業界ニュース

大王製紙/いわき大王製紙に段原紙設備を増設
 大王製紙は、連結子会社のいわき大王製紙に段ボール原紙の抄紙機を増設する。可児工場で洋紙を生産しているN3抄紙機を改造して段原紙用に転抄し、移設する計画で、投資額は83億円、営業運転開始は2014年10月の予定。
 国内の段原紙供給は生産拠点が分散しており、品種によって出荷工場が異なる。いわき大王製紙は現在、Kライナー、ジュートライナー、白ライナー、中芯原紙を生産しているが、今回の増設では、要望の多い中芯原紙などで供給増を果たすほか、需要が増えつつある薄物ライナーを生産できる設備を導入する。小ロット・短納期化が進む中、全品種を積み合わせ配送できるようになるのは大きなメリット。これにより同工場は主要品種を1工場から安定供給できる国内唯一の工場となる。
 需給ギャップが生じている洋紙を生産調整する狙いもある。洋紙のN3抄紙機を中芯・ライナー用に転抄し、N3の生産品種を三島工場に集約することで、月7,000t規模の洋紙の生産調整が行える。
 いわき大王製紙は東日本大震災で被災したが早期に復旧し、現在は従前通りの生産状況。今回の増設は、ふくしま産業復興企業立地補助金の対象事業となっている。
<移設抄紙機の概要>
〔生産品種〕中芯原紙・ジュートライナー・薄物Kライナー
〔設備〕抄幅3,400mm
〔生産能力〕1万2,000t/月

(Future 2013年1月28日号)

レンゴー/インドネシアで4ヵ所目の段ボール工場開設

 インドネシアで事業展開する、レンゴーグループのスリヤ・レンゴー・コンテナーズ社(以下、SRC)は1月1日、4ヵ所目となる段ボール工場「カラワン工場」を開設した。敷地面積5万3,800u、建屋面積2万9,700uで、段ボールシート・ケースの年間生産能力は6万t。インドネシア国内最大級の段ボール工場となる。
 世界第4位の人口を抱え、成長著しい新興国として経済発展を続けるインドネシア。2012年のGDP成長率は6.0%と予想され、今後も旺盛な段ボール需要が見込まれている。SRCは、インドネシア大手のサリム・グループ傘下であるインドフードとの合弁会社で、レンゴーの出資比率は40%。日系、欧米系、地元大手企業向けに段ボールを提供している。
 カラワン工場は、日本を含めた外資系企業の進出が盛んなジャカルタ市東部近郊に位置するカラワン工業団地内にある。同工場の稼働により、ジャカルタ地区でのSRCの段ボール供給体制はさらに強化され、またSRC全体の生産能力も既存のジャカルタ、スラバヤ、スマランの3工場と合わせ年産19万2,000tに拡大する。
 レンゴーは、海外事業をコア事業と位置づけ、東南アジア、中国でパッケージング事業を強化してきた。中でもインドネシアは、92年の進出以来、レンゴーにとってASEAN の重要な戦略拠点。東南アジアにおけるレンゴーの段ボール製造拠点は、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムへと広がっており、同社では、「段ボール事業のさらなる充実とともに、同地域の経済発展と軌を一にした持続的な発展を目指す」と述べている。

(Future 2013年1月28日号)

リンテック/台湾の販売子会社が本格営業を開始
 リンテックでは、台湾・台北に昨秋設立した販売子会社「琳得科特殊材料股份有限公司(英文社名:LINTEC HI-TECH (TAIWAN), INC.)」が、1月から本格営業を開始した。資本金は3,000万円。昨年9月に完成したタイの新工場との連携も視野に入れ、工業用粘着製品などを中心に事業拡大を図る。
 アジア圏を中心に海外事業を強化・拡大しているリンテックは、東南アジア向けには主力販売子会社のリンテック・シンガポール社が核となり、シール・ラベル用粘着紙・粘着フィルムなどを拡販している。中国でも生産子会社の琳得科(蘇州)科技有限公司が粘着フィルムを生産・販売しており、昨年の6月には旺盛な需要を受けて第2工場を竣工した。またタイでは、9月に粘着フィルムと剥離紙の新工場を完成させている。さらに今年は、ベトナムのハノイでシール・ラベル用粘着素材などの販売子会社を設立、倉庫、裁断加工設備なども導入し、今夏を目途に本格営業を開始する予定。
 台北の販売拠点は、台湾、中国市場向け拡販戦略の一環として設立したもの。最近はシール・ラベル用の粘着紙・粘着フィルムに加え、スマートフォンなどの電子部品の貼り合わせ用粘着テープや、部材の抜き加工・搬送用の微粘着テープ、自動車用の各種粘着製品なども需要が急拡大している。台湾は今やIT産業立国として、エレクトロニクス関連の受託製造会社が数多く集積。そのネットワークは中国をはじめ世界各国に及び、特に工業用粘着素材を中国市場に積極展開していく上で、台湾の重要性は非常に高まっている。
 新会社では、主に携帯端末のディスプレー部材などの貼合わせに使われる両面粘着テープや、回路基板などの各種部材の抜き加工・搬送用の微粘着テープといった工業用粘着テープを中心に営業展開を開始。今後は、自動車用の粘着製品やウインドーフィルム、シール・ラベル用粘着紙・粘着フィルム、剥離紙・剥離フィルムについても注力していく。まずは日本国内の工場から製品供給していくが、将来的にはタイの新工場などと連携を図りつつ、同地域での事業拡大を図る考え。

