業界ニュース

王子コンテナー/福島工場を増強しコルゲーター2台体制に
王子ホールディングスは、段ボール製品を製造・販売する王子コンテナー・福島工場(福島県伊達市)の増強工事を決定した。
 王子コンテナーはグループの段ボール事業における中核企業として全国に26工場を展開し、段ボール製品の製造・販売を行っている。このうち福島工場は福島県伊達市で約40年間、地域に根ざした事業を続けているが、東日本大震災以降は被災した仙台工場(宮城県多賀城市)の生産をカバーするなど、生産量が大幅に増加している。
 また東北地方は今後、各種産業の復興が本格化すると見込まれ、それに伴って段ボール需要の回復が予想される。 こうした状況を踏まえ、王子コンテナーでは現在の福島工場の敷地内に建屋を拡張し、生産設備の増設を図る増強工事を実施することにしたもの。
 この増強工事により、福島工場の基盤は質・量ともに大幅に強化される。「南東北地区有数の段ボール工場として、引き続きこの地で将来にわたり伊達市、福島県、東北地方の地域経済と地域社会に貢献していきたいと考えている」(同社)
 段ボール工場の設備増強は、既設のコルゲーター設備などを最新鋭のものと入れ替えるS&B型が一般的で、コルゲーター2台の体制というのは異例。その理由としては、同工場が仙台など自社およびグループ工場へのシート供給という役目を持っていることが挙げられる。
 福島工場の現有設備能力は月産600万〜700万m2だが、うち5割強がシート出荷、5割弱がケースと前者の比率が高い。設備増強後の月産は優に1,000万m2を超えるが、シートとケースの比率は大きくは変わらない見通しだ。完成は来年夏。
 さらに現有設備で操業を続けながら、隣接地に新設備を建設できるほど敷地面積が広いことも福島工場の特長の一つ。もともとグランド施設があった土地を活用するためだ。新しい建屋では工場所要電力の半分くらいを賄える太陽光発電設備のほか、地元から希望の多い工場見学用の専用ルートも設ける(イラストは新工場の完成予想図)。
 また今回の設備投資は、国から「ふくしま産業復興企業立地補助金」の指定を受けており、県を通じて補助金が支給される。補助金の前提は地域の雇用が増えることだが、同社では15名の新規雇用を予定している。したがって総従業員数は90名の体制で、1人当たり生産性では群を抜く存在となる。
【増強後の新福島工場】▽敷地面積:約6万m2 ▽延床面積:約3万9,000m2 ▽主な投資内容:生産設備(貼合機・製函機)、建屋拡張、太陽光発電設備ほか…工場内は工場見学ルートの機能も兼ね備えた安全・環境に配慮したレイアウトを計画 ▽投資総額:約65億円 ▽運転開始時期:2014年夏を予定(現有設備で操業を続けながら増強工事を実施)
【現在の福島工場】▽所在地:福島県伊達市保原町字東野崎100番地 ▽工場沿革:1972年9月、伊達市保原町の現在地に東北パッケージ鰍設立。73年7月、段ボールシートおよび段ボールケースの製造販売開始 ▽敷地面積:約5万8,000m2 ▽延床面積:約1万5,000m2 ▽従業員 数:75人(13年3月末現在)▽生産品目:段ボールシート、段ボールケース(飲料、青果物、衛生用品、電機、薬剤・洗剤など向け)▽販売 エリア:福島県、宮城県、山形県、岩手県、新潟県、茨城県
【王子コンテナーの概要】▽設立:2005年10月1日 ▽資本金:100億円 ▽代表者:社長・渡 良司 ▽株主:王子パックスパートナーズ100%(同社は王子ホールディングス100%出資の中間持株会社)▽本社所在地:東京都中央区銀座5−12−8 王子ホールディングス1号館 ▽工場:釧路、札幌、青森、仙台、福島、霞ヶ浦、つくば、茨城、宇都宮、高崎、埼玉、東京、神奈川、長野、富士、静岡、名古屋・幸田、滋賀、大阪、兵庫、三原、防府、徳島、愛媛、九州北、熊本(計26工場)▽従業員数:2,036人(2013年2月末現在)▽事業内容:段ボールシート・ケースの製造販売、包装機械の開発・販売、包装資材の製造販売

(Future 2013年4月22日号)

三菱製紙/DBJ環境格付の最高ランクを取得
 三菱製紙はこのほど、日本政策投資銀行(=DBJ)からDBJ環境格付の最高ランクを取得、「DBJ環境格付」に基づく融資を受けた。
 DBJ環境格付は、DBJが開発したスクリーニングシステム(格付システム)によって企業の環境経営度を評点化し、得点に応じて融資条件を設定するという、世界で初めての融資メニュー。高い評価を受けると金利の優遇がある。三菱製紙は次の3点が評価された。
@製品のライフサイクルを通じた環境負荷評価により環境配慮製品の特性を明確化し、販売拡大を推進している点
AFSC森林認証に積極的に取り組み、全ての紙生産拠点でのCoC認証取得や社有林でのFM認証の取得推進など、森林資源の持続可能な利用に貢献している点
B「FSC森林認証の森」サポーター制度やエコシステムアカデミーによる「Mori−smile」プロジェクトを通じ、ステークホルダーと協働しながら生態系保全活動を実施している点

