業界ニュース

日本製紙グループ/東電・東北電への送電を開始
 日本製紙グループでは震災後、東京電力と東北電力から電力供給の要請を受け、供給量などを検討していたが、このほど両社への送電を開始した。
 送電を実施しているのは、日本製紙と日本大昭和板紙の主力工場。自家発電設備フル稼働後の余剰電力に加え、休止した発電設備を再稼動させて、両社に最大9万5,000kw程度の電力を供給する。工場単位で両社それぞれと電力供給に関する契約を結び、6月下旬から送電を始めている。両社への電力供給量は次の通り。
○東電への供給…日本大昭和板紙の草加工場と吉永工場から、昼間は最大約4万2,000kw、夜間は最大約5,000kwの電力を供給する。
○東北電への供給…日本製紙の岩沼工場と勿来工場および日本大昭和板紙の秋田工場から、昼間は最大約5万3,000kw、夜間は最大約5万kwの電力を供給する。
 なお日本製紙石巻工場も現在、発電設備の復旧作業を進めており、復旧後、東北電力に電力供給する方向で検討している。

(Future7月18日号)

大王製紙/四国電力へ電力を供給
 大王製紙は7〜9月の3ヵ月間、三島工場で自家発電した電力の一部を、四国電力に供給する。供給電力は、省エネルギー効果のほか、生産設備の定期修理時など、構内での電力使用量が減少した際の余剰電力を使う。
 三島工場は、パルプ製造時に発生する黒液をはじめ、木屑・バーク(木の皮)などのバイオマス燃料や廃棄物由来燃料および石炭を使って、自社で使用する電力を賄ってきた。自家発電設備のフル稼働時には、最大2万kw程度の余剰電力が発生している。原発事故で電力不足が懸念される中、社内での節電などと並行して、この余剰電力を役立てる方法はないかと検討した結果、四国電力への電力供給を決めたもの。

(Future7月18日号)

三菱製紙/被災した紙製品を古紙として再利用
 三菱製紙は、東日本大震災で被災した八戸工場と消費地倉庫の紙製品を、古紙として再利用することを決めた(写真は八戸工場の被災紙製品)。
 八戸工場では、海水の浸水や荷崩れにより紙製品としては販売できないものが大量に発生しており、また消費地倉庫でも、荷崩れで同様の状況となっている。そこで、日本製紙連合会および経済産業省と相談の上、再利用することにしたもの。八戸工場の古紙パルプ生産プラントで使い、2012年度中の完了を目途に進めていく。
 震災紙製品は、古紙パルプの原料としてグリーン購入法の基準を満たしており、またFSC森林認証制度では時限的特例として、震災で被害を受けた紙製品をプレコンシューマー古紙に区分して再利用することを認めている。八戸工場で生産するグリーン購入法適合商品やFSC森林認証紙に配合する古紙については、この規格に従って運用し来年度の年次監査で認証を受ける予定。

(Future7月18日号)

大王製紙/暑さ対策の新製品を一挙発売
 大王製紙はこのほど、節電の夏を乗り切る“暑さ対策”の新製品として、汗ふきシートなど計6点を一斉発表した。製品の特徴と発売日は以下の通り。
○『エリエール for MEN おしぼり感覚でゴシゴシふけるドデカシート』…1枚で顔や首筋をゴシゴシ拭ける、厚手・大判の汗ふきシート。“アラフォー”世代のビジネスマンをターゲットにした新製品。10枚入と30枚入。7月1日発売。
○『エリエール 除菌できるウェットタオル 食卓テーブル用』…大判・厚手で台ふきん代わりに使え、除菌もできるウェットタオル。弱冷房化に伴う菌の増殖や、食中毒の発生に備えた製品。70枚入。7月1日発売。
○『エリエール for MEN 襟元さらさら貼るだけシート』…首周りの汗によるベタつきやワイシャツの汗じみによる不快感を解消するシート。1日1枚、ワイシャツの襟に貼るだけで首周りの汗を吸収する。消臭機能付。10枚入。7月1日発売。
○『エリエール お肌さっぱりキッズタオル』…厚手・大判タイプの子ども用汗ふきウェットティシュ。外出時など、1枚で子どもの汗や泥汚れをすっきり拭き取れる。低刺激の薬液を使用し、ノンアルコール、パラベン無配合、無香料。アロエエキス&ヒアルロンサン配合。30枚入。7月1日発売。
○『エリエール すっきりお手ふきタオル』…布タオルの雑菌が気になる人向けの、使い捨てペーパータオル。洗面所やキッチンでの手拭きのほか、顔拭きにもおすすめ。エンボス加工で柔らかさと吸収性に優れ、タオルのような風合い。厚手なので破れにくい。100枚入。7月21日発売。
○『アテント 夜1枚安心パッド』…大人用失禁パッドのリニューアル。『ムレを防いで長時間吸収 4回吸収』(45枚入)と『特に多い方でも朝までぐっすり10回吸収』(18枚入)の夜用2タイプがある。弱冷房化によりムレや臭いが気になるケースが増えることを予想し、消臭加工などを強化した。7月21日発売。