(Future 2013年1月28日号)

日本紙パルプ商事/中井紙輸送を完全子会社化
 日本紙パルプ商事(=JP)は2月1日付で、連結子会社の中井紙輸送を簡易株式交換により完全子会社化する。これにより、グループの物流機能再編を機動的かつ円滑に進める。株式交換では、中井紙輸送の普通株式1株に対し、JPの普通株式0.7890株を割当てる。
<中井紙輸送の概要>
〔所在地〕東京都中央区勝どき3−12−1 フォアフロントタワー
〔代表者〕山田和博代取社長
〔事業〕運送業、貨物荷役業
〔資本金〕5,100万円
〔設立〕1949年12月26日
〔大株主〕JP98.9%(完全子会社化以前)
〔直近の業績(2012年3月期)〕売上高10億300万円、営業利益▲400万円、経常利益300万円、当期純利益300万円

(Future 2013年1月28日号)

樽谷包装産業、タルタニパック/パレット部門業容拡大に向け拠点を再配置
 包装資材総合メーカーの樽谷包装産業(樽谷清孝社長)とタルタニパック(同)はパレット部門の業容拡大を図るため、ロジマック営業部門、パレット工場、JPR尼崎デポを移転。これに伴い、樽谷包装産業の本社と営業部門ならびにタルタニパックの本社も併せて移転する。これにより、各事業所における適正スペース確保と神戸工場の物流効率化を図る。
<移転先>
▽樽谷包装産業/タルタニパック…〒660−0083 兵庫県尼崎市道意町7−1−3 エーリックビル4F
電06−6415−2700(電話番号は変更なし。移転先での営業開始日は2月12日)。
▽樽谷包装産業神戸工場/ロジマック営業/ロジマックパレット工場/JPR神戸デポ…〒658−0024 兵庫県神戸市東灘区魚崎浜町27−25 電078−855−4051 F078−855−4061(昨年12月17日より移転先での営業を開始している)

(Future 2013年1月28日号)

三菱製紙/八戸工場3号機を生産調整のため一時休止
 三菱製紙は12年12月下旬から八戸工場の主力抄紙機である3号抄紙機を当面の間休止し、月産1万t強を減産する。
 製紙産業を取り巻く環境は、国内需要の低迷と、輸入紙の流入拡大にともなう紙市況の下落などにより極めて厳しい状況にある。また、今後も世界的な景気後退による需給バランスの悪化が懸念されている。
 同社はこうした状況を踏まえ、12年夏より主力の八戸工場で、印刷・情報用紙を生産する6台の抄紙機で生産調整を実施してきた。今回の休止はそれに続く措置。生産効率の向上と減産強化による在庫削減のため、生産調整を1台のマシンに集約することとし、3号抄紙機の一時休止を決めたもの。

(Future 2013年1月7日号)

三菱製紙/国産材チップ製造子会社を統合
 三菱製紙は連結子会社である八戸林産(青森県八戸市)と北菱林産(岩手県北上市)を1月1日付で統合した。
 目的は国産材チップの安定確保、国産材チップの最適な生産・仕入体制の再構築によるコストダウンなどの推進で、八戸林産を吸収合併存続会社,北菱林産を吸収合併消滅会社として吸収合併を行い、商号も「新北菱林産株式会社」に変更。新北菱林産の本店は三菱製紙・八戸工場構内に設置した。

(紙パルプ技術タイムス2013年1月号)