(Future 2013年4月15日号)

2012年紙・板紙、原材料需給/落ち幅が縮小も底入れには至らず
 日本製紙連合会の集計による、昨年1年間の紙・板紙と原材料の需給実績がまとまった。その背景となる2012年の日本経済を振り返ると、まず前半はエコカー補助金や第3次補正予算の執行による復興需要など政策効果の発現で国内景気が堅調に推移。だが後半はこれまで景気を支えてきた個人消費が息切れするとともに、長引く円高や海外経済の減速化、尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化などから、輸出や鉱工業生産が低迷、景気は弱含みの展開となった。
 それでも前半の貯金が効いて実質GDPは+1.9%と、個人消費や復興需要など政府支出の増加が寄与し2年ぶりのプラス成長を記録している。
【概況】
 紙・板紙需給については、生産が前年比△2.5%の2,595.7万t、出荷が同△2.7%の2,581.0万tと生販とも前年を下回り、2年連続の減少だった。東日本大震災の影響も徐々に薄れ、12年は持ち直しが期待されたが、円高を背景とした輸入の増加(+6.2%の221.9万t)に年央以降の需要低迷もあって、生販いずれも落ち幅が縮小するにとどまった。
 在庫は国内向け出荷の減少と被災したマシンの再稼働による供給力の上昇から、紙・板紙とも高水準で推移した。市況(日銀企業物価指数)は輸入との競合や古紙価格の低下などもあり、後半からは紙を中心に下落基調が鮮明となった。
 原材料のうち、製紙パルプは紙生産低迷の影響を受け生販ともに前年比マイナス。輸出も円高などが響き2年連続で減少した。古紙は消費・入荷いずれも2年連続の前年割れ。そうした中、輸出はシェアの8割を占める中国向けの増加が寄与し、過去最高の492.9万tを記録した。
 パルプ材は、パルプの生産減を受けて消費が前年比△4.2%、集荷はそれに伴って△3.6%となった。その中で針葉樹チップでは、国産が前年を上回る住宅着工数などに伴い、価格競争力のある製材残材チップの安定的な供給があったことから+2.6%となったが、その一方で輸入は△17.0%と大幅減。また広葉樹では、紙生産減の影響を大きく受けた輸入が△3.8%と減少している。
◇ ◇
 新政権発足後、2013年の日本経済は株価の回復や円高の是正、さらに政府の緊急経済対策などにより、各シンクタンクの見通しが上方修正されており、一部指標には早くも底入れの動きが出てきている。
 製紙連では「紙・板紙についても、大震災後に低迷していた輸出に回復の兆しが見られるようになり、また輸入も減少、在庫水準も峠を越したものと考えられるが、需給ギャップを解消するまでには至っていない」と分析。したがって「当面の間は、需給バランスの改善に向けた取組みを着実に進めつつ、加えて経済政策がどこまで実現するかによって景気動向が変わる可能性もあるため、需要動向には細心の注意を払う必要がある」(同)としている。

(以下、詳細はFuture 2013年3月11日号)

紙・板紙需給1月/衛生用紙と段原紙の国内出荷がプラスに
 日本製紙連合会が集計した1月の紙・板紙国内出荷は前年同月比△1.0%の191.0万tで、8ヵ月連続の減少となった。うち、紙は△1.9%の112.7万tで10ヵ月連続の減少、逆に板紙は+0.3%の78.3万tと2ヵ月連続で増加している。主要品種を見ると衛生用紙、段ボール原紙を除き軒並み減少。ただし、輸出を含めた出荷の合計ベースは紙・板紙で+0.3%の197.9万tと、ほとんど横ばいながらも前年5月以来の増加だった。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+64.2%の6.9万tで、5ヵ月連続のプラス。震災前の水準は下回るも、紙を中心にアジア向けが増えている。
 紙・板紙の在庫は前月比+8.1万tの206.6万tで、4ヵ月ぶりの増加。うち、紙は+5.0万tの142.6万tで、新聞用紙、印刷・情報用紙を中心に4ヵ月ぶりに増えている。板紙は+3.1万tの64.0万tで、こちらも段ボール原紙を中心に4ヵ月ぶりの増加となった。
 以下、主要品種の動向である。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は前年同月比△3.0%の62.4万tで、10ヵ月連続の減少。輸入が減少しているにもかかわらず、国内の荷動きは全般的に低調だった。他方、輸出は+54.6%の4.6万tと前月の減少からプラスに転じた。主力の塗工紙の増加(+71.3%の3.7万t)が大きい。
〔衛生用紙〕国内出荷は前年同月比+1.6%の12.9万tと、前月の減少から増加。ティシュは横ばいも、トイレットペーパーの増加が影響している。
〔段ボール原紙〕国内出荷は前年同月比+0.6%の60.9万tと、ほとんど横ばいながら2ヵ月連続の増加。ただし不需要期でもあり、荷動きに乏しい展開だった。
〔白板紙〕国内出荷は前年同月比△2.8%の11.1万tで、3ヵ月連続の減少。荷動きは引き続き低調である。

(Future 2013年3月11日号)

