業界ニュース

大王製紙/コーポレートガバナンスのガイドラインを制定
 大王製紙はこのほど持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、「コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定した。
 ガイドラインは、@総則、Aコーポレートガバナンス体制、Bステークホルダーの利益保護に関する対応、C適切な情報開示と透明性の確保、Dステークホルダーとの対話、の5章で構成され、最後に「独立社外取締役の独立性基準」を記載。同社は、「ガイドラインに沿った取組みの実践を通じて、健全で持続的な企業の発展を目指す」としている。
 ガイドラインでは、次のようなコーポレートガバナンスの基本的考え方が示された(概要)。
 (1) 株主の権利を尊重し、株主が権利を適切に行使できる環境の整備と株主の実質的な平等性の確保に努める。
 (2) 社会的責任の重要性を認識し、株主、取引先、従業員および地域社会をはじめとする様々なステークホルダーとの適切な協働に努め、健全に事業活動を展開していく。
 (3) 様々なステークホルダーから正しい理解と信頼を得るために、非財務情報を含む会社情報を適時適切に開示していく。
 (4) 取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、取締役に対する実効性の高い監督を行う。
 (5) 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資することを目的として、ステークホルダーとの間でステークホルダー全体の利益となる建設的な対話を行う。
 コーポレートガバナンス体制については、取締役会が経営の意思決定および業務執行の監督を行い、また取締役から独立した監査役および監査役会が監査を実施。さらに、意思決定の迅速化、経営の効率化、業務執行機能の強化を目的に、経営陣(取締役・執行役員)で構成する経営会議を設置している。

(Future 2015年11月16 日号)

レンゴー/軟包装事業拡充に向けサン・トックスに資本参加
 レンゴーはこのほど、プラスチックフィルムメーカーのサン・トックスが実施した第三者割当増資を引き受け、同社へ資本参加した。出資比率は20%。
 サン・トックスは、潟gクヤマグループのフィルムメーカーで、レンゴーにとっては長年にわたる主要なフィルム仕入先。レンゴーは今後、サン・トックスのフィルム事業の強化・発展に向け、グループ企業として協力していく。
 レンゴーグループはパッケージングの総合力強化を推進しており、その重要な柱として軟包装事業の拡充に取り組んでいる。サン・トックスの物流拠点が整備されれば、レンゴーにとっては軟包装の原材料調達のリードタイムが短縮され、迅速かつ安定的な軟包装製品の供給が可能となる。また、「原材料の安定調達体制を強化することで、顧客満足度の向上にもつながる」としている。

〔サン・トックスの概要〕
住  所:東京都港区赤坂1-7-1
代 表 者:飯嶋克孝氏
事業内容:プラスチックフィルムの製造・販売
株  主:トクヤマ80%、レンゴー20%(出資後)
売 上 高:189億円(2014年度)

(Future 2015年11月2 日号)

大王製紙/摩擦指数の共同研究を日本設計工学会で発表
 大王製紙は東北大学大学院・堀切川教授らとの共同研究によりティシュの摩擦を指数化し製品開発に役立てているが、このほどその研究結果の一部を、日本設計工学会2015年度秋季研究発表講演会で発表した。
 今までのティシュの肌触りの評価は、柔らかさ・滑らかさ・好み・強度など、個々の評価の総和による官能評価値に依存しており、そうした“人の感覚”とティシュの機械的性質との関係性は、定量的には分析されていなかった。そこで大王製紙と堀切川教授らは、官能評価値とティシュの性質の関係について分析するため、さまざまな官能試験や摩擦試験を行った。
 試験に使用したティシュは、水分量や機械的性質の異なる10種類の市販ティシュ。官能試験では、それらのティシュを24名の成人に、「鼻に当てる」「手でこする」などの方法で触ってもらい、7点満点で評価、また摩擦試験では、シリコンラバー製の指紋付人工皮膚を使った「直動型すべり摩擦試験装置」によって、各ティシュの摩擦係数を求めた。これらの試験結果を踏まえて、官能評価値と摩擦係数およびティシュの機械的性質の関係を明らかにした(詳細はエリエールwebサイト http://www.elleair.jp)。
 その結果、肌触りに関する官能評価値が摩擦係数の平均値のみで説明可能であることが示され、摩擦係数の低減が肌触りの向上に極めて有効であることを実証。また、この研究成果を元に、肌触りの評価を指標化した「肌への摩擦指数(トライボ指数)」を見出した。

(Future 2015年11月2 日号)