(Future7月18日号)

5月紙・板紙需給/紙と板紙で回復に明暗
 日本製紙連合会の集計による、5月の紙・板紙国内出荷は前年同月比▲2.0%の202.7万tにとどまり、3ヵ月連続の減少となった。ただし落ち幅は3月の▲5.5%、4月の▲3.3%に比べ縮小している。また5月の場合、紙が▲4.9%の115.9万tだったのに対し、板紙は+2.2%の86.8万tと回復に明暗が生じている。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比▲54.0%の5.1万t。震災後の国内向け供給優先などの事情から、紙を中心に半減した。主力のアジア、大洋州向けが大幅に減少している。
 紙・板紙の在庫は前月比+8.5万tの186.7万tと、4ヵ月ぶりに増加。うち紙は+4.4万tの128.8万t、板紙は+4.1万tの57.9万t。なお当月に確定した震災などによる滅失分は約1,000tで、3〜5月の累計では1万6,000tに達している。
 以下、主要品種の動向である。
<新聞用紙>国内出荷は前年同月比▲5.1%の25万t。広告出稿の減少が続いているが、落ち幅は縮小傾向(3月▲12.4%減→4月▲6.3%)にある。
<印刷・情報用紙>国内出荷は前年同月比▲5.5%の64.4万t。主力工場の被災や震災後の需要減などにより3ヵ月連続の減少だが、やはりマイナス幅は縮小(3月▲12.6%→4月▲6.9%)している。他方、メーカー輸出は▲61.1%の3.5万t。主力の塗工紙を中心に8ヵ月連続の減少で、落ち幅も拡大した。
<衛生用紙>国内出荷は前年同月比▲4.2%の13.4万t。震災後に大幅な出荷増となった反動もあり、8ヵ月ぶりに減少。
<板紙・包装用紙>段ボール原紙、白板紙の国内出荷は夏場の節電対策に伴う前倒し需要の発生などにより、前者が前年同月比+2.0%の68.5万t、後者が同+4.2%の12万tと増加した。対照的に包装用紙は▲2.6%の6.8万t。

(Future 7月11日号)

レンゴー/来春の完成目指し新仙台工場の建設に着手

 レンゴーはこのほど、東日本大震災で壊滅的被害を受けた仙台工場の再生事業として、新仙台工場の建設に着手した。大震災からの復興・再生のシンボルとして、来年3月の早期完成を目指す。投資総額は約100億円(写真は完成予想図)。
 地域経済と密接な関係にある段ボールがいち早く再生への動きを示せば、地元経済の復興にも弾みがつく。同社では、「仙台工場従業員の雇用確保と同時に、地元宮城県をはじめとした被災地の復興・再生に向けた先導役としての思いも込めて取り組む」としている。
 新工場のコンセプトは、昨年開設した福島矢吹工場と同じく「軽薄炭少」(けいはくたんしょう)。太陽光発電設備を導入し、環境に十分配慮した理想の段ボール工場を実現する。それと同時に、東北地区における中核拠点工場として、地震にも強い工場を目指す。
<新仙台工場の概要>
 〔所在地〕宮城県黒川郡大和町松坂平6−3−2第一仙台北部中核工業団地
 〔規模〕▽敷地面積:約7万3,500u▽建屋面積:約2万3,800u
 〔生産品目〕段ボールシート、段ボールケース