平成25年度税制改正/コジェネ設備がグリーン投資減税の対象に
 日本製紙連合会は2月20日に開催した理事会で、平成25年度税制改正に対する要望の結果を取りまとめた。
 周知のように政府は1月29日、新年度の税制改正大綱を閣議決定。今回の大綱は安倍内閣が最優先課題とする経済再生と、来年4月に第一段階の税率引上げが予定される消費税増税への対応に重きを置いた内容となっており、企業向けには設備投資を喚起するための新たな税制の創設や、現行の環境関連投資促進税制、研究開発税制の拡充に加えて、雇用拡大につなげることを狙った所得拡大促進税制の創設、雇用促進税制の拡充などが盛り込まれた。
 一方で国際競争力の強化、持続的発展に向けて紙パを含む産業界が要望していた「法人実効税率のさらなる引下げ」などについては、次年度以降へ検討が先送りされた。
 まず、紙パが要望していたグリーン投資減税の延長・追加に関しては、取得価額の30%の特別償却を認める現行制度の適用期限を2年延長し、2016年3月末までとすることが決まった。業界関連ではバイオマス燃焼ボイラー、リグニン燃焼ボイラーが対象となる。また全額を一括償却できる対象資産に、熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)を加えることになった⇒2015年3月末まで。
 このほか、業界関連事項では以下のような改正が行われる。
(1)生産等設備投資促進税制(創設)…国内生産設備などへの投資額を前年度比で10%以上増加させた場合に、機械装置取得価額の30%の特別償却または3%の税額控除を可能とする⇒2015年3月末まで。
(2)固定資産税課税標準の特例(追加)…熱電併給型動力発生装置の固定資産税は、課税標準を最初の3年間について取得価額の6分の5とする⇒2015年3月末まで。
(3)研究開発税制(拡充)…研究開発税制総額型(研究開発費用の8〜10%の税額控除)は、控除税額の上限を法人税額の30%(現行20%)に引き上げる⇒2015年3月末まで。
(4)所得拡大促進税制(創設)…国内雇用者への給与支給額を基準年度比5%以上増加させた場合、支給増加額の10%について税額控除を可能とする⇒2016年3月末まで。
(5)雇用促進税制(拡充、ただし上記(4)とは選択適用)…雇用者数が前年度比1割以上かつ5人以上増えた場合、税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40万円(現行20万円)に引き上げるほか、雇用者適用要件を緩和する(年度途中に65歳になった雇用者を、減少人数としてはカウントしない)⇒2014年3月末まで。
 ちなみに今後の検討事項とされ、今回制度変更が行われなかったものは次の通り。
◇法人実効税率のさらなる引下げ
◇地球温暖化対策税の見直し
◇償却資産に対する固定資産税の見直し
◇印紙税の廃止
◇欠損金の扱いの見直し
◇受取配当益金不算入の見直し
◇連結納税制度の見直し
◇移転価格税制の適正化
◇外国税額控除制度の見直し
◇特定資産の買換特例制度(長期所有の土地、建物等)の見直し
◇企業年金に関する特別法人税の廃止
◇固定資産税(地方税法)の課税評価基準の法人税法残存簿価への統一
◇地方税納付手続きの簡略化

(Future 2013年3月11日号)