ダイオーエンジニアリング/ものづくり日本大賞で経済産業大臣賞を受賞
 大王製紙グループのダイオーエンジニアリングはこのほど、第6回「ものづくり日本大賞」の「産業・社会を支えるものづくり部門」で、経済産業大臣賞を受賞した。
 受賞の対象となったのは、ダイオーエンジニアリングの「廃家電等のミックスプラスチックを材質毎に高速且つ高精度に選別可能とする装置」の開発で、装置名はエアロソーターV。受賞者は同社の青野孝氏・大西誠人氏と愛媛大学大学院理工学研究科生産環境工学専攻講師の岩本幸治氏。
 エアロソーターIIIは、細かく破砕された廃家電由来のプラスチック(5〜20o程度)を近赤外線式センサーを用いて材質を識別し、圧縮エアーで打ち落として材質ごとに選別する装置。これまで、小さく破砕されたプラスチックは液体との比重差を利用して選別されており、選別サンプルサイズが大きく違うと選別精度が悪くなる、また比重が近いものは選別できないなどの課題があった。しかしエアロソーターIIIは、近赤外線式センサーを用いた選別装置であるため、比重液を用いた選別装置より、以下の点で優位となっている。
 @ 比重に影響されない
 A 選別サンプルサイズばらつきの許容範囲が広い
 B 非接触での材質認識
 C 比重液を用いないため廃水処理設備が不必要
 今回の受賞では、次の2点が評価された。
 ・世界的に見ても選別が困難だった小粒径のプラスチック(5〜20o程度)を高速・高精度で選別できること
 ・その結果、リサイクルプラスチックに今まで以上の価値が生まれ、循環型社会の構築に寄与できること

(Future 2015年11月23日号)

日本製紙/業界一のインキ乾燥性“ユーライトDRY”
 日本製紙はこのほど、インキ乾燥性とインキ耐摩擦性が高いコート紙『ユーライトDRY』を新発売した。イラストは速乾性を示したロゴマーク。
 印刷会社では小ロット・短納期の仕事が増加し、またユーザーからの印刷再現性に関する要求も年々高くなっている。こうしたニーズに対応するため、今まで以上にインキを素早く乾燥させる紙が求められている。新製品の『ユーライトDRY』は、日本製紙のコート紙の代表銘柄である『ユーライト』をベースに、塗工材料には従来よりも細かい粒子のものを使用。これにより、インキの油成分が紙内部に浸透しやすくなり業界トップのインキ乾燥性を実現した。また、紙表面に滑らかさを持たせることにも成功、インキの耐摩擦性が高くなり、こすれに強い紙になった。
 通常、インキ乾燥性が向上すると印刷後の色鮮やかさが欠けてしまいがちになるが、『ユーライトDRY』は材料の選定と配合割合を見直すことで、インキ乾燥性と印刷再現性の向上という相反する2つの目標を同時にクリアし、従来品を上回る印刷再現性も実現した。パンフレット・リーフレット・カレンダーなど、さまざまな用途に利用できる。

(Future 2015年11月2 日号)

日本製紙連合会/環境行動計画(廃棄物対策)フォローアップ調査の結果を発表
 日本製紙連合会は先頃、「環境行動計画(廃棄物対策)」の進捗状況を確認する目的で今年6月に実施した、フォローアップ調査の結果を取りまとめた。この調査は2014年度の実績を対象としたもの。
 製紙連は「経団連環境アピール」に呼応する形で、1997年に「環境に関する自主行動計画」を制定。このうち廃棄物対策については、2010年度までに最終処分量を有姿で45万tまで削減する目標を定め、自主的な取組みを行った結果、目標を達成している。
 そして2011年度以降は政府が策定した「第二次循環型社会形成推進基本計画」に基づき、2015年度までに同じく有姿の最終処分量を35万tまで低減することを目指し、継続してフォローアップ調査を実施している。
 2014年度の調査対象は38社107工場・事業所で、このうち37社106工場・事業所から回答があった。この106工場・事業所の2014年度における紙・板紙生産シェアは、対象会社合計の99.9%、全製紙会社合計の86.2%に相当する。以下、調査結果である。
 @ 産業廃棄物発生量
 発生量は506.3万tで、対13年度比2.0万tの減少となった。人口減、需要家の紙関連コスト削減といった国内需要の減少につながる構造的要因の定着や、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減などの影響により、2014年度の紙・板紙生産量が同△1.4%と縮減したため、発生量のうち約7割を占めるPS(有機性スラッジなど)が増加した結果である。
 A 減容化量
 減容化量は243.7万tで、対13年度比13.4万tの減少となった。減容化量の内訳は、燃料利用を基本とするPSの可燃部分が76.5万t、廃プラスチック・木屑などが約12.3万tで、残りの154.9万tは蒸発水分である。
 B 再資源化量
 再資源化量は247.2 万tで、13年度より15.1万t増加した。発生量が減少したため、再資源化率は前年度より3.1ポイント(pt)上昇している。
 C 最終処分量
 最終処分量は15.3万tで、13年度に比べ3.8万t減少した。目標の35万tを19.7万t下回り、目標を達成している(図1)。
 D 有効利用率
 有効利用率は97.0%で、13年度より0.8pt上昇した。発生量が減少したが、それ以上に最終処分量の減少が大きかったことによる。

 目標達成に向けた取組みと実績に影響を及ぼした要因について、製紙連は次のように説明している。
 @ 主な取組み
 目標の達成に向け、再資源化のための技術開発や再資源化先に関する情報交換に努めるようにしている。また、最終処分量の実績を業界内部で公表する制度を設けることで、取組みに対する意識づけ/動機づけを図っている。なお産業廃棄物の発生量は、先のリーマン・ショックや東日本大震災のような経営環境に大きな影響を及ぼす事象のみならず、生産工程の変動などによっても容易に増減するので、日頃の操業管理に留意する必要があるとしている。
 A 実績に影響を及ぼした技術的・内部的・外部的要因分析
 内需の減少につながる構造的要因の定着や、これまで最終処分量の削減に苦慮していた数社において有効利用先の開拓が進んだことなどにより、全体の最終処分量が減少した。