レンゴー/自社株500万株を取得
 レンゴーは自己株式500万株を19億6,654万4,000円で取得した。買付期間は12年11月2〜30日。
 レンゴーは12年11月の取締役会で、発行済株式総数の3.88%に相当する1,000万株(取得価額40億円)を上限とする自社株取得を決議しており、今回の買付はその第一弾。同社では13年3月末までに取得を完了する予定。

(Future 2013年1月7日号)

日本紙パルプ商事/自社株270万株を約7億円で取得
 日本紙パルプ商事は2012年11月29日、東証のToSTNeT-3により、自己保有株を除く発行済株式総数の1.84%に相当する自社株270万株を取得した。
 取得総額は7億1,550万円。取得の目的は、「経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を実行するため」。

(Future 2012年12月24日号)

日本製紙/漢方薬の原料となる薬用植物の増殖技術を開発
 日本製紙はこのほど、挿し木増殖が難しいと言われる薬用植物のうち12種(マオウ属、チョウジなど)について、独自の発根技術を応用し挿し木による増殖技術を開発した。
 古来から漢方薬や医薬品の原料として活用されてきた薬用植物は、近年、世界的に東洋医学への関心が高まっていることから、中国や欧米で需要が増大している。日本国内でも健康意識の向上を背景に漢方が見直され、医療に取り入れられるようになってきた。
 しかし、国内で使用している薬用植物は80%以上が中国からの輸入とされ、また中国では、薬用植物の乱獲が砂漠化や資源の枯渇を招くとして、一部で輸出規制するなど、中国産生薬は価格が高騰する傾向にある。日本国内での薬用植物の栽培も検討されているが、挿し木増殖が難しいものが多く、一部植物種の栽培に留まっているのが現状だ。そのため、薬用植物の安定的な調達が社会的な課題となりつつある。
 そこで日本製紙は、「独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター」から薬用植物の地上部(茎葉)の譲渡を受け、独自に開発した発根技術である「光独立栄養培養技術」を応用して増殖に取り組んだ。その結果、12種の薬用植物で十分な発根を確認できたもの。これにより、薬用植物の挿し木苗を効率的に生産できるようになると同時に、薬用成分を多く含む優良系統を選別して増殖することも可能になる。

(Future 2012年12月24日号)

小津産業、東京大学/セシウム除染布の量産化に成功
 小津産業はこのほど、東京大学生産技術研究所と共同で、放射性セシウムを吸着する効果のある人工青色顔料「プルシアンブルー」と、これになじみやすい不織布を用いた放射性セシウム除染布の量産工程を確立した。
 福島第一原発の事故以降、放射性物質による環境汚染が深刻化している。なかでも半減期が長いセシウム137 イオンを水や土壌から除くことが最重要課題となっている。東京大学生産技術研究所の化学系有志研究グループは、大震災発生直後から研究を開始、環境省の支援と福島県飯舘村の協力を受けて、放射性セシウム吸着効果のある人工青色顔料「プルシアンブルー」を繊維に固定化する方法を開発した。これにより作製した放射性セシウム除染布は、他の陽イオンが多量に共存していても、微量のセシウムイオンを選択的に回収できる。研究成果は12年5月に発表されたが、量産工程が確立されていなかったため、実際の除染作業で活用するには至らなかった。
 その後、小津産業との共同開発を進め、プルシアンブルーとなじみやすい不織布を用いることで、放射性セシウム除染布の量産化に成功した。除染布の特長は次の通り。
 (1) 手作業で丁寧に試作した除染布と同程度のセシウムイオン回収能力がある
 (2) 2 種類の原料溶液へ不織布を浸すだけの簡単な生産方法
 (3) 軽くて丈夫で、プルシアンブルーが脱落しにくい
 (4) 切断が容易でさまざまな大きさ・形にできる
 (5) 従来品に比べ低コスト化が見込める
 小津産業は今後、除染布の大量生産を開始し、『五大力PB』の製品名で自治体、除染業者、除染装置メーカーなどへ供給していく予定。なお製品の特性上、使用後の処理も考慮し、基本的に個人への販売は行わないとしている。

(Future 2013年1月7日号)

