業界ニュース

2008年

紙・板紙需給08年1〜6月期/輸出急増で紙の生産が過去最高に
今年1〜6月の紙・板紙需給実績がまとまった。景気の減速を背景にメーカーの国内出荷は全体として低レベルで推移、2桁近く落ち込んだ輸入と合わせた内需は前年同期比0.1%減とマイナス成長である。対照的にメーカー輸出は、昨秋に稼働した新マシン2台の効果もあってコーテッド紙を中心に急拡大、紙の輸出は過去最高を記録し、板紙の輸出もアジアの包装需要増を背景に高い伸びを示した。この結果、紙の生産は1〜6月期としては過去最高を記録している。

(続きはFuture誌8月18日号で)

製紙連/環境フォローアップ調査の速報値で07年度は改定目標を上回る
日本製紙連合会は「環境に関する自主行動計画」を推進中だが、その進捗状況を確認するため7月に「2008年度フォローアップ調査(07年度実績)」の結果をまとめた(速報値)。今回は07年9月に実施した2回目の目標改定後、初めての調査となる。製紙連の環境自主行動計画における目標は次の通り。1)2008〜12年度の5年間平均で、製品当たり化石エネルギー原単位を90年度比で20%削減し、
化石エネルギー起源CO2排出原単位を16%削減することを目指す。
2)国内外における植林事業の推進に努め、2012年度までに所有または管理する植林地を70万haに
拡大することを目指す。今回の調査は34社104工場・事業所からの回答をまとめたもの。回答工場・事業所の生産シェアは全製紙会社の88.7%に上る。以下、主な調査結果を紹介する。
○CO2排出量…2,536万6,000t
○化石エネルギー起源CO2排出量…2,313万2,000t(90年度比▲8.8%)
〔化石エネルギー原単位指数とCO2排出原単位指数〕
07年度の化石エネルギー原単位は、前06年度と同様に、省エネと化石エネルギーから再生可能エネルギーおよび廃棄物エネルギーへの転換がさらに進み、▲1.6ポイントと4年連続で改善。90年度比では79.5%となり、07年に改定した目標の“80%”を若干上回った。一方、07年度の化石エネルギー起源CO2排出原単位も前06年度に比べて▲1.3ポイントと4年連続で改善された。90年度比では82.8%、これも昨年改定した目標の“84%”を1.2ポイント上回っている。

(詳細は Future誌8月4日号 で)

三菱製紙/古紙パルプ配合率検証制度を開始
三菱製紙は古紙配合率問題の再発防止のため、7月1日から古紙パルプ配合率の検証制度をスタートさせた。古紙パルプ製品を製造する八戸工場と高砂工場で、新たに構築した古紙パルプ配合率検証方法の運用を開始、ユーザーは希望すれば工場に立ち入り、製紙連が公表している検証制度チェックリストを用いて記録を確認できる。
また同社ではこの検証方法と併せて、製紙連指針に基づき再生紙の古紙配合率表示方法も変更した。7月受注オーダー品から、製品ラベルへの古紙パルプ配合率表示を「配合率○○%以上」と実数表記している(ただし当面は旧表示品と混在して流通)。さらに、同制度が厳正に維持されるように、内部監査室による定期的な内部監査も実施する。

(詳細は Future誌8月18日号 で)

いわき大王製紙/バイオマスボイラーを10月本格稼働
いわき大王製紙は80億円を投資した2基目のバイオマスボイラーについて8月より試運転を開始、10月より本格稼働する。新バイオマスボイラーは木質燃料(建築廃材、剪定木など)、RPF、廃タイヤチップ、構内廃棄物(ペーパースラッジ、パルパー粕など)を燃料とするもので、能力は蒸発量170t/h(13.2MPa×540℃)。発電設備は既設設備を流用する(定格3万2,000kW)。
同社は現在、2001年にいち早く設置したバイオマスボイラーと重油ボイラーによる自家発電を行っているが、新バイオマスボイラー稼働後は重油ボイラーを停止し、重油使用量をゼロとする。また化石燃料由来のCO2排出量も24万t/年から3万5,000t/年となり、85%の大幅な削減が見込まれる。

(詳細は 紙パルプ技術タイムス 9月号 で)

王子製紙/子会社の雨龍電力を10月1日付で吸収合併
王子製紙は10月1日付で非連結子会社の雨龍電力を吸収合併する。これに伴い雨龍電力は解散する。同社は王子製紙・苫小牧工場への電力供給を事業としているが、管理コスト削減のため王子製紙が吸収合併することとなった。<雨龍電力の概要>
○事業内容…電力業
○設立…1928年8月
○所在地…北海道苫小牧市王子町2−1−1(王子製紙苫小牧工場内)
○代表者…進藤富三雄代取社長
○資本金…4,500万円
○株主…王子製紙100%