 PSの発生抑制と低品質古紙の利用拡大

〔環境負荷低減の取組み〕大きく分けて発生源対策と再資源化対策の二本立てで行っており、廃棄物最終処分場の延命にも努めている。
 @ 発生源対策
 主体はPSの削減であり、抄紙工程における歩留向上剤の使用による微細繊維の歩留向上や、抄紙および古紙パルプ工程の排水からのパルプ回収など、原料の流出防止に取り組んでいる。また脱水効率の向上などにより、生産量当たりPS発生比率の抑制に努めている。
 A 再資源化対策
 今まで原料として使用していなかった異物の混入が多い低品質の古紙についても、製紙工場における産業廃棄物の発生量増加要因とはなるものの、原料としての利用を増やしている。
 PSは焼却して減容化を図るだけではなく、燃料としてバイオマスボイラー/廃棄物ボイラーで燃焼させ、熱エネルギーを回収し利用することで、化石燃料の使用削減にも努めている。
 発生したPS灰の再資源化用途は、石炭灰と同様に土木(骨材、路盤材など)やセメント原料向けが多い。一方、PS灰の再生填料化など新規の用途開発を進めており、最近ではその成果が実用化されてきている。ただし、このような新規用途での利用量はまだ少ないため、今後も利用拡大を進めていく必要がある(図3)。
 B 循環型社会に向けての貢献
 建設業など他業界から発生する廃材を燃料として利用することに加え、RPF、廃プラスチック、廃タイヤなどを燃料として受け入れて利用することにより、他業界における産業廃棄物の減量化と再資源化に貢献している。

 以下に具体的事例を紹介する。
〔3R推進に資する技術開発と商品化〕
 ・2015年度までに古紙利用率を64%とする古紙利用率目標の達成に向けて取り組んでいる。
 ・薬品回収工程における無機系廃棄物削減のため、さらなる安定操業に努めている。
 ・古紙パルプ製造工程で発生した廃棄物を焼成・加工し、再生原料として有効利用している。
 ・PS灰や石炭灰を造粒固化して土壌環境基準を満足する土木資材を製造し、埋め戻し材や再生砕石、下層路盤材などへの有効利用を進めている。
 ・塩素濃度の高い各種灰の有効利用拡大に向けて、脱塩技術を開発。
 ・従来は大部分を焼却処理していた機密書類のリサイクル化に向け、専用処理工程を開発した。
 ・食品会社から発生する植物系廃棄物を原燃料として有効利用。
 ・段ボールに軽量原紙を開発・採用してリデュースを促進。また耐水・鮮度保持などの機能性を付加することで、環境負荷を低減した包装材料の提供を進めている。
 ・有機性汚泥の一部を畜産の敷料として有効利用している。

〔事業系一般廃棄物対策〕
*ゴミの排出者としての責任を自覚し、事業所から発生するゴミについても減量化と分別回収を徹底するように努めている。

新たな目標は2020年度の最終処分量13万t

ここまで記してきたように「2015年度に産業廃棄物の最終処分量を有姿で35万tまで削減する」との目標は、すでに14年度実績で大幅に上回って前倒し達成されている。一方、政府は2013年5月に閣議決定した第三次循環型社会形成推進基本計画で、目標の達成時期を2020年度としている。そこで製紙連は新たに2020年度を目標達成年次として、「産業廃棄物の最終処分量を13万tまで低減する」との目標値を設定した。
 これは2014年度の紙・板紙生産量(2,291万t)や最終処分量(15.3万t)の実績を踏まえ、生産量の将来予測や会員各社による最終処分量の削減計画なども考慮して策定したもの。ただし製紙連は「景気動向が不透明であるうえ、これ以上の最終処分量の大幅削減は困難な状況にあるため、政府に対し規制改革や関係法令の改正など、所要の措置が講じられるように強く求める。また計画の進捗状況や社会情勢の変化に応じて、期中であっても適宜必要な見直しを行う」としている。
 このほか2016年度以降の業界独自目標として、有効利用率[=(発生量−最終処分量)÷発生量×100]については現状維持に努める。また資源循環の質を高める取組みとして、生産工程の効率改善を図るとともに、難離解古紙の利用技術やサーマルリサイクルの有効活用など、原料・燃料に関する技術開発を推進するとしている。
〔法令改正、運用改善の要望〕
 構造的要因による内需の減少に伴って紙・板紙の生産量が減少すれば、廃棄物の発生量もPSを主体に減少するので、従来通りの削減努力を行っていれば最終処分量も自ずと減少する。
 しかし製紙連は「環境負荷低減の観点から、企業努力による循環型社会のさらなる進展を目指すことが求められている」としたうえで、「これを実現するためには、企業グループ間で産業廃棄物を自ら処理することができないことや、県外産業廃棄物の流入規制など、足かせとなっている現行の廃棄物に関する法令、地方公共団体の運用規制を見直す必要がある」として次のように要望・提言している。
 「これまで当業界は政府に対して、廃棄物行政に関する諸々の規制改革要望を行ってきたが、廃棄物の適正処理の確保を理由になかなか実現していない。2012年12月に発足した安倍内閣は、わが国が20年以上も続いた経済低迷から回復するための成長戦略に基づく政策の中核として、規制改革を位置づけていることから、ぜひとも現場の実態に即した規制改革の推進をお願いしたい。
 また2016年4月に2010年の改正廃棄物処理法の施行後5年を迎えることから、環境省は2015年度に同法の施行状況などについて調査を実施し、この結果を踏まえて同法の点検・見直しの検討を行うとしている。この検討に当たっては、廃棄物の適正処理を確保しつつも、循環型社会のさらなる進展に向けた方向性が示されるよう要望する」

