業界ニュース

2013年パルプ輸入/数量は2年連続減も金額は大幅増
 2013年のパルプ輸入は数量が前年比△4.4%の177.7万t、金額が同+17.4%の1,349億4,800万円となった。うち主力の製紙用は数量が△4.1%の163.1万t、金額が+20.0%の1,067億2,400万円だった(表)。数量は2年連続のマイナスだが、為替の円高是正に伴い輸入単価は製紙用で前年比+13.1円(+25.0%)の65.4円/s、パルプ合計で同+14.1円(+22.8%)の75.9円/sと急上昇。この結果、金額ベースではともに2桁台の大幅な伸長を示した。
 パルプ原料が主体の国内紙生産は昨年、3年ぶりに前年実績を+0.8%とわずかながら上回ったが、大手グループによる自製パルプの優先使用という傾向が続いているうえ、非一貫メーカーの多い衛生用紙や特殊印刷用紙は減産だったため、パルプの輸入も減少したものと考えられる。
 主要品種別に輸入量の前年比を見ると、機械パルプ(MP)の△16.3%は中・下級紙の減産や古紙への置き換えが進んだことを反映している。同様の事情は未晒クラフトパルプ(UKP)の△17.3%にも当てはまりそうだが、加えて円安に伴い割安感が出た国産品へのシフトがあったことも影響している。
 一方、主力の晒クラフトパルプ(BKP)では針葉樹(N)と広葉樹(L)で対照的な実績となった。すなわちNBKPが主要品種の中で唯一プラス成長(+3.4%)を記録したのに対し、LBKPは△10.2%とマイナス幅が大きかった。輸入NBKPの増加は、国内設備の他品種へのシフトに伴う代替需要があったため。一方、LBKPは印刷・情報用紙の増産対応で自製パルプの使用が優先されたことから、輸入が大きく減少した。
 主要国別の輸入数量では、トップのカナダが△1.2%の49.3万t(構成比27.7%)、2位の米国が+1.7%の46.3万t(同26.1%)、3位のブラジルが△13.6%の22.0万t(12.4%)、4位のインドネシアが△15.4%の12.2万t(6.9%)、5位のチリが+19.3%の12.2万t(6.9%)と国による増減の幅が大きい。
 このうち最も伸び率の高いチリは、前号で取り上げたチップにおいて第2位の対日サプライヤーだが、昨年はパルプでも第5位の地位まで躍進している(前年は第7位)。

(Future 2014年3月3日号)

紙・板紙需給9月/国内出荷が3ヵ月連続でプラスに
 日本製紙連合会が集計した9月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+3.5%の213.3万tと3ヵ月連続で増加した。うち紙は+3.6%の122.8万t、板紙は+3.3%の90.5万t、いずれも3ヵ月連続のプラス。主要品種では、新聞用紙(横ばい)と衛生用紙(△3.7%)を除き増えている。
 紙・板紙の輸出は前年同月比+34.6%の8.0万tで、13ヵ月連続の増加。うち紙は+19.1%の6.0万tで、東アジアや東南アジア、大洋州向けを中心に13ヵ月連続のプラス。板紙は絶対量は少ないものの2.2倍の2.0万tで、こちらは東南アジア向けを中心に11ヵ月連続の増加である。
 紙・板紙の月末在庫は前月比△0.3万tの194.7万tで、前月の増加から減少に転じた。うち紙は△1.9万tの132.2万tで、印刷・情報用紙を中心に減少。逆に板紙は+1.6万tと、段ボール原紙を中心に3ヵ月ぶりの増加となった。
 以下、主要品種の動向である。
 〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比+7.8%の70.8万tで、3ヵ月連続のプラス。塗工紙を中心に、輸入品からの振替えや消費税率引き上げ関連の需要に加え、価格修正に伴う前倒し需要なども一部影響した。メーカー輸出は+11.5%の4.3万tで、塗工紙を中心に9ヵ月連続の増加だった。
 〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比+2.7%の6.3万t。11ヵ月ぶりの増加だが、これは前年同月が2割弱の大幅マイナスだったため、その反動増という側面が強い。他方、メーカー輸出は+46.0%の1.4万tに達し、直近の5月を上回って月次として最高を更新した。
 〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比△3.7%の13.7万tにとどまり、4ヵ月連続のマイナス。価格修正や製品輸入の増加などが影響している。
 〔板  紙〕
 段ボール原紙の国内出荷は前年同月比+3.8%の71.6万tと、加工食品向けを中心に3ヵ月連続のプラスだった。白板紙の国内出荷は+1.8%の12.3万t、コート白ボールを中心に2ヵ月連続で増加したが、これも前年同月の2桁減が影響しているようだ。

(Future 2013年11月18日号)