(詳細は Future誌8月18日号 で)

巴川製紙所/東京本社ビルを東急に売却
巴川製紙所は、東京本社ビルを東京急行電鉄に売却する。引渡日は12月26日。築45年の同ビルは建物および設備が老朽化し、また2年前に管理間接部門を静岡事業所に移転していることから、売却を決めたもの。巴川製紙所は、「売却によって有利子負債を削減して財務体質の改善を加速させ、研究開発あるいは海外市場開拓など将来の発展に向けた投資を怠りなく進めていく」と述べている。なお、引き渡しは12月だが移転期限は09年7月末で、期限までの間は東急を貸主とするリースバックを行う。移転先は現在検討中。 売却に伴う業績への影響については精査中。今期決算で譲渡益が発生するが、固定資産圧縮記帳損を計上するなどして、税負担の軽減に繋げていく予定。資産内容と売却先の詳細は次の通り。
○売却資産と所在地…本社土地および建物(東京都中央区京橋1−5−15)
○帳簿価額…4億2,300万円
○譲渡価額…86億3,000万円
○売却先…東京急行電鉄(東京都渋谷区南平台5−6)

(詳細は Future誌8月18日号 で)

レンゴー/八潮工場が安全衛生で「埼玉労働局長賞」受賞
レンゴーの八潮工場が、「平成20年度安全衛生に係わる埼玉労働局長賞」を受賞した。この賞は、「労使ともに安全衛生の重要性を認識した上で安全衛生活動を積極的に展開し、その成果あり」と評価された埼玉県内の企業に贈られるもの。八潮工場は、2004年以降無災害(休業災害が発生していない)であることや公害問題がなかったことに加え、以下の取り組みが評価された。
○各資格取得を含めKYT(危険予知トレーニング)などの安全衛生教育を計画的に実施。
○職場の5S活動を実施し、リスクアセスメントを取り入れ、
職場の安全衛生パトロ−ルによる問題点の抽出、改善対策などを実施。
○構内下請事業場が当該事業場安全協力会として組織され、安全衛生管理活動を行い、
当該事業場の安全衛生委員会で活動報告されている。
中国 4〜6月期 製品・原材料市況/北京の交通規制で停滞する物流
中国の4〜6月期紙・板紙市場は、去る5月12日に南西部の四川省を襲った大地震の影響でまだら模様を呈している。パルプ、古紙、薬品、エネルギーの高騰を背景に、中国では年初以来すべての品種で価格が上昇していた。この価格上昇は、8月に北京で開催されるオリンピック需要と全国的に行われた小規模・非効率工場の大量閉鎖による供給減がもたらしたものである。
今後さらに価格が上昇することを予想して、卸売業者、コンバータ、印刷会社、出版社などの川下では在庫の積増しに余念がなかった。しかし国全体が震災犠牲者の追悼ムードに沈む中で、この動きにブレーキがかかっている。国内市場は例年の夏休みシーズンに入っており、ほとんどの品種で需要が減速している。
紙・板紙のうち値上がりしているのは新聞用紙だけである。価格上昇の主な要因は新聞古紙の値上がりと供給不足にある。新聞用紙は輸入・国産品とも、当期中にt当たり29ドル上昇した。推定100万tの新聞用紙設備が、マシンの停止と抄物転換で市場から姿を消している。
そのうえオリンピックを前にして環境汚染と交通渋滞を防ぐため、中国政府は北京地域での交通制限と環境汚染事業所の閉鎖対策を強行している。環境基準に適合できなかった乗用車と北京地域での走行許可を得ていないトラックは、市内の通行を禁止されている。北京は中国最大の新聞用紙市場。この交通規制は自動車輸送に影響を与え、売買の双方にとって悩みの種になっている。

(詳細は Future誌8月18日号 で)

経産省/紙業生活文化用品課の新課長に進藤秀夫氏
経済産業省製造産業局紙業生活文化用品課の新課長に、進藤秀夫(しんどう・ひでお)氏が就任した。
<進藤秀夫氏の略歴>
進藤秀夫氏は1963(昭和38)年生、東京都出身。86年3月東京大学教養学部基礎化学科第二卒、同年4月入省。03年NEDO技術評価部評価企画課長、NEDO研究評価部主幹(兼企画調整部主幹)、04年NEDOワシントン事務所長、07年経済産業政策局産業再生課長を経て、08年7月製造産業局紙業生活文化用品課長に就任。
なお、進藤課長は7月22日に開催された日本製紙連合会の理事会に出席し、就任の挨拶を行った。その中で、(1) 産業競争力を高める (2) 国際的な対応 (3) 環境問題、の重要性を指摘。特に(3) については「先の洞爺湖サミットでは日本のイニシアチブもあり、排出権取引の試行的実施という方向が示された。これは製紙産業とも大きな関わりがある。また、年初の古紙配合率問題で社会の信頼を失っている面もあるが、回復に向け努力してほしい。役所としても、そのお手伝いをさせていただく」と抱負を述べた。