(Future 2015年11月23日号)

紙・板紙需給8月/国内出荷は3ヵ月連続プラスも低水準
 日本製紙連合会が集計した8月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+0.6%の192.5万tと3ヵ月連続の増加となったが、前々年比では△5.5%と低調な荷動きが続いている。うち紙は前年比△0.6%の108.3万tで、17ヵ月連続の減少。板紙は同+2.2%の84.2万tで、こちらは3ヵ月連続の増加と明暗が分かれている。主要品種は新聞用紙、非塗工紙、情報用紙、包装用紙を除き前年比プラスだった。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年比△4.6%の9.8万tにとどまり、前年6月以来14ヵ月ぶりに減少した。うち、紙は△11.4%の6.7万tとアジア向けの落ち込みを主因に、4ヵ月ぶりの減少。対照的に板紙は+14.1%の3.1万tと伸長。主力の東南アジア向けは減少も、東アジア、南アジア向けの増加により34ヵ月連続で前年同月を上回った。
 紙・板紙の在庫は前月比+7.5万tの208.1万tと、前月の減少から増加に転じた。うち紙は+6.9万tの141.3万tで、印刷・情報用紙、新聞用紙の増加により前月の減少から増加。板紙は+0.6万tの66.8万t。段ボール原紙の増加により3ヵ月ぶりに増えている。
 主要品種の動向は以下の通り。
 〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年比△2.3%の24.4万tで、18ヵ月連続のマイナス。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年比横ばい(△184t)の59.1万tも、前月の増加から減少に。輸出は同△10.8%の4.9万tで、4ヵ月ぶりの前年割れ。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は前年比△0.5%の5.8万tで、8ヵ月連続の落ち込み。未晒系は横ばいも、晒系が減少した。輸出は同△7.9%の1.2万tで、5ヵ月ぶりの減少。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年比+1.3%の13.6万tで、5ヵ月連続の増加。トイレットを中心にティシュも増えている。
 〔段ボール原紙〕
 国内出荷は前年比+2.8%の67.4万tで、3ヵ月連続のプラス。
 〔白板紙〕
 国内出荷は+0.6%の10.9万t、前年9月以来11ヵ月ぶりに増えている。

(Future 2015年10月12 日号)

日本製紙、特種東海製紙/段原紙・クラフト紙で生販子会社設立へ

 日本製紙と特種東海製紙は、段ボール原紙および重袋用・一般両更クラフト紙事業のさらなる強化を実現するため、両社の販売機能を統合するとともに、特種東海・島田工場の製造事業を分社化し、両社が共同出資することで基本合意に達した。今後は来年4月の最終合意に向け、引き続き具体的な検討を進めていく。
 両社は10月7日付ニュースリリースのなかで、この事業提携に至った背景を次のように説明している。
 日本製紙「製紙業界においては、古紙価格の高止まり・円安による原燃料価格上昇など、厳しい事業環境が続いており、今後もコスト・品質競争がますます激しくなると認識している。このような環境認識のもと、当社と特種東海製紙は対等の精神に則り、段原紙・クラフト紙事業で提携するとともに販売機能を統合し、特種東海製紙・島田工場のコスト・品質競争力強化および効率的販売体制の構築ならびにサービスの強化を図るべく、本事業提携に係る基本合意書を締結した」
 特種東海製紙「紙パルプ業界を取り巻く事業環境は、少子化に伴う人口減による国内紙需要の低迷、設備過剰による市況の悪化、古紙をはじめとした原材料の高騰によるコストアップなど、厳しい状況が続いている。
 このような状況下、当社は成長戦略の一環として、同業他社や他産業と事業別に提携することも視野に入れながら、市場ニーズに素早く応えるべく、企業経営を行ってきた。そうした中で、段原紙・クラフト紙事業を重要な分野と位置づける当社と日本製紙は、両社の有する生産ノウハウの結集と販売機能の統合による効率化、および生産設備の多様化による顧客ニーズへの細やかな対応が同事業の競争力強化に必要と判断した。
 また、それにより当社島田工場がその独自性を一層発揮し、さらなる成長を遂げ、ひいては当社の企業価値向上に繋がるものと判断し、本事業提携の検討を開始することとした」
 次に両社が共通に掲げる事業提携の目的は、以下に掲げる@〜Cの項目。ただし、これらのうち@〜Bが「実現を目指す」としているのに対し、提携範囲の拡大を意味するCは「可能性を検討」の表現にとどまっており、他とは区別されている。
 @ 本事業に関する両社の生産ノウハウを結集し、島田工場の生産機能を最大限に活かしつつ、両社協力のもと、同工場における製品の生産効率および品質競争力の向上ならびにコスト削減を実現すること
 A 両社の本事業における販売機能を統合し、効率化することでコスト削減を実現し、需要家に資する競争力ある販売体制を構築すること
 B 原材料、燃料、資材などの共同調達により両社の本事業における競争力を強化すること
 C 本事業提携を端緒とし、将来的には家庭紙および特殊紙の分野においても提携によるシナジーを実現することで両社の競争力を強化し、ひいては両社の製品ユーザーへの利益となるような戦略的パートナーシップを構築すること
 続いて事業提携の形態は次のようになる。
(1)島田工場の分社化および新製造会社に対する日本製紙の出資
 特種東海製紙は、新設分割その他の方法により島田工場を子会社化し、新製造会社を設立する。日本製紙は、新製造会社による第三者割当増資の引受けなどの方法により、その株式を取得。特種東海製紙が新製造会社株式の50%超を、日本製紙が33.4%以上50%未満を保有し、前者の連結子会社かつ後者の持分法適用会社となることを想定している。商号や具体的な分社化の手法、新製造会社の分割対象資産、日本製紙の出資金額と株式持分比率については今後の両社の協議により決定する。
(2)日本製紙および特種東海製紙の本事業における販売機能統合
 日本製紙と特種東海製紙は、それぞれの持つ段原紙・クラフト紙事業の販売機能を共同新設分割の方法により統合し、新会社を設立する。日本製紙が新販売会社株式の50%超を、特種東海製紙が33.4%以上50%未満を保有し、前者の連結子会社かつ後者の持分法適用会社となることを想定している。こちらも(1)と同様、商号や具体的な株式持分比率、新設分割対象資産などについては、今後の両社協議により決定するとしている。
 写真は10月7日、都内で開いた共同記者会見で握手する日本製紙・馬城社長(左)と特種東海製紙・三澤社長。