日本製紙/大竹工場に太陽光発電を設置し中国電力に売電

 日本製紙は、大竹工場(広島県)の敷地の一部(写真の右下部)を活用し、約826kWの太陽光発電設備を設置する。11月に設備建設に着工、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を活用して2014年2月から中国電力への電力販売を開始する。
 同社は新規事業の育成を進めており、特にエネルギー事業はグループ収益事業の一つとして力を入れている。太陽光発電では現在、徳島県小松島市の社有地で、三菱商事との協働によるメガソーラープロジェクトを進めており、今回の大竹工場は同社にとって2例目の太陽光発電事業となる。
 〔プロジェクト概要〕
 所 在 地;広島県大竹市東栄2-1-18
 敷地面積:約1.1万m2
 発電規模;約826kW(太陽光モジュール容量)

(Future 2013年11月25日号)

レンゴー、ほか/大阪で官民協働のメガソーラー事業がスタート

 レンゴーなど9社が参加する、メガソーラーを中心とした環境貢献事業「大阪ひかりの森プロジェクト」が、このほど建設工事を完了し事業を開始した(写真)。大阪市内で11月13日「事業宣誓式」が執り行われた。
 「大阪ひかりの森プロジェクト」は、大阪市此花区夢洲の北港処分地の有効活用を目的としてスタートした、官民協働の環境貢献事業。計画当初はジュピターテレコム、住友商事、住友電気工業、ダイヘン、日立造船、レンゴー、NTTファシリティーズの7社によりスタートし、その後、住友倉庫と大阪信用金庫が参画して9社となった。
 メガソーラーの設置場所である北港処分地は、一般廃棄物焼却灰などの埋立処分地で、埋立て完了後も長期間通常の土地活用が制限されている。そこで大阪市が、広大なスペースを持つ同地の活用アイデアを公募し、メガソーラー事業が採択されて「大阪ひかりの森プロジェクト」となった。プロジェクトのコンセプトは、「人々が1本ずつ木を植えて森をつくるように、さまざまな企業が協働で“ひかりの森”を創る」というもの。設置場所は大阪市が提供し、官民が協働する新しい仕組み(SGS)によって運営されている。ここで発電した電力は再生可能エネルギーとして固定価格買取制度の対象となり、関西電力に売電される。参加企業は、リースを活用してメガソーラーの設置コストを分担する一方、売電で得た収益をコスト分担割合に応じて受け取る。
 〔計画概要〕
 メガソーラー設置場所;大阪市此花区夢洲1区の廃棄物埋立処分場のうちの約15ha
 発電規模;10MW(標準的な家庭の電力消費量の約3,200世帯分)
 SGS運営組織;
  資産保有者=三井住友ファイナンス&リース、管理運用受託者=サミットエナジー

(Future 2013年12月16日号)

レンゴー/広岡紙器を子会社化
 レンゴーはこのほど、富山県の段ボールメーカー、広岡紙器汲フ株式100%を取得して子会社化した。同時に同社を株式会社化し、新商号を広岡紙器鰍ニした。
 広岡紙器は富山県高岡市を中心に得意先を持つ段ボールケースメーカー。レンゴーは同社へ役員を派遣するとともに、近隣のレンゴー直営工場およびグループ企業と連携し、北陸地区での段ボール事業の拡充を図る。
 〔広岡紙器の概要〕
 本  社:富山県高岡市六家1073
 代 表 者;青島安宏代表取締役社長
 資 本 金;1,000万円
 事業内容;段ボールケース・紙器箱の製造販売
 売 上 高;1億3,500万円(2012年9月期)
 従 業 員;7名

(Future 2013年12月16日号)

巴川製紙所/台湾事務所を新設
 巴川製紙所はこのほど、台湾の高雄市に駐在員事務所を新設した。
 電子産業の集積が進み、より高い営業効率・効果が期待できる台湾に新たな活動拠点を設けることで、精密塗工・電子材料関連分野のグローバル展開を拡大していく考え。台湾事務所の名称は「日商巴川股份有限公司」。

(Future 2013年11月25日号)

日本紙パルプ商事/ヤマトの株式を竹尾と東新に売却
 日本紙パルプ商事(JP)は10月31日付で、92.73%出資の連結子会社、ヤマトの株式の大半を、竹尾と東新紙業に売却する。売却後のヤマトの株主構成は、竹尾55.83%、東新27.91%、JP8.99%となる。
 国内の紙需要が縮小傾向にある中、JP、ヤマト、竹尾、東新の4社は、紙流通業に期待される役割と担うべき機能を踏まえ、今後のあるべき姿と経営戦略について協議を重ねてきた。今回の資本提携はその協議の結果、実現したもの。JPは、「規模の利益と機能の相互活用によるシナジーを最大限発揮し、市場環境の変化に対応していく。当社も引き続き、国内紙流通業の将来を見据えた体制作りに全面協力していく」と述べている。

