業界ニュース

日本製紙グループ/中国の理文造紙を持分法適用会社に
 日本製紙グループは8月5日付で、中国段ボール原紙生産2位の理文造紙(L&M社)の株式を追加取得し、持分法適用関連会社とした。
 NPGはかねてアジアを中心とする環太平洋地域を、成長原資を担保するための最重要市場と位置づけており、紙パ事業の積極的な拡大を目指している。その一環として、昨年6月にL&M社との間で業務提携契約を締結し、併せて同社の株式を12%(当時)取得した。この契約に基づき2名の取締役を就任させ、同社の白板紙生産設備の立ち上げ支援を通して人材交流・技術協力を進めてきた。
 今回は両社の中国市場におけるさらなる成長を目的に、L&M社の個人株主から株式を追加取得したもの。取得価額は邦貨で約94億円。この結果、NPGの同社に対する出資比率は15.32%となるので、持分法適用関連会社とする。

(Future 8月22日号)

レンゴー/香港・鴻興印刷の株式取得を完了
 レンゴーはかねて、Asia packaging company Limited(=APC)が保有する鴻興印刷集団有限公司の株式2億7,145万2,000株の取得に向けて、APCと株式譲渡契約を締結していたが、このほど中国の監督官庁から承認を受け、8月3日付で株式取得を完了した。取得価額は14億2,512万3,000香港j。
 これによりレンゴーが保有する鴻興印刷の株式は、以前から持っていた10万株と合わせ2億7,155万2,000株(発行済株式総数に占める割合は29.91%)となる。なお、株式取得に伴い次の3名が8月3付で鴻興印刷の取締役に就任した。
 ▽小澤善孝〈レンゴー取締役兼専務執行役員〉▽木村博行〈レンゴー執行役員〉▽田中克昭〈レンゴー嘱託〉

(Future 8月22日号)

中越パルプ工業/「フジロックの森プロジェクト」に参画
 中越パルプ工業は、自然と音楽の共生を目指す野外ロックフェスティバル「フジロックフェスティバル」から派生して生まれた「フジロックの森プロジェクト」に参画する。
 フジロックフェスティバルは、1997年以来毎夏開催されている日本最大級の野外音楽イベント。初回は富士の裾野で開催されたが、99年以降は新潟県湯沢町の苗場スキー場で開催されている。今回のプロジェクトは、フェスティバル主催者のスマッシュと、開催地である新潟県および湯沢町が共同で立ち上げたもので、7月11日に相互連携協定が結ばれている。
 新潟県湯沢町は面積の90%以上を森林が占め、上信越高原国立公園の区域に指定される自然豊かな美しいところ。この森林を保全するというのがプロジェクト設立の趣旨であり、中越パルプ工業は間伐材の有効活用などで協力していく。プロジェクトの具体的な取組みは次の二つ。
 (1) 新潟県産の間伐材を活用した『フジロックペーパー』の製造・普及
 間伐して山に捨てられた林地残材の搬出経費を支援し、紙の原料として活用することにより森林資源を有効活用する。コーディネート役は中越パルプ工業。
 (2) 森林と親しむエリア整備
 フジロック会場周辺を森林に親しむエリアとするため、車いすで自然散策できる木道の整備や、森林作業体験、自然観察会などのワークショップ、森林アートの設置などを検討している。

(Future 8月22日号)

紙パの第1四半期決算/震災と原燃料高が直撃、板紙は活発な荷動き
 紙パ企業の第1四半期決算(11年4〜6月)の発表が始まった。
 第1四半期の日本経済は、東日本大震災の影響が幅広い産業に及び、個人消費も低迷した。紙パ業界においては、洋紙が自粛ムードの中で低調に推移した一方、板紙は夏場の節電対応に伴う前倒し需要もあり、前年同期を上回る動きとなった。ただし原燃料高の影響で利益面は厳しい状況となっている。以下、連結ベース、単位100万円、カッコ内は前年同期比。