(以下、詳報はFuture 2015年10月26 日号)

王子ホールディングス/マレーシアのラベル印刷会社を買収
 王子ホールディングスは9月25日、マレーシアでラベル印刷製品や紙器、パンフレットなどの印刷・加工製品を製造販売するHyper-Region Labels Sdn. Bhd.(以下、HRL社)とその関連会社の発行済み株式60%を取得すると発表した。
 王子グループはかねて事業構造の改革を推進しており、なかでも海外事業の拡大を大きな柱の1つと位置づけている。とくに経済成長著しい東南アジア地域では、先行していたパッケージング事業に加え、自社植林地を活用した木材加工事業を拡大させているほか、紙おむつ事業も始めている。さらに機能材事業においても、粘着ラベル分野の強化に向けた新製品の開発・拡販をはじめ、川上・川下とその橋渡しに当たる川中事業も含めて積極的にビジネスを展開、地域全体での事業拡大を図っていく計画だ。
 粘着ラベル分野では、すでにOji Label(Thailand)Ltd.(OLT)を通じて川上の粘着原紙製造事業を行っているが、今回新たに川下に位置するラベル印刷のHRL社を取得することで、今まで手薄だった分野まで事業領域を拡げていく体制が整う。

 〔HRL社の概要〕
 商  号:Hyper-Region Labels Sdn. Bhd.
 所 在 地:マレーシア南部のジョホール・バル
 設  立:2003年6月23日
 事業内容:ラベル、紙器、パンフレット、その他印刷・加工・販売
 従 業 員:141名(2014年9月末)
 直近の業績:(単位:100万RM)
          13年9月期   14年9月期
  売上高 24(6.8億円) 29(8.2億円)
  総資産 32(9.1億円) 38(10.6億円)
      注)100万RM=約2,800万円(2015年9月時点)
 王子HDでは、その他のメリットや効果として次の点を挙げている。
(1)HRL社はラベル印刷に必要な各種印刷・加工機を保有し、偽造防止用封緘ラベルをはじめとする特殊ラベルにおける卓越した印刷技術は、日系企業や多国籍企業の製品ラベルにも多く採用されている。これら製品群の高い信頼性と素早い製品提供などのサービス対応が、王子が求める川下分野の強化に資すると判断される。
(2)マレーシアは、王子のパッケージング事業が積極的な展開を進めており、新たにラベル印刷・加工業に取り組むことでシナジー効果が発現し、原紙からバッケージング・ラベル品までのトータルパッケージングサービスを実現できる環境が整備される。
(3)粘着ラベル事業の一貫生産体制構築(川上〜川下)が図れ、エンドユーザーとの距離の短縮によりタイムリーな製品づくりが可能となる。
 王子HDでは「今後、機能材事業においてもグループの海外展開を積極的に進めていく」としている。なお同社は2015年3月期決算説明会資料の中で、機能材分野の海外事業戦略を次のように説明する。
 ・東南アジアを中心に機能材製品を拡販 → 15年5月、機能材製品の海外マーケティング部門設立
 ・粘着事業を中心にM&Aなどを通じ海外事業会社を強化 → 14年末、機能材事業を扱う海外事業企画メンバーを増強
 これにより海外粘着紙事業などの売上高を15年度200億円から500億円に拡大するという目標を立てている。この数値目標達成のための有力な武器となるのが、現在ミャンマーのティラワ経済特区工業団地に建設中の製造拠点。パッケージングや機能材製品の加工事業(タック原紙の断裁など)を手がけるこの拠点は、16年4月に完成稼働の予定。
 ちなみに、ティラワ経済特区はミャンマーにおけるパッケージ型インフラ事業として、日本が官民を挙げて進めるプロジェクト。ヤンゴン中心市街地から南東約23kmに位置するティラワ地区の約2,400ha(東京ドーム約513個分)に製造業用地域、商業用地域などを総合的に開発する事業で、うち早期開発区域の396haでは日本−ミャンマー合弁の開発事業体が13年11月から工事を開始、先頃その一部(210ha)が開業した。