日本製紙/新体制移行後の役員を発表
 日本製紙グループ本社と日本製紙は、かねて公表の通り、4月1日付で日本製紙を存続会社とする吸収合併を実施し、日本製紙グループ本社は解散する。また新生・日本製紙では、執行役員制度を導入する。新しい役員体制は次の通り。
 〔代表取締役陣容=4月1日〕▽代取会長・中村雅知(日本製紙G本社取締役会長)▽代取社長、社長執行役員・芳賀義雄(代取社長、日本製紙G本社代取社長)▽代取副社長、副社長執行役員−板紙事業本部長・岩瀬広徳(専務−板紙事業本部長、日本製紙G本社取締役)▽同、副社長執行役員−管理本部長兼CSR本部長・本村秀(専務−管理本部長、日本製紙G本社取締役−管理本部長)
 〔退任代表取締役=4月1日〕▽常任顧問・山下勁(代取副社長、日本製紙G本社代取副社長−CSR本部長)
 〔取締役・監査役陣容=4月1日〕▽取締役、常務執行役員−企画本部長、関連企業担当・馬城文雄(常務−企画本部長、日本製紙G本社取締役−企画本部長兼理文造紙プロジェクト推進室長、原材料管掌)▽同、常務執行役員−総務・人事本部長・丸川修平(常務−総務・人事本部長、日本製紙G本社取締役−総務・人事本部長)▽同、執行役員−技術本部長、研究開発本部管掌・山崎和文(取締役−技術本部長、日本製紙G本社取締役−技術研究開発本部長)▽同、執行役員−原材料本部長・藤澤治雄(取締役−原材料本部長)▽常任監査役・濱島明人▽監査役・寺尾誠▽同・房村精一▽同・坂本邦夫
 〔上記以外の執行役員=4月1日〕(現職省略、下線は変更箇所。*印は執行役員制度導入に伴う退任取締役)▽専務執行役員−ケミカル事業本部長・八巻眞覧(*)▽常務執行役員−石巻工場長兼岩沼工場長・藤崎夏夫(*)▽同−新聞営業本部長・赤津隆一(*)▽同−印刷用紙営業本部長兼情報用紙営業本部長・佐藤信一(*)▽執行役員−岩国工場長・大田雅彦(*)▽同−北海道工場長・濱沖賢(*)▽同−勿来工場長・煙山寿▽同−紙パック事業本部長・大市哲也▽同−富士工場長兼板紙事業本部長代理兼吉永工場長・音羽徹▽同−八代工場長・内海晃宏▽同−管理本部長代理兼経理部長・野沢徹▽同−釧路工場長・福島一守▽同−研究開発本部長兼総合研究所長・五十嵐陽三▽同−板紙事業本部長代理〈白板・産業用紙営業統括〉・遠山和伸▽同−板紙事業本部長代理〈段原紙営業統括〉・武藤悟
 〔上記以外の退任取締役=4月1日〕▽顧問・山田英継(専務−富士工場長兼板紙事業本部長代理兼吉永工場長)▽同・原田勇(常務−八代工場長)▽同・府川格(取締役−紙パック事業本部長)▽日本製紙クレシア取締役副社長・南里泰徳(取締役−研究開発本部長)▽日本製紙パピリア取締役副社長・内藤勉(取締役−釧路工場長)
 〔組織変更=4月1日〕▽経営監査室を新設▽CSR本部を新設し、同本部にCSR部、広報室を設置▽企画本部に関連企業部を新設▽研究開発本部にCNF事業推進室を新設▽技術本部に新事業開発部、エネルギー事業部を新設▽印刷・情報用紙営業本部を廃止し、印刷用紙営業本部と情報用紙営業本部を新設▽新設の印刷用紙営業本部に営業統括部、中質・出版用紙部、印刷用紙一部、印刷用紙二部を設置▽新設の情報用紙営業本部に情報用紙部、機能用紙部を設置▽板紙事業本部事業企画室、総務人事部、経理部、情報システム部を廃止し、板紙事業本部管理部を設置▽板紙事業本部生産技術部、設備技術部、環境安全部を廃止し、板紙事業本部技術部を設置▽板紙事業本部業務部、業務管理部、営業管理部を統合し、板紙事業本部業務部とする▽板紙事業本部印刷用紙部を板紙事業本部産業用紙部に改称▽板紙事業本部白板・産業用紙部を板紙事業本部白板・パッケージ部に改称▽紙パック事業本部総務人事部、経営企画部、海外事業推進室、管理部、業務部を廃止し、紙パック事業本部管理部を設置▽紙パック事業本部CSR・環境部、生産部、設備技術部を廃止し、紙パック事業本部技術部を設置▽紙パック事業本部需給管理部と営業第1部の一部を統合し、紙パック事業本部営業管理部とする▽ケミカル事業本部総務人事部、経理部、事業企画部を廃止し、ケミカル事業本部管理部を設置▽ケミカル事業本部生産管理部をケミカル事業本部技術部に改称
=王子エフテックス=
 〔人事異動=3月1日〕▽企画管理部長・宮原成和(江別工場事務部長)▽営業本部ES開発営業部長兼務・菊地康介営業本部副本部長兼特殊紙営業部長▽江別工場事務部長・青木茂樹(営業本部ES開発営業部長)
=北越紀州製紙=
 〔執行役員人事=4月1日〕▽執行役員・堀川淳一経営管理部長▽同・清水春一洋紙事業本部紀州工場工務部長▽同・山本光重大阪支社長▽同−資源・原料本部長兼資材部長・草加信平資源・原料本部海外資源部長▽同・内山公男白板紙事業本部関東工場勝田工務部長▽同・近藤保之経営企画部長兼新事業推進室室付部長
 〔退任執行役員=3月31日〕▽矢澤秀男(執行役員資源・原料本部長兼資材部長)
=新生紙パルプ商事=
 〔組織変更=4月1日〕<社長直轄>▽内部監査室を監査部に改称
<営業統括本部>▽開発部を開発課とし経営企画部内に置く▽東京本店の営業業務管理部を営業管理課とし経営企画部内に置く▽経営企画部内に企画課を置き、前記2課と合わせて3課制にする▽管理統括本部の情報システム部と業務管理部を統合し、システム企画部(2課制)に改称して営業統括本部に移管
<管理統括本部>▽総務人事部の環境課と広報課を統合し広報環境課とする▽保険部を保険課として総務人事部内に置く▽業務部を東京本店に移管し経理部(2課制)に改称▽経理財務部は財務部に改称
<東京本店>【業務本部】▽仕入企画部の業務課を仕入部に移管▽仕入部を4課制から3課制にしたうえで、前記と合わせ4課制にする▽物流部のカスタマーサービス課を物流部二課と統合 【第一ペーパー事業部】▽卸商一部と卸商二部を統合して卸商部とし、計4課制から2課制にする▽特殊情報用紙部を2課制から1課制にする▽受注課を廃止 【パッケージ事業部】▽段ボール部を2課制から1課制に、板紙部を3課制から2課制に、パッケージ業務部を2課制から1課制にする 【化成品事業部】▽化成品部を2課制から1課制にする
<大阪支店>▽第一ペーパー事業部の営業一部を卸商部に改称▽第一ペーパー事業部の営業二部を印刷用紙部に改称▽第二ペーパー事業部の営業一部を印刷情報用紙部に改称▽第二ペーパー事業部の営業二部を直需部に改称▽第二ペーパー事業部の特殊開発部を特殊開発課とし、印刷情報用紙部内に置く▽経理部と総務部を統合して総務部とし3課制にする
<名古屋支店>▽ペーパー事業部の情報特殊用紙部とパッケージ事業部の板紙部を、それぞれ2課制から1課制にする
<海外事業部>▽貿易部を3課制から2課制とし、機能材部を新設

