業界ニュース

北越紀州製紙/東洋ファイバーを完全子会社化
 北越紀州製紙は2月1日付で、株式交換により関連会社の東洋ファイバーを完全子会社化する。東洋ファイバーの株式1株に対して、北越紀州製紙の株式0.14株を割り当てる。これに伴い北越紀州製紙が割当交付する株式予定数は62万2,670株。すべて自己株式を充当し、新株は発行しない。
 東洋ファイバーの主事業は、バルカナイズドファイバーを中心とした特殊紙の製造・販売。子会社化した後は、両社のファイバー事業の包括的な協力体制を構築し、生産体制の効率化、製造技術の相互補完を進めてコスト削減および商品力の強化を図る。
<東洋ファイバーの概要>
 〔所在地〕静岡県沼津市
 〔代表者〕村田守代取社長
 〔事業〕バルカナイズドファイバー、その他の製造、加工、販売
 〔資本金〕11億9,400万円
 〔設立〕1934年3月3日
 〔発行済株式総数〕561万580株
 〔決算期〕2月末
 〔大株主〕ブイ・エフインベストメンツ26.51%、北越紀州製紙20.01%、三井生命保険5.30%、佐野稔2.70%、王子製紙1.43%
 〔直近の連結業績〕売上高27億4,900万円、営業利益1億900万円、経常利益7,300万円、当期純利益1,700万円

(Future 10月17日号)

巴川製紙所/紙パルプ業界初のフォレストック認定取得
 巴川製紙所はこのほど、和歌山県、三重県、奈良県、高知県の社有林3,412haで、フォレストック認定を取得した。同認定の取得は全国で16番目、紙パ業界としては初の取得となる。
 フォレストック認定は、「生物多様性」、「森林の管理・経営」について一定以上の評価を有する森林を認定するとともに、その森林が吸収する「森林吸収源(CO2吸収量)」を算定し、第三者への販売流通を可能にする制度。
 巴川製紙所は、長期にわたるCO2吸収を可能にする長伐期施業を人工スギ・ヒノキに導入し、健全な林内環境作りを目指してきた。今回の認定取得審査では、「生物多様性」、「森林の管理・経営」ともに優良の評価を受け、またCO2吸収量は年間1万916tと算定された。

(Future 10月24日号)

塗工紙輸入/8月の対内需比率は18.5%に拡大
 空前の円高を背景に紙・板紙の輸入が拡大している。従来の円高がもっぱら対米ドルで起こっていたのに対し、最近のそれは対ユーロでも顕著になっている。世界の2大通貨に対して円が極端な独歩高を続けているということは、およそ世界のあらゆる国と地域から割安になった物品が日本市場を目指して流れ込んでくることを意味する。
 3月の東日本大震災で国内の主力工場が被災したため、4〜6月頃の輸入には代替品の手当てという緊急避難的な性格もあった。しかし設備の復旧・再稼働が進んだ7月以降は、明らかに為替レートを意識した輸入行動になっている。
 わが国の紙パ産業は一次原料である木材チップの多くを輸入に頼っており、燃料の重油や石炭も輸入依存度が高い。したがって円高が進む方が採算的に有利とされてきたが、昨今の超円高はそうした定説を覆すほどの勢いで製品輸入の拡大をもたらしている。
 紙・板紙の貿易実績を表1に示した。8月単月の輸入は紙が前年同月比+29.0%の17.3万t、板紙が同▲4.0%の3.2万tと対照的な実績だったが、合計では+22.4%の20.5万tと史上初めて20万tの大台を超え、新記録となった。一方、紙・板紙の輸出は5月以降、紙を中心に前年比半減基調で推移してきたが、8月は板紙が大幅増を記録したため、合計では▲43.2%の6.8万t。この結果、輸出入バランスは紙が▲11.6万t、板紙が▲2.1万t、紙・板紙合計で▲13.7万tの入超となっている。

(以下詳細はFuture 10月17日号に)