(Future 2013年11月25日号)

日本紙通商/都内の子会社2社を合併
 日本紙通商の子会社、にしきしんばし(本店・東京都港区)と福原紙業(本店・東京都中央区)は14年4月1日付で合併する。
 合併後の社名は「わかば紙商事」、本店は「東京都江東区千石1-9-1」(現 にしきしんばし所在地)に置く。その他詳細は、今後両社で協議していく。

(Future 2013年11月25日号)

紙・板紙需給8月/国内出荷は2ヵ月連続のプラスに
 日本製紙連合会が集計した8月の紙・板紙需給は、生産が前年同月比+2.9%の216.7万t、出荷の合計が同+2.1%の211.3万tとなった(速報ベース=以下同)。
 出荷のうち国内向けは+0.7%の203.3万tで、ほぼ横ばいだが2ヵ月連続のプラス。内訳は紙が+1.0%の117.2万t、板紙が+0.4%の86.2万tと、ともに増加している。主要品種は新聞用紙、包装用紙、衛生用紙を除き前年実績を上回った。
 紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比+54.3%の8.0万tと、12ヵ月連続の増加。うち紙は+37.8%の6.3万tで、東南アジア/東アジア/大洋州向けを中心に12ヵ月連続のプラス。板紙は2.8倍の1.7万tで、東南アジア向けを中心に10ヵ月連続の増加だった。
 紙・板紙の在庫は前月比+5.4万tの195.4万tで、前月の減少から増加に転じた。うち紙は+7.1万tの134.5万tと、新聞用紙や印刷・情報用紙を主体に前月の減少から増加。逆に板紙は△1.7万tの60.8万tとなり、段ボール原紙を中心に2ヵ月連続の減少だった。主要品種の動向は次の通り。
〔新聞用紙〕
 国内出荷は前年同月比△6.7%の25.9万tで、前月の増加から減少に転じた。前年はロンドン五輪関連の需要増があったことに加え、今年の朝刊の1日減が影響している。
〔印刷・情報用紙〕
 国内出荷は前年同月比+6.7%の66.0万tで、2ヵ月連続の増加。塗工紙を中心に輸入からの振替え、消費税増税関連などの要因もあったが、前年の2桁減がより強く影響している。メーカー輸出は+36.5%の4.7万tと、塗工紙を中心に8ヵ月連続のプラスである。
〔包装用紙〕
 国内出荷は前年同月比△3.5%の6.1万tと、前月の横ばいから減少へ。未晒系の落ち込みが影響している。一方、輸出は+49.3%の1.2万tと高水準をキープした。
〔衛生用紙〕
 国内出荷は前年同月比△3.6%の13.8万tで、3ヵ月連続のマイナス。製品輸入の増加などに伴うティシュの減少が影響した。
〔段ボール原紙〕
 国内出荷は前年同月比+0.3%の68.6万t。、盆明け以降は天候不良などにより低調だったが、5ヵ月連続の増勢を保った。
〔白板紙〕
 国内出荷は前年同月比+1.1%の11.3万t。コート白ボールを中心に10ヵ月ぶりの増加となっている。

(Future 2013年10月14日号)

レンゴー/ジャカルタ郊外の段ボ会社の株式を取得
 レンゴーのタイ合弁会社、タイコンテナーズ・グループ社はこのほど、インドネシアのジャカルタ郊外に工場を持つ段ボールメーカー、プリマコル・マンドリ社の株式の90%を取得した。
 インドネシアはASEAN諸国の中でも特に多くの日系企業が製造拠点として進出しており、また国民所得の増加とともに今後も段ボール需要の伸びが期待されている。今回の株式取得により、インドネシアでのレンゴーグループの段ボール生産拠点は、インドフード社と合弁で事業展開しているスリヤ・レンゴー・コンテナーズ社と合わせ5工場となる。また、年間生産能力は22万8,000tに引き上げられる。
 レンゴーは東南アジアでの段ボール事業をグループ海外事業の重要戦略事業と位置付けており、「今後も段ボール供給体制の一層の充実を図る」と述べている。
 〔タイコンテナーズ・グループ社〕
 株  主;レンゴー30%、SCGペーパー社70%
 事業内容;段ボールシート・ケースの製造・販売
 〔プリマコル・マンドリ社〕
 事業内容;段ボールシート・ケースの製造・販売

(Future 2013年10月14日号)

王子ホールディングス/ラオスの植林会社でFSC森林認証を取得
 王子グループが共同持株会社のOji Lao Plantation Holdings Ltd.(=LPH)を通じて出資している、ラオス政府との合弁植林事業会社Oji Lao Plantation Forest Company Ltd.(=LPFL)はこのほど、FSC森林認証(FM/CoC認証)を取得した。 
 LPFLは1999年から事業を開始し、現在はラオス中部に1万8,000haの植林を行っている。伐採時期を迎えた植林木は、主に製材や合板用など付加価値の高い木材製品として、また一部は製紙原料用として加工し、王子木材緑化が販売する。
 王子グループは、世界9ヵ国14ヵ所で合計28万4,000haの海外植林事業を展開しており、このうち23万7,000haがFSC森林認証(FM/CoC認証)を取得。同社では、「今後もこの森林資源を活用して資源環境ビジネスを推進する」と述べている。
 〔LPFLの概要〕
 本  社;ラオス・ビエンチャン市
 設  立;1999年
 資 本 金:5,408万ドル
 出資比率;LPH 85%、ラオス政府15%(LPHは王子HD 72%および日本企業13社による共同持株会社)
 事業地域;ラオス中部(カムアン県、ボリカムサイ県)
 植栽樹種;ユーカリ、アカシア
 植栽面積;1万8,278ha(2012年12月末)

(Future 2013年10月7日号)

王子ホールディングス/北海道に研究拠点を設置し薬用植物の研究に着手
 王子ホールディングスは10月3日、北海道下川町との間で「森林資源の多面的活用に関する連携協定」を締結した。
 同社は国内に19万haの社有林を、また海外に29万haの植林地を保有・管理し、森林の多面的な価値についてさまざまな研究や取組みを行っている。今回の連携では、漢方薬の原料となる薬木などの研究を進める予定。
 漢方薬市場は、西洋医学との併用が進み着実に成長を続けている。しかし原料の薬木、薬草といった薬用植物は、80%以上を中国などからの輸入に頼っているのが現状で、将来を見据えた原料の安定確保が課題となっている。一方、王子グループは植林木の研究で培った、病害虫に強く成長の早い品種の選抜技術をはじめ、組織培養や遺伝子解析に関する林木育種技術を多数保有している。これらの研究財産の有効活用と薬用植物市場の将来性を検討した結果、薬用植物研究に着手し、研究フィールドとして北海道下川町と連携、事業化を目指すことを決めた。
 下川町は、森林の総合産業化を目指し、森林の持つ多面的な価値創造を図っており、近年は間伐材や未利用材のバイオマス熱利用など、その先進的な取組みで注目を集めている。王子HDでは、「森林資源に深く関わる両者が連携を強化していくことで、森林の新たな価値が創成できると考え連携協定を締結した」と述べている。なお締結に先立ち9月1日、王子HDは「医療植物研究室」を新設し、専任の研究員3名を下川町に常駐させ、試験栽培を開始している。連携のテーマと研究室の概要は次の通り。
 〔主な連携テーマ〕
 (1) 漢方薬ビジネスの可能性調査のための薬用植物の試験研究
 (2) 森林資源(樹木・特用林産物)の栽培、加工に関する試験研究
 〔医療植物研究室の概要〕
 場  所;北海道上川郡下川町一の橋
 研究施設;圃場(約9,000u)、温室(バイオマス熱を利用)
 研究スタッフ;専任研究員3名+社外より薬草栽培の専門家1名を招聘
 研究目標;独自栽培技術の開発、独自種苗の獲得。林木育種技術(DNAマーカーなど)の薬用植物分野への転用。製薬メーカー、大学・研究機関との共同研究を積極的に行い、技術獲得を目指す。

(Future 2013年10月28日号)

大日本印刷、丸善、千葉大学/紙+電子による教材開発で共同研究
 大日本印刷と丸善は千葉大学内の研究施設を拠点として、紙と電子を組み合わせた教材に関し企画や編集、版権処理や制作方法などの共同研究を開始する。
 授業内容と合致しない記述が多いなどの理由から大学の教科書(学術専門書)の販売部数や利用頻度は減少傾向にあり、同時に授業内容に合わせて教員がオリジナル教材を作成・配布するケースが増えているため、千葉大学は「アカデミック・リンク構想」を掲げて教材のデジタル化、教員の授業スタイルに合わせた紙や電子の教材開発、販売も視野に入れた教材の円滑な流通に向けたサービスモデルの構築など、新たな学習環境の整備に取り組んでいる。
 一方、DNPと丸善はこうした取組みに必要な企画や編集、版権処理、最適なデータフォーマットや制作ルールの策定などの専門ノウハウを豊富に有することから、大学内の研究施設「ハイブリッド教材研究プロジェクト」に研究員を派遣し共同で研究を行う計画。
なお、DNPと丸善は15年7月までに数種類の紙と電子の教材を制作し、授業での利用状況や効果検証を行うとともに、共同研究の成果を踏まえたビジネスモデル(仕組みと人的支援)を16年度までに事業化し、大学から教材開発センターとしての機能を受託することで、18年度20億円の売上を目指す。

(紙パルプ技術タイムス2013年11月号)

三菱製紙/不織布製安眠・保湿カバーを発売
 三菱製紙は自然な保湿・保温を行う不織布製の安眠・保湿カバー“マイドーム・パル(MYDOME・PAL)”(写真)を発売した。
 マイドーム・パルは、就眠時や移動中の車内での仮眠時に頭部に装着して使用する安眠グッズで、以下の特徴をもつ。
 (1) 自身の呼気を内部で循環させて保湿・保温し、睡眠中の顔やのどの乾燥を和らげる
 (2) 柔らかな不織布でやさしく遮光し、心地よい眠りを誘う
 (3) 不織布自体のフィルター効果により花粉やホコリがドーム内に入りにくく、睡眠の妨げを緩和
 (4) 血流の多い頭部を保温することで全身まで温かく感じ、冬場には暖房器具のご使用量低減にも寄与するため、エネルギー消費の削減にもつながる
マイドーム・パルにはベーシックタイプとトラベルタイプの2種類がラインアップされ、前者は主に自宅用、後者は旅行や出張などにも手軽に携帯できるコンパクトサイズとなっている。
 なお、マイドーム・パルは同社の長年の取引先である二口印刷(大阪市西区)が三菱製紙の不織布“MBSテック”およびCTP印刷版“シルバーディジプレート”を用いて開発したもの。また同事業理念として、開発者である二口印刷代表取締役・二口晴一氏の思いを具現化した「マイドーム憲章」も制定され、両社はこの憲章を採択するとともに、同製品に関わる商品開発・事業化を行うことに合意している。

(紙パルプ技術タイムス2013年11月号)

トッパン・フォームズ/大型重量物を循環輸送する紙コンテナを発売
 トッパン・フォームズはこのほど、大型重量物輸送用の紙製折りたたみ式梱包資材を発売した。
 段ボールの約6倍の強度を持つ板紙を使った梱包材で、「紙コンテナ」の技術を応用し、簡単に組み立て・折りたたみができる。数100kgのロール状フィルムなど、企業間で行われる大型重量物の輸送に100回以上の再利用が可能。従来のワンウェイ方式に比べ、物流のトータルコストを最大で50%低減、環境負荷も最大70%改善できる(コスト削減額は買取の場合、環境負荷は梱包材製造時のCO2削減効果。ともにトッパンフォームズ試算)。
 通常、大型重量物の輸送は対象物を木製の構造物に固定した上で、段ボール箱を手作業で組み立て、包装する。基本的にワンウェイが多く、送り手側は大量の段ボール箱の在庫が必要となる。さらに、それらを種類ごとに保管する必要も生じてくる。また受け手側は受領後、リサイクルのために段ボール箱を解体・分別しなければならない。しかし、折りたたむことで容積を10分の1にできる「紙コンテナ」であれば、梱包資材コストと組立作業時間を短縮し、回収物流のコストダウンや保管スペースの大幅圧縮が可能となる。
 トッパン・フォームズでは年内を目途に、RFIDを使って「紙コンテナ」の使用履歴を“見える化”する機能も提供する予定。今後3年間で、関連ソリューション売上げ30億円を見込んでいる。
 なお「紙コンテナ」は、これまでスターウェイ鰍ェ「イースターパック」の名称で展開してきた循環型梱包資材。トッパンフォームズはスターウェイと業務提携し、「イースターパック」に関するすべてのサービスを継承した。製造から販売までのライセンス許諾を受け、現在は「紙コンテナ」の名称でサービスを展開している。複合機のトナー・ドラムカートリッジ、パソコン、サーバー、POSレジなどの輸送で実績を積んでいる。また、最大7倍に伸びる特殊ウレタンフィルムの緩衝材と組み合わせることで精密機器、医療機器、通信機器、電子部品、美術品など耐衝撃、耐振動が求められる製品輸送にも適している。

(Future 2013年10月28日号)

レンゴー/ペントアワードで銅賞を受賞
 レンゴーが製作した、JAなめがたの『さつま芋キャンペーンケース』(写真)が、パッケージデザインの世界的コンペティション「Pentawards 2013」(ペントアワード)の食品「フルーツ&野菜部門」で銅賞を受賞した。
 ペントアワードは、世界で最も厳しく公平なパッケージデザインのコンペティションと言われ、今年は去る9月21日、スペイン・バルセロナで授賞式が執り行われた。
 銅賞を受賞した『さつま芋キャンペーンケース』は、有数の産地である茨城県のさつま芋のおいしさと品質のよさを、全国レベルで知ってもらうことを念頭にデザインされたパッケージ。屋台の、新聞紙に包まれたホクホクの石焼き芋をイメージし、郷愁を誘うデザインを包装として形にした。コンペティションでは、「目に触れた瞬間、笑顔になり話題になるパッケージ」として高く評価された。また、段ボールへのフレキソダイレクト印刷により、低コストでありながら、新聞紙の素材感と温かみのある質感イメージを高いレベルで表現している。
 なおレンゴーのペントアワード受賞は、一昨年の『ダイドードリンコ/復刻堂 侍エスプレッソ』(銀賞)、昨年の『つがる弘前りんごの贈答用ギフト箱』(銅賞)に続き、3年連続の受賞。

(Future 2013年11月11日号)

中越パルプ工業/グリーン購入大賞優秀賞を受賞
 中越パルプ工業の「放置竹林問題の解決に向けた竹紙の利用促進の取り組み」が「第15回グリーン購入大賞」の優秀賞を受賞した。
 グリーン購入大賞は、環境に配慮した製品やサービスを優先的に購入する「グリーン購入」の普及・拡大に取り組む団体を表彰する制度。1998年に創設され今年で15回目を迎える。
 大企業部門の優秀賞を受賞した中越パルプ工業の取組みは、国産竹100%を原料に作られた『竹紙(たけがみ)』の利用促進を通じた放置竹林対策への貢献。竹は日本の生活や文化に密着し使用されてきたが、生活様式の変化や輸入品への代替によって使用量が激減した結果、放置竹林が拡大した。放置竹林は現在、日本各地で生物多様性の低下、森林の水源涵養機能の低下、土砂災害・土砂崩壊への影響などの問題を引き起こしており、この解決には竹の継続的かつ大量の利用が不可欠。
 同社は、竹林面積が国内最大の鹿児島県の要望に応え、1998年から国産竹の紙の製造に挑戦してきた。国産竹の集荷や原料チップ化は非効率でコストが高く、紙原料チップ専業業者では採算性に課題があり、扱いにくいことから、地域から広く竹を買い取る制度を構築。その結果、タケノコ生産農家など、2,500を超える個人や事業者が竹の集荷に関わることとなった。これまで価値のなかった竹の買い取りによって、過疎化や高齢化が進む地域の経済の活性化に寄与している。
 今回の受賞では、国産竹の集荷体制の構築や原料加工技術の向上により、品質やコストの課題を克服して未利用材である竹を継続的に利用していることが高く評価された。同社では、この高評価に「関係者一同、光栄に存ずる」と述べている。

(Future 2013年11月11日号)

紙類貿易1〜6月期/輸入減・輸出増で入超幅は圧縮
 2013年1〜6月期の紙類貿易は為替相場の円安基調などから輸出増−輸入減の傾向が顕著になった。期中の平均為替レートは1ドル=94.6円で、前年同期より15円もの円安ドル高である。しかも7月以降の円レートは98円前後で推移しているので、“輸出しやすく、輸入されにくい”状況が一段と強まっている。ただし幅が圧縮されたとはいえ、日本の紙類貿易が依然として入超型であることに変わりはない。また全体として輸入が減少していても、白板紙やトイレットペーパーのように増勢が続いている品種もある。コピー用紙などは国産紙の不振で対内需比率が高まっている。
 つまり円安が進んでも、それとは関わりなく定着・浸透している輸入品が日本市場での存在感を着々と高めている現実から目をそらすわけにはいかない。
【貿易バランス】
 紙類輸出入と貿易バランスの推移を表1に示した。このところ加工紙の金額ベースを除き、各段階とも入超になっていることが分かる。特に2012年は紙類合計ベースで数量が△149.8万t、金額が△756億4,100万円という空前の入超を記録している。
 これに対し今年の1〜6月期は紙が△25.0万t/△133億9,100万円、板紙が△11.4万t/△102億3,000万円。手すきを含む紙・板紙計で△36.5万t/△244億7,500万円、加工紙が△4万t/+102億6,100万円、紙類合計で△40.5万t/△142億1,400万円となった。

【輸 出】
<紙・板紙>合計の輸出数量は前年同期比+26.8%の51.0万tと急増、数量べースでは10.8万tの増加となった。このうち<紙>は43.4万tで同+22.1%。コ一卜紙、クラフト紙が急増している。<板紙>は7.6万tで同+61.8%と前年の6割増し。中芯原紙が突出して増加している。
【輸 入】
<紙・板紙>合計の輸入数量は前年同期比△25.6%の87.5万tで、1〜6月期としては5年ぶりに前年実績を下回った。このうち<紙>は△30.5%の68.4万t。上印刷紙や塗工印刷用紙が前年比で半減している。一方、コピ一用紙(非塗工印刷用紙「特定形状」)は1〜6月期としては過去最大の輸入量となった。<板紙>は△0.1%の19.1万tで、段ボ一ル原紙のうち中芯原紙が急減。一方、塗工白板紙は1〜6月期で過去最大の輸入量を記録している。

(詳細はFuture 2013年9月2日号で)

温暖化対策フォローアップ/原単位目標数値を6年連続でクリア
 日本製紙連合会は1997年に定めた「環境に関する自主行動計画」のうち、温暖化対策の進捗状況を確認するため、今年7月に2012年度の実績に基づくフォローアップ調査を実施した。これは製紙連が毎年この時期に定点観測しているものだが、今回その暫定的な速報値がまとまった。確報値は温暖化対策以外の植林地面積や古紙利用率といった調査項目と併せて、今秋に出される。
 最初に自主行動計画の温暖化対策に関する目標を掲げておく。
 (1) 2008年度から2012年度の5年間平均で、製品当たり化石エネルギー原単位を1990年度比20%削減し、化石エネルギー起源CO2排出原単位を16%削減することを目指す。
 (2) 国内外における植林事業の推進に努め、2012年度までに所有または管理する植林地を70万haに拡大することを目指す。
 調査対象は非会員の協力会社4社を含む36社で、うち30社/98工場・事業所から回答があった。これは12年度の紙・板紙生産ベースで全対象会社の97.4%、全製紙会社の90.7%に相当する。調査対象年度は1990〜2012年度の23年間で、目標達成の進捗度を測定するための調査項目は以下の7点。
 @ 工場別燃料・購入電力の消費量、工場の全消費量(紙パルプ用途以外の消費も含むが、販売電力の発電に相当する燃料消費量は控除)。
 A 工場別紙・板紙・パルプ生産量
 B 2011年度化石エネルギー原単位の改善・悪化理由
 C 2011年度に実施した省エネルギー投資および燃料転換投資
 D 今後の対策・計画など
 E 民生・運輸部門の調査
 F 植林の進捗状況

 再生可能エネルギーの原単位比率が4割超に

 まず2012年度の紙・板紙生産量は09年のリ一マンショック以降、11年3月の東日本大震災による需要の落ち込みと円高・景気停滞に伴う減産が影響し、前年度比△2.7%、1990年度比では△10.1%の2,262万t(JPA会員会社ベース=以下同)と落ち込んだ。
 だが、このように減産が進んだにもかかわらず12年度の製品当たり化石エネルギー原単位は、各社の地道な省エネ対策や効率的生産を目指した操業改善の努力により、着実な向上が図られている。すなわち90年度を100として11年度は74.0%だったが、12年度はさらに1.5ポイント(pt)良化して72.5%となり、90年度との対比で△27.5%を達成した。07年9月に改定した製品当たり化石エネルギー原単位の目標値は△20%だが、これを6年連続で上回っている。また2008〜12年度の5年間平均で、化石エネ原単位を90年度比20%削減するという目標に対しても、実績値は75.4%と24.6%の削減で目標値を大きくクリアしている。
 一方、製品当たりの化石エネルギー起源CO2排出原単位についても着実に削減が進んでいる。12年度は震災影響による電力不足に対応した自家発の増加や、重油削減とのトレードオフで石炭の使用量が増加するなどの事情があったにもかかわらず、廃棄物・再生可能エネの数量確保と、地道な省エネを通じた化石エネ原単位の減少により、11年度の79.2%との対比では0.5pt削減されて78.7%となった。90年度対比では、△21.3%と目標の△16%を大幅に上回って達成している。さらに、5年間平均で化石エネ起源CO2排出原単位を90年度比△16%とする目標に対しても、実績値はそれを大きく上回る△20.4%となっている。
 エネルギー分類別に見た原単位を90年度と12年度で比較すると(単位:MJ/t)、廃棄物エネルギーが90年度の64から12年度は1,971へと約31倍に、再生可能エネが7,784から8,720で+12%と、それぞれ増えている。これに対して化石エネは1万4,589から1万580で△27%と減少。総エネルギーは2万2,437→2万1,272で△5.2%だった。
 この結果、12年度のエネルギー分類別原単位比率は化石エネが49.7%(90年度:65.0%)、再生可能エネが41.0%(同34.7%)、廃棄物エネほかが9.3%(0.3%)となった。これを燃料別に見ると重油が7.2%(90年度:33.8%)、石炭が25.7%(同14.3%)、ガスが6.4%(0.7%)、購入電力ほかが10.4%(16.5%)、黒液が31.8%(31.8%)、廃材・ペーパースラッジほかが9.2%(2.9%)、廃タイヤ・RPFほかが9.3%(−)。重油の大幅な減少を同じ化石エネである石炭・ガスと廃材・廃タイヤなどの新エネで補っている実態がうかがえる。
 製品当たりの化石エネルギー起源CO2排出量は、このような燃料構成や電力CO2排出係数の影響、さらに紙・板紙生産数量の減少もあって、12年度は11年度の1,865万tより63万t少ない1,802万tとなった。また90年度の2,547万tに対しては△745万tで、原単位は△29.2%と大幅に減少している。
 この△745万tの内訳は、製紙業界の努力(燃料転換やバイオマスボイラーの導入など)による分が△534万t、生産量の減少に伴う寄与分が△256万t(△10.1%)、電力業界の事情による分が+45万t(+1.8%)である(電力のCO2排出係数は11年度の実績値を使用)。なお、温対法調整後の排出係数を11年度の実績値1.17で試算すると、電力業界の増加分は29万tで、CO2削減量は△761万t(△29.9%)となる。

(Future 2013年9月23日号)

大王製紙、特種東海製紙/資本・業務提携により家庭紙・段原紙の関係強化
 製紙第3位の大王製紙と中堅の特種東海製紙が資本・業務提携に踏み切った。紙・板紙の国内需要が全体として縮小均衡のサイクルに入る中、もともと海外事業のウェイトがさほど高くない日本の製紙各社は、
 ・電力やバイオマス、ナノファイバーなど非製紙分野への進出
 ・既存事業におけるコストダウン、差別化による収益力強化
の2方向に軸足を置こうとしている。
 今回、両社が資本・業務提携を行うのは上記2方向における協力関係の強化を通じて、互いの強みを最大化するのが狙い。
 大王製紙の場合、すでに筆頭株主でもある北越紀州製紙との間で紆余曲折はありながらも業務提携を進めている。また特種東海製紙は特殊紙・機能紙の分野で、王子ホールディングス(王子エフテックス)や日清紡ホールディングス(日清紡ペーパープロダクツ)と業務・資本提携関係にある。
 だが今度の資本・業務提携は、そうした先行事例に比べて、より包括的かつ奥行きの深いものになる可能性がある。なぜなら両社はともに、デジタルやITには代替されない段ボール原紙、家庭紙を重要なコア・ビジネスと位置づけており、競争力・ブランド力のある製品群を品ぞろえしている。ここで提携関係が深まれば効果は大きいと考えられる。以下、両社が発表した提携の中身をトレースしておく。
 (1) 業務提携
 これまで両社は主として家庭紙分野で事業連携を進めてきたが、この協力関係を発展させ家庭紙事業の拡大や他事業分野で生産の最適化をさらに推進する考え。また製品開発分野においても、それぞれの持つ商品開発力や販売力、特殊な技術力を融合し、互いの強みを合わせて共同事業を展開することにより、さらなる収益力向上を目指す。
 具体的な取組み内容として挙がっているのは以下の4項目。
 ・2010年3月より、特種東海のグループ会社が大王に古紙物トイレットペーパー(TP)をOEM供給してきた。さらに大王の子会社が保有するTP加工設備を特種東海のグループ会社に移設し、古紙物TPの生産を拡大する準備を進めているが、今後こうした関係を発展させて生産体制を強化していく。
 ・特種東海の持つナノセルロース技術と、大王が衛生材料分野で有する商品の開発力を融合させることにより、付加価値の高い新製品(吸収体を用いた加工品)を共同開発する。
 ・現在、特種東海は大王製紙の子会社(段ボール会社)が使用する段ボール原紙の一部を供給している。その関係をさらに発展させ、段原紙生産工場からの輸送コストを考慮した地域生産の相互協力体制構築に向けた可能性や、協力対象製品の追加などの関係強化を目指して協議を開始している。
 ・上記以外の事項についても、幅広く事業提携の検討を進める。
 (2) 資本提携
 業務提携による改善効果を早期かつ最大限に発揮させるとともに、その実効性を担保するため、両社間で次のように資本提携を行う。
 ・大王製紙は、子会社のいわき大王製紙と大津板紙が保有している大王製紙株式387.1万株(発行済み株式総数の3%)を特種東海製紙に売却。
 ・特種東海製紙は保有する自社株式489.9万株(発行済み株式総数の3%)を大王製紙に売却。
 つまり、互いに3%の株式を持ち合う関係になる。すでに特種東海は大王株式の買付けを8月13日に済ませており、大王は8月29日に特種東海株式を取得の予定。これにより大王は特種東海株主の第6位、特種東海は大王株主の第7位に位置することになる。

(Future 2013年9月2日号)

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