(Future 7月11日号)

三菱製紙/八戸工場で3台目の抄紙機が生産を再開

 東日本大震災で被災した三菱製紙の八戸工場では、5月中に復旧した抄紙機2台(白板紙1台、印刷・情報用紙1台)とコーター1台に続き、6月19日に3台目の抄紙機が生産を再開した。
 今回操業を再開したのは、印刷・情報用紙の大型抄紙機1台(写真)で、これにより同工場の生産量は震災前の約35%となる。同社では、9月末までに上記設備を含めて抄紙機5台、コーター3台の生産を再開させ、生産量を震災前の約70%まで回復させる計画。これにより、一部銘柄を除き八戸工場主力製品の生産体制が整う。なおフル生産が可能になるのは、当初予定より1ヵ月ほど早まり、11月中旬頃の見込み。

(Future 7月11日号)

大王製紙/次世代育成支援法の認定を取得
 大王製紙はこのほど、次世代育成支援対策推進法に基づき、仕事と家庭の両立を支援していると認められた企業に与えられる認定マーク「くるみん」を取得した。
 認定の対象となった大王製紙の「一般事業主行動計画」(08年4月1日〜11年3月31日)の目標と実績は次の通り。
 (1 ) 妊娠中および出産後の手続きなどに関する制度の周知
 ○パンフレットを活用し制度内容の周知を図った ○08〜10年度の女性社員の育児休業取得率は80%を達成 ○男性社員の育児休業取得もあった
 (2) 所定外労働時間の削減
 ノー残業デーや年次有給休暇の取得を推進した
 (3) 社員の配偶者・子女を対象とした工場見学会の実施
 社内文化展の開催期間中に工場見学会やファミリーイベントを実施した
 (4) 工場交替勤務者の家庭生活に配慮した休暇制度の導入
 交替勤務者が毎月1回は連休が取れ、年1回は5連休の休暇が取れる仕組みを導入した

(Future 7月11日号)

製紙パレット機構/2010年度回収実績は前年度比4.8%減
 製紙パレット機構はこのほど、製紙パレットの回収・納品実績が優秀だった企業を表彰する「2010年度優良協力会社表彰」を執り行った。
 2010年度の優良協力会社は、日本パレット流通流通センター、中井紙輸送、轄L金、江戸川物流、日本興運、平田倉庫東京支店、柏栄サービス、玉村運輸奈良支店、谷川運輸倉庫京都事業部、名豊運輸、札幌紙流通センター、東福運送の12社。全国の回収実績は前年度比▲4.8%(503万8,013枚)、納品実績は同▲2.2%(489万2,022枚)だった。

(Future 7月11日号)

王子製紙グループ/マレーシアの段ボ大手株を公開買付
 王子製紙は、100%子会社のOji Paper Asia Sdn Bhd.を通じ、マレーシアの段ボール大手、Harta Packagingグループの持株会社 であるHPI Resources Bhd.の発行済株式を公開買付によって取得する。このほどマレーシアで公開買付手続きを開始した。これにより同国内での段ボール事業の拡大を図る。
 この買収が成立すれば、マレーシア国内における王子グループの段ボール販売シェアは、2010年4月に買収したGSPPおよび 11年2月に買収したUKBの販売量と合わせ、約30%となる見込み。またシェア拡大と同時に、マレーシア内の主要消費地でバランスよく製造拠点を増やし、生産基盤の強化も図る。
 東南アジア全体での事業エリア拡大を図る狙いもある。東南アジアで王子グループが展開する段ボールの事業拠点は現在、ベトナム、タイ、マレーシアの3ヵ国。ここにHarta Packaging グループのカンボジア事業拠点が加われば、地理的拡大と同時に、近隣国事業拠点との連携も強化できる。
 さらに、段ボール以外のパッケージ部門強化も視野に入れている。Harta Packaging グループはプラスチックバッグ事業も展開しており、マレーシアとカンボジアに事業拠点を持っている。これを取り込むことで、先に株式の一部を取得した S.Pack&Print (タイ)が展開する紙器事業などと合わせ、東南アジアにおける総合パッケージング事業の展開を目指す。
 今回、王子グループが買い付けるHPI Resources Bhd.の発行済株式は5,852万9,000株。買付提示価格は1株当たり4.4MYRで、100%取得時の買付総額は2億5,752万8,000MYR(約69億5,300万円)となる。買付募集期間は7月6日〜8月6日の予定で、8月中旬頃から応募のあった株式の買付を実行する。