温暖化対策/紙・板紙製造の化石エネ原単位で日本が海外を大きく引き離す
 日本製紙連合会が実施した、温暖化対策フォローアップ調査の2010年度実績に基づく速報値を本誌9月5日号で紹介したが、その後にまとまった確定値では目標をさらに上回る結果となった。この調査は製紙連が毎年7月に行っているもので、温暖化対策に関わる環境自主行動計画に掲げた目標、すなわち
(1)2008年度から12年度の5年間平均で、製品当たり化石エネルギー原単位を1990年度比20%削減し、化石エネルギー起源CO2排出原単位を16%削減することを目指す
(2)国内外における植林事業の推進に努め、2012年度までに所有または管理する植林地を70万haに拡大することを目指す
 ――に、どこまで近づいたか(上回ったか)を検証している。
 このうち(1)の化石エネルギー原単位について見ると、2010年度は09年度比▲3.3ポイント(pt)改善されて90年度比では74.6%となり、目標値の80%を▲5.4ptと大幅に上回って4年連続で目標を達成した(速報値は74.7%で▲5.3pt)。09年度に引き続き省エネ対策が進展したことに加え、一時的ではあるがチリ大地震の影響に伴う国内パルプの増産で黒液が大幅に増加し、化石エネルギーから再生可能エネルギーへの転換がさらに進んだ。また効率的生産を目指した工場や生産設備の統廃合効果が一段と発揮されたこともあり、購入電力は増加したものの、それ以上に石炭・オイルコークスなど化石エネルギーの削減が進んだ結果の目標達成である。
 同様の理由から、10年度の化石エネルギー起源CO2排出原単位も対09年度比▲4.0pt改善され(速報値は▲3.8pt)、90年度との対比では77.4%となって(同77.6%)、目標数値の84%を6.6pt上回り、5年連続で目標を達成している。
 とりわけ10年度は黒液が増加して重油、石炭・オイルコークスが減少したこともあり、09年度に比べ若干ながら生産量が増加(+1.6%)したにもかかわらず、化石エネルギー起源CO2排出量は1,875万tと09年度比で約71万t減少し、2年連続で2,000万tの大台を下回った。これは、90年度との対比では73.9%(▲26.1%)と大幅な減少である。
 また総エネルギー原単位も、増産や工場生産体制の見直しなどで効率的な生産体制を実現した効果が現れ、燃焼効率の悪い廃材の増加や市販パルプ増加などの影響をカバーし、対09年度比で▲0.9pt改善され90年度との対比では96.8%となっている。
 ちなみに、紙・板紙製造における化石エネルギー原単位(GJ/T)の国際比較は次記の通りで、日本が他国を大きく引き離してトップである。
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   原単位 指数
日 本    8.9 100
米 国   17.3 194
フィンランド 10.2 115
ノルウェー 13.7 154
フランス 12.9 145
ドイツ 10.3 116
ブラジル   13.8 155
チ リ   21.9 246
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 一方、(2)の植林面積は2010年度末で国内外合わせて69.1万haとなり、目標の70万haに対し99%のところまで到達している。うち海外植林面積は90年度比41.4万ha増(東京23区の約6倍強)の53.4万ha。地域はブラジル、オーストラリア、チリ、ニュージーランド、ベトナム、南アフリカ、中国、ラオスの8ヵ国34プロジェクトに上る。
 なお面積拡大と併せた会員企業による取組みとして、@東京農工大、筑波大との共同研究で遺伝子導入技術を用いたユーカリの耐塩性強化に成功 A石油会社との間でバイオエタノール製造に関する共同研究を実施 Bラオスの植林事業が経産省の温暖化対策モデル事業に採択――などの事例がある。

(Future 10月24日号)