(Future 2015年10月12 日号)

大王製紙/東京本社を移転
 大王製紙はかねて公表していた通り、八重洲の東京本社オフィスと、ホーム&パーソナルケア事業部早稲田オフィスを次記へ移転、9月24日から新事務所で業務を開始した。
 〔移転先〕
 〒102-0071
 東京都千代田区富士見2-10-2
 飯田橋グラン・ブルーム(24階・25階)
 TEL 03-6856-7500(代表) FAX 03-6856-7605

(Future 2015年10月5 日号)

興亜工業、春日製紙工業/ 更紙事業共同化に向け検討を開始
 ともに静岡県富士市に本社工場を置く興亜工業と春日製紙工業は9月25日、両社が手がけている更紙事業の共同取組みに向けた検討を行うことで合意した、と発表した。更紙は雑誌の本文用紙として広く使われ、なかでも印刷せんか紙と呼ばれる色を付けたラフ更は嵩が出やすく裏抜けが少ないため、マンガ雑誌の本文として多用されている。
 更紙は、戦後生まれの団塊の世代が少年期だった昭和30年代に産声を上げた少年マンガ誌とともに成長、数百万部単位の発行部数を誇る雑誌が林立していた1980〜90年代に需要のピークを迎えた。しかし今世紀に入ってからは少子化やデジタル化の影響が顕在化、マーケットは縮小局面に入っている。
 両社は、この点について「出版印刷用紙市場は少子高齢化や人口減、他メディアへのシフトを主因に縮小傾向が続いている」としたうえで、「保有する生産設備の稼働率低下により、再生産可能な収益の確保は年々厳しさを増している」と説明、「このような環境変化に対応すべく、両社は継続的な品質維持と安定供給のため相互に協力し、共同の取組みに向けた検討を行う」としている。
 具体的には生産性の向上を目的とした相互OEM生産、コスト削減を目的とした共同原料調達や共同配送について検討する。また協議する中で、相互にメリットを最大限生かせると判断できる場合には「共同事業の立ち上げも検討」するという。

 〔興亜工業の企業概要〕
 所 在 地:富士市比奈1286-2
 代 表 者:甘艸保之 氏
 事業内容:段ボール原紙、更紙の製造
 資 本 金:23億4,300万円
 設  立:1941年5月

 〔春日製紙工業の企業概要〕
 所 在 地:富士市比奈760-1
 代 表 者:大塚昇 氏
 事業内容:家庭紙、更紙、模造紙、アルバム台紙などの製造
 資 本 金:2億250万円
 設  立:1939年3月

(Future 2015年10月12 日号)

日本製紙グループ/おむつの消臭シートで機能性CNFを初の実用化
 日本製紙クレシアは10月1日、世界初となる「機能性セルロースナノファイバー」の実用化商品として、大人用紙おむつの新ブランド“肌ケア アクティ”シリーズを新発売した。
 肌ケア アクティの特徴は、機能性セルロースナノファイバーを用いた超強力消臭シート。東京大学大学院農学生命科学研究科・磯貝明教授らが開発した、セルロースナノファイバー(CNF)の製造技術をもとに、日本製紙と日本製紙クレシアが共同で開発したもので、尿臭はもちろん、これまで消臭が難しかった便臭にも効果を発揮する。
 日本製紙は今春、TEMPO触媒酸化法により化学処理することで、CNFの表面に金属イオンや金属ナノ粒子を高密度に付着させることが容易になるという特徴を生かし、抗菌・消臭効果のある金属イオンをCNFに大量に保有させたままシート化することに成功。これまでにない、高い消臭機能をもつシートを実現した。このシートを日本製紙クレシアが同シリーズに採用、便臭の消臭力を従来品の3倍以上に向上させた。
  肌ケア アクティは、抗菌機能も備えたこの「超強力消臭シート」と、新開発の立体シート「立体さらっふわっ快適シート」、身体にフィットする「吸収体スリット構造」により、快適なはき心地を実現する。品揃えは、@パンツタイプ A紙パンツ用尿とりパッド Bワイドタイプの尿とりパッドの3種類を揃えた。
 日本製紙グループは、森林資源を高度に利用する技術力により人々の暮らしを支える分野へ事業領域の拡大を図っており、CNFはその中核となる新素材。2013年10月に岩国工場(山口県岩国市)にCNF実証生産設備(年産能力30t)を設置し、大量のサンプル製造と用途開発に取り組んできた。今後は、「さらに技術開発に力を注ぎ、量産化技術の確立と幅広い産業分野への用途開発を進めていく」考え。

(Future 2015年10月12 日号)