(詳細は Future誌8月4日号 で)

紙パルプ技術協会/10月8日より第51回年次大会
紙パルプ技術協会は10月8〜10日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場をメイン会場として「第51回 2008年紙パルプ技術協会年次大会」を開催する。
今回は特別講演として、元千葉ロッテマリーンズ投手・黒木知宏氏による「今頑張れ 今頑張らずいつ頑張る」、豊田工業高等専門学校校長・末松良一氏/尾陽木偶師・九代目玉屋庄兵衛氏による「ものづくりの原点?からくり人形」が行われるほか、佐々木賞受賞者による講演「高性能新型パルパ、「インテンサパルパ」のご紹介」(IHIフォイトペーパーテクノロジー 岩重尚之氏)、「汚泥脱水機 ロータリプレスフィルター製紙排水汚泥の脱水」(巴工業 松本光司氏)、また抄紙セッションでは大王製紙、日本製紙、北越製紙の新マシンについて操業事例も報告予定。
なお、最終日には王子製紙・春日井工場の見学会、大会前日には昨年に引き続きパルプ製造技術の変遷に焦点を当てた講演会や、パルプ技術、製紙技術、エネルギー各委員会が主催するラウンドテーブル・ディスカッションも実施される。

(詳細は 紙パルプ技術タイムス 9月号 で)

全国紙パルプ安全衛生大会/9月に浜松市で開催
日本製紙連合会労務部会(部会長=佐藤健・三菱製紙社長)の主催する第48回全国紙パルプ安全衛生大会が、来る9月10日(水)〜12日(金)の3日間、静岡県浜松市の浜松グランドホテルで開催される。
大会初日は、住友金属工業出身で災害予防研究所所長の中村昌弘氏による「ヒューマンエラーを防ぐ職場安全活動の進め方」と題した講演があるほか、事業場・協力会・個人の計36件が安全衛生表彰を受ける。2日目は、混合・協力会・監督職・管理職など六つのグループに分かれて、分科会が開かれる。昨年までは分科会と講演会が同日に設定されていたが、参加者の討議や情報交換の時間を多く取ることで、より充実した内容とするため、初めての試みとして分科会を終日実施することにした。
また最終日の3日目は工場見学としてヤマハの本社工場、ヤマハ発動機の本社工場、スズキの湖西工場を見学する。
製紙連労務部では、佐藤部会長をはじめ26社から約390名の参加を見込んでいる。

(詳細は Future誌8月4日号 で)

オフィス町内会/古紙回収、「森の町内会」ともに順調に推移
オフィス町内会の第19回目となる会員総会が7月16日、都内で開催された。同町内会は今年3月に事務所を移転したが、基本的な活動である古紙回収・リサイクル事業および「森の町内会」活動は順調に推移している。
同町内会の会員企業は、都内千代田区・中央区・港区を中心とした1,182社で、古紙回収に携わる会員古紙業者は40社に上る。会員企業からの07年度古紙回収実績は6,923t、そこから得た回収会社からの古紙返却代金約4,350万円が会員企業にバックされた。オフィス町内会の古紙回収事業は、契約に基づいて会員企業が専門業者に古紙を回収してもらい、専門業者は回収経費の中から一部を会員企業に返却するというユニークなシステムを構築している。ちなみに会員企業の07年度平均負担額は、1kg当たり14.5円となっており、東京都内の企業が廃棄物処理する際の上限負担金(同32.5円)よりずっと負担が少なくて済む。
また2年前に会員6社で始めた間伐促進を目的とする「森の町内会」活動も、現在は60社に会員が増え今後も増加する見込みとなっている。「森の町内会」が指定する岩手県岩泉町にある森林からの間伐材と、同重量の紙を「間伐に寄与した紙」とするクレジット方式を採用、会員企業(間伐サポーター企業)はこの紙を使用することにより、環境貢献に参加することになる。「間伐に寄与した紙」を製造するのは三菱製紙で、その紙の流通は卸商の(株)市瀬が受け持つ。
日本の山林における間伐は、それに従事する作業者の人件費や間伐材を山から下ろすための専用道路の建設など諸費用がかかり、なかなか進捗しないのが実情。このため「森の町内会」では、間伐サポーター企業に「間伐に寄与した紙」を通常の同品種の紙よりやや高め(10%)の値段で購入してもらい、その差額分を間伐の促進費に充ててもらおうという活動を展開している。
「お陰で2007年度は用紙重量にして330tの『間伐に寄与した紙』が得られた。アカマツを611、間伐面積にして18.6haの実績を上げたことになり、これは136tのCO2削減に相当すると聞いている。今年度はさらにサポーター企業を増やし、また岩泉町に加えてもう一つの市町村で間伐促進ができないかと検討していきたい」(半谷栄寿代表)