(Future 7月4日号)

特種東海製紙/台湾の特殊紙メーカーと戦略的業務提携
 特種東海製紙と台湾の特殊紙メーカー、中日特種紙廠股〓有限公司は、業務提携に向けた検討を開始する。6月13日付で覚書に調印した。国際市場での競争力強化と相互補完体制の構築を目指す。
 製紙業界は、国内市場の成長鈍化と並行してグローバル化が進み、特殊紙の分野でも海外の業務基盤強化が不可欠となっている。また現在は、資源高や不安定な原料調達、予期せぬ災害への対応といった重大な課題にも直面しており、今回の業務提携は、こうした状況に対応する狙いもある。
 両社は今後、アジア市場の特殊紙ニーズを開拓するとともに、台湾での生産体制を構築してコスト競争力を強化し、相互補完的販売網の活用を推進する。具体的には、特種東海製紙による中日特種紙への出資や合弁会社設立検討など、次の4点を具体化させる。
@特種東海製紙による中日特種紙株式の取得…特種東海製紙は中日特種紙の株式の一部を取得する予定で、取得株数などの詳細は今後決定し、年内の取得を目指す。
A合弁会社設立の検討…コスト競争力の強化および開発中の新規製品の生産拠点として、台湾に合弁会社の設立を検討する。
B製品相互販売…相互補完的に両社の製品と販売網を活用し、国際市場への業務展開を推進する。
C中日特種紙への委託生産…三島工場で生産していた一部のファンシーペーパーについては、すでに中日特種紙での生産体制を確立し、委託生産が可能な段階にある。コスト競争力や開発スピードなど、中日特種紙の強みを生かし今後も委託生産品目の拡充を図る。

(Future 7月4日号)

丸三製紙/操業を再開
 レンゴーグループの丸三製紙は、東日本大震災での被災後、福島第一原発から25km圏内にあるため、6月末までの操業停止を決定していたが、地元自治体である福島県、南相馬市と打ち合わせの結果、下記の通り操業を再開する。
○2号抄紙機(特殊紙)…6月20日再開済み
○7号抄紙機(段ボール原紙=中しん)…7月1日再開
○6号抄紙機(段ボール原紙=ライナー)…7月10日再開
 なお工場内の放射線量については、3月11日以降綿密に調査してきたが、基準規制量を大幅に下回るレベルにあり、特に問題はないとしている。ただし、念のため工場建屋入口をレンゴーが開発したゼオライト混入の『セルガイア』シートでカバーして操業を再開する。また抄紙工程で使用する用水についても、ゼオライト袋詰め用水タンクを通して、放射線除去処理を行う。

(Future 7月4日号)