王子ホールディングス/ウェットパウダー状CNFのサンプル提供を開始
 王子ホールディングスはセルロースナノファイバー(CNF)の技術基盤の確立を目指し、研究を進めているが、このほど容易に分散可能なウエットパウダー状CNFの製造方法を世界で初めて開発、10月からサンプル供給を開始した。
 CNFは水に分散した状態で高い粘性をもつことから、増粘剤としての用途が期待されている。ただ、現在利用されている増粘剤の多くが粉体の形で供給されるのに対し、CNFはその製法上の制約から濃度1〜2%程度の液体(スラリー状CNF)として供給されている。このスラリー状CNFは極めて粘度の高い液体で、取扱いが難しいだけでなく水を多く含むことから、添加量が制限されるという問題があった。また、輸送においては大量の水を運ぶこととなり、環境負荷やコストの面でも課題となっていた。
 今回、王子HDが開発したウェットパウダー状CNFは、添加剤を一切含まず、固形分含有量が20%以上で、容易に水に分散させられるという特徴をもつ。また、一般的な増粘剤と比較して高い増粘効果を有し、その性能はスラリー状CNFと同等(同社比)。さらに、添加剤を使用することで極めて流動性の高いウェットパウダー状CNFの開発にも成功、ハンドリング性を重視するニーズにも応えた。
 ウエットパウダー状CNFの開発により、CNFの用途拡大が見込めるほか、輸送面での環境負荷低減にも寄与するため、CNFの早期実用化が期待できる。同社では、「今後はユーザーの要望を踏まえて改良を重ね、より魅力的な製品開発を進めていく」と抱負を語っている。
 ウエットパウダー状CNFの主な特徴は次の通り。
 ・粉体としてハンドリング可能
 ・希釈使用時の持込み水分量が10分の1以下
 ・分散性はスラリー状CNFと同等
 ・輸送コスト(環境負荷)の軽減
 ・流動性の向上によるハンドリング性のさらなる向上
 ・スラリー状CNFと同様、他の増粘剤よりも高い増粘効果を発揮
 ・水より重いガラスビーズの分散も可能

(Future 2015年10月19日号)

王子HD、日光ケミカルズ/CNFを使った化粧品原料の開発に着手
 王子ホールディングスと日光ケミカルズはこのほど、植物を原料とするセルロースナノファイバー(CNF)の、化粧品原料としての新規用途・機能開発を共同で行うことに合意した。
 CNFとは、木質繊維(パルプ)の繊維径を数〜数十nmオーダーにまで細かく微細化したもの。その水分散物は、温度が一定の時にゲルを攪拌すると粘度が減少してゾル化し、攪拌をやめると元のゲルに戻るという特性をもつ。保水性、増粘性、粒子分散安定性に優れるほか、べとつかず水を纏うようなみずみずしい感触であることから、化粧品への幅広い応用が期待できる。また、原料は再生可能な資源である森林から供給されるため、環境に優しい素材でもある。
 王子HDでは高品質のセルロースナノファイバーを効率よく生産できる独自のプロセスを開発し、その用途開発を進めてきた。一方、日光ケミカルズでは「GCS+E(Green、Clean、Sustainable+Economy)」をキーワードに、環境への配慮と経済性を両立させた持続可能な発展を戦略とし、高品質で高機能な化粧品原料を開発・製造している。
 今回の共同開発に先立つ基礎評価では、セルロースナノファイバーの化粧品原料としての優れた機能が新たに確認された。今後両社は、それぞれの事業領域で培ってきた技術や知見、さらには両社が推進する持続可能なものづくりに対する取組みを融合させ、セルロースナノファイバーを活用した新製品を開発していく考え。
 〔日光ケミカルズの企業概要〕
 所 在 地:東京都中央区日本橋馬喰町1−4−8
 代 表 者:関根茂代取社長
 資 本 金:1億2,000万円
 事業内容:化粧品・トイレタリー・医薬品・食品・一般工業用原料の販売、化粧品原料の輸出入、安全性評価・有用性評価試験の受託仲介、化粧品ビジネスのトータル・コーディネーション

(Future 2015年10月5 日号)

特種東海製紙/リニア工事後の緑化に製紙堆肥を活用へ
 特種東海製紙はこのほど、島田工場で発生する製紙汚泥を原料とした乾燥堆肥を、JR東海のリニア中央新幹線工事予定地となっている南アルプスの社有林で工事後の緑化事業に活用する意向を示した。
 地元紙によれば、同社は今春から堆肥の運搬を開始しており、来年秋までに約1万7,000m3を南アルプスに運び込む計画という。JR側から具体的な工事内容などが示されていないため決定事項ではないが、同社は「工事後の緑化は不可欠」と考えており、「JR側の考え方を聞いたうえで社有林の経営計画を決定したい」と話している模様。

(Future 2015年10月12 日号)

コアレックス信栄/本社を移転
信栄製紙改めコアレックス信栄は、10月1日付で本社を次記に移転した。

〔移転先〕
 静岡県富士市中之郷575-1
 TEL 0545-56-2513 FAX 0545-56-2511

 なお、コアレックスグループの3社は10月1日付で社名を変更している。
 三栄レギュレーター → コアレックス三栄
 信栄製紙 → コアレックス信栄
 道栄紙業 → コアレックス道栄

(Future 2015年10月12 日号)

