紙パルプ 日本とアジア2023
ここ数年、国際経済の先行き透明な状況は海外事業による成長を目指す企業にとって戦略見直しの連続だったとされています。2020年に発生した新型コロナウイルスによるパンデミックと厳しい感染対策、それにともなうサプライチェーンの混乱、その後の景気復元がもたらした製品需給の逼迫、石油や原材料の高騰などに見舞われ、今年2月にはロシアがウクライナへ侵攻し経済安定化の流れをストップさせ状況悪化をもたらしました。そのなかで多くの企業はサプライチェーンの再構築や市場展開の集中・差別化などにより新たな成長性を模索し、さらにはSDGsやカーボンニュートラルなどの環境指針を新たな事業展開の基礎に置きつつあります。
中国や東南アジア、さらにはインド、中央アジアなどの成長潜在力は依然期待でき、そこでは各種の構造変化に対応させてきた企業戦略が奏功するとの分析もあります。アジア事業の対象拡大に積極的だった日本企業は、これまで以上に迅速・柔軟で国際感覚に富んだアプローチが求められてきます。基礎素材の紙・板紙についてもアジア地域はダイナミックな経済拡大期の下での需要増大が予測されており、日本企業にとっても 力を発揮する機会が増えると考えられています。
弊社ではアジア紙パルプ産業の高い成長性を踏まえ2004年から単行本企画『紙パルプ 日本とアジア』の刊行をスタート、版を重ねるにしたがって多方面から高い支持を得る好評企画となりました。同書は、国内はじめ成長著しいアジア主要国の紙パルプ産業を概観すると同時に、弊社が長年培ってきた国際ネットワークを駆使し、ボーダレス化するアジア市場の課題と展望、主要紙パ企業の動向、さらには関連業界および機械・資材・薬品サプライヤーの動向など、“日本とアジア”の紙パルプ産業および関連産業の全貌が把握できるものとなっています。
今回刊行する『紙パルプ 日本とアジア2023』においても最新情報・データにより内容を全面的に一新し、中国造紙学会、中国造紙協会や韓国、台湾、東南アジア諸国などの関連団体の協力によりデータ充実化を図ります。さらに、中国をはじめアジア諸国を対象にした実用的ダイレクトリーとして活用できるよう、国別主要製紙メーカーの企業情報など各種データも新たに追加します。
日本および中国をはじめとするアジアの紙パルプ産業について最新データを駆使し解説。進出日本企業の基礎データも収録。
B5判・本文192頁
定価 11,000円(税込・送料別)
2022年12月16日
本書の内容
●不確実性の下でのアジアの発展方向
特別寄稿/アジアの新たな地政学的課題と製紙産業のサプライチェーンの再構築(東京大学名誉教授、日本印刷学会元会長 尾鍋史彦)
特別寄稿/中国製紙産業の発展状況と今後の展望(中国紙パルプ研究院有限公司、中国造紙雑誌社社長 郭彩雲)
●気候変動対策がASEANの新成長戦略に
ASEAN諸国の気候変動対策
3年ぶりに開催されたASEAN紙パルプ会議
●日中製紙産業の構造転換とアジア主要国
日本/新たなモチベーションの確立が求められる
中国/堅調な伸び見せるが不透明感増す今後の行方
アジア主要国の紙・板紙需給/韓国 台湾 フィリピン ベトナム インドネシア マレーシア タイ インド
●Future誌に見るアジアの紙パルプ
古紙貿易/合併・統合・再編/貿易措置/日本/韓国/中国/フィリピン/インドネシア/マレーシア/ベトナム/ラオス/タイ/インド
●アジアにおける紙パルプ関連の主要日系企業
中国/台湾/韓国/フィリピン/ベトナム/タイ/マレーシア/インドネシア/ラオス/シンガポール/カンボジア/ミャンマー/インド/UAE/トルコ