(詳細は Future誌8月4日号 で)

イムラ封筒/創業90周年を機に「環境報告書」発行
文具・紙製品大手のイムラ封筒では、創業90周年を機会に「環境報告書」を発行した。同社は1918(大正7)年7月に「井村商会」として奈良県において荷札の製造販売業からスタート、現在では大阪の本社および大阪支店、大阪営業部、関西営業所をはじめ、東京と札幌、福岡に支店・営業所を、また奈良新庄・相模原・筑波・御所・都城・山口美和の各工場、さらに昭島・平野に事業所、奈良県橿原市に情報システム部を設け、年商約240億円の規模で東証・大証第二部に上場している。
「当社の事業領域は封筒を中心としたコミュニケーション分野。企業と人、企業と企業を結ぶソリューションの提供にあり、環境についての取り組みもその一環。私が環境問題を意識したきっかけは、今から20年以上前に『100年後の地球はどうなっているの』というシンポジウムで、『ジオ・カタストロフィ(地球破滅)』という言葉を聞いてからで、それ以来、強く環境を意識するようになった」(井村守宏社長)
報告書では同社の環境保全活動や環境会計、環境貢献などのほか、封筒の製造工程やリサイクル(古紙は丸富製紙に納入、トイレットペーパーとして再生する)なども紹介されている。また今年度の環境目標として、○封筒1枚当たり加工時間の短縮、○電気使用量の削減、○封筒製造時の歩留まり向上、○コピー用紙の使用量削減、○水性インクへの移行、○騒音の低下―などを策定、「環境方針をもとに、エネルギーの削減、資源の有効活用、環境対応商品の拡販の3テーマを掲げ、このテーマに沿って環境目標を設定した」ことなどがわかりやすく解説されている。

(詳細は Future誌8月4日号 で)

東京国際ブックフェア2008/メディアの変化に翻弄される出版界
例年7月に開かれる東京国際ブックフェアは、出版関連業界向けの展示会である。また、同時に本のバーゲンが行われ、人気作家のトークやサイン会なども催されるため、本好きの一般客も多数来場する。だが、たとえこの場は盛況でも、雑誌の売上低迷や返本率の高さなど出版界は苦境が続いている。今回のフェアから、出版界の現状を眺めてみた。

(詳細は Future誌8月18日号 で)

王子特殊紙/銀の変色を防ぐ防錆紙『KS−VCI(AG)』
王子特殊紙はこのほど、銀用防錆紙『KS−VCI(AG)』を発売した。
同社は1962年に防錆紙『KS−VCI』を上市して以来、鉄用、表面処理鋼板用、銅用など各種防錆紙をラインアップし、鉄鋼・自動車・自動車関連部品・家電メーカーなどに提供してきた。そして今回新たに追加したのが銀用防錆紙の『KS−VCI(AG)』。
銀を使用した製品は、銀と硫化水素ガスとの化学反応により腐食が発生し、茶色や黒色に変色することが知られている。そこで『KS−VCI(AG)』は、pHを管理したベース原紙に、銀の変色要因である硫化水素ガスを吸収する薬品を塗工することで銀の腐食による変色を防ぐ機能を持たせた。密閉容器内部に挿入するたけで防錆効果を発揮する。生産は神崎工場。
同社では銀製食器など銀製品の包装用や、銀メッキした電子部品の包装用を用途として想定しており、『KS−VCI』シリーズ全体で08年度販売量1,200万m2を目指す。

(詳細は Future誌8月4日号 で)