(Future 2013年3月18日号)

日本製紙グループ/本社を移転
 日本製紙グループは、4月1日付で実施する組織再編に先立ち、3月25日からグループ各社の本社を次記に移転する。
<移転先>〒101−0062 東京都千代田区神田駿河台4−6 御茶ノ水ソラシティ
<電話・FAX>▽日本製紙グループ本社電03−6665−1000(変更なし) F03−6665−0300▽日本製紙電03−6665−1111(変更なし) F03−6665−0300
<移転する会社>▽日本製紙グループ本社▽日本製紙▽日本製紙クレシア▽日本製紙パピリア▽日本製紙木材▽日本紙通商▽日本製紙ビジネスサービス

(Future 2013年3月18日号)

日本製紙クレシア、日本紙通商/本社を移転
 日本製紙グループの本社移転に伴い、日本製紙クレシアと日本紙通商が、次記の通り移転の詳細を発表した。
〔本社移転先(両社共通)〕〒101−0062 東京都千代田区神田駿河台4−6 御茶ノ水ソラシティ(電話番号は従来通り)
●日本製紙クレシア
〔業務開始〕3月25日(移転作業:20〜24日)
〔新FAX番号〕(局番はすべて03−6665)▽代表/総務・人事本部0370▽お客様相談室/技術本部0372▽企画本部0371▽マーケティング本部0374▽業務本部0373▽家庭用品営業本部/業務用品営業本部0375▽直需営業本部:本部/直需営業部/直需営業推進1部/直需営業推進2部0376、機能材板紙営業部0378
●日本紙通商
〔業務開始〕3月25日(移転作業:15〜24日)
〔新FAX番号〕(局番は、特に記載がない場合は03−6665)▽経営監査室0400▽経営企画本部0402▽管理本部:総務部/人事部0401、管理部0402、情報システム部0308、審査部/環境室0400▽仕入物流本部:仕入部0404、物流部0405▽卸商本部:卸商部1G/卸商業務G(1G担当)0406、卸商部2G/卸商業務G(2G担当)0407▽新聞出版用紙本部0408/0409▽直需本部:直需部0410/0411、開発営業部0410▽情報用紙本部:情報用紙1部0412、情報用紙2部0413/0414、コールセンター03−3790−7053▽機能・包装材料本部:産業・フィルム包材部0420/0421、機能材部0417、新素材部0418、板紙パッケージ部0419▽物資・貿易本部:薬品部0422、化成品・資材部0423/0424/0425、パルプ・原料部0426、貿易部/物資・貿易企画室0415

(Future 2013年3月18日号)

王子グループ/資本関係整理のためグループ内で吸収分割実施
 王子ホールディングスは、持株会社制移行後の資本関係の整理を目的として、段ボール加工事業に係る関係会社株式等管理事業を、4月1日付で100%子会社の王子パックスパートナーズに承継させる。また王子パックスパートナーズは、引き継いだ関係会社株式等管理事業を、同日付で同社100%子会社の王子コンテナーに継承させる。いずれも両社間で2月12日、吸収分割契約を結んだ。
 王子HD→王子パックスパートナーズ→王子コンテナーへと分割する資産は、株式(帳簿価格)15億4,800万円と借入金(帳簿価格)9億7,200万円。

(Future 2013年3月4日号)

日本製紙/買収防衛策と株主優待を日本製紙G本社から継承
 日本製紙グループでは、すでに公表している通り、純粋持株会社制から事業持株会社制への移行に伴い、日本製紙が4月1日付で完全親会社の日本製紙グループ本社を吸収合併する。それに伴い、日本製紙グループ本社の買収防衛策も引き継ぐことになるが、このほどその内容を公表した。
 同社では買収防衛策として、大規模買付に関する情報提供などのルールを定め、その大規模買付ルールに従うことなく買収行為を開始した者に対しては、対抗措置として既存株主への新株予約権無償割当て、いわゆるライツプランを発動する。またこの発動に当たっては、経営陣からの独立性が高い社外者のみで構成される独立委員会の判断を経た上で実施する。なお、今のところ両社に対する買収行為は見られない模様。
 現在の日本製紙グループ本社の主な大株主と議決権比率は、日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)10.79%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)5.80%、日本生命保険2.99%、レンゴー2.92%、日本製紙グループ本社従業員持株会2.69%など。
 また吸収合併に伴い、日本製紙グループ本社の株主優待制度も日本製紙が継承する。同制度では、毎年3 月 31 日時点の株主名簿に記録された 100 株以上の株主全員に、日本製紙グループの家庭用品詰め合わせ1 セットが、7月上旬に発送されることとなっている。

(Future 2013年3月18日号)