北越紀州製紙/岩手社有林の間伐促進でJ−VER認証を取得
 北越紀州製紙の「岩手県内社有林の間伐促進プロジェクト」が、4月27日付でJ−VER制度認証委員会からその妥当性を認められ、登録された。
 J−VER(Verified Emission Reduction)制度とは、企業などがカーボン・オフセットを行う際に、必要なクレジットを認証する制度。国内で実施された温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクトのうち、一定の基準を満たすものがクレジットとして認証され、その認証は環境省が設置したJ−VER制度認証委員会が行っている。
 同社はCO2削減に積極的に取り組んでおり、対90年比CO2排出量は原単位ベースで55%まで低減している。今回のJ−VER登録プロジェクトもその一環で、岩手県内に所有する5ヵ所の社有林においてカラマツ、アカマツ、スギなどの間伐を促進してCO2の吸収量を増大させた。同社では、今後も継続的に森林整備を推進するともに、ほかの社有林でもJ−VER認証の取得を進めていくとしている。
<プロジェクト概要>
 〔期間〕 10年11月1日〜13年3月31日
 〔場所〕盛岡市、葛巻町、岩手郡岩手町の社有林
 〔対象面積 〕231ha(231万u)
 〔CO2想定吸収量〕1,861t−CO2(実施期間の合計量

(Future 7月4日号)

古紙再生促進センター/7〜12月期の裾物3品消費計画見通しを発表−目立つ紙向け新聞古紙の消費減退
 古紙再生促進センターはこのほど、段ボール・新聞・雑誌の裾物古紙3品種について、製紙メーカーへのヒアリングに基づく7〜12月期の消費計画見通しをまとめた。これはセンターが四半期ごとに、会員メーカーを対象に半年単位で継続調査しているもので、今回のヒアリング時期は6月上旬。経産省の『紙・パルプ統計』に対するセンター統計のカバー率は3品種とも90%を超えているので、概ね全体の傾向を把握することができ確度の高い消費予測と言える。
 最初に1〜6月期の実績(1〜5月)+計画(6月)数値を見ると、段ボール古紙が前年比+1.1%の363.6万t、新聞古紙の紙向けが同▲11.6%の170.2万t、板紙向けが+6.9%の10.0万t、合計で▲10.8%の180.3万t、雑誌古紙が▲3.6%の109.6万tとなっている。紙向け新聞の大幅な減少が目立つ。
 続いて7〜12月の消費計画は段ボールが▲2.6%の369.9万t、新聞の紙向けが▲12.0%の164.8万t、板紙向けが▲1.4%の10.3万t、合計で▲11.4%の175.1万t、雑誌が▲2.4%の110.9万tと、3品種すべてが前年実績を下回る計画である。とりわけ新聞のマイナス幅が大きいが、これは主用途である新聞用紙の、震災後における需要縮減傾向が顕著になっているため。
 もちろん、この中には被災した2工場(日本製紙の岩沼と石巻)の計画は含まれていないので、その分マイナス幅が大きくなったという事情もある。

(Future 7月4日号)

東京都古紙持ち去り問題対策検討協議会/古紙持ち去り根絶に向け最終取りまとめを発表
 東京都が昨年11月に組織した「東京都古紙持ち去り問題対策検討協議会」はこのほど、その具体的な取組みをまとめ、次のような“古紙持ち去り根絶に向けた四つの行動”を発表した。
<四つの行動(概要)>
◎これまでの取組みを着実に推進
@多様な回収ルートを地域の特性に応じて選択
A持ち去り禁止条例の制定を拡大…委託回収業者と被害状況などの情報交換を行い、区市町村の罰則付条例の制定を進める。
◎新しい古紙持ち去り防止システムの構築
B古紙業界による取組み…古紙回収・問屋は、優良事業者を認定する制度を活用して持ち去り行為を容認しない体制を作る。また製紙メーカーは、持ち去り古紙を取り扱わない旨の宣誓書提出を直納問屋に求めるなどの対策を検討する。
C全関係者間の情報共有…持ち去り業者情報を区市町村間で共有し、警察との連携を密にする。
 日本製紙連合会調べによると、10年の全国古紙回収率は78.2%。これに対し、09年の東京都内の新聞古紙持ち去り率は推計27.3%(東京都リサイクル事業協会調べ)。分別収集で発生した新聞古紙の3割近くが持ち去られていることになる。また被害額の推計は15億円に上る。こうした状況下、持ち去り禁止条例を制定している自治体は、区部が全23区のうち17区、多摩地域は全30市町村のうち7市。また罰則付条例を制定している自治体は、区部が15区、多摩地域が4市となっている。ちなみに世田谷区と杉並区での持ち去りの告発件数推移を見ると、世田谷区が04年13件→08年5件→09年12件→10年4件、杉並区は09年10件→10年11件だった。