紙パの設備投資/08年度は環境対応とエネルギー転換が主体
3月期決算企業の有価証券報告書が出揃ったところで、紙パ各社の設備投資実績と今後の計画をピックアップしてみた。08年度は前期に続いて大型塗工紙マシン2台が営業運転を開始する予定で内外の関心を集めているが、ある面でそれ以上に注目されるのが原油などエネルギー価格の高騰に対応した燃料転換投資。今年度以降に完成する設備投資計画として今回は28社の37案件を取り上げるが、うち3分の1強に当たる13件がエネルギー関連の投資である。
最初に各社の07年度連結業績と設備投資の関係をまとめておこう。07年度における製紙関連17社合計の設備投資額は対前年度比16.0%増の4,494億7,700万円となり、前年度の34.3%増には及ばないものの、引き続き高伸長だった。これに伴い連結売上高に占める設備投資額の割合も06年度の8.5%から07年度は9.4%に上昇している。さらに連結経常利益に占める割合では06年度が192.5%だったのに対し、07年度は原燃料コストの上昇で減益基調の決算だったこともあり、この比率が一気に306.9%まで跳ね上がっている。つまり07年度は経常利益の3倍強の金額が設備投資に充てられたことになる。
一方、連結業績と設備投資の関係を過去3ヵ年の傾向値で捉えると、どうなるか。05〜07年度の業績および設備投資額の年平均値を各社ごとに算出してみると、設備投資の絶対額ではやはり王子製紙、日本製紙グループ本社の2大メーカーが多いが、対売上高比率では北越製紙の20.0%が突出しており、以下、巴川製紙所の13.9%、特種東海ホールディングスの10.5%と続く。
製造業において設備投資と収益の間には常に、ある種のジレンマが存在する。設備投資を怠れば業績はジリ貧になってしまうが、過度の投資に走れば借入金の増大を招き収益の圧迫要因となる。初期投資の金額が嵩む紙パ業界にあって両者のバランスを保つことがいかに難しいかは、過去の経営成績が如実に物語っている。過去3年間の平均経常利益率は17社の合計ベースで4.1%だが、その推移を見ると05年度4.9%→06年度4.4%→07年度3.1%と年を逐って低下している点は、原燃料コストの急騰という不可抗力があるとはいえ気がかりである。
以下、各社の実績と計画を眺めてみる。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

紙・板紙販売金額/価格修正効果で07年は2兆8,000億円台へ
経産省調査統計部による『2007 紙・印刷・プラスチック・ゴム製品統計年報』が、このほど冊子にまとめられた。紙パ関連統計としては毎年、日本製紙連合会から『紙・板紙統計年報』が出されているが、経産省統計は手すきを除くわが国の全パルプ・紙・板紙製造事業所を調査対象としているほか、出荷金額が明示されている点に特徴がある。
この経産省年報によると、まず紙・板紙合計の販売数量は3,131万t(前年比0.7%増)、販売金額は2兆8,384億円(同3.9%増)と、ともに前年を上回っている。特に金額では、初めて2兆8,000億円台に乗ったことが注目される。数量よりも金額の伸び率の方が上回った結果だが、これは昨年の紙パ各社による価格修正を反映していると見てよいだろう。
この金額を品種別に見ると、製紙パルプが2桁増で突出している。昨今の原料高を受けた格好で、数量は+6%台だったにもかかわらず、金額面の+16.9%はむしろ異常な伸びとも言える。紙では包装用紙、印刷・情報用紙、雑種紙が好調であり、板紙では段原紙が+5.3%と板紙全体の増加(+4.3%)に大きく貢献した形になっている。また紙より板紙の方が伸び率は高かったが、これは紙に比べて板紙の価格転嫁の方が早かったことを示唆している。
このほか年報には、07年末時点での生産能力もまとめられている。それによると、抄紙機の台数は紙・板紙計で925台。前年同期より22台の減少(紙13台減、板紙9台減)だが、日産能力では逆に1,774tの増加(紙+1,559t、板紙+215t)となっている。これは当然、1台当たりの能力が増加していることを表しており、今年から来年早々までに予定されている北越製紙・新潟と王子製紙・富岡における新設備が本格稼働すれば、生産効率はさらにアップすることになる。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

王子製紙/中国・南通プロジェクトの販売会社を設立
王子製紙は、日本紙パルプ商事および国際紙パルプ商事との共同出資により、中国・南通プロジェクトの販売会社「王子制紙商貿(中国)有限公司」(日本名:王子製紙商貿(中国)有限公司」を設立した。
王子製紙商貿は、王子製紙からの輸入販売を中心に事業展開しながら中国国内の販路開拓と販売体制確立を進め、2010年に江蘇王子製紙が稼動した後は同社品を独占的に販売する。また王子製紙は今後、中国国内数ヵ所に分公司を設立し、販売網を拡大する計画。
<販売会社の概要>
○本社…南通市経済技術開発区港口工業区三区(江蘇王子と同じ)
○設立…2008年6月25日
○登録資本金…9,000万人民元
○資本構成…王子製紙90%、日本紙パルプ商事5%、国際紙パルプ商事5%
○事業内容…紙・板紙、パルプ、古紙および紙製品の中国国内販売および輸出入ほか