北越紀州販売/10月1日付で正式発足
 丸大紙業と田村洋紙店の代理店業務を譲受した北越紀州販売が10月1日付で正式発足した。新会社は紙類、パルプ、化成品の売買と加工、紙加工品の販売を手がけ、資本金は13億円。
 東京・千代田区に本店を置くほか、大阪と名古屋に支店を、仙台に営業所を構える(いずれも丸大紙業の事務所所在地)。従業員数は役員を含めて163名に上り、内訳は東京122名、大阪28名、名古屋9名、仙台4名。
 〔事業所所在地〕▽東京本店:〒101−0054 東京都千代田区神田錦町3−3 竹橋3−3ビル ▽大阪支店:〒540−0023 大阪市中央区北新町2−4 ▽名古屋支店:〒460−0003名古屋市中区錦1−20−19 名神ビル3F ▽仙台営業所:〒980−0803 宮城県仙台市青葉区国分町3−6−11 アーク仙台ビル5F
 〔役員陣容〕▽代取社長兼社長執行役員・浅井文樹▽取締役兼副社長執行役員・金丸一朗▽同兼常務執行役員・田村典義▽同(非常勤)・田村潔▽同(非常勤)・佐々木孝行▽監査役(非常勤)・赤川公一
 なお、全社の組織は大きく「管理統括」と「営業統括」に分かれる。それぞれの構成は次の通り。
<管理統括>▽管理本部:経理部、総務部、情報システム部
<営業統括>▽業務本部:業務部(仕入課、業務課)、営業企画部▽卸商本部:卸商1部、卸商2部▽出版本部:出版1部、出版2部▽印刷本部:印刷1部、印刷2部▽産業資材本部:包材部、直需部▽特殊紙本部:特殊用紙部▽仙台営業所▽大阪支店:販売1部、販売2部、業務部(仕入課、業務課)、管理部▽名古屋支店:営業部

(Future 10月17日号)

丸紅紙パルプ販売/丸紅紙パ物流の全株式をロジパートナーズへ譲渡
 丸紅紙パルプ販売は、100%子会社である丸紅紙パルプ物流の全株式を、丸紅の100%子会社で3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業を推進するロジパートナーズへ、11月11日付で譲渡する。
 丸紅は国内紙・板紙事業をコア事業の一つと位置づけ、丸紅紙パルプ販売に販売商権を集約して強化している。今回の株式譲渡も、同事業の競争力をさらに強化し、多様化する流通ニーズに対応して物流機能を向上させるため。ロジパートナーズが3PL事業で培ったノウハウをもとに、丸紅紙パルプ物流の全国的な倉庫拠点や配送を見直し、効率化を図る。また、ユーザーニーズに即した個別配送など、競争力のあるサービスを提供していく。
<丸紅紙パルプ物流の概要>
〔設立〕1988年11月
〔所在地〕東京都港区芝大門1−9−9
〔代表者〕辻村正孝
〔資本金〕1億円
〔従業員数〕34名
〔事業内容〕倉庫業、利用運送事業、その他関連業務
<ロジパートナーズの概要>
〔設立〕2004年12月
〔所在地〕東京都千代田区一番町8
〔代表者〕栗原剛
〔資本金〕2億円
〔従業員数〕621名
〔事業内容〕3PL事業、貨物利用運送業

(Future 11月7日号)

王子通商/洋紙などの代理店機能を旭洋紙パルプに譲渡
 王子通商は、10月1日付で洋紙、板紙、化成品関連の販売代理店機能を、同じ王子製紙グループの旭洋紙パルプへ譲渡した。これに伴い、役員を次の通り選任した。
 〔役員陣容=10月1日〕▽代取社長・林秀明▽常務−管理本部長兼総務人事部長・鈴木一磨▽取締役−営業本部長兼新事業開発部長・坂入譲司▽取締役−非常勤・白砂一樹▽監査役−常勤・大槻琢磨▽同−非常勤・船田高男▽同−非常勤・小貫裕司
 〔退任役員=10月1日〕矢口泰由(取締役)

(Future 11月7日号)

三菱製紙/アンドロイド端末向け用紙検索アプリを公開
 三菱製紙はこのほど、印刷用紙の情報を目的に応じて検索できる、Android端末向けアプリケーション「P−Point(ピーポイント)用紙の便利箱」を業界で初めて開発、公開した。
 「P−Point用紙の便利箱」では、○用紙を選んでから紙の総量を調べる ○製作する本の厚みから紙を選ぶ  ○ 紙の光沢度/白色度から選ぶ といった用紙検索がケータイで簡単にでき、紙選びをスムーズにする。Android Marketから「三菱製紙」と検索すれば、無料でダウンロードできる。

(Future 10月17日号)

7月紙・板紙需給/国内出荷のマイナス幅が2ヵ月連続で拡大
 日本製紙連合会が発表した7月の需給速報によると、紙・板紙の国内出荷は前年同月比▲5.3%の212万tとなった。5ヵ月連続の前年割れだが、マイナス幅は2ヵ月連続で拡大している。うち、紙は▲7.1%の120万tで6ヵ月連続、板紙は▲2.9%の92万tで3ヵ月ぶりの前年割れ。主要品種では、白板紙のみがプラスだった。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比▲59.7%の4.3万t。前年割れは11ヵ月連続となる。3月の大震災を境に、国内向け供給優先という事情もあって4月以降は前年比ほぼ半減状態が定着していたが、7月はマイナス幅が一段と拡大した。
 紙・板紙の在庫は前月比+1.7万tの187.3万t。うち、紙は▲1万tの125.7万tで2ヵ月連続の減少。逆に板紙は+2.7万tの61.6万tとなり、3ヵ月連続で増加した。なお、震災などによる在庫滅失分の7月報告は衛生用紙の69tのみ。
 以下は主要品種の動向である。
<新聞用紙>国内出荷は前年同月比▲7.6%の26.6万t。夕刊を中心とした頁数の減少などから8ヵ月連続の減少となった。
<印刷・情報用紙>国内出荷は前年同月比▲7.5%の66.5万t。震災以降の需要低迷に加え、輸入の増加などもあって5ヵ月連続の減少である。メーカー輸出は▲72.2%の2.4万tと、塗工紙を中心に10ヵ月連続で減少した。
<衛生用紙>国内出荷は前年同月比▲6.3%の13.8万t。震災特需の反動などにより3ヵ月連続の減少となっている。
<段ボール原紙>国内出荷は前年同月比▲3.3%の72.9万t。エンドユーザーの節電対応による前倒し需要の一巡に加え、天候不順(台風6号やその後の気温低下など)の影響もあって低調だった。前年割れは3ヵ月ぶりである。

(Future 9月19日号)

三菱製紙/第1次中計でシェア回復と財務体質正常化を目指す
 三菱製紙はこのほど2011年度下期〜14年度の経営計画骨子を策定、本年10月より実施していく。同社グループは先の東日本大震災で東北3拠点を中心に被災し、特に主力の八戸工場は地震直後の大津波により、電気系統の損害、製品や原材料の損傷・流失など、極めて大きな被害を受けた。
 グループは現在、策定した復興計画に基づき、全社を挙げて八戸工場の早期全面復興と足元の損失極小化に取り組んでおり、9月末には生産数量が震災前の90%まで回復、主力製品の生産体制が整い復旧はほぼ完了する見通しだ。
 しかし同社を取り巻く環境は、印刷情報用紙の需要低迷、急激な円高、原燃料価格の高騰・高止まりをはじめ依然として厳しく、今後も一層厳しい情勢を予測せざるを得ない。このため今回、「洋紙事業の復興」と「成長に向けての収益基盤強化」を柱とした第1次中期経営計画を策定したもの。同社では「この計画を確実に実行し、2015年度以降の“成長分野強化”を図る第2次計画の実現につなげていく」としている。
 第1次中計の期間は正味3年6ヵ月とややイレギュラーな形だが、今年10月から2013年3月までの1年6ヵ月は、八戸工場の復興を中心に「洋紙事業復興」の期間として、また13年4月からの2年間は財務基盤の強化・収益力確保と成長分野への資源投入の土台づくりを中心に「成長に向けた収益基盤強化」の期間として位置づける。
 まず計画の前提となる外部環境の変化についてだが、欧米のソブリンリスクによる景気減速は長期化すると見通している。これに伴って足元では急速な円高が進行するとともに、金価格が高騰。その半面、原油価格の高騰感には乏しく、こうした傾向が一時的なもので終わるのか長期化するかが最大の関心事だ。いずれにせよ各国のGDP成長率などを見る限り、これからインドやASEANの時代が到来することは間違いない。
 以上のような認識を踏まえ、中計期間中の課題を*八戸工場(洋紙事業)の復興 *八戸復興資金の調達 *脆弱な財務体質の強化 *事業ポートフォリオのバランス改善――とし、基本方針として次の3項目を掲げている。
(1)洋紙事業の早期シェア回復と仕上設備の効率化
(2)急増した有利子負債(300億円)の早期返済実行、財務体質の正常化
◇収益力の正常化…*売上回復 *固定費の聖域なき構造改革
◇キャッシュ確保…*棚卸資産圧縮 *設備投資ゼロベース予算
(3)事業別方針
◇洋紙事業…*災害対応販売体制からの回復 *高付加価値化・新商品へのシフト
◇イメージング事業…*新商品開発による商品ラインアップの充実 *北上ハイテクペーパーの収益力改善
◇新事業開発…*高砂工場機能材(不織布)新マシンの稼働早期化 *新商品開発と新市場開拓 *中国事業の拡大と次期投資の検討
◇KJ特殊紙(旧 興人・富士工場)…*シナジーの発現と海外への飛躍
◇新興国…*販売チャンネルの立ち上げ *生産拠点移転も含めた起業戦略の検討
◇ドイツ事業…*安定操業維持・値上げ完遂

(以下詳細はFuture 9月19日号で)

王子製紙/ベトナムに段ボール工場を新設
 王子製紙は9月2日開催の取締役会で、ベトナム・ハノイ近郊に新たな段ボール工場を建設することを決定した。同社グループは、すでにベトナム南部のドンナイ省と北部のハイフォン市に段ボール製造の拠点を有しており、今回はベトナム国内で3番目の段ボール製造拠点となる。
 新工場建設の目的は第一に、ベトナム北部で増加する段ボール需要への対応。内需の着実な成長に加え、このところ各種製造業で中国から製造拠点を分散・移管する動きが加速しており、ベトナムへの投資は増加傾向にある。これに伴い、段ボール需要も拡大傾向にあり、王子の既存拠点も順調に業績を拡大している。特にベトナム北部のハノイ・ハイフォン地域では今後、段ボール需給の逼迫が予想されるため、新工場の建設により増大する段ボール需要を獲得できるようになる。
 第二の目的は市場の美粧化ニーズに対応すること。東南アジア諸国のパッケージング市場では多彩な表面印刷が好まれる傾向にあり、段ボール製品についても美粧化の要求が高まってきている。王子製紙はこの市場ニーズに応えるため、新工場内にオフセット印刷事業を併設し、段ボール製品表面貼付用のオフセット印刷物を自製化することにより、品質の安定とコスト競争力の強化を図る。
 なお本誌9月12日号で既報の通り、同社グループは東南アジア諸国で近年パッケージング事業の強化を進めており、新工場建設により、◇GS Paper&Packaging(マレーシア=10年4月買収)、◇United Kotak(マレーシア=11年2月買収)、◇S.Pack&Print(タイ=11年3月一部出資)、◇Harta Packaging Industries(マレーシア/カンボジア=11年8月買収)に続いて、東南アジアで14番目の段ボール製造拠点を有することになる(表)。今後は、これら拠点間の連携を強化し、顧客サービスの向上と競争力強化に努めていく。
 新工場の概要は次の通り。
〔設立形態〕王子製紙の100%子会社であるOjitex Haiphong Co.,Ltd. (ハイフォン市)の第二工場
〔建設予定地〕ベトナム・バクニン省VSIPバクニン工業団地内(敷地面積約3万8,000m2)
〔事業内容〕段ボール箱およびシートの製造・販売、美粧段ボール箱の表面貼付用オフセット印刷物の製造・販売
〔営業開始〕2013年4月(予定)
〔総投資額〕23億円
〔年産能力〕段ボール事業=4,200万m2、オフセット印刷事業=1,300万m2(自社段ボール事業向けを含む)

(Future 9月26日号)

レンゴー/天津の段ボ合弁企業を完全子会社化
 レンゴーはこのほど、中国の合弁企業、天津聯合包装有限公司(1996年設立)を、レンゴー100%出資の独資企業とした。中国側の合弁パートナーが、保有するすべての出資持分をレンゴーへ譲渡したもの。
 天津聯合は、天津市と北京市を主な営業エリアとし、現地企業のほか日本や海外資本企業に段ボール製品を提供している。現在、新工場を天津市津南区の八里台工業園に建設中で、11年12月の完成後には工場を移転する。新工場は天津経済技術開発区へのアクセスもよく、同社では進出企業の段ボール需要に応えるため、主要設備を一新し生産能力を倍増する計画。
<天津聯合包装有限公司の概要>
 〔本社〕天津市紅橋区光栄道保康路7号(移転先:天津市津南区八里台工業園区豊澤四大道14号)
 〔法定代表者〕小澤善孝
 〔総経理〕 中山弘多朗
 〔資本金 〕2,550万j (約19億3,900万円)
 〔株主〕レンゴー 100%
 〔事業〕 段ボール製品の製造販売
 〔10年12月期売上高〕 1億900万元(約13億4,400万円)
 〔従業員〕297名(11年7月末)

(Future 9月19日号)

王子ネピア/40周年を機に商品拡充しエコへの取組みを強化
 王子ネピアは今春の創立40周年を機に、人々の生活に貢献する「日常サポート企業=“やわらかハート”な企業」であり続けることを目指し、新商品の開発・発表や従来品のリニューアルなどを進めてきたが、今秋からは新たに環境や社会に配慮した商品づくりを通じた、エコへの取組みを進めていく。
 王子ネピアが始める新たなエコへの取組みの一つは、「FSC認証紙」の採用。同社は、適切な森林管理に責任を持って取り組んでいる証しとしてFSC/CoC認証を取得しているが、『ネピア』製品にこの認証マークを貼付することでエコへの企業努力を広くPRする。
 また、トイレットロールの包装パッケージ、ボックスティシュの取り出し口フィルムに、サトウキビが原料のポリエチレンを一部使用するなど、地球にやさしい企業を目指して取り組んでいく。

(Future 9月19日号)

日本紙通商/台湾駐在員事務所を開設
 日本紙通商は9月1日、台湾に駐在員事務所を開設した。光学用機能フィルム、洋紙、板紙、化成品、産業資材などの拡販を目指す。
<名称>日本紙通商 台湾駐在員事務所
<所在地>台南市東区中華東路二段77号10階2
<事業内容>日本と台湾間の輸出入貿易および情報収集活動

(Future 9月26日号)

相川鉄工/海外3子会社を統合しカナダに新会社設立
原料調成機器メーカーの相川鉄工(静岡市、相川雅紀社長)はこれまでカナダ、フィンランド、韓国、米国でスクリーン技術のAFT社やウエットエンド技術のPOM社、リファイナー刃物技術のファインバー社をそれぞれ買収し世界市場で事業の拡大を図ってきたが、このほどグループのさらなる認知度向上と顧客サービスの充実を目的に、これら3社を統合した新組織「アイカワ・ファイバー・テクノロジー社(新AFT社)」を設立した。
 新会社は本社をカナダのモントリオールに置き、社長には元ブラッククローソン社で35年の経験を持つマイケル・スティーブン氏が就任。また幹部・中堅社員にはケイダント・BC社やメッツォ社、アンドリッツ社など世界的な機械メーカーの経験者を多数採用し、「営業および技術力の強化を図った」(相川社長)としている。
 新AFT社は以下の3事業部から成り、日本、韓国以外の全領域で営業活動を行うとともに、相川鉄工と共同して新技術・新製品の開発に取り組む(日本、韓国の営業は引き続き相川鉄工が担当)。
(1)原料調成、ウエットエンド、抄紙機クリーニング装置の技術開発と販売
(2)各種メーカーのスクリーンシリンダー、ローター、リファイナリー刃物など主要消耗部品の技術開発と販売
(3)大手製紙機械メーカーからのOEM生産(スクリーン用シリンダーなど)
 新体制後、最初の技術開発会議は9月末にモントリオールで開かれる予定。カナダの大学機関やフィンランド製紙メーカーとの協力体制も具体化し、すでに幾つかの斬新的な開発が進んでいる。
 「顧客は大手サプライヤーのパッケージ商品ではなく、優れた専門的製品、専門技術に対する選択肢を必要としているはず。われわれはそのニーズに応えることで、世界市場における活動範囲を広げていきたい」と相川社長は抱負を述べている。

(Future 9月19日号)

日本製紙/石巻工場で自家発電を再開
 日本製紙では、東日本大震災で被災した石巻工場の自家発電設備が稼働できる見込みとなった。
 8月10日に6号重油ボイラーへの火入れを行い、8月下旬には1号バイオマスボイラーの連続運転を開始、併設されているタービン発電機を稼働して場内へ電源を供給する。予定通り自家発電が再開した後は、9月中旬を目途に8号抄紙機を稼動させ、印刷用紙の生産を再開する。

(Future 9月5日号)

レンゴー/機密書類の古紙処理設備を整備
 レンゴーは、機密書類を貴重な古紙資源として有効活用するため、機密を保持したまま製紙原料に再生する施設を、関東・関西の両エリアで整えた。
 機密書類の古紙処理ラインを設けたのは、埼玉県の八潮と兵庫県の尼崎の両製紙工場。セキュリティが完備された施設内でトラックの受け入れから出庫まで、機密文書を一切開封せずに直接古紙溶解設備に投入、溶解処理する。その全過程をビデオで記録し、確認してもらうと同時に溶解証明書も発行する。八潮、尼崎の両工場はいずれも都心から至近距離にあるので、輸送時の環境負荷が小さく、運賃コストの面でも有利。

(Future 9月5日号)

コクヨS&T/上海にノート工場を建設
 コクヨS&Tは、中国でのステーショナリー事業を強化するため、12年夏頃の稼動予定で上海市奉賢区にノート工場を建設する。総投資額は約20億円。
 同社はアジアを中心に海外事業の強化を進めており、10年後には売上高の海外比率を現在の数%から30%以上に引き上げる計画を打ち出している。すでにベトナムではノートの生販一貫体制を構築。また5月にはインド市場への本格進出のため、同国の画材・筆記具トップメーカーであるカムリン社の株式取得の手続きを開始した。
 中国では03年にファニチャー事業で進出、ステーショナリー事業は05年からオフィス通販の『Easy Buy』を展開しており、09年からは卸事業でのテストマーケティングも行っている。コクヨが中国国内で取引している大手卸は40社を超え、着実に事業基盤を築いてきた。10年には日本からの生産輸出によりノート約200万冊の販売実績を上げている。
 新工場は、上海・北京で「Easy buy」を展開している国誉商業(上海)有限公司の上海工場(仮)として運営する予定であり、必要なライセンスもすでに上海市当局から取得している。ノートなどの紙製品を中心とする文具を生産し、20年に100億円の売上げを目指す。

(Future 9月5日号)

製紙連/再生可能エネへの転換がさらに進展―温暖化対策フォローアップ調査で
 日本製紙連合会は毎年7月、環境自主行動計画のうち「温暖化対策」に関わるフォローアップ調査を実施しているが、先頃2010年度の実績に基づく試算・集計結果が速報版(暫定)としてまとまった。今回の調査対象は製紙連非会員の協力会社4社を含む39社で、うち33社101の工場・事業所から回答を得ているが、これは紙・板紙生産シェアで対象会社合計の98.4%、全製紙会社合計の88.9%に当たる。
 なお、製紙連が自主行動計画に掲げた温暖化対策の目標値は次の通り。
(1)2008年度から12年度の5年間平均で、製品当たり化石エネルギー原単位を1990年度比20%削減し、化石エネルギー起源CO2排出原単位を16%削減することを目指す
(2)国内外における植林事業の推進に努め、2012年度までに所有または管理する植林地を70万haに拡大することを目指す
 また今回の調査対象年度は1990〜2010年度の21年間で、調査項目は
@工場別燃料・購入電力の消費量…紙パルプ用途以外の消費も含む工場の全消費量。ただし販売電力の発電に相当する原燃料消費は控除
A工場別パルプ・紙・板紙生産量
B2010年度化石エネルギー原単位の改善・悪化理由
C2010年度に実施した省エネルギー投資と燃料転換投資
D今後の対策と計画
E民生・運輸部門の調査
F植林の進捗状況
 ――と多岐にわたる。

(以下、詳細はFuture 9月5日号で)

日本製紙グループ/洋紙事業復興計画を発表し生産能力・人員とも約15%削減へ
 3月11日の東日本大震災で傘下の主力工場が被災した日本製紙グループ本社(NPG)は、8月3日付で復興計画を発表した。
 この計画では製造コストの高い設備を中心に、グループの洋紙生産能力の約15%に相当する年間80万tの生産設備を停機する。併せて、一部の不採算品種から撤退することも決定した。設備停機に伴い、固定費の圧縮による競争力強化を図る。同時に主力工場のオイルゼロ化を打ち出すなど、今後懸念される化石エネルギーの高騰リスクにも対応。一連の計画を推進することにより、被災した日本製紙・石巻工場の早期復興を実現するとともに、グループ洋紙事業の抜本的な構造転換を進めていくとしている。
 つまり、この計画は単なる震災対応にとどまるものでないわけで、工場別の抄紙機停機台数を見ると甚大な被害を受けた石巻工場が2台、岩沼工場が1台の停機であるのに対し、震災とは直接関わりのなかった富士工場が4台と停機台数では最も多い。とりわけ同工場の鈴川は09年上期に産業用紙系の抄紙機3台(2号・3号・4号)を停機しており、今度の計画によりパルプ・抄紙機などの全製造設備が停機する。
 一方、富士も09年上期に上・中級紙製造の7号機を停機しているので、今回の計画の後に残るのは○1号機(複写用紙、グラシン紙製造=日産25t)、○2号機(加工原紙製造=同85t)、○3号機(上級紙=155t)、○11号機(中・下級紙=198t)、○12号機(新聞用紙、中・下級紙=316t)の中〜小型抄紙機計5台。
 また同じ富士地区にある日本大昭和板紙は、09年9月にPPC用紙製造のN1号機(日産190t)を停機しており、今度のN2号機停機で洋紙系の抄紙機がすべてなくなり、板紙マシン3台(段ボール原紙1台、白板紙2台)の体制となる。このほか岩沼工場の塗工原紙抄紙機/塗工機も停機。
 これにより、計画完了後は各工場の専門性が強まる。すなわち岩沼=新聞用紙、富士=特殊紙と中・下級紙、吉永=板紙といった具合だ。総合工場の石巻にしても、新聞用紙生産からは撤退する。
 これら生産体制の再構築と併せ、約1,300名に上る人員削減にも踏み切る。これは洋紙事業全体の約15%に相当し、内訳は正規従業員850名、請負従業員450名。施策として退職不補充、グループ内再配置、転職支援などを検討している。
 一連の復興計画による収益改善効果は○再構築による比例費低減…50億円 ○償却費など固定費減…85億円 ○要員合理化…100億円 ○売電事業ほか…15億円で、合計250億円を見込む。一方、計画遂行に伴う特別損失として▲260億円を11年度の通期業績予想に織り込んでいる。

(Future 8月22日号)


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