(Future 7月4日号)

リンテック/ウィンドーフィルムの品揃えを大幅拡充
 リンテックは、夏場の節電対策や震災時の二次災害対策で引き合いが急増しているウィンドーフィルムのラインアップを大幅に改編し、6月から新製品と改良品の全国発売を開始した。
<ガラス用断熱フィルムの新製品>
○ 『ヒートカット HCN−70G』 …吸収タイプの高透明断熱フィルム『ヒートカット』の新製品。断熱性能を向上させ、グリーン購入法で定められた熱貫流率の基準をクリア。
○『レフテル ZC06T』… 反射タイプ高透明断熱フィルム『レフテル』の新製品。従来品と同等の断熱性能を維持したグリーン購入法適合品で、透明性をさらに向上させた。
○『サンマイルドオプトロン ecoクリアブルー』…防虫フィルム『サンマイルドオプトロン』の新製品。断熱性能をプラスした。色は薄いブルーで、生産現場のほか店舗にも最適。
<ウィンドーフィルムの改良品>
○『ルミクール』カラータイプおよびメタルタイプ 計7品種、『レフテル』 計3品種…リンテックのウィンドーフィルムの主力ブランドである『ルミクール』を中心に製品仕様を改良した。ベースフィルムを厚くしてガラス飛散防止性能を高めると同時に、適度な貼りやすさを実現し、施工適性を向上。

(Future 7月4日号)

王子製紙/事業構造転換を加速し海外売上高比率2割へ
 王子製紙は6月10日に経営説明会を開催、急ピッチで進む事業構造転換の現状と今後の狙いを明らかにした。まず経営目標だが「営業利益1,000億円以上、純利益500億円以上」のターゲットは変えていない。
 基本戦略として「変革による事業構造転換の完遂」掲げており、個別には*徹底したコストダウンによる国際競争力の強化 *素材、加工一体型ビジネスの確立 *研究開発型ビジネスの形成による成長 *資源、環境ビジネスの推進 *東アジアにおけるビジネスの拡大(海外売上高比率目標20%)――といった目標を定めている。
 これらについても特に目新しさはないが、今回注目されるのは「事業構造転換を加速させるため純粋持株会社体制への移行など、グループ組織再編についても検討を進める」との一文が加わった点。現在は、主として洋紙事業を営む王子製紙本体がホールディング(HD)カンパニー的な役割を果たしているわけだが、個々の事業とHDカンパニーの機能を切り離して、より機動性を高めるべきとの議論が社内で行われているようだ。
 さて事業構造転換を具体的にイメージするうえでは、売上高構成比(%)を見るのが手っ取り早い。04年度から13年度にかけて、グループの売上高は次のように変化すると見通されている。
────────────────
 04年度 10年度 13年度
生活産業 36 44 44
印刷情報 36 28 26
機能材 17 17 18
資源環境 4 3 5
その他 7 8 7
────────────────
 すでに10年度の時点で印刷情報メデイア(新聞用紙や印刷・情報用紙)のウェイトは3割を切っており、代わって生活産業資材(段原紙/段ボール、紙おむつ、衛生用紙など)の割合が高まっている。
 以下、説明会では各事業分野ごとに構造転換の進捗状況について詳細な説明が行われたが、ここではその中から海外展開に関する項目をピックアップする。
 同社グループの海外事業は欧州の感熱紙、北米のパルプと感熱紙、南米のパルプ、オセアニアの植林とパルプなど多岐にわたっているが、何と言っても主力となるのは中国と東南アジアである。
<中国事業>生活産業資材・印刷情報メディア・機能材・商事会社などグループの各事業を積極的に展開。地域統括会社として王子製紙管理を上海に設けており、江蘇王子(南通)、王子製袋(青島)、王子製紙国際貿易(上海)を中心に数多くの事業会社を擁する。事業の目標は売上高1,000億円、営業利益率10%だが、そこに至るプロセスとして11年度に300億円、13年度に550億円、15年度に800億円超の売上高を想定しいる。
 その稼ぎ頭は昨年末に1号機が本格生産を開始した南通で、現在は13年のKP設備稼働に向け工事が進んでいる。15年度には南通事業だけで500億円の売上高を見込んでおり、販売量としては紙40万t、パルプ20万tを計画している。
<東南アジア事業>売上高目標は500億〜1,000億円、営業利益率10%。目標に大きな幅があるのはM&Aなどを想定しているため。こちらは地域統括本社として、昨年10月にマレーシアで王子アジアを設立。15年度の売上げ目標は600億〜700億円だが、「現地の本社機能を活用し、M&Aを中心に事業拡大を進める」と明確に謳っており、今後の展開が注目される。
 これらにより10年度に10%だった海外売上高比率を11年度に12%、13年度に15%と高め、15年度には20%以上という野心的な目標を掲げている。また、この間の設備投資については「国内既存事業への投資は極力圧縮し、重点分野に集中することで事業構造転換を完遂させる」としており、10〜12年度の海外事業ではM&Aを中心に900億円の投資を見込んでいる。