三菱製紙/エコシステムアカデミーのホームページを開設
 三菱製紙はこのほど、福島県西郷村にある社有林を活用した体験型の環境教育施設「エコシステムアカデミー」のホームページ(http://ecosystemacademy.jpを開設した。
 「エコシステムアカデミー」は、同社が2010年に設立した教育施設で、社有林を利用した森林観察や林業体験、紙抄き体験、森の生態系調査、環境セミナーなどを通じて体験型環境学習を提供している。2011年には、震災復興イベント「がんばろう ふくしま in にしごう」なども開催した。
 所在地である社有林「白河甲子の森(しらかわかしのもり)」は、北東が高く南西が低い傾斜地で、約40年前に針葉樹のアカマツが植えられ、現在はアカマツのほか、自然に生えたカツラやミズキなどの広葉樹も分布、さまざまな生物が棲む豊かな森となっている。

(Future 2015年10月5 日号)

日本製紙/IJフォーム用紙の進化版“NPiフォームNEXT-IJα”
 日本製紙はこのほど上質インクジェット・フォーム用紙の業界標準紙である“NEXT-IJ”の進化版として、新製品“NPiフォームNEXT-IJα”販売を開始する。生産は岩国工場。
 NPiフォームNEXT-IJαはプリンターの進化にともって高まるIJ用紙への品質要求に高いレベルで応える新製品。同社が培ってきた抄紙塗工技術を用い、高い印字濃度とドット再現性、印字耐水性、高精細な色の諧調性などを実現する。同一印字条件で従来品と比較すると、印字濃度は最大20%向上、また裏抜けしにくい特性により坪量を最大20%減らしても同等の印字濃度が得られる。
 同社では、これらの特徴を活かすことにより、従来IJが使用されていなかった分野や、IJインク使用量の低減の可能性をユーザーに提案していく。用途としては、請求書のほかチラシやリーフレットなどの商業印刷にも利用できる。

(Future 2015年10月5 日号)

王子ネピア/男性用尿ケア用品“B-lockインナーシート”
 王子ネピアはこのほど、ネピア初となる男性用尿ケア用品“nepia B-lock(ビーロック)インナーシート”を発売した。
 同社の調査によると、40〜70代男性の39%が尿モレの自覚症状があり、そのうちの75%が排尿後尿滴下(ちょいモレ)を経験している。その一方で、「尿モレ=介護・病気」といったイメージがあるため、対策商品の購入には抵抗を感じ、“ちょいモレ”経験のある男性の70%が何も対策していないことがわかった。
 尿モレ対策品へのそうした抵抗感を踏まえ、B-lockインナーシートは業界最薄級の薄さ2.5oを実現、アウターに響きにくく手軽に使える設計とした。パッケージも、一般的な尿モレ対策商品とは一線を画したスタイリッシュなデザインを採用し、男性が身だしなみアイテムとして日々使いやすい商品を目指した。
 なお、インナーシートと組み合わせて使える“nepia B-lockホルダーパンツ”も併せて展開する。

(Future 2015年10月19 日号)

紙・板紙需給7月/板紙の国内出荷は増加したが紙は16ヵ月連続減
 日本製紙連合会が集計した7月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+0.3%と、2ヵ月連続の増加となった。前々年同月比は△2.0%。
 紙・板紙国内出荷の内訳は、紙が前年同月比△0.6%の114.9万tで16ヵ月連続のマイナス(前々年同月比△4.3%)、板紙は+1.3%の97.9万tで2ヵ月連続の増加(前々年同月比+0.9%)。主要品種のうち新聞用紙、情報用紙、包装用紙、白板紙以外は前年同月比がプラスだった。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比+14.9%の10.1万tとなり、13ヵ月連続の増加。うち紙は+16.1%の7.0万tで、アジア向け向けを中心に3ヵ月連続増。板紙は+12.4%の3.0万tとなり、主力の東南アジア向けは減少したが、東アジア、南アジア向けの増加により33ヵ月連続増を記録した。
 紙・板紙の月末在庫は前月比△5.5万tの200.2万t、3ヵ月ぶりの減少となった。うち紙は、印刷・情報用紙、衛生用紙、新聞用紙を中心に4ヵ月ぶりに減少し△3.9万tの133.9万t。板紙は△1.6万tの66.3万tで、段ボール原紙を中心に2ヵ月連続の減少。
 以下は主要品種の動向である。
 〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年同月比△3.9%の25.6万tで、17ヵ月連続の減少。前々年同月比は△8.1%。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比+0.8%の62.8万tで、16ヵ月ぶりのプラス(前々年同月比△5.6%)。メーカー輸出は前年同月比+24.2%の5.4万tで、3ヵ月連続増。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は未晒、晒ともに減少して前年同月比△7.0%の5.9万t。7ヵ月連続の減少となった(前々年同月比△5.1%)。メーカー輸出は前年同月比+1.3%の1.1万tで、4ヵ月連続の増加。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷はトイレットペーパーを中心にティシュも増加して、前年同月比+3.5%の14.3万t。4ヵ月連続増となった(前々年同月比+5.6%)。
 〔板 紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比+2.2%の79.5万tで、2ヵ月連続の増加(前々年同月比+1.7%)。白板紙は△1.4%の11.7万tで、10ヵ月連続の減少(前々年同月比△1.8%)。

(Future 2015年9月21 日号)

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