル(目隠しシール)」や、「三つ折り葉書(親展葉書)」などへの展開にも期待を寄せている。

(Future 2012年6月25日号)

日本製紙グループ本社/第4次中計を策定し営業益700億円を目指す
 日本製紙グループ本社はこのほど第4次中期経営計画(2012〜14年度)を策定した。「グループビジョン2015」の目標達成に向けて取り組む最後の中期経営計画として、14年度営業利益700億円を目指す。
 同社グループは東日本大震災で日本製紙石巻工場などの主力工場が甚大な被害を受けた後、工場の復旧とともに生産能力80万tの設備停機などを決めた「洋紙事業の復興計画」を進めている。第4次中期経営計画ではその完遂を目指し、洋紙事業の収益力強化とともに、パッケージ・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野を伸ばしていく方針。事業構造の転換を図りながら、持続可能な成長を実現する。
 第4次中期経営計画「復興計画の完遂と事業構造の転換」の主要テーマは次の通り。
 ・洋紙事業の収益力強化
 復興計画の完遂(250億円の収益改善)
 販売、製造両面でのさらなる競争力強化
 ・事業構造転換に向けた取組み強化(事業会社の再編
 パッケージ・紙加工、木材・ケミカル事業の強化
 エネルギー事業、新規事業への取組み強化
 ・海外事業の収益力強化
 オーストラリアンペーパー社の競争力強化
 理文造紙とのシナジー強化
 ・財務体質の改善
 D/E1.5倍以下の早期実現
 また経営目標としては売上高1兆1,200億円(11年度実績1兆424億円)、営業利益700億円(同365億円)、D/Eレシオ1.5倍以下(同1.9倍)、ROE8%以上を目指す。

(Future 2012年6月4日号)

王子製紙/日伯紙パを連結子会社化
 王子製紙はこのほど持分法適用会社である日伯紙パルプ資源開発(JBP)の株式を国際協力機構から取得し、連結子会社化した。取得価額は87億8,800万円。
 王子製紙によるJBP株の保有割合は、間接保有の0.34%も含め、39.84%から49.32%に増加する。これに伴い、JBPの子会社であるCelulose Nipo-Brasileira S. A.(CNB)も王子製紙の連結子会社となり、またJBPとCNBの資本金はそれぞれ、王子製紙の資本金の100分の10以上に相当するため、2社とも特定子会社となる。
 JBPは、ブラジルのユーカリ植林木を利用したパルプ製造を目的に、日本の紙パルプメーカー11社と伊藤忠商事の出資によって1971年に設立された。そして73年には、JBPが48.52%、ブラジルの国策会社であるリオ・ドーセ社が51.48%を出資し、共同でパルプ製造会社CNBを設立。日本政府が同年11月に支援を閣議決定したことで、同事業は日本・ブラジル両国のナショナルプロジェクトとなり、JBPは74年に海外経済協力基金(現在は独立行政法人・国際協力機構が継承)から出資を受けた。
 その後、2001年にJBPはリオ・ドーセ社の所有するCNB株式のすべてを買取り、CNBを完全子会社化。今回、国際協力機構が所有するJBP株式のすべてが、王子製紙を含む他の株主へ売却されるため、同事業は民営化されることとなる。
なお、現在のCNBはユーカリ植林地14万5,000haを保有し、年間120万tのパルプを製造しているが、今後の運営は中核株主である王子製紙と伊藤忠商事が担う。
 JBPとCNBの概要は次の通り。
 〔日伯紙パルプ資源開発(JBP)〕
 所在地;東京都中央区銀座2-16-11
 代表者;杉ア眞樹人代表取締役社長
 事業内容;パルプの輸出入ならびに売買
 資本金;617億8,800万円
 設 立;1971年
 主要株主(株式異動前);王子製紙39.50%、伊藤忠商事25.94%、国際協力機構16.25%、日本製紙6.04%、北越紀州製紙2.50%
 2012年3月期業績(連結);売上高566億7,300万円、営業利益50億8,400万円、経常利益56億5,500万円、当期純利益50億800万円
 〔CNB〕
 所在地;ブラジル、ミナス・ジェライス州
 代表者;パウロ・エドゥアルド・ロシャ・ブラント社長
 事業内容;パルプの製造・販売
 資本金;2億5,700万ドル
 設 立;1973年
 株 主;JBP100%