(Future 6月27日号)

王子製紙グループ/夏季の節電対策で一斉休業を実施
 王子製紙グループは東京電力管内の節電のため、連続7日間の夏季一斉休業を実施する。
 同社グループでは、すでに本社地区で照明の節電などの対策を講じており、今夏は昨夏の使用最大電力量に対し15%以上削減できる見込みだが、より一層の節電協力のため一斉休業を決めた。
○対象オフィスビル…王子製紙本館・1号館、東雲研究センター
○休業期間…8月10〜16日

(Future 6月20日号)

日本製紙グループ本社/徳之島で高機能茶の苗木生産を開始
 日本製紙グループ本社は、次世代の高機能茶『サンルージュ』の苗木増産のため、鹿児島県徳之島にある天城町農業センター内に、挿し木苗生産拠点を新設する。併せて、同事業を進める企画本部アグリ事業推進室内に、6月1日付で「徳之島分室」を設置した。
 同社は、事業領域の裾野を広げる分野としてアグリ事業を位置づけ、拡大を図っている。その中心は光独立栄養培養技術を用いた挿し木苗事業で、桜やフラワーアレンジメント用ユーカリなどの園芸作物や茶の苗木が主な生産品。中でも『サンルージュ』は、事業の柱となっている。
 『サンルージュ』はこれまで、徳島県の小松島分室で挿し木苗を生産してきたが、今回、鹿児島県天城町が農業復興のために策定した「天城町農業ビジョン」を受けて、徳之島での生産を決めた。徳之島が栽培に適した温暖な気候であることも、理由の一つ。これにより苗木の安定供給体制を整え、商業栽培面積の拡大を進めていく。また今後は苗木生産にとどまらず、茶の新しい需要創出を目指し、サプリメント・食品・飲料などを視野に入れた素材開発にも取り組んでいく。

(Future 6月20日号)

レンゴー/次世代育成支援法の第2期認定を取得
 レンゴーはこのほど、次世代育成支援対策推進法に基づく「2011年基準適合一般事業主」に認定された。同社が次世代法で基準適合の認定を受けるのは、2008年の第1期に続いて2回目。
 今回認定対象となったレンゴーの第2期「一般事業主行動計画」(08年4月1日〜11年3月31日)の目標は次の2点。
@育児休業の期間について法定を上回るものとする
A両立支援に対する社員の意識向上と制度利用促進のために、社会の動向や社内制度内容の周知活動に取り組む
 具体的には、○育児休業制度の改定 ○社内研修会で社会の動きや社内諸制度を説明 ○パンフレット『レンゴーの子育て支援制度』を作成し全国の事業所で配付などの諸施策に取り組んだ。なお第3期(11年4月1日〜14年3月31日)は、妊娠中の社員や子育てしながら働く社員に配慮した措置の実施を新たな目標としている。

(Future 6月27日号)


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