 ●王子製紙
 〔第1四半期業績〕
 売上高 306,816 (+8.1%)
 営業益 16,646 (+3.9%)
 経常益 16,023 (+4.2%)
 当期益 8,137 (▲2.7%)
 〔通期業績予想〕
 売上高 1,250,000 (+5.9%)
 営業益 62,000 (▲5.3%)
 経常益 57,000 (▲5.4%)
 当期益 28,000 (+13.7%)
 段ボール原紙販売は震災後の在庫補充や、夏場の節電対応に伴う前倒し生産で飲料・加工食品向けが堅調に推移し増加。白板紙も支援物資需要や前倒し需要により前年を上回った。一般洋紙は、自粛ムードが影響して新聞用紙、印刷用紙ともに減少し、輸出も減少。段ボールシート・ケースは、東日本を中心に落ち込んだが、前倒し需要や西日本への生産シフトなどにより全体では増加。トイレットペーパーは、震災直後のまとめ買いなどの反動で減少したが、ティシュは増加。紙おむつは、ベビー用が前年並み、大人用は尿パッドが減少した。

 ●日本製紙グループ本社
 〔第1四半期業績〕
 売上高 250,220 (▲8.4%)
 営業益 7,109 (▲19.6%)
 経常益 7,005 (▲8.6%)
 当期益 1,601 (▲57.8%)
 〔通期業績予想〕
 売上高 1,050,000 (▲4.5%)
 営業益 30,000 (▲15.8%)
 経常益 26,000 (▲17.7%)
 当期益 ▲12,000 ( − )
 震災の影響で塗工紙などを中心に販売量が落ち込み、原燃料価格の上昇もあって減収減益となった。当期純損益には、震災で被災した工場の操業休止期間中の固定費45億5,400万円を特別損失として計上している。品種別では、一般洋紙は前年同期を大きく下回り、新聞用紙も前年割れ。板紙は夏の節電対策に伴う前倒し需要で段ボール原紙などが前年同期を上回った。家庭紙は震災直後の買いだめの反動で前年割れ。なお日本製紙グループは今後、被災工場の復興だけでなく洋紙事業の抜本的な構造転換を進めていく方針(本号4〜5頁)で、通期予想にはそれに伴う特別損失260億円を織り込んでいる。未定としていた配当予想については、第2Qが10円、期末20円で、合計30円と発表した。

 ●レンゴー
 〔第1四半期業績〕
 売上高 122,397 (+1.9%)
 営業益 8,319 (▲12.9%)
 経常益 8,331 (▲12.4%)
 当期益 3,918 (▲19.8%)
 〔通期業績予想〕
 売上高 490,000 (+3.2%)
 営業益 31,000 (▲4.3%)
 経常益 30,000 (▲3.8%)
 当期益 16,000 (+55.5%)
 主力の段ボールの販売量が飲料向けを中心に前年同期を上回ったものの、利益面では原燃料価格の上昇に加え、グループ会社の丸三製紙が原発事故の影響で6月下旬まで操業停止していたこともあり、増収減益となった。事業別で見ると、板紙・紙加工関連は、売上げは伸びたが原燃料価格の上昇で増収減益。軟包装関連は販売量が減少したもののコスト削減効果で減収増益。重包装関連は積極的な営業展開により増収減益。海外関連は連結子会社が増加したため売上高は大幅に伸びたが、原材料価格の上昇で増収減益となった。

 ●大王製紙
 〔第1四半期業績〕
 売上高 100,328 (+3.8%)
 営業益 2,504 (▲30.2%)
 経常益 851 (▲49.1%)
 当期益 ▲701 ( − )
 〔通期業績予想〕
 売上高 428,000 (+4.3%)
 営業益 14,300 (+8.1%)
 経常益 6,500 (+17.8%)
 当期益 3,000 ( − )
 新聞用紙は販売数量・金額ともに前年同期を下回ったが、印刷用紙は自粛ムードの縮小と印刷会社の稼働再開で回復基調にあり、また国内の製品供給不足に対応した結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回った。段ボールは支援物資搬送用の需要があったことや、飲料・加工食品関係が堅調だったことにより、販売数量・金額ともに前年同期を上回った。衛生用紙も数量・金額ともに前年同期比プラス。ベビー用紙おむつは、数量は伸びたが販売金額は前年同期並みで、大人用は数量・金額ともに前年同期を上回った。