(Future 2012年6月18日号)

日本製紙グループ/タイSCGグループと多用途薄物産業用紙で合弁事業
 日本製紙と日本紙通商は6月12日、タイSCGペーパー社との間で多用途向け薄物産業用紙の生産・販売に係わる合弁事業契約を締結したと発表した。
 かねて共同での事業展開を検討してきた日本製紙グループ本社とタイのSCGペーパー社はこのほど、両社の強みを発揮でき市場成長が見込める産業用紙分野において合弁会社をタイ国に設立することで合意。日本製紙グループが55%、SCGグループが45%出資する合弁会社は今後、SCGペーパー社の既存工場内に年産能力4万3,000tの抄紙機を導入し、2014年4〜6月期の稼働を目指す。
 アジア新興国では経済成長に伴い、高級産業用紙の需要が増加している。そこでSCGペーパー社の既存インフラとユーティリティ、また日本製紙グループの技術・販売力を活用することで、コスト競争力があり品質優位性の高い産業用紙を、東南アジアを中心としたマーケットへ販売するというのが、このスキームの狙い。また日本製紙グループはこの合弁会社を足がかりに、東南アジア地域でのさらなる事業展開を追求するとしている。
 日本製紙グループは先に発表した第4次中計の中で、2012〜14年度の戦略投資枠として700億円を設定しているが、今回その具体策の第一歩が示された形だ。合弁会社の概要は次の通り。
 〔合弁会社の概要〕
 会社名;サイアム・ニッポン・インダストリアル・ペーパー社(Siam Nippon Industrial Paper Co., Ltd. 略称:SNP)
 代表者;Mr. Tongchai Soha
 本店所在地;タイ国ラチャブリ県バンポン郡 SCG ペーパー社バンポン・コンプレックス内(Banpong Complex, Ratchaburi Province)
 設立年月日;2012年6月〜7月(設立許認可を取得後)
 事業内容;多用途薄物産業用紙の製造・販売。総投資額約22億THB (約55億円)、製品主用途:食品・医療包装紙、捺染用転写紙、建材用化粧紙ほか
 操業開始予定;2014年6月
 売上高;19億4,600万THB/年(約48億円)
 資本金;11億THB
 出資比率;日本製紙グループ55%(6億500万THB。日本製紙50%、日本紙通商5%)、タイペーパー社45%(4億9,500万THB)

(Future 2012年6月18日号)

日本製紙グループ本社/エネルギー事業を拡充
 日本製紙グループ本社は7月1日付で、エネルギー事業推進室を「エネルギー事業部」に組織改正する。エネルギー事業化の検討段階から一歩踏み込み、具体的な実務推進を図る。
 日本製紙グループは製造拠点に自家発電設備を備え、その発電能力は電力会社を除く企業としては国内最大級。それらを活用し、東日本大震災以降には電力会社に余剰電力を供給してきた。また発電設備だけでなく、木質バイオマス資源の調達力、社有林を含む国内外の広大な所有地、木材化学技術の蓄積など、同社グループはエネルギー事業に生かせる強みを数多く持っている。
 昨年12月にエネルギー事業推進室を新設して以来、こうした強みを生かしたエネルギー事業について検討してきたが、より具体的に事業推進の役割を担う組織として拡充を図るため、今回の組織改正を決めたもの。同社グループは、エネルギー事業を早期展開が見込める成長事業と位置づけ、次のような取組みを推進していく。
 ・既存発電設備を利用し電力供給を拡大
 ・木質バイオマス資源を生かし新たに電力供給を開始
 ・太陽光、風力発電の導入を検討
 ・バイオエネルギーなど新燃料の研究開発を推進

(Future 2012年6月11日号)