全段連・段ボール需要予測/4年連続プラスも伸びは低調な13年
 全国段ボール工業組合連合会はこのほど、2013年暦年(1〜12月)の段ボール需要量(≒生産量)が前年比+0.5%の133億m2に達するとの予測結果を取りまとめた。2010年以来、連続のプラス成長だが、伸び率としては過去4年間で最も低い。また生産見込量の133億m2はピークの07年に対して95.2%という水準になる。
 2012年の国内経済は、復興需要を背景に緩やかな回復を続けていたが、欧州の債務危機や中国経済の減速、さらに日中関係の悪化などによる輸出の落ち込みから、7〜9月期はマイナス成長に陥った。段ボール需要も、年初は好調に推移したものの次第に伸び悩み、12年の合計は前年12月に全段連が公表した予測値=前年比+1.2%を下回り、132億3,300万m2で同+0.7%程度にとどまる見込みである。
 一方、12年11月に公表された民間調査機関10社の実質GDP成長率予測の平均値は、12年度が+0.9%、13年度が+1.3%となっている。各機関とも13年度は世界経済が徐々に底入れすると見ており、さらに年度後半における消費増税前の駆け込み需要も織り込んだ予測となっている。
 全段連では、このような経済見通しを考慮して13年の需要を予測したが、消費増税前の駆け込み需要は年内にはさほど期待できないと見て、低めの伸び率を見込んだ。期間別内訳は1〜3月が▲0.5%、4〜9月が+0.7%、10〜12月が+1.0%となっている。主な需要部門別動向は次の通り。
 〔加工食品用〕
 流通業界の低価格化、需要刺激努力と内食化によるインスタント食品などの好調、夏場の高温、節電による飲料の伸びを見込み、前年を上回ると予測。
 〔青果物〕
 天候に左右される面が大きいが、食の安全問題による国産品へのシフト、みかんの表作というプラス要因と後継者不足による作付け面積減少傾向、リターナブルコンテナの影響というマイナス要因があり、全体として前年並みと予測。
 〔電気器具・機械器具用〕
 エコカー補助金の反動、海外経済の不振と円高による輸出減、海外生産移管といったマイナス要因が大きく、3%程度減少すると予測。
 〔通販・宅配・引越し用〕
 引き続き伸びると予測。

(Future 2013年1月7日号)

巴川製紙所/静岡事業所のCO2削減が都外クレジットに認定
 巴川製紙所は静岡事業所での温室効果ガス排出削減実績を、東京都が導入している「都外クレジット」制度に申請、このほど東京都から認定された。静岡事業所は、07年にボイラー燃料を重油からLNGへ転換、その後も省エネ施策を進め、温室効果ガスの排出削減に大きな成果を挙げている。
都外クレジットとは、東京都が独自に導入した温室効果ガスの排出量取引。都外事業所の排出削減量を、取引によって都内事業所の削減義務に充当できる仕組みとなっている。今回の巴川の申請では、04年度から3年間のエネルギー使用実績値と10年度の使用実績値を、都が定めるガイドラインに沿って算出、静岡事業所が売買できるクレジット量は9,006t−CO2/年と算出された。排出量取引が可能になる15年4月以降では、5年分のクレジット予定量として4万5,030t− CO2を見込んでいる。なおこの値は、同制度の第一計画期間(2010〜14年度)に申請された全国11社の全クレジット量の46%に相当する。

(Future 2012年12月24日号)

レンゴー/八潮工場が温暖化防止で環境大臣表彰を受賞
 レンゴーの八潮工場は、環境省が実施する「平成24年度 地球温暖化防止活動環境大臣表彰」で、対策活動実践部門を受賞した。
 地球温暖化防止活動環境大臣表彰は、地球温暖化対策推進の一環として1998年から実施されている表彰制度。八潮工場では、地球温暖化対策を専門に取り組む小集団活動チーム「低燃費八潮」を結成。また、工場全体で地球温暖化対策の提案および評価をルール化、全部門・全従業員から地球温暖化対策のテーマを募り、評価、実施する体制を構築した。それにより従業員の意識改革が進み、継続的なCO2排出の低減へと繋がった。今回の受賞は、その実績が評価されたもの。
 また同工場では、早くからエネルギー源を重油からクリーンな都市ガスへ転換したほか、板紙の製造工程で発生する残渣も、電気や熱エネルギーとして有効活用している。さらに、製造工程全般で高効率設備の導入や省エネ化を図るなど、長年にわたり実績を積み重ねている。

「ワーク・ライフ・バランス大賞」で入選

 またレンゴーは、ワーク・ライフ・バランス推進会議が主催する「第6回ワーク・ライフ・バランス大賞」標語部門で、レンゴー社員の標語2作品が入選した。12年11月15日、都内の品川プリンスホテルで開催された「ワーク・ライフ・バランス・コンファレンス」の交流会で、表彰式が執り行われた。
 ワーク・ライフ・バランス推進会議とは、「ワーク・ライフ・バランス推進の社会的意義を高め、より一層の実践および普及啓発を目指す、次世代のための民間運動」として、日本生産性本部が中心となって立ち上げた組織。
 今回入選したレンゴー社員の作品は次の2点。
 ・「働き方を見直して 未来の自分へ自己投資」(東京総務部総務課・長谷有理子)
 ・「時間は見えない宝物 メリハリつけて大切に」(広島工場製造部製造課・城内数成)

(Future 2013年1月7日号)

大善/経産省産業技術環境局長賞を受賞
 大善の“タイゼン式高濃度溶解処理装置アルコン”が、「超難離解レベル機密書類の抹消・製紙原料へのリサイクルシステム」として「資源循環技術・システム表彰」の経済産業省産業技術環境局長賞を受賞。12年11月29日、東京都港区の機械振興会館ホールで表彰式が行われた。
 アルコンは従来のシュレッダー方式とは異なり印刷を残さないため高レベルの機密保持が可能。また処理物は離解性が高く、すでにインキ類も剥離分散しているためリサイクル処理が容易などの特徴をもつ。

(紙パルプ技術タイムス2013年1月号)

王子グループ、新タック化成/筆記可能な剥離紙フリーの粘着ラベルを上市
 王子ホールディングス・研究開発本部機能材研究所と,同社の100%子会社である新タック化成(愛媛県四国中央市)は、セパレータ(剥離紙)のない粘着ラベル“セパフリーR”シリーズとして油性ペンやボールペンなどにより筆記が可能な新商品を開発した。
 環境意識の高まりからセパレータのない粘着ラベルが普及しつつあるが、紙基材上に剥離層が設けられているため筆記時にインキをはじく、定着が悪く擦ると消えてしまう、ボールペンではペン先が滑る、といった欠点が指摘されていた。また、一部販売されている筆記可能タイプも長期保管している間にラベルを剥がしにくくなったり、剥がしたラベルのカールが大きくなるため貼付ラベルが剥がれ落ちるという課題があった。
 今回の新商品は上記課題を克服するため王子グループの紙基材から最適なものを選択し、特殊剥離剤の表面塗工によって油性ペンやボールペンによる筆記性を付与。また、ラベル裏面には専用の特殊粘着加工を施し、長期保管によりラベルが剥がしにくくなる現象を抑えるとともに、どこでも貼り付けられ、しかも貼付したラベルが剥がれ落ちない設計としたもの。

(紙パルプ技術タイムス2012年1月号)

APP/インドネシアの木材認証「SVLK」を全工場で取得
 APPグループはこのほど、インドネシアの木材合法性保証システムであるSVLK認証を、全9工場で取得完了した。
 SVLKは09年にインドネシア政府が制定した木材認証の新システム。対象工場が合法的供給源に由来する木材のみを受領および加工し、インドネシアが輸出するすべての製品が検証可能な供給源まで追跡できることを保証するもので、厳しい加工・流通過程管理を課している。
 インドネシア政府は11年4月にEUと自主的2国間協定(VPA)に調印しており、SVLKは同協定を基本に制定した木材保証システム。つまり、SVLK認証を取得したインドネシア企業はEUの木材規制にも合致することとなる。EUとインドネシア間のVPA協定は13年に運用開始される予定。
 APPの持続可能性およびステークホルダー担当役員のアイダ・グリーンベリー氏は、「100%の法令順守は常に当社が目標としてきたものであり、この度の全工場SLVK取得を大変嬉しく思う。米国やEU諸国でも議論されているように、市場はすべての製品が検証可能で追跡可能な合法的供給源に由来することを求めている。当社はこうした要求に応えるとともに、サプライチェーンでの森林破壊を15年までに根絶する計画を進めている」と語った。
 また、林業省林産物加工・販売局長官のスドゥハルト工学博士は、「SVLKは、すべてのインドネシア製木材製品が合法的供給源まで追跡可能であることを世界市場に対して保証している。複数のステークホルダーによる支援がなければ実現は難しかったが、APPには当初からこの計画に強力な支持をしてもらった。同社の全工場が認証を取得したことをお祝い申し上げる」と述べている。
 インドネシアのSVLK認証基準は政府、業界、市民団体、学会など、複数のステークホルダーが参加し、数年に及ぶ討議を通じて策定された。認証は国立認定委員会から授与され、市民団体や林産業界の専門家で構成された林業独立監視ネットワークにより、独立した監視が実施される。

(Future 2013年1月7日号)

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