(詳細は Future誌7月14日号 で)

北越製紙/新経営計画「V−10」を作成
北越製紙はこのほど、2008年4月−11年3月の3年間を期間とする新経営計画「V−10(Value-up 10)を公表した。
経営施策として、(1) 投資目的の達成、(2) バランス感ある環境経営と国際化の推進、(3) 人材育成と人財活用、(4) 経営基盤の強化の4項目を設定し、(1) については中核事業である新潟工場N9オンマシンコーターの早期安定化(高品質および低コスト実現、国際市場対応)、N9(洋紙)に対する既存品種分野の収益バックアップを挙げている。
また (2) は省資源・活エネルギー・CO2・植林・古紙などバランス感ある環境経営の推進、提携等を活かした原材料調達・製品販売等、国際化の推進、(4) は長岡特殊紙事業部制の導入をはじめとする業務組織の革新による効率化、コンプライアンス、内部統制等の真の理解・定着を骨子としている。
なお、経営目標(2010年度、連結ベース)は売上高2,300億円、経常利益150億円、売上高経常利益率6.5%以上、EBITDA 360億円、ROA(経常利益/総資産)5.0%以上。

(詳細は 紙パルプ技術タイムス 8月号 で)

特種東海ホールディングス/中期経営計画を発表
特種東海ホールディングスは、2008−10年度にわたる中期経営計画を策定、公表した。
中計の基本方針は、(1) 不採算事業からの撤退と得意分野への経営資源集中、(2) 新規事業・商品開発による事業領域拡大、(3) 新たな視点での「企業間連携」構築、(4) 特殊紙事業の積極的な海外展開。
このうち (1) では、すでに先行実施された東海パルプ横井工場3号機停機と特種製紙岐阜工場への転抄、明治製紙の印刷用紙事業撤退と家庭への特化などがあるが、さらに継続的な利益確保が困難な分野について撤退を検討し、高採算で継続的な成長が見込まれる分野への経営資源集中を図っていく考え。(2) については営業開発本部、事業開発室、総合技術研究所が三位一体となって取り組み、(3) では王子製紙や日清紡との提携メリットの発現を目指す。また (4) に関しては将来的な海外生産も視野に入れ、他社とも連携も模索しながらアジアを重点地域として推進するほか、ファンシーは欧米へも展開していく。
これら施策により、同社では2010年度(連結)に売上高1,030億円、経常利益40億円の達成を目指す。

(詳細は 紙パルプ技術タイムス 8月号 で)

レンゴー/中国・大連市の段ボールメーカーに出資
レンゴーと大連聯合包装製品有限公司(以下、大連聯合)は、中国大連市の段ボールメーカー、大連国立包装有限公司に資本参加した。
大連聯合はレンゴーの中国合弁企業で、大連地区ではトップシェアの段ボールメーカー。同地区で事業基盤を磐石にするための戦略を検討していたところ、大連国立の出資母体である大連国立百川集団有限公司から、出資持分譲渡についての申し出があったことから、今回の資本参加となった。
大連市は中国東北地方への事業展開を考える上での重要拠点。レンゴーは「大連聯合と大連国立の連携により、中国での段ボール事業の強化を図る」としている。
<大連国立包装有限公司の概要>
○所在地…大連市金州区三十里堡鎮
○代表者…孫涵(ソンハン)董事長(新会社発足後も同じ)
○資本金 …1,018万人民元(約1億5,270万円)
○株主構成…〔旧〕百川集団84%、 個人出資16% 〔新〕百川集団33%、大連聯合26%、レンゴー25%、個人出資16%
○事業内容…段ボールおよび美粧印刷紙器の製造販売
○売上高(07年12月期)…5,200万人民元(約7億8,000万円)
○従業員数…220名(07年12月末)
○契約締結…08年4月17日
○新会社営業開始…08年7月1日

(詳細は Future誌7月21日号 で)

王子製紙グループ/環境コミュニケーション委員会を設置
王子製紙グループは、このほど「環境コミュニケーション委員会」を設置。6月12日に第1回目の会合を開催した。
これは、昨年来のばい煙問題および古紙配合率乖離問題によって同社グループの環境経営への信頼が大きく損なわれたことを考慮して設置されたもので、これら問題の背景の一つとして従業員や消費者・市民を含む社内外の多くのステークホルダーとの環境コミュニケーション不足を解消するのが目的。
委員は執行役員クラス、部長クラス、グループ会社の若手社員35名で構成され、社長をはじめ役員クラス計6名がアドバイザーとして参画。グループの環境に対する考え方や実践している数々の環境活動について、社内外にわかりやすい情報発信を行い、活動状況などは適宜、情報公開する。
同社では環境コミュニケーションを、CSR活動を円滑に進めていくための重要なツールの一つと位置づけ、とくに“B to C”の環境コミュニケーションを意識し、社外から広く意見を聞くと同時に、グループの考えや活動に対し十分な理解が得られるよう努めていく。

(詳細は 紙パルプ技術タイムス 8月号 で)

日本製紙グループ本社/福岡県八女市に無農薬の茶園を造成
日本製紙グループは、全国でも珍しい無農薬有機栽培のお茶作りに取り組んでいる、福岡県八女市のいりえ茶園と共同で、見本茶園「有徳の里」を造成した。有徳の里は“農”について学びながら、生産者と消費者との交流の場となるよう造られた茶園。苗木は日本製紙グループが作出した「フォトグリーン」を使って今年3月に植え付け、茶葉は2012年春に収穫される見込みで、日本製紙総合開発が自社ブランドで販売する予定。
日本製紙グループは、日本製紙が開発した植物バイオテクノロジーを活用し、有用な植物について短期間に高品質の挿し木苗を生産する「アグリ事業」を06年から展開している。これらの技術は、製紙原料となるユーカリの生産効率化のために開発されたものだが、アグリ事業では特に光独立栄養培養などの技術を使って茶樹や園芸樹木、果樹などへの応用を進めている。ちなみに光独立栄養培養技術とは、組織培養でエネルギー源となる糖の替わりに高濃度のCO2と水と光を施用することで、植物自身が持つ光合成能力を引き出す培養方法。この技術は、絶滅危惧種に分類された小笠原諸島の植物の苗木の増殖や全国の歴史的価値のある桜の銘木の保存に活用されている。
日本製紙グループは茶園造成に当たり、「いりえ茶園の有機無農薬栽培による育成技術を生かし、安全で安心な茶葉を作る」と抱負を語っている。いりえ茶園は、27年前から土づくりにこだわって無農薬でお茶を栽培し、昨年、環境に優しい農業に取り組むエコファーマーとして認定されるとともに、EUドイツの残留農薬検査に合格し、第1回世界緑茶コンテストで銀賞を受賞した経歴を持つ。
<有徳の里の概要>
○事業名…茶園モデル農場整備事業「有徳の里」
○所在地…福岡県八女市大篭地区
○面積…0.7ha

(詳細は Future誌7月14日号 で)

日本紙パルプ商事/商品管理室を設置し生産現場の実態を調査
日本紙パルプ商事は7月1日付で、東京業務本部内に古紙配合率の実態などを調査する「商品管理室」を新設した。先の古紙配合率問題の際に、実態を認識していなかった反省を踏まえての設置。
商品管理室では、品質データの収集・確認のほか、製紙工場に対しては、発注商品が公表通りのスペックで生産されているか、現地調査を実施する。当面は再生紙の古紙配合率の実態確認に注力し、製紙会社に再発防止策を求めることで、品質管理の徹底を図る。

(詳細は Future誌7月21日号 で)

小林製作所/“ベロイト”の流れを汲む米国2社と技術提携
世界的に知名度の高い板紙抄紙機『ウルトラフォーマ』を製造する小林製作所(本社:静岡県富士市、小林俊雄社長)は先頃、米国のペーパーシン社(Paperchine Inc.)およびジョンソンフォイル社(JohnsonFoils Inc.)との技術提携契約を結んだ。
提携対象となった米国2社のうちペーパーシン社は、元ベロイト社の上級技術者が集まって設立した会社で、エンジニアリング業務がベース。またジョンソンフォイル社は、同様に元ベロイト社で多くの成果を残した技術責任者が製紙業界向けに新規開発製品を提供している。この両社の技術力は米国製紙業界で高く評価され、実績を伸ばしている。
周知のように、かつてベロイト社はメッツォ、フォイト両社とともに世界の製紙機械市場で大きな存在感を示し、同社のギャップフォーマ『ベルベフォーマ』は日本においても、新聞用紙マシンの近代化などに大きく貢献した。ペーパーシン、ジョンソンフォイルの両社はいわば、そうしたベロイト社のDNAを引き継ぐ技術者集団と言ってよい。
他方、小林製作所は三菱重工業の製紙機械事業からの撤退に伴い、国産製紙技術を担う“日の丸メーカー”として国内製紙業界からの期待も高まりつつある。さらに幅広いユーザーニーズに対応できる体制強化が求められていたわけだが、同社ではそうした期待に応えるべく、洋紙分野においても技術貢献できるような道を模索していた。
その一方で、国内におけるマシン需要の構造変化にどう対応していくかも、同社にとって重要な課題となっていた。国内の製紙産業は、成熟期を迎えたとはいえ世界第3位の生産規模であり、資源循環型産業としての特性を有効に活かしながら生活必需品供給者としての責任を果たすという、新たなスキームによる発展を模索しつつある。
これをマシン需要の側面から見ると、製造設備の新増設が増えていく見込みはないものの、品質・生産性の向上や省エネを目的とした改良工事、および老朽化に伴う改造工事などは継続的に行われていくと予想される。そのニーズ変化に幅広くかつ柔軟に応えていくため、同社としてはもう一歩進めた技術強化策が求められていた。今回の技術提携は、こうした日米の3社が結集して、空洞化傾向にある日本の製紙機械業界に新風を吹き込むことが狙いになっているとも言えそうだ。

(詳細は Future誌7月21日号 で)

製紙連の環境フォローアップ調査/速報値で改定目標を上回った07年度
日本製紙連合会は「環境に関する自主行動計画」を推進中だが、その進捗状況を確認するため7月に「2008年度フォローアップ調査(07年度実績)」の結果をまとめた(速報値)。今回は07年9月に実施した2回目の目標改定後、初めての調査となる。
製紙連の環境自主行動計画における目標は次の通り。
1)2008〜12年度の5年間平均で、製品当たり化石エネルギー原単位を90年度比で20%削減し、化石エネルギー起源CO2排出原単位を16%削減することを目指す。
2)国内外における植林事業の推進に努め、2012年度までに所有または管理する植林地を70万haに拡大することを目指す。
今回の調査は34社104工場・事業所からの回答をまとめたもの。回答工場・事業所の生産シェアは全製紙会社の88.7%に上る。以下、主な調査結果を紹介する。
○CO2排出量…2,536万6,000t
○化石エネルギー起源CO2排出量…2,313万2,000t(90年度比▲8.8%)
〔化石エネルギー原単位指数とCO2排出原単位指数〕07年度の化石エネルギー原単位は、前06年度と同様に、省エネと化石エネルギーから再生可能エネルギーおよび廃棄物エネルギーへの転換がさらに進み、▲1.6ポイントと4年連続で改善。90年度比では79.5%となり、07年に改定した目標の“80%”を若干上回った。
一方、07年度の化石エネルギー起源CO2排出原単位も前06年度に比べて▲1.3ポイントと4年連続で改善された。90年度比では82.8%、これも昨年改定した目標の“84%”を1.2ポイント上回っている。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

持続可能な発展のためのアジア林産品産業会議/旧アジア製紙産業団体会議を発展的に衣替え
「持続可能な発展のためのアジア林産品産業会議」と銘打った国際会議が来る10月15〜17日の3日間、大阪市内のリーガロイヤルホテルで開催される。これまで「アジア製紙産業団体会議」として、日韓台の3ヵ国持ち回りで隔年開催されていたものを、発展的に衣替えする。
従来のアジア製紙産業団体会議は、各国の参加団体による紙パルプ産業の国情報告に重点が置かれ、参加したトップ同士の間で突っ込んだ議論が行われていなかった。そこで会議を議論重視の形態に刷新するとともに、アジアの林産品産業が抱える原料問題や地球温暖化問題などを対象とした幅広い課題について、共通認識や相互理解の醸成を図るための会議へと発展させることにしたもの。
会議内容の変更に伴い、会議名称も変更して従来会議との差別化を図る。また、これまで会議運営費は開催国(日本、韓国、台湾)の全額負担だったが、他の開催国にも開催の機会が与えられるよう費用の一部を参加者が負担する方式へと変更する。
一方、中国の参加については今までも各開催国が努力してきたが、台湾との政治問題もあり、未だ実現していない。だが日本製紙連合会は2年前に台湾で開催されたアジア会議以降、中台両サイドに接触してきた結果、従前とは趣旨の異なる新たな国際会議が創設されるならば、両者の参加が容易になるとの感触を得ている。
さらに台湾は中国の参加を勘案して、この新しい会議には「Chinese Taipei Paper Industry」の呼称、すなわちオリンピック方式で参加する書状を現参加国に開示した。製紙連は「現状では中国の参加について不確定な要素も多いが、今後とも開催日まで粘り強く中国および台湾の参加を働きかけていきたい」としている。会議の概要は次の通り。
〔参加予定団体〕(英文表記のアルