業界ニュース

中越パルプ工業/かぐやの竹利用応援事業助成団体を募集
 中越パルプ工業はこのほど、同社が昨年スタートさせた「かぐやの竹利用応援事業」の、第1回助成団体募集を開始する。
 「かぐやの竹利用応援事業」は、同社が本社機能を置く富山県で実施している社会貢献事業。竹林の継続的な管理は地域住民にとって負担が大きく、実行が難しいことから、里山保全のために立ち上げた。09年に富山県主導で「とやまの竹資源ネットワーク」が設立されたのを機に、同社の高岡工場が「かぐやの竹舟号」による竹材の無料回収を開始、続いて昨夏から、森林ボランティアや地域住民による竹林整備を支援する体制作りを目指し、同事業がスタートした。
 事業は、@竹林整備ボランティアなどへの支援 A地域住民による竹資源の利用を促す支援 B竹資源を利用したイベント開催への支援の三つから成り、@については昨年9月、竹林整備によって発生する大量の竹材や枝をその場で粉砕するチッパー機を贈呈している。
 今回実施するのはAの地域支援型とBのイベント支援型の事業で、助成金の総額はAが年間350万円、Bが年間300万円。募集期間は3月1〜31日まで。募集の概要は次の通り。
<地域支援型>
○助成対象…竹資源を利用するために行う竹材やタケノコの選別、回収、集積、運搬、加工などの活動
○交付額…活動1回につき3万円を交付(同一年度3回まで、上限9万円。予算総額350万円/年)
○応募対象者…とやまの竹資源ネットワーク参加団体のうち自治会、町内会、ボランティア団体、NPO法人などの団体
○対象期間…4月〜11月
<イベント支援型>
○助成対象…富山県内で行われ、かつ富山県内の竹材を利用する観光イベントで竹材の伐採・搬出・運搬・設置、加工に要する経費
○助成額…原則1件当たり20万円を上限とする(予算総額300万円/年)
○応募対象者…竹材を利用する観光イベントを自ら県内で実施する団体で、かつ市町村が推薦する団体
○対象期間…4月〜11月
 応募を希望する場合は、申請用紙に必要事項を記入のうえ、富山県森林組合連合会(とやまの竹資源ネットワーク事務局)に持参または郵送により提出する。適正と認められた団体に承認通知される。なお、活動成果は中越パルプ工業のホームページやパンフレットなどで公表される。申請用紙と応募方法などについての問い合わせは、事務委託先の富山県森林組合連合会(とやまの竹資源ネットワーク事務局 〒930−2226富山市八町6931 電076−434−3351 F076−434−1794)まで

(Future誌2月21日号)

三菱製紙/「森の町内会」コピー用紙ラインアップを強化
 三菱製紙はこのほど、『森の町内会コピー用紙』のラインアップを強化する。
 『森の町内会コピー用紙』は、「間伐を促進し森林を健全に育成するための支援費用(間伐促進費)15円/kg」を商品の販売価格に含んだコピー用紙。環境NPOのオフィス町内会が取り組む「間伐と間伐材の利用促進を目指す『森の町内会』活動(www.mori-cho.org)」の中から生まれた。
 三菱製紙は09年4月から『森の町内会コピー用紙』を販売しており、これまでに1,900を超えるユーザーが約320tのコピー用紙を購入、約23ha(東京ドームで約5個分)の間伐促進に役立っている。
 今回のラインアップ強化では、コピー用紙としての基本性能を維持したまま従来品の軽量化を図るとともに、用紙の白さについて要望が寄せられていたことから、白色度を高めた製品を追加する。販売はこれまで通りアスクル・インターネットショップ(http://www.askul.co.jp/)などを通じて行う。製品特長は次の通り。
○『森の町内会コピー用紙FSC認証−MX』(従来品)…坪量を66.4g/u→64.0g/uに軽量化。グリーン購入法の総合評価値は84点から90点に向上。白色度は70%程度
○『森の町内会コピー用紙FSC認証−MXW』(新製品)…白色度80%程度、グリーン購入法の総合評価値90点
○共通の特長…古紙パルプ配合率70%以上、針葉樹パルプ(間伐材など)10%以上配合、林野庁「木づかい運動」ロゴマーク適用

(Future誌2月14日号)

平和紙業/古紙100%の『クラークケント100GS』新発売
 平和紙業はこのほど、古紙100%の再生ケント紙『クラークケント100GS』を新発売した。グリーン購入法の評価値は古紙配合率90点、古紙リサイクル適合ランクA。寸法・連量は、四六判T目が135・160・180kg、菊判T・Y目が93.5・111・125kg。
 なお、既存の『クラークケント』(古紙配合率20%以上)、『クラーク・70』(古紙配合率20%以上、白色度70)も継続販売している。

(Future誌2月7日号)

日本紙パルプ商事/プライベートブランドの再生コピー用紙を軽量化
 日本紙パルプ商事は2月、プライベートブランドの古紙配合率100%コピー用紙『サンエースR100』(グリーン購入法適合商品)をリニューアルした。
 リニューアルでは、搬送性などコピー用紙としての基本性能は確保しつつ用紙の軽量化を図り、現行の66g/uから64g/uに変更。またISO白色度を現行の68%から70%に高めた。グリーン購入法の評価値は、古紙パルプ配合率80点、白色度5点で総合評価値が85点。

(Future誌2月7日号)

相川鉄工/第24回相川技術発表会を開催
 相川鉄工は2月8日、静岡市内のホテルで第24回相川技術発表会を開催した。
 同発表会では、原質調成機器やマシンの高圧シャワーとドクター関連の省エネルギー・省資源に関する最新技術を紹介。翌9日には同社岡部工場で、各種の模擬運転や新しい機器の見学が行われた。

(Future誌2月14日号)

リンテック/タイに粘着フィルムの製造子会社を設立
 リンテックは、タイで6月を目途に粘着フィルムの製造子会社を設立する。操業開始予定は来年7月。資本金は15億バーツの予定で、社名、代表者は未定。
 アジア地域では、一般シール・ラベル用、二輪を含む自動車用、エレクトロニクス関連製品用などの粘着フィルム需要が大幅に伸びている。リンテックはアジア地域をグローバル展開の最重要地域と位置づけ、同地域での生産能力増強、販売拠点の拡充を図る意向。その施策の一環として、ASEAN諸国およびインド市場をターゲットに、タイに製造子会社を設立するもの。
<子会社の概要>
〔所在地〕チャチェンサオ県ウェルグロー工業団地内(予定)
〔事業内容〕一般シール・ラベル用、二輪を含む自動車用、エレクトロニクス関連製品用などの工業材、印刷・情報材関連粘着フィルムおよび剥離紙の製造、販売
〔出資比率〕リンテック100%

(Future誌1月24日号)

日本製紙/河北新報と共同でラウンド輸送を開始
 日本製紙と河北新報社はこのほど、新聞配送後のトラックで新聞用紙を運ぶ「新ラウンド輸送」を開始、1月13日に日本製紙の岩沼工場で出発式を行った。
 両社が進める新ラウンド輸送とは、岩沼工場で製造している新聞用紙のうち小型サイズの巻取紙(C巻、D巻)を、河北新報輸送が保有する3tトラックで約30q離れた仙台市泉区の河北新報印刷センターに運ぶというもの。当面は、宮城県南方面に河北新報朝刊を配送したトラック2台が帰り道で岩沼工場へ立ち寄り、1台につき巻取紙2本を搬送する。
 月約100tの新聞用紙が運べる計算で、これは岩沼工場から河北新報印刷センターに搬送する月間輸送量の約7%に相当する。今後は搬送トラックを6台まで増やし、搬送量の約18%(月間約250t)をこの方式で運ぶ考え。
 両社は、新聞配送後に空になるトラックの活用を目指して、ほぼ1年かけて可能性を調査、協議してきた。商品配送後の帰り便で別の物品を運ぶラウンド輸送をしている企業はあるが、新聞社と製紙会社がタイアップし、新聞配送後のトラックを使って新聞用紙を運ぶのは全国初の試み。日本製紙は、「これにより両社の輸送コスト削減だけでなく、新聞用紙の安定供給体制の強化やエコ輸送の実現につなげる」としている。

(Future 2011年1月24日号)

北越紀州製紙/自社株400万株の取得を終了
 北越紀州製紙はこのほど、自己株式400万株の取得を終了した。買付総額は18億547万8,500円。
 同社は2010年11月10日の取締役会で、自己株式を除く発行済株式総数の1.91%に相当する400万株、取得価額20億円を上限とする自社株取得を決議しており、11月11〜30日に行った1回目の買い付けで155万株を取得(取得価額6億8,095万2,000円)、今回、12月1〜22日の2回目の買い付けで残り245万株を取得し(同11億2,452万6,500円)、完了した。

(Future誌1月24日号)

ナカバヤシ/オリジナル包装の再生TP加工サービスを開始
 ナカバヤシはこのほど、出張細断サービスのユーザー向けに、オリジナル包装の再生品トイレットペーパーを小ロットでも受注生産する加工サービスを開始した。これまでも4万個程度の大口の受注生産は受け付けていたが、今後は300個から対応する。
 このサービスでは、トイレットペーパーを社名やロゴ、環境への取組みなどを記載したオリジナルデザインの包装紙で1つずつ包んで提供する。ISO14001や環境保全への取組みを訴求したい企業のイメージアップツールとして利用できるほか、社内のリサイクル意識向上などにも活用できる。トイレットペーパーはシングルとダブルを選択でき、包装紙は2色印刷(1色、3色、4色は応相談)。納品はデザイン決定後約1ヵ月で、料金は300個約2万円から。

(Future誌1月24日号)

全国カレンダー展/王子製紙などが経済産業大臣賞
 日本印刷産業連合会、日本印刷新聞社が主催する「第62回全国カレンダー展(2011年版)」の入賞作品が、このほど発表された。
 今回の応募総数は718作品(前回725作品)。部門別では、第1部門の一般企業・印刷会社自社用カレンダーが368作品、第2部門の販促カレンダーが211作品、第3部門の販売用および既製カレンダーが139作品だった。入賞は93作品で、経済産業大臣賞は、第1部門で松尾建設(印刷:凸版印刷)、第2部門で王子製紙(同:サンエムカラー)、第3部門で日本野鳥の会(同:光村印刷)が受賞した。文部科学大臣賞は、第1部門がエヌ・ティ・ティ・データ(同:凸版印刷)、第2部門が三菱UFJニコス(同:凸版印刷)、第3部門がドラフト/D−BROSプロジェクト(同:大洋印刷)だった。
 大賞に相当する経済産業大臣賞を受賞した王子製紙のカレンダータイトルは『LIBRARY』。「紙媒体の衰退の危機が取り沙汰される中で、製紙メーカーとしてもう一度原点に戻り、紙の魅力を真正面から伝えようと企画した作品」(王子製紙)。表紙+本文+奥付の計8枚、すべて異なる紙を使用した。テーマには、人類の歴史と文化を支えてきた知の殿堂“図書館”を選び、ドイツ人の女性写真家カンディダ・ホェファー氏の深い洞察力によって撮られた写真を、高度な印刷技術によって重厚かつ鮮やかに表現している。
 また、製紙業界からは王子製紙以外に、中越パルプ工業の作品で竹紙を使った『日本の彩 2011年 狩野永徳 四季花鳥図』も、審査員特別賞を受賞した。同社の入賞は08年から4年連続。

(Future誌1月24日号)

三菱製紙/情報用紙分野のFSC認証紙を拡充
 三菱製紙は、ノーカーボン紙と感熱紙でFSC森林認証紙のラインアップを拡充する。
 同社は、01年に国内製紙メーカーとして初めてFSC認証を取得し、印刷用紙などで認証紙を生産販売してきた。FSC森林認証紙への注目は年々高まっており、大手企業のCSRレポート、製品カタログ、事務用品や食品パッケージなどで需要が増えている。
 そこで同社は、これまでの印刷用紙やコピー用紙に加え、情報用紙の主力製品であるノーカーボン紙と感熱紙で認証紙の品揃え強化を決めたもの。拡充するFSC森林認証紙の主要銘柄は次の通り。12月から順次生産を開始している。
○ノーカーボン紙…『三菱NCR紙スーパー上用紙FSC認証−MX』、『三菱NCR紙スーパー中用紙FSC認証−MX』、『三菱NCR紙スーパー下用紙FSC認証−MX』
○感熱紙…『三菱感熱紙FSC認証−MX』(FAX・各種プリンター用、POS・レジ用、ラベル用など)

(Future誌1月24日号)

容環協/09年度は紙パック回収量10万6,200t・回収率43.5%
 全国牛乳容器環境協議会(容環協)は先頃、飲料用紙容器リサイクルの現状と動向に関する基本調査をまとめた。それによると、2009年度における飲料用紙パック(以下、紙パック)の回収量は10万6,200tで、回収率(損紙・古紙を含む)は43.5%となった。前年に比べ0.9ポイント(pt)上昇している。なお使用済み紙パックに限定すると回収量は6万8,000tで、回収率は33.0%と前年より1.0ptの上昇となる。
 09年度の紙パック原紙使用量は24万4,300t(対前年比▲6,700t)。このうち損紙発生量は3万5,900t(同▲1,100t)で、全量が再生紙の原料となっている。これに対し紙パックの販売量は国内が20万8,400t(▲5,500t)、海外輸出が100t(▲100t)。損紙発生量は2,600t(▲400t)で、うち廃棄物となったのは300t(▲100t)にすぎず、88%に当たる2,300t(▲300t)は再生紙原料に回された。
 紙パックの出荷量は20万5,800t(▲5,100t)で、内訳は一般家庭(家庭系)向けが18万4,300t(▲5,000t)と全体の9割を占め、以下、学校給食向け1万1,800t(±0t)、自販機・飲食店(事業系)向け9,700t(▲100t)の順。このうち、使用後に市町村などを通じて廃棄物処理に回ったのは全体の3分の2に当たる13万7,800t(▲5,600t)で、家庭系が12万7,000t(▲5,500t)、事業系が8,300t(±0t)、学校給食が2,500t(▲100t)。
 差し引きすると家庭系紙パックの回収量は5万7,300t(+600t)となり、回収率は31%。うち生協・スーパーなどでの店頭回収が最も多く、3万4,500t(+1,100t)に上る。以下、市町村回収=1万3,900t(▲500t)、集団回収=8,900t(±0t)と続く。一方、事業系紙パックの回収量は1万700tで、内訳は自販機などが1,400t(▲100t)、学校給食が9,300t(±0t)。これらが古回回収ルートに乗せられて製紙メーカーに納入される。

(以下詳細はFuture誌1月24日号)

税制改正/11年度の環境税導入で業界の負担額は約60億円増
 製紙業界は、かねて2011年度の税制改正に対する要望と陳情を行ってきたが、このほどその結果が出揃った。うち最大の焦点だった地球温暖化対策税(環境税)については、製紙を含む産業界の反対にもかかわらず、11年10月からの導入が正式に決まった。現行の石油・石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せし、向こう5年間で段階的に引き上げるというもので、最終年度(15年4月〜)の負担額は製紙業界全体として年間60億円程度と想定される。
 年度ごとの増税額は以下の通り(カッコ内は現行比)。
<原油・石油製品>(単位:円/kl)
 現 行 2,040
 11年10月〜 2,290 (+250)
 13年4月〜 2,540 (+500)
 15年4月〜 2,800 (+760)
<ガス状炭化水素>(単位:円/t)
 現 行 1,080
 11年10月〜 1,340 (+260)
 13年4月〜 1,600 (+520)
 15年4月 1,860 (+780)
<石炭>(単位:円/t)
 現 行 700
 11年10月〜 920 (+220)
 13年4月〜 1,140 (+440)
 15年4月 1,370 (+670)
 なお、政府の最終的な増収規模は2,400億円(15年度)程度になる見込み。
 次に法人実効税率は5%引き下げられたが、一方で減価償却制度や繰越欠損金制度の改正が行われるため、「利益率が低く典型的な装置産業である製紙業界が、全体としてメリットを享受するのは難しい」と日本製紙連合会は見ている。
 以下、製紙業界の要望と結果を列挙してみる。
○法人実効税率の引下げ(改正)…国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げる
○欠損金の扱い見直し(縮減)...資本金1億円超の大企業に限り、繰越欠損金の使用を欠損金控除前所得の80%に制限。これに伴い繰越控除期間を7年から9年に延長する
○移転価格税制の適正化(改正)…OECD移転価格ガイドラインの改定などに伴い、移転価格税制の見直しを行う
○企業年金に関する特別法人税の撤廃(延長)…企業年金の積立金に対する法人税の課税停止措置の適用期限を3年間延長する
○受取配当益金不算入の見直し(今後検討)…受取配当金の益金不算入割合50%の見直しを今後検討する
○減価償却制度の見直し(縮減)…2011年4月1日以降に取得する減価償却資産の定率法による償却率は、定額法による償却率(1/耐用年数)を2.0倍(現行は2.5倍)した数とする(10年償却の場合、償却率は25%→20%へ引下げ)
○クリーン投資税制(創設)…エネ革税制の廃止に伴う代替として、クリーン投資税制を創設(11年4月より3年間)。CO2排出削減または再生可能エネルギー導入拡大に資する設備は、取得価格の30%の特別償却を認める。紙パルプ関連設備では廃棄物燃焼ボイラー、リグニン燃焼ボイラーが対象
 このほか、制度変更が行われなかった要望事項として、*連結納税制度の見直し *印紙税の廃止 *企業会計基準の国際会計基準への統一と課税評価方法見直し *地方税の一括申告・納付制度導入 *法人事業税の外形標準課税見直しの6項目がある。

(Future 2011年1月17 日号)

紙・板紙需給/プラスに転じた11月の国内出荷
 日本製紙連合会の集計による11月の紙・板紙国内出荷は前年同月比+2.8%の227万tとなり、11ヵ月ぶりにマイナスだった前月から再びプラスに転じた。うち紙は同+2.5%の130.3万tで、6月以来5ヵ月ぶりのプラス。板紙は+3.2%の96.7万tで、前月のマイナスからプラスに復帰している。
 一方、紙・板紙のメーカー輸出は▲5.5%の8.6万tで、こちらは3ヵ月連続の前年割れ。うち紙は▲11.4%の7.7万tで、新聞用紙を中心にアジア向けの減少から3ヵ月連続のマイナス。他方、板紙は絶対量は少ないものの2.1倍の9,000tと、段ボール原紙を中心にアジア向けの増加により13ヵ月連続のプラスとなっている。
 これに対して紙・板紙の生産は+0.5%の227.7万tで、うち紙が+0.4%の132.9万t、板紙が+0.6%の94.9万tだった。
 この結果、紙・板紙の在庫は前月比▲7.9万t(紙▲5.1万t、板紙▲2.8万t)の190.6万tとなり、紙・板紙とも前月の増加から減少に転じた。
 以下、主要品種の概況である。
<印刷・情報用紙>
国内出荷は前年同月比+3.8%の74万t。年末商戦に向けたチラシなどの需要増もあり、3月以来8ヵ月ぶりのプラスを記録。他方、メーカー輸出は▲4.1%の6.9万t。主力の塗工紙は前月の微減からプラスへと盛り返したが、全体では2ヵ月連続のマイナスとなっている。
<板紙・包装用紙>
板紙の国内出荷は、家電エコポイント制度変更前の駆込み需要や、猛暑による天候不順の影響で遅れていた青果物の一部回復などもあり、段ボール原紙を中心に前月の減少から増加に転じ、段ボール原紙が+2.9%の76.1万t、白板紙が+2.5%の13.4万t。包装用紙は反動増の一巡などから+0.7%の7.1万tと横バイ微増で、回復は足踏み状態にある。


通年の国内出荷は89年のレベル

 以上の1〜11月集計結果を受けて、製紙連は2010年通年の需給を次のように推計している(カッコ内は前年比)。
<生  産>
紙1,639.1万t(+3.5%)、板紙1,093.2万t(+4.8%)、合計2,732.3万t(+4.0%)
<国内出荷>
紙1,532.6万t(+0.8%)、板紙1,085.3万t(+4.4%)、合計2,617.9万t(+2.3%)
<メーカー輸出>
紙110.9万t(+39.3%)、板紙10.2万t(+77.2%)、合計121.1万t(+41.8%)
 各指標とも前年実績を上回る見通しだが、生産は93年(2,776.6万t)、国内出荷は89年(2,605.8万t)のレベルにとどまると推計している。逆にメーカー輸出は過去3番目という高水準で、とりわけ紙は過去最高となる見通し。年間の紙輸出量が100万tを超えるのも初めてである。

(Future 2011年1月17 日号)

全段連/11年段ボール需要予測は1%増の131億4,600万m2に
 全国段ボール工業組合連合会(全段連)企画委員会は先頃、2011年の段ボール需要量が対前年比+1.0%の131億4,600万m2に達するとの予測結果を取りまとめた。大きく落ち込んだ09年の後を受け、10年の段ボール需要は前半に比較的高い伸びを示したが、後半に入って回復基調が弱まっている。
 一方、民間調査機関9社による実質GDP成長率予測の平均値は10年が+2.2%、11年が+1.1%であり、いずれも11年は回復の伸びが鈍化すると見ている。全段連企画委員会では、このような経済見通しをベースに段ボール需要の動向を勘案して、前年の予測(+1.5%)よりもわずかだが低い伸びとした。
 ちなみに10年の段ボール需要は、同年1月に全段連が公表した予測値の128億2,300万uを1億9,300万m2上回り、130億1,600万m2と前年比+3.1%の伸長が見込まれている。エコカー減税や家電エコポイント制度による経済効果のほか、夏場の猛暑に伴う飲料関係の出荷増などが当初予測を上回った要因と考えられる。
 これを需要分野別に見ると、最大のボリュームを持つ「加工食品用」は+1.9%の伸長で、「電気器具・機械器具用」は+9%程度と最も高い伸びを記録。「通販・宅配・引越用」も+7.3%の高伸長だったが、「青果物用」は天候不順の影響から▲2%と主要分野の中で唯一のマイナス成長を余儀なくされている。

(以下、詳細はFuture 2011年1月17 日号で)

大王製紙/所在不明株主の株式を売却へ
 大王製紙は、株式事務の合理化のため、現住所が分からない「所在不明株主」の株式を売却する。売却の対象となる株式の株主番号、氏名または名称、株主名簿上の住所、所有株式数は、同社ウェブサイトの電子公告(http://www.daio-paper.co.jp/densikoukoku/index.html)に記載している。同社では、3月18日まで所在不明株主からの異議申述を受け付け、それ以降は対象株式を売却するか大王製紙が買い取ることになる。

(Future 2011年1月17 日号)

九州紙商事/筑後紙商会の事業を譲受
 国際紙パルプ商事の連結子会社、九州紙商事(福岡県福岡市)は、4月1日付で久留米市の合資会社筑後紙商会の事業を譲り受ける。
 九州紙商事は2009年10月に佐世保紙(長崎県佐世保市)と小松洋紙(佐賀県唐津市)が合併して新発足した紙卸商。合併により企業体力は強化されたが、卸商の経営環境はさらに厳しさを増していることから、筑後商会の事業を引き継いで業容拡大と経営基盤強化を図る。
 なお九州紙商事は、この事業譲受に伴い久留米支店を開設し、4月1日から営業を開始する。
<筑後紙商会の概要>
〔主な事業〕洋紙・板紙、文具類の販売
〔設立〕1924年12月
〔本店〕福岡県久留米市本町10−8
〔代表者〕松本保則
〔出資金〕1,000万円
〔売上高(09年12月期)〕2億3,891万8,000円
〔従業員〕7名
<九州紙商事の概要>
〔主な事業〕洋紙・板紙、化成品、文房具、事務機器の販売
〔設立〕1948年5月
〔本店〕福岡県福岡市博多区西月隈3−2−14
〔支店網〕佐世保支店、佐賀支店(唐津市)
〔代表者〕小松厚一
〔資本金〕2,000万円
〔売上高(10年3月期)〕9億4,269万円
〔従業員〕28名

(Future 2011年1月17 日号)

森林総合研究所/バイオマスエキスポに出展
 森林総合研究所は、10年11月18〜19日に東京ビッグサイトで開催された「バイオマスエキスポ2010−技術イノベーションによる資源循環型社会の実現−」を後援、また、以下の11テーマについてポスター展示を行った。
<展示テーマ>
 @木質バイオマスの大量収集に適した地域を特定する
 Aバイオマス生産のための木質バイオマス収集・運搬機械の開発
 Bオイルパームを使った複合材料の開発
 C樹木精油の有効利用−林地残材「葉」の活用
 D酵素加水分解でつくるセルロースナノファイバー
 E木質ペレットの高効率利用技術の開発
 F木質バイオマスからの木材・プラスチック複合材の開発
 Gリグニンからの機能性材料の開発
 Hリグニンからグリーンプラスチックを作る
 Iパイロットプラントによる木質バイオエタノール製造技術実証
 J木質バイオマスからのエタノール製造技術の開発

(Future 2011年1月17 日号)

日本製紙クレシア/普段使いティシュと高級ティシュをセット販売
 日本製紙クレシアは、『スコッティ』のレギュラーティシュ4箱に、新製品の“モイスニング”(保湿成分配合)ティシュ『スコッティ AQUA Dew(アクアデュー)』を加え、5箱を1パックにした『スコッティ ティシュー スペシャル5箱パック』を発売した。
 『 スペシャル5箱パック』は、使用シーンに適した品質のティシュを使えるよう、“顔まわり用”の『AQUA Dew』1箱と“普段使い用”の4箱をセットにしたところが特徴。外装フィルムでも“顔まわり用”と“普段使い用”の使い分けを訴求し、トライアルを促している。
 主に顔まわり用の『AQUA Dew』は、保湿成分配合のハイクオリティティシュ。保湿成分がティシュの表面をなめらかにし、シートの水分を保持しているので、うるおい指数は通常のティシュを100とすると250になる。また、枚数が360枚(180組)なのでたっぷり使える。

(Future 2011年1月17 日号)

エコプロダクツ2010/紙関連業界から過去最大規模の出展
 12月9〜11日の3日間、東京・有明のビッグサイトで産業環境管理協会と日本経済新聞社が主催する日本最大の環境展「エコプロダクツ2010」が開催された。12回目となる今回のテーマは「グリーン×クリーン革命! いのちをつなぐ力を世界へ」。2010年は、COP10が名古屋で開催されたこともあり「生物多様性ゾーン」のほか、11年が「国際森林年」であることから、「森林からはじまるエコライフ展2010」のコーナーも設けられた。
 展示会初日に開催された「エコプロダクツ大賞」では事例発表会が行われ、農林水産大臣賞に篠田鰍轤R社共同による間伐材防音壁『安ら木U』が選ばれた。このほかにも、エコビジネスを育てるコンテスト「eco japan cup 2010」(環境省など主催)といった多彩な催しが繰り広げられた。また今回は例年に増して、紙業界からも数多くの出展があった。ここでは、主要製紙メーカーを中心にその模様を順不同で紹介しよう。
 大王製紙は、今回が初出展。「製紙はエネルギー多消費型産業」との一般にある誤解を払拭するため、海外での植林や廃棄物の有効利用といった自社の取組みを紹介、「限りある資源を有効活用していこう」と呼びかけた。間伐材からチップを作ったり、植林地を10区画に分けて順々に植林→伐採→再植林のサイクルを繰り返している様子を分かりやすく説明。
 同社はチリやオーストラリアで7万ha規模の植林を展開。だが実際にはその半分を保護林とし、天然林の形で残している。生物多様性をキーワードに、ウイジン(チリカワウソ)が生息している地域を保護価値の高い森林に指定してモニタリングを行っており、柵を張って人が勝手に入れないよう管理している。国内では間伐材と製材の廃材をメインに使用。
 一方、重さ600sの梱包された古紙からA4判のコピー用紙が9万枚できることを紹介。1ケース2,500枚換算で36ケース分の原料になる。環境配慮型製品としては、古紙100%のペーパータオルを展示。『プロワイス』という病院などで使う紙雑巾は、古紙配合のものとパルプだが無漂白のものとがある。『エルフォーレ』は古紙30%配合のトイレットペーパー、環境に配慮しながら柔らかく肌触りの良い商品だ。
 『まじ軽っ』は古紙100%のコピー用紙で、従来の66g品から57gへの軽量化を図った。同じ500枚でも1.8s軽く、積み上げた時の高さも低くなる。原紙を14%薄くしたためトラックの積載効率が上がり、CO2削減に寄与する。『木になる紙』は間伐材を利用したPPC用紙。古紙70%、間伐材30%の配合で、販売代金の一部を森林所有者に還元し、より間伐を促進して森林整備が進められるよう配慮している。
 日本製紙は「メイド・イン・日本製紙」をテーマに、「木は可能性に満ちた資源」である点をPR。森林に関するグループの取組みとして生物多様性への配慮のほか、著名な生態学者・宮脇昭氏の丸沼高原リゾートにおける植樹の模様、絶滅危惧種の保全、国内社有林について紹介。紙自体が資源循環型素材である点をアピールした。
 紙、板紙、紙パック、『フォトグリーン』などの製品展示や雑草抑制剤、さらにバイオリファイナリーなど独自の技術についても解説した。セルロースとリグニンを使って、プラスチックのような製品をつくる取組みもアピール。またブースの柱には間伐材を利用、環境への配慮を窺わせた。
 レンゴーは、2010年が4回目の出展となる。同じコンセプトで、使用済み段ボールはゴミではないことをアピール。段ボールは回収された後、捨てられるとの認識が多いが、回収した後、再び段ボールに戻り、97.8%がリサイクルされている実態を紹介。
 一方、創業101年を迎えた自社の環境に対する取組みとして、「チャレンジ020」をアピール。これは2020年までに90年比で32%のCO2削減を図るもので、その一環として工場のエネルギー転換を進めているほか、最新の福島矢吹工場ではソーラーパネルを利用、昼間の電力をすべて賄う“超段ボール工場”として話題を集めている。
 また防錆、防湿などの機能性段ボールを紹介。一般の古紙に混ぜないでほしい禁忌品として展示していた。このほか子供向けには段ボールの強みをディスプレイ。座って、段ボールの強さを体験してもらう椅子も置いてあった。
 さらに汎用のAフルート段ボールを厚さ4oのCフルートへ転換することで、運搬時の輸送効率化に繋がるとアピール。原紙の軽量化では160g/uから130gに軽量化したライナーを利用、積極的に軽量化を推進している姿勢をPRしたほか、太陽光発電、燃料転換、バイオマス発電に取り組み、09年実績でCO2の90年比27%削減に成功したと強調していた。
 三菱製紙は10年5月、福島県の白河社有林を拠点に社会貢献の一環として、環境と森林保全に関する教育を行う「エコシステムアカデミー」を開校。この取組みについて紹介したほか、国内で初めてFSC認証を取得したことなどをアピール。FSC認証紙は多様な用途に広がっており、生物多様性に配慮した10原則に基づいて、森を守りながら紙生産に取り組んでいる点をPRした。
 王子製紙は「植える」「育てる」「活用する」「研究する」「つくり出す」のゾーンに分けて展示を行っていた。09年時点の海外植林面積は24万ha(国内は19万ha)で、これを15年には30万haまで拡大する計画。国内材では木の端材や建築廃材を主原料に使っていると説明した。
 一方、同社は木材からバイオエタノールを生産する技術の研究を進めており、11年秋には呉工場(広島県)の敷地内で実証プラントが稼働する予定。早期の実用化を目指している。ユーカリ原木などを木材チップに加工する際に残った枝や葉などを活用するという。
 中越パルプ工業は、国土緑化推進機構が運営事務局になっている「フォレストサポーターズ」と協力してブースを設置。竹紙とレジーナ間伐材PPC用紙は11年1月から生産開始の予定だ。このほか古紙パルプ70%+間伐材10%+PEFC認証材20%を配合した洋紙『里山物語』を製品化。間伐促進のための寄附金10%が販売価格に含まれている。
 リンテックは「Lintec your dream〜明日をつなぐ技術」をスローガンに、家の形をした粘着付き付箋『イエタグ』を紹介したほか、太陽電池の長寿命化に貢献するバックシート『リプレア』を展示。ラベルを剥がして再利用、また貼ったまま再利用できるプラスチック成型品同質素材ラベル『カイナス』はリサイクル時代にマッチした製品だ。基材を破壊しない、糊残りしない『再剥離ラベル』は被着体の破壊がなく、きれいに剥がせる。溶剤を使わないエマルジョン型剥離紙は、使用後に通常の古紙としてリサイクルが可能な素材だ。またPETボトルのリサイクル素材を25%利用したクリスマスツリーラベルを展示。冷房効率を上げる『ヒートカットフィルム』はコンシューマー向け製品も出しており、電力利用を10%削減できるという。

(Future 2011年1月3日号)


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