 ●三菱製紙
 〔第1四半期業績〕
 売上高 42,028 (▲21.3%)
 営業益 ▲661 ( − )
 経常益 ▲851 ( − )
 当期益 ▲4,107 ( − )
 〔通期業績予想〕
 売上高 200,000 (▲5.1%)
 営業益 3,000 (▲13.7%)
 経常益 1,000 (▲52.7%)
 当期益 ▲3,000 ( − )
 震災による八戸工場の操業停止の影響で、印刷用紙・情報用紙のの販売数量が前年同期より大幅に減少、金額も減少した。市販パルプの販売数量も前年同期を下回った。写真用原紙・印画紙は世界的な需要減少傾向の中で拡販に努めた結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回った。インクジェット用紙は震災や円高の影響を受け販売数量・金額ともに前年同期を下回った。なお、第2四半期に特別利益として退職給付信託返還益21億円を、特別損失として退職金制度の変更による損失約32億円を計上する見通し。

 ●中越パルプ工業
 〔第1四半期業績〕
 売上高 24,435 (▲2.3%)
 営業益 39 (▲87.6%)
 経常益 22 (▲91.5%)
 当期益 ▲268 ( − )
 〔通期業績予想〕
 売上高 102,000 (▲1.7%)
 営業益 1,400 (▲34.2%)
 経常益 1,000 (▲41.1%)
 当期益 200 (▲36.9%)
 需要に見合った生産体制構築のため、川内工場の8号抄紙機(上質紙、画学紙、封筒用紙)を6月末で停止、それに伴い固定資産除却損3億7,300万円を特別損失として計上した。品種別の販売状況は、新聞用紙が数量・金額ともに減少し、印刷情報用紙も震災の影響で数量・金額ともに減少、価格も弱含みで推移した。包装用紙は数量・金額ともに横バイだったが、価格は弱含み。壁紙・カップ原紙・板紙は、新規需要先の開拓と拡販に努め、数量・金額ともに増加。ただし価格は横バイ。

(Future 8月22日号)

レンゴー/子会社を大幅再編
 レンゴーは、連結子会社の業容拡大と業績向上のため、10月1日付で以下の3件の合併を実施する。
 (1) 境港魚凾と境港段ボール
 境港魚凾を存続会社とする吸収合併で、境港段ボールは解散。境港魚凾は境港段ボールの株式1株に対し3.58株の新株を割り当て、4万2,960株を発行する。レンゴーの境港魚凾への出資比率は83.5%(間接所有含む)となる。
<境港魚凾>▽本社:鳥取県境港市昭和町12−5▽代表者:川本孝一郎▽資本金:4,900万円(レンゴー76.3%、北陽冷蔵11.2%、境港魚市場10.2%)▽事業:段ボールケースの製造販売、水産用容器の仕入販売▽11年3月期売上高:14億4,200万円▽従業員:46名
 <境港段ボール>▽本社:鳥取県境港市昭和町12−28▽代表者:難波勇強▽資本金:1,000万円(レンゴー40%、境港魚凾40%、レンゴーロジスティクス20%)▽事業:段ボールシートの製造販売▽11年3月期売上高:6億5,500万円▽従業員:11名
 (2) 甲府大一実業とクボタ印刷紙器
 甲府大一実業を存続会社とする吸収合併で、クボタ印刷紙器は解散する。両社ともレンゴー完全子会社なので合併による新株の発行および資本金の増加はない。
<甲府大一実業>▽本社:山梨県中央市布施358▽代表者:石井均▽資本金:2億円(レンゴー100%)▽事業:段ボールシート・ケースの製造販売▽11年3月期売上高:27億4,400万円▽従業員:66名
 <クボタ印刷紙器>▽本社:長野県松本市島内5540−1▽代表者:岡和夫▽資本金:1,000万円(レンゴー100%)▽事業:紙器製品の製造販売▽11年3月期売上高:6億3,100万円▽従業員:30名
 (3) 公和産業と竹内美術印刷
 公和産業を存続会社とする吸収合併で、竹内美術印刷は解散する。竹内美術印刷は公和産業の完全子会社なので、合併による新株の発行および資本金の増加はない。
 <公和産業>▽本社:茨城県結城市古宿新田123▽代表者: 冷牟田俊雄▽資本金:6,900万円(レンゴー100%)▽事業:段ボールケースおよび紙器製品の製造販売▽11年3月期売上高:14億9,300万円▽従業員:64名
 <竹内美術印刷>▽本社:東京都板橋区前野町3−17−8▽代表者:冷牟田俊雄▽資本金:1,500万円(公和産業100%)▽事業:紙器製品の製造販売▽11年3月期売上高:1億8,200万円▽従業員:11名