日本製紙/PPS登録で電力販売事業を本格化
 日本製紙は5月16日、資源エネルギー庁電力市場整備課に新電力(PPS:特定規模電気事業者)の届け出を申請し同日付で受理された。
 日本製紙は昨年来、自家発電設備を活用して電力会社に電力を供給してきた。今回、特定規模電気事業者となったことで余剰電力を需要家に供給できるようになり、現在行っている電力供給が終了する場合に備えて、販売先の開拓が可能になる。同社では、「電力を取り巻く環境の変化に迅速に対応し、競争力のある余剰電力の販売を実現する」としている。

(Future 2012年5月28日号)

王子製紙/バイオリファイナリー有価物製造の実証・評価に着手
 王子製紙は米子工場に「バイオリファイナリー効率的一体型連続工業プロセス」を導入し、木材に含まれるヘミセルロース、セルロースから有価物を連続的に製造する先端技術について実証・評価を行う。
 具体的には、木材成分を分解処理することで得られるヘミセルロースおよびセルロースからバイオリファイナリー有価物の効率的な製造を行い、無駄なく活用する実証・評価を実施。ヘミセルロースを原料とするバイオリファイナリー有価物としてはフルフラール、キシロオリゴ糖、キシリトール、エタノールなどがあるが、当初はフルフラールの製造に関する実証・評価を行う。
 フルフラールは石油精製の溶剤などに使用され,今後バイオマス由来の各種化成品原料、次世代バイオプラスチック原料として期待されている。
 一方、セルロースを原料としたバイオリファイナリー有価物としては溶解パルプの製造について実証・評価を実施し、これによって得られた知見に基づきケミカル、医療など特殊用途分野を中心とした高付加価値品市場への参入を目指す。
 また、一般レーヨン用途については2014年1月より生産を開始して販売を行う予定(生産可能量9万t/年)。

(紙パルプ技術タイムス2012年6月号)

三菱製紙/福島県で放射能除染システムの本格的実証試験へ
 三菱製紙はつくばR&D センター(茨城県つくば市)で開発していた磁性吸着剤(CS-Catch)を用いる放射能除染システムについて一定の除染性能および耐久性などの実用性が確認できたことから、福島県で本格的な実証実験を行うと発表した。
 このシステムは放射性セシウムに対する吸着効果が大きいゼオライト、フェロシアン化鉄などの無機吸着剤と、磁性粉を複合化した磁性吸着剤を用いるもの。放射性セシウムを含む土壌や焼却灰とこの磁性吸着剤を水中で懸濁し、溶出した放射性セシウムを無機吸着剤部分に吸着させた後に、超伝導磁気分離装置を用いて磁性吸着剤だけを懸濁液から分離する。
 放射能汚染地域において放射性セシウムは土壌、汚泥、草木、瓦礫などの広い範囲にわたって分布している。さらに可燃性瓦礫や草木を焼却すると、放射性セシウムが高濃度に濃縮された焼却灰が発生。これらの焼却灰は水に接触すると放射性セシウムを溶出するため、安全な処理方法が求められている。三菱製紙では焼却灰に含まれる放射性セシウムが比較的簡単に水中に溶け出すことに着目し、新たに開発した磁性吸着剤を焼却灰とともに水中で懸濁させ、放射性セシウムを磁性吸着剤に吸着させた後で超伝導磁石により分離する除染システムを開発した。
 同社では磁性吸着剤について数百sスケールでの量産試験を終え、除染実験を主導しているゼネコンのもと、超伝導磁気分離装置と機能性鉄粉を用いる土壌浄化システムを有する凱Sエンジニアリングと共同で実証実験を行う準備を進めている。また研究機関として大阪大学大学院工学研究科・西嶋茂宏教授、福島大学理工学群・樋口良之准教授の助言を得ている。
 放射性セシウムの本格的な除染作業が容易に進まない中、この検討内容は去る5月19〜21日に福島県で開催された第1回環境放射能除染研究発表会で報告が行われ、注目を集めた。なお磁性吸着剤を大量生産する際には、福島県西白河郡に所在する三菱製紙の白河事業所を計画している。

(Future 2012年5月28日号)