レンゴー/石川製作所の第三者割当増資を引受
 レンゴーは、石川製作所が実施する第三者割当による新株式発行を引き受ける。
 石川製作所は、紙工機械、システム機器、繊維機械、防衛機器など各種機械機器の製造・販売事業を展開しており、2009年にはレンゴーグループの紙器機械事業を引き継いだ。以降、段ボール製造機械関連を中心に、レンゴーとは良好な取引関係を継続している。レンゴーは、同社の経営安定化と、段ボール製造機械の安定供給のため、第三者割当増資を引き受けるもの。
 レンゴーが引き受ける株式数は1,270万株で、引受総額は10億1,600万円。3月4日付で実施する。現在、レンゴーは石川製作所の株式を保有していないが、増資引受後はレンゴーが筆頭株主となり、議決権比率は19.96%となる。レンゴーは、このあとも20%に達するまで市場から石川製作所の株式を取得し、同社を持分法適用会社とする予定。
<石川製作所の概要>
〔所在地〕石川県白山市福留町200番地
〔代表者〕竹田〓文社長
〔設立〕1937年1月
〔従業員数〕333名(2012年9月末)
〔主な事業所〕本社・工場、東京研究所、東京営業所
〔資本金〕45億3,300万円(2012年9月末)
〔発行済株式総数〕5,115万9,720株(2012年9月末)
〔大株主〕伊藤忠商事、北國銀行、日本生命保険相互、明治安田生命保険相互、北日本紡績など
〔業績〕売上高98億5,400万円、営業利益2億6,200万円、経常利益1億2,400万円、当期純利益9,100万円(2012年3月期)

(Future 2013年3月11日号)

王子ホールティングス、三菱化学/CNFの連続シート化に成功
 王子ホールディングスと三菱化学は、王子ホールディングスの東雲研究センター(東京都江東区)にセルロースナノファイバー(CNF)の連続シート化設備を設置し、サンプル製造および供給を開始する。
 パルプをナノオーダーまで解繊したCNFはガラス繊維並みに小さい線熱膨張係数、同繊維より高い弾性率をはじめ、低環境負荷などさまざまな特徴をもつが、その細さゆえに従来抄紙機でのシート製造がきわめて難しかった。
 これに対し両社では化学処理技術、製紙技術、シート加工技術を融合した製造方法を開発し、約4nmの超極細CNFを用いた透明連続シートの製造に世界で初めて成功。開発した透明シートは軽量で紙のように折りたためるため、必要なときに開いて使用できる大型ディスプレーや太陽電池などへの応用が期待されている。
 また、平均繊維径が数十nmのCNFを用いた連続シートでは、多孔質材料の機能を決定する比表面積、細孔径、空隙率の自由な制御技術を確立することにより8.0g/m2の極薄シートの製造に成功し、さらに85.0g/m2までの広い坪量範囲をもつ多孔シートの製造と供給を実現した。同シートは、比表面積を増加させて高い吸着性を付与した吸着材、細孔径を小さくし空隙率を高めることにより効率的に微細な物質をろ過できるフィルター、良好な透過性をもつセパレーターなどへの応用が期待されているほか、シート内部にナノ粒子を組み込むことにより、触媒、抗菌、脱臭等の機能をシートに付与させることも可能。
さらに透明シートおよび多孔シートは樹脂と複合化することにより、樹脂の透明性は維持しつつ、温度変化にともなう伸縮が小さい、丈夫でフレキシブル、といった特長を付与できるため、エレクトロニクス、輸送機器、建材、医療などの多様な分野への展開が考えられるという。
 CNFシートの物性は次の通り。
 繊維径4〜80nm、坪量8〜85g/m2、比表面積39〜148m2/g(コピー用紙の40〜150倍)、平均細孔径;8〜46nm(コピー用紙の100分の1〜500分の1)、空隙率35〜62%。

(紙パルプ技術タイムス2013年4月号)

日本製紙/セルロースナノファイバー実証生産設備を新設
 日本製紙は、パルプを原料とするセルロースナノファイバー事業を推進するため、ケミカル事業本部岩国事業所(山口県岩国市)に、セルロースナノファイバーの実証生産設備を設置する。
 セルロースナノファイバーとは、植物繊維(パルプ)を1μの数百分の1以下のナノオーダーにまで細かく解繊したもの。弾性率が高強度繊維で知られるアラミド繊維並みに高く、温度変化に伴う伸縮はガラス並みに良好、酸素などのガスバリア性が高いなど、優れた特性を持つ。また、植物繊維由来なので生産・廃棄時の環境負荷が小さく、軽量であることも特徴の一つ。このため補強材、増粘剤、ガスバリア材など、さまざまな用途展開が期待できる。
 日本製紙が新設する実証生産設備は、パルプを化学的に前処理して解繊しやすくすることを特徴としており、基礎的な開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ナノテク・先端部材実用化研究開発プロジェクト」で行われてきた。化学処理によるセルロースナノファイバーの本格的生産設備としては国内初の設置であり、経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」の対象にも採択されている。年間生産能力は30t以上で、10月から生産を開始する予定。
 日本製紙にとっては、セルロースナノファイバーの事業化に向けて本格的なサンプル供給が可能となり、用途開発をスピードアップできる。同社では、「総合バイオマス企業として、再生可能な森林資源の総合利用技術をさらに高め、事業領域の拡大を図る」と抱負を述べている。