(Future 8月15日号)

王子特殊紙/薄物PPフィルムの専用設備を滋賀工場に新設
 王子特殊紙は、包装材料・工業用ポリプロピレンフィルムを生産する滋賀工場で、コンデンサ用薄物専用ポリプロピレンフィルム生産設備を新設する。完成予定は2013年1月、投資額は約35億円。これにより同工場の生産能力を現状の年産5,000tから6,500tに引き上げ、工業用ポリプロピレンフィルム事業の拡充を図る。
 工業用ポリプロピレンフィルムの主要需要分野であるコンデンサは、今後も新興国を中心に需要拡大が見込まれており、また太陽光発電、風力発電、車輌などのインフラ設備やハイブリッド&電気自動車などエコカーのインバータユニット向け需要も急拡大している。とりわけハイブリッド自動車用のコンデンサ向けポリプロピレンフィルムには世界最薄3μ以下のフィルムが使用されており、今後も一層の薄膜化が要求されると考えられている。
 王子特殊紙では、滋賀工場の生産設備2台で工業用ポリプロピレンフィルムを作っているが、既存設備だけでは今後の需要増および薄膜化に対応できない。そこで薄物専用設備の新設を決めたもの。これにより増産と安定供給体制の整備を図る。同社では、「滋賀工場の工業用ポリプロピレンフィルム事業を、生産技術面で競争力を持つ薄物、高機能品などの特殊分野に集中し強化していく」としている。

(Future 8月15日号)

三菱製紙/復旧進む八戸工場、9月末に9割回復見込む
 東日本大震災で被災した八戸工場は、5月から6月にかけて復旧した抄紙機3台(白板紙1台、印刷・情報用紙2台)とコーター1台に続き、7月19日から抄紙機とコーター各1台の操業を再開した。
 再稼働したのは塗工印刷用原紙の大型抄紙機とコーター。これにより同工場の生産量は震災前の約55%まで戻った。 今後の復旧については、下期に再開予定だった抄紙機の一部が前倒しして8月下旬に生産を再開できる見通しとなったため、9月末までには上記設備も含めて抄紙機6台、コーター3台の復旧が完了する見込み。これで同工場の生産量は震災前の約90%、月産6万2,000tまで回復し、主力製品の生産体制が整う。 また同社では、カッターやワインダーなどについて仕上設備の効率化投資の検討も進めており、「一層の合理化に取り組んでく」としている。

(Future 8月15日号)

日本製紙グループ本社/今夏の節電対策で昨年比15%以上を削減
 日本製紙グループ本社はこのほど、自社の節電対策を公表した。
 <日本製紙G本社の節電対策>
 (1) 大口需要拠点(契約電力500kW以上)
 東北電力管内(6事業所)、東京電力管内(23事業所)で自家発電を最大限実施し、購入電力を削減。7月以降、「グループ全体で昨年比15%以上のピーク電力削減」の目標を達成している。
 (2) 小口需要拠点(契約電力500kW未満)
 東北電力管内(9事業所)、東京電力管内(29事業所)でピーク電力削減計画を策定。昨年比15%以上削減を目指し、照明の節電、空調設定温度変更(28℃)、シフト勤務などを実施する。
 (3) 本 社
 震災直後から自主的な節電活動を開始し、4月以降毎月、前年同月比約30%の節電が達成されている。具体的には、○照明の節電(不要箇所の消灯、間引き、昼休みの一斉消灯) ○空調の節電(空調温度の28℃設定、運転時間短縮)○サマータイムの導入 ○その他(エレベーター運転台数の削減、OA機器の節電モード設定など)を実施している。
C家庭における節電の推進…グループ社員を対象に、資源エネルギー庁発行の『節電対策メニュー』を紹介し意識向上を進めている。6月には、環境省の支援事業である「従業員家庭におけるCO2削減・節電に向けた家庭エコ診断」に参加し、グループ社員100人が個別診断を受けた。
 以上により、同社の節電量は政府の目標である「ピーク電力15%の削減」を上回る節電を達成する。またグループの日本製紙と日本大昭和板紙は、自家発電で発生した余剰電力を東電・東北電力へ送電しており、節電と電力供給の両面から電力不足解消をサポートしている。

(Future 8月15日号)

6月紙・板紙需給/紙はマイナス継続も板紙は2ヵ月連続の増
 日本製紙連合会の集計による6月の紙・板紙国内出荷は前年同月比▲3.7%の213.6万tにとどまり、4ヵ月連続で減少した。うち紙は▲6.8%の119.9万tで、主要品種はいずれもマイナス。他方、板紙は+0.6%の93.7万tと、ほとんど横バイも前月に続きプラスとなった。
 メーカー輸出は紙・板紙合計で▲前年同月比▲52.7%の4.8万t。前月と同様、紙を中心に国内向けの供給を優先した影響などから半減。主力のアジア、大洋州向けが減少している。
 紙・板紙の6月末在庫は前月比▲1.3万tの185.5万tと、前月の増加(+8.5万t)から再び減少に転じた。うち紙は▲2.3万tの126.6万tだが、被災地支援物資の関連で特需が出た板紙は+1.0万tの58.8万t。なお、当月に確定した震災などによる在庫滅失は▲8,921t(紙▲7,368t、板紙▲1,553t)で、3〜6月の累計は▲2万4,869t(紙▲1万7,689t、板紙▲7,180t)に達している。
 主要品種の動向は次の通り。
 <新聞用紙>の国内出荷は前年同月比▲8.2%の26.1万t。夕刊を中心とした頁数の減少などから、落ち幅が3ヵ月ぶりに拡大。前年割れは7ヵ月連続である。
 <印刷・情報用紙>国内出荷は前年同月比▲7.0%の66.5万t。主力工場の被災影響や、震災以降の需要不振継続などにより4ヵ月連続の前年割れで、落ち幅は再び拡大した。メーカー輸出は▲62.5%の3.1万t。主力の塗工紙を中心に9ヵ月連続の減少だが、特に4月以降は6割を超えるマイナスが定着している。
 <衛生用紙>国内出荷は前年同月比▲5.2%の14.1万t。震災直後に大幅出荷増となった反動などもあり、前月に続き減少した。
 <板紙>段ボール原紙、白板紙の国内出荷は、伸び率は鈍化したもののエンドユーザーの在庫補充、節電対応による前倒し需要などもあり、段ボール原紙が前年同月比+0.6%の74.2万t、白板紙が同+1.3%の12.8万tと、ともに増加している。

(Future 8月15日号)