王子チヨダコンテナー/静岡王子コンテナーを吸収合併
 王子チヨダコンテナーは、王子製紙100%子会社の静岡王子コンテナーと10月1日を目途に合併する。合併方式は王子チヨダコンテナーを存続会社とする吸収合併。6月下旬の株主総会での承認を得て正式決定となる。
 合併により、王子チヨダコンテナーの工場配置の空白地区となっている東海地区で静岡王子コンテナーの生産設備を基幹工場として位置づけ、生産体制および営業力の強化を図る。両社の概要は次の通り。
 〔王子チヨダコンテナー〕
 所在地;東京都中央区銀座5-12-8
 代表者;渡良司代表取締役社長
 資本金;100億円
 主事業;段ボールの製造・販売
 従業員;1,931名(3月31日現在)
 売上高;1,014億3,900万円(2012年3月期)
 〔静岡王子コンテナー〕
 所在地;静岡県磐田市豊田800
 代表者;乾雅一代表取締役社長
 資本金;3億8,000万円
 主事業;段ボールの製造・販売
 従業員;117名(3月31日現在)
 売上高;76億9,800万円(2012年3月期)

(Future 2012年6月11日号)

王子チヨダコンテナー、丸紅紙パルプ販売/共同子会社の段ボール3社を合併
 王子チヨダコンテナーと丸紅紙パルプ販売は、両社が共同で設立した中間持株子会社、千代田明和ホールディングスと同ホールディングスの完全子会社である千代田ダンボール、明和ダンボールの3社を、10月1日を目途に合併させる。これにより業務効率化と組織の簡素化を図る。
 合併方式は千代田明和ホールディングスを存続会社とする吸収合併で、合併後の新社名は「千代田明和ダンボール梶v(仮称)。出資比率は王子チヨダコンテナー 55%、丸紅紙パルプ販売 45%となる。合併する3社の概要は次の通り。
 〔千代田明和ホールディングス〕
 所在地;大阪府八尾市老代表取締役社長
 資本金;100万円
 主事業;純粋持株会社
 出資比率;王子チヨダ55%、丸紅紙販45%
 〔千代田ダンボール〕
 所在地、代表者;千代田明和ホールディングス
 資本金;3,000万円
 主事業;段ボールシートの製造・販売
 〔明和ダンボール〕
 所在地;大阪府八尾市太田新町9-16
 代表者;近藤光春代表取締役社長
 資本金;3,000万円
 主事業;段ボールケースの製造・販売

(Future 2012年6月11日号)

新生紙パルプ商事/米国カリフォルニア州に現地法人を設立
 新生紙パルプ商事(SPP)は去る5月1日付で、米国に現地法人Shinsei Pulp&Paper(USA) Corp.を設立した。事業内容は紙製品およびパルプの輸出入販売。
 SPPは以前から米国内でPPC用紙などの汎用カット紙を月に3,000〜4,000t程度販売している。今回の現法設立を機に東南アジア品などの3国間貿易も拡大していく意向。資本金は100万ドルで、決算期は1〜12月、初年度に90億円の売上高を見込んでいる。
 役員(Director)には阿部竜二(CEO)、若林紀生、内田哲也の3名が就任。阿部氏はオーストラリア現法CEOからの転任となる。現地役員・従業員数は阿部氏を含む7名。

(Future 2012年6月18日号)

王子製紙/DBJ環境格付の最高ランクを取得
 王子製紙はこのほど日本政策投資銀行(DBJ)からDBJ環境格付の最高ランクを取得、格付評点が傑出して高いモデル企業のみに与えられる「特別表彰」を紙パルプ業界として初めて受賞した。これにより同制度に基づく融資を受けることになった。
 DBJ環境格付は、DBJが開発したシステムにより企業の環境経営度を評点化、得点に応じて3段階の適用金利を設定する世界初の融資メニュー。王子製紙は次のような取組みで高く評価された。
 ・環境モニター会や環境教育プログラム「王子の森・自然学校」などを通じ地域住民などとの協働を重視した取組み
 ・環境配慮デザインを積極的に販売先に提案し環境配慮型製品を多数製造・販売している点
 ・J-VER制度を活用した民間企業としては最大量となるCO2クレジットの取得や、未利用残材活用のためのバイオエタノール量産技術の開発などの資源・環境ビジネス

(Future 2012年6月11日号)


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