(Future 2013年3月18日号)

日本製紙/セルロースナノファイバー専任組織を新設
 日本製紙は、パルプを原料としたセルロースナノファイバー(=CNF)事業を推進するため、研究開発本部の専任組織として、4月1日付で「CNF事業推進室」を新設する。量産化技術の確立および用途開発を推進し、CNFの早期事業化を目指す。同社では、CNFの実証生産設備についても、10月からの生産開始に向けてすでに準備を進めている(前号既報)。

(Future 2013年3月18日号)

日本製紙/石巻のコンテナ列車輸送が再開
 日本製紙は、東日本大震災により被災した石巻工場で、2月14日より工場発のコンテナ列車による製品輸送を再開。これにより、工場から直接コンテナ列車で全国へ製品を輸送する震災前の体制に復旧した。
 工場に隣接する日本貨物鉄道(JR貨物)の石巻港駅は昨年10月に鉄道輸送を再開したが、工場構内の線路は震災による津波の影響ですべて流失しており、復旧以前は製品を積み込んだコンテナをトラックに載せ石巻港駅まで運んでいた。

(紙パルプ技術タイムス2013年4月号)

中越パルプ工業/自製セルロースナノファイバーのサンプル販売を開始
 中越パルプ工業は、次世代先端技術として世界的に注目されているセルロースナノファイバー(CeNF)のサンプル販売を3月より開始した。
 パルプをナノ微細化処理することで得られるCeNFについて、同社は「まだ研究段階だが、優れた特性を有する素材を提供することで、さまざまな分野での新規用途開発が進み、産業の未来を切り開く一助になれば幸い」とコメントしている。
 CeNFはすべての植物の基本骨格物質で、パルプと水のみから製造する環境配慮型の製品。直径が100nm以下で、長さが直径の100倍程度以上の極細繊維状物質であり、セルロースを解繊処理して得ることができる。鋼鉄の5分の1という軽さでありながら、鋼鉄の5倍の強度、ガラスの50分の1という低線熱膨張を有する。さらに高吸着性・高強度・透明性・寸法安定性などにも優れている。
 中パのCeNFは自製パルプから製造した一貫生産品なので、原料となるパルプについても一般的な針葉樹や広葉樹にとどまらず、同社の特徴である国産竹の選択が可能。長年にわたるパルプ製造ノウハウを活かして、多種多様なCeNFを提供できる。
 今回用意するサンプルは幅広い用途での活用を考慮し、形状・原料・処理条件を以下のように選択でき、利用用途に合わせて製造するとしている。
〔形状〕スラリー状(固形分濃度1%)、ペースト状(同10%)、ポリエチレンとの混練樹脂ペレット(配合率3〜10%)
〔原料〕竹漂白パルプ、広葉樹漂白パルプ、針葉樹漂白パルプ
〔処理条件〕解繊度合(低…補強用、中…標準品、高…フィルム用)
 購入を希望する場合、@企業・団体・機関名 A所属・役職・担当者氏名 Bメールアドレス C電話番号 DFAX番号 E所在地 F用途 G原料処理条件、数量などを明記のうえ、メールにてmailto:cpc-cenf@chuetsu-pulp.co.jpまで照会する。問い合わせ先は同社高岡本社開発本部開発部CeNF担当

(Future 2013年3月18日号)

日本紙パルプ商事/メガソーラー事業に参入
 日本紙パルプ商事(=JP)は、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」を活用した大規模太陽光発電(メガソーラー)事業に参入する。
 同社グループは資源・環境事業を重点分野と位置付け、古紙・プラスチック・木質系廃棄物の再資源化事業や、古紙を利用した家庭紙製造事業、新エネルギー分野などへの事業投資を進めている。新エネルギー分野では、子会社を通じてバイオマス発電事業に参入したほか、太陽光発電事業を展開する東北の企業にも出資している。昨年設立されたサン・エナジー石巻とサン・エナジー洋野の2社に出資しており、出資比率は石巻が10%、洋野が33.53%、どちらも10MWの発電所を有している。
 今回のメガソーラーは、それをさらに拡大させたもの。JPが主体となって事業展開していく計画で、総事業費は約90億円、発電所の出力規模は20MW。2015年7月の稼働開始を予定している。「再生可能エネルギー固定価格買取制度」を活用して売電収益を得ながら、ノウハウをさらに蓄積し、資源・環境事業の拡充につなげたい考え。
<事業の概要>
〔事業会社名〕潟GコパワーJP
〔所在地〕北海道釧路市音別町中音別
〔代表者〕勝田千尋代取社長
〔資本金〕5,000万円(JP100%出資)。ただし金額と出資比率は今後変更される可能性あり
〔敷地面積〕約119ha

(Future 2013年3月11日号)