東リ協会リサイクルフォーラム/古紙持ち去り根絶に向け活発な議論
 東京都リサイクル事業協会(東リ協会)主催によるリサイクルフォーラム「古紙持ち去り問題の根絶を目指して」が7月21日の夕刻、都内で開催された。東リ協会は都内の再生資源リサイクルの円滑化を図る目的で、再生資源の末端回収を担う団体が結集し2006年に設立された。業種や地域の枠を超えて30の団体が加盟しており、古紙業界からは関東製紙原料直納商工組合と東京都製紙原料協同組合が名を連ねている。
 当日は東リ協会正会員のほか賛助会員、行政関係者ら約180名が参加、この問題への関心が高まっていることを改めて示した。
 フォーラムの冒頭、東リ協会の上田雄健会長が「われわれは10年以上前からこの問題を取り上げてきたが、今日ほど盛り上がっているのは初めて。先に東京都が立ち上げた、古紙持ち去り問題対策検討協議会などによる地道な取組みの成果が現れていると思う」と挨拶。
 続いて東京都環境局廃棄物対策部の木村尊彦部長が基調講演を行い、東京都が中心になって取りまとめた古紙持ち去り問題根絶に向けた四つの行動指針――すなわち@多様な回収ルートを地域の特性に応じて選択 A持ち去り禁止条例の制定を拡大 B古紙業界による持ち去り古紙排除の取組み Cすべての関係者間の情報共有――について解説。最後に「事業所で排出している産業廃棄物すべてを記載してください」というアンケート調査で、全体の52%から「紙類」の回答があったという結果を紹介しつつ、「一廃も産廃も大切な資源であることに変わりはない。有価物として活かす取組みが大切」と訴えた。
 続いて東京都杉並区と八王子市の行政担当者が、それぞれの持ち去り対策について説明。
 このうち杉並区では早朝回収の実施や集団回収の奨励に加えて、持ち去り禁止警告シートの添付、持ち去り厳禁新聞回収袋とチラシの配布、民間警備委託や区の専任・応援職員によるパトロール、資源回収時間に合わせた排出要請などの複合的な対策が一定の抑止効果を発揮しているという。また改正条例による取締り実績として、10年度は警告書交付数19、禁止命令書交付数261、氏名などの公表26、告発件数11に上ったことを紹介。
 最後に今後の課題として@行政処分を実施しても繰り返し持ち去り行為を行う常習者への対応 A行為者に車輌を貸与し、組織的に持ち去りを行わせ(容認し)ている問屋などへの対応――を挙げている。
 一方、八王子市では昨年10月に持ち去り禁止条例を制定。これには@安心して資源物を排出してもらう A市民の分別意識低下を防止する B売払い収入の損害を防止――という三つの大きな狙いがあったという。ちなみに市の回収資源販売収入は09年度実績で9,670万円に上っており、巷間言われるように総排出量に占める持ち去りの比率が3割程度だとすれば、年間3,000万円近い被害が出ている計算になる。
 条例施行後は広報紙や自治会への回覧、看板の設置などを通じて周知徹底を図った。その効果もあって施行後半年間の資源化量(家庭系)を前年同期と比較すると、新聞が549t増、段ボールが313t増、雑誌・雑がみが622t増、紙類合計で1,492t増(+19.5%)と大きく伸長している。
 自治体からの報告に続き、古紙再生促進センターの木村重則専務理事、東京都資源回収事業協同組合の吉川太郎理事長、関東製紙原料直納商工組合/東京都東支部の新井勝夫支部長、古紙ネットの中村正子代表がリレートーク形式で、それぞれの立場から古紙持ち去り問題について言及した。各人の持ち時間が限られていたため、掘り下げた議論とするにはやや不十分だったが、古紙リサイクルの秩序と信頼回復に向けて、利害関係者の相互理解が深まった一夜だった。

(Future 8月15日号)

パナソニック電工、凸版印刷、巴川製紙所/光学フィルムで事業提携し合弁会社を設立
 パナソニック電工、凸版印刷、巴川製紙所の3社は、スマートフォンなどのモバイル機器や液晶ディスプレイに使用される光学フィルムの事業提携について合意し、7月4日、反射防止フィルムなどを製造する合弁会社設立に関する契約を締結した。
 スマートフォンやタブレットPCに搭載されるタッチパネルの市場は今後も成長が見込まれ、また液晶ディスプレイも新興国を中心に需要が堅調に推移している。これらの製品に使用される反射防止フィルムは、需要が拡大すると同時に電子機器の高性能化に対応するため光学特性などの機能向上が求められている。
 パナソニック電工は、光学フィルムでは樹脂設計で高い技術力を持ち、凸版印刷と巴川製紙所はフィルム塗工技術と商品開発力で強みがある。3社は、それぞれの強みを戦略的に融合することで新たな高機能製品を創出し、市場競争力を強化できると判断し、合弁会社設立を決めた。なお、凸版印刷と巴川製紙所は以前から、合弁でトッパンTOMOEGAWAオプティカルプロダクツを設立するなど、反射防止フィルム事業で提携している。
<合弁会社の概要>
 〔名称〕パナソニックオプティカルフィルム
 〔所在地〕三重県四日市市泊小柳町2−3
 〔事業内容〕反射防止フィルムなどの製造
 〔資本金〕10億円
 〔出資比率〕パナソニック電工51%、凸版印刷44%、巴川製紙所5%
 〔設立予定〕2011年8月1日
 〔売上目標〕100億円(14年度)
 〔量産開始〕12年8月

(Future8月1日号)

王子製紙/白板紙と包装用紙を10月から値上げ
 王子製紙は10月1日出荷分から白板紙と包装用紙を値上げする。上げ幅は10%以上。
 原燃料価格や薬品価格が高騰し、自助努力だけでコストアップ分を吸収するのは不可能と判断したもの。このままでは、「安定供給、品質維持に支障をきたす懸念がある」としている。値上げの対象品種は以下の通り。
<包装用紙>▽未晒クラフト紙(重袋用両更クラフト紙、一般両更クラフト紙、特殊両更クラフト紙)▽晒クラフト紙(両更晒クラフト紙、片艶晒クラフト紙、純白ロール紙)▽防湿紙(グリーンラップ)
<白板紙>▽高級板紙▽特殊板紙▽コート白ボール

(Future8月1日号)

ニッポン高度紙工業/鳥取県とJ-VER購入でパートーナー協定を締結
 ニッポン高度紙工業は6月29日、鳥取県との間で「鳥取県J−VER」の購入に伴うパートナー協定を結んだ。
 鳥取県は10年4月、鳥取県西部の日野川上流域に位置する県有林・たたらの森で、環境省が作った日本版カーボンオフセット・クレジット制度「J-VER制度」の認証を受け、J-VER(CO2排出権)を取得した。そしてこのJ-VERを販売する活動を、「鳥取県県有林J-VERプロジェクト」と名づけて推進し、企業などのカーボンオフセットに役立てている。
 ニッポン高度紙工業は、鳥取県から購入したJ-VERを使い、6月20日に着工した米子工場の建設工事期間中に排出されるCO2のうち100tをオフセットする計画。

(Future8月1日号)

日本フイルコン/タイ子会社で設備投資
 日本フイルコンは産業用機能フィルター・コンベア事業の世界市場における継続的発展を目指し、タイの100%子会社であるFilcon Fabrics&Technology Co., Ltd.において設備投資を行う。
 具体的には3.8億バーツ(約10億円)を投じ,製紙・機能ファブリック事業部静岡工場からの織機を中心とした生産設備の移設およびその他生産設備の新設を実施。2013年5月の完成を予定している。目的は(1)海外拡販に向けた現地生産能力の増強とコスト競争力の強化、(2)国内工場との生産分担による生産効率化と危機管理対応力の強化。

(紙パルプ技術タイムス8月号)

ハリマ化成/バイオマス発電で電力不足に貢献
 ハリマ化成は加古川製造所(兵庫県)のバイオマス発電設備で発電した電力のうち一部を関西電力に供給しているが、今夏の電力不足を睨んで7,8月は通常より発電量を増やすとともに事業所運営に必要な自家消費電力を確保しつつできる限りの節電に努め、より多く売電することで地域の電力不足への対応に協力する。
 同製造所では2003年度に「松から抽出された粗トール油を精留した後の排出油を燃料としたバイオマス発電事業」が経済産業省の「新エネルギー事業者支援対策事業」として認定されたことを受け、05年3月にバイオマス発電設備を完成。
 4,000kWhの発電能力をもつ同発電設備では,製紙会社が松材からパルプを製造する時に副生する油(粗トール油)から、ロジン、脂肪酸などの天然化学製品を精留する際に得られる高発熱量を有する副産品をバイオマス燃料(自然循環型エネルギー)として有効活用している。

(紙パルプ技術タイムス8月号)

レンゴー/ベトナムでの段ボメーカー買収を完了
 レンゴーが30%出資しているタイコンテナーズ・グループ社(=TCG)は、7月5日付でベトナムの段ボールメーカー、アルカマックス・パッケージング(ベトナム)社グループ3社の買収を完了した。
 これにより、レンゴーグループのベトナムでの月間段ボール生産能力は、700万m2から1,450万m2に拡大する。また、今回の買収で新たにハノイの事業拠点が加わり、既存のホーチミン拠点と合わせ、ベトナムの二大都市をカバーする段ボール供給体制が整う。
 レンゴーは、ベトナムを海外戦略の重要拠点と位置づけ、ゼネラル・パッケージング・インダストリーを目指す。
 <レンゴーグループのベトナムにおける事業拠点と事業内容>
 (1) ビナクラフトペーパー社/ホーチミン…段ボール原紙(ライナーおよび中芯)の製造販売
 (2) APパッケージング(ハノイ)社/ハノイ…段ボールシート、ケースの製造販売
 (3) ニューアジア・インダストリー社/ホーチミン…段ボールシート、ケースの製造販売
 (4) アルカマックス・パッケージング(ベトナム)社/ホーチミン…段ボールシート、ケースの製造販売
 (5) パカメックス(ベトナム)社/ホーチミン…段ボールケースの製造販売
 (6) マタイ(ベトナム)社/ホーチミン…PPクロスシート、PPコンテナバッグの製造

(Future7月25日号)

北越紀州製紙/代理店事業の集約に向け丸大紙業を完全子会社化
 北越紀州製紙は関連会社「丸大紙業」の全株式を取得し、7月4日付で完全子会社化した。
 北越紀州製紙はかねて、需要の縮小や輸入紙の増大で様変わりする市場環境への即応体制を整えるため、系列販売代理店の事業集約に向けて準備を進めてきた。今年4月には完全子会社の北越紀州販売を設立し、手始めとして丸大紙業と田村洋紙店の事業を引き継ぐことを決めている。両社との間では基本合意書も交わした。
 今回の丸大紙業の完全子会社化も、そのプロセスの一つだが、事業統合の詳細は日程も含めてまだ決まっておらず、北越紀州製紙では「決定次第、公表する」としている。
 <丸大紙業の概要>
 〔所在地〕東京都千代田区神田錦町3−3
 〔代表者〕金丸一朗代取社長
 〔事業内容〕紙、板紙、パルプ、加工品の販売
 〔資本金〕1億6,200万円
 〔設 立〕1937年12月27日
 〔直近の業績〕売上高402億5,900万円、営業利益3億3,300万円、経常利益3億1,600万円、当期純利益 1億2,600万円(10年10月期)

 有価証券評価損約22億円を計上

 また、北越紀州製紙は保有株式の時価下落に伴い、2012年3月期第1四半期(11年4〜6月)で有価証券評価損22億1,600万円を計上する。

(Future7月25日号)

王子製紙/グループ内の販売機能を統合強化
 王子製紙は連結子会社である旭洋紙パルプの販売代理店機能を強化する。
 具体的には、同じく王子製紙グループ内で紙パ製品の販売代理店業務を行っている王子通商の事業のうち、板紙・紙・化成品関連の代理店機能を旭洋紙パルプに移管し、統合一元化する。また統合と併せて、商品ラインアップの拡大と企画提案力の強化を図り、「板紙・紙・化成品の販売にとどまらず、広くユーザーニーズにマッチした商品提案・トータルサービスの提供を推進する」(王子製紙)。

(Future7月25日号)

2010年度設備投資/売上高比5%の大台を割り込んだ紙パ企業
 紙パ関連企業の2010年度設備投資額は前年度比+0.8%増の2,185億円と3年連続のマイナス成長こそ免れたものの依然として低水準が続いており、07年度に9.4%だった対売上高比率も5%の大台を割り込む水準まで後退した。
 先に出揃った3月期決算を中心とする企業の有価証券報告書から設備投資実績と今後の計画をピックアップしたところ、業界の低調な投資マインドが改めて浮き彫りになった。11年度については東日本大震災で被災した企業の復旧・復興投資が具体化してくる反面、段ボールやIT関連など特定の分野を除き内需の拡大が期待できる局面ではないことから、各社とも国内投資を抑制する方向にある。

(企業別詳細はFuture7月18日号で)

王子製紙/富士工場の事業を王子板紙に吸収分割
 王子製紙は、会社分割により富士工場の事業を完全子会社の王子板紙に継承させる。10月1日付で分割し、上旬には分割登記を済ませる予定。分割方式は、王子板紙を事業継承会社とする分社型の簡易吸収分割。
 王子製紙グループは今春、中長期的な需要構造の変化を見据えて、王子製紙富士工場の抄紙機1台(印刷用紙)と王子板紙富士工場(中芯原紙)の抄紙機1台を停止した。これにより両工場とも抄紙機は1台だけとなり、また王子製紙富士工場は白板紙の専抄工場となった。この設備停止で大幅なコストダウンを図ったが、今回、これらの運営を一体化することで、さらなる効率化を進める。なお会社分割に当たっては、王子板紙が普通株式1株を発行し王子製紙に割当て交付する。
 分割する王子製紙富士工場の白板紙事業の売上高は210億1,200万円(11年3月期)。分割後も同工場が生産する白板紙は王子製紙へOEM供給されるため、王子製紙の売上高への影響はない。

(Future7月18日号)


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