レンゴー/武生工場が日本電気協会北陸支部会長表彰を受賞
 レンゴーの武生工場はこのほど、日本電気協会北陸支部主催のエネルギー管理優良事業者等表彰で、平成24年度エネルギー管理優良工場として「日本電気協会北陸支部会長表彰」を受けた。
 武生工場はこれまで、ボイラー燃料を重油からLNGへ転換するなど、CO2削減や省エネに積極的に取り組んできた。そして今回の表彰では、最近実施した省エネタイプコンプレッサーの導入や、送風機更新による電力量の削減、建屋への遮熱塗装により天井裏温度の上昇を抑制し空調負荷低減につなげたことなど、きめ細かい節電への取組みが評価された。
 レンゴーはこのほかにも、全社的に電力デマンド監視装置を導入するなど、効率的な電力使用を徹底している。同社では、「今回の受賞を励みに、今後もCO2削減のための省エネ・省資源の取組みを強化する」としている。

(Future 2013年3月18日号)

大王製紙/消臭機能付TPを新発売
 大王製紙は3月21日、消臭機能付きのトイレットペーパー『エリエール 消臭+(プラス)トイレットティシュー 12R(ダブル)』を新発売する。
 近年は清潔・衛生に対する意識の高まりから、消臭芳香関連市場が拡大している。特にトイレの消臭ニーズは根強く、新製品はそうした消費者の声に応えたトイレットペーパー。ペーパーの「芯」に天然消臭成分である柿タンニンを塗布することで、悪臭の元となるアンモニア臭を取り除き、消臭芳香剤を使わなくてもトイレ内の悪臭を消すことができる。合わせてフレッシュクリアな香りも塗布しているので、さわやかな香りがトイレ内に広がる。

指定医薬部外品の消毒ウェットを新発売

 また大王製紙は3月21日、指定医薬部外品のウェットティシュ『エリエール 薬用 消毒できるアルコールタオル』を新発売する。
 2009年の新型インフルエンザパンデミックや、最近のノロウィルス流行を経て、除菌関連製品の市場規模が拡大傾向にある。除菌ウェットティシュ市場も直近10年間で2倍以上に拡大しており、12年度は09年度のパンデミック時に匹敵する見込み(同社調べ)。それと同時に除菌製品の性能アップを求める人も増えており、同社のユーザー調査によれば、菌を拭き取るだけでなく無害化したいと思っている人は64%に上った。
 そうしたニーズを捉えたのが今回の新製品。雑品扱いとなる除菌ウェットティシュに対し、『消毒できるアルコールタオル』は効能効果を訴求できる指定医薬部外品。殺菌成分配合の薬液をシートにたっぷり含ませることで、手指に付着したバイ菌をしっかり消毒できるようにした。手指を拭くことに特化しているため、シートは滑らかな手触りで手肉感のあるプレーンシートを採用。プレーンシートは薬液が染み込みやすく、より広範囲に薬液を塗布するのにも適している。

(Future 2013年3月18日号)

タグシクス・バイオ、DNP/偽造防止効果が高い人工DNA含有インク
 独立行政法人理化学研究所のベンチャー企業であるタグシクス・バイオと大日本印刷(=DNP)は、模倣が極めて困難な人工DNAを含有した印刷用インキを開発した。第三者による模倣がほぼ不可能で、高度な真贋判定ができるため、紙幣や金券など、高い偽造防止効果が求められる高付加価値印刷物への採用が期待される。
 DNAは、二重らせん上のA(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)という4種の塩基配列により遺伝子情報を伝達すると言われている。最近は、そのDNAの仕組みを利用して塩基配列を任意に設計することにより、正規品の認証や偽造防止などの真贋判定に利用するケースが増えている。同一の塩基配列を持つDNAは存在しないことから、高度な偽造防止技術として注目されているのだが、一方で、特殊な分析装置や解析技術があれば複製できてしまうという課題もあった。
 この課題を解決するため、タグシクス・バイオと大日本印刷は、模倣が極めて困難な人工DNAを利用し、偽造防止効果を格段に向上させたDNAインキを開発した。人工DNAは、基本となる4種の塩基に、人工的に作り出した塩基対を組み込んだもので、開発したのはタグシクス・バイオ。人工DNAの分析には独自の特殊なノウハウを必要とするため、第三者による模倣は極めて難しい。また、人が触れるなど外部からDNAが混入した場合でも、人工の塩基が組み込まれているため混入DNAと区別でき、誤認などを防ぎ解析精度が高い。
 また、環境条件に左右されやすいDNAの保存性を高めたのは大日本印刷の技術。DNAのような生体分子は、光や温度、湿度などの環境条件によって、その保存性が低下する。大日本印刷は、光に強い塩基配列の人工DNAを使用するとともに、印刷物表面に人工DNAが露出しないよう表面を保護インキでコーティングすることで、環境条件による悪影響を受けにくくし、DNAの保存性を改善した。同時に、独自技術によってインキ内のDNA検出を可能にした。人工DNA含有インキの真贋判定は次の2通り。
@簡易認証…インキ内のDNAの有無を確認する。確認に要する時間は最短で半日程度。
A最終認証…インキ内のDNAの塩基配列を解析し、真贋を判定する。解析に要する期間は最短で1日半程度。
 このインクを使った金券などの制作費は、50万枚作る場合で1枚当り、DNAインキを使用しない場合に対して10〜20%程度のアップとなる(税抜き)。両社は今後、紙幣、パスポート、有価証券、公的文書向けなどに販売し、1年間で約3億円の売上げを目指す。

(Future 2013年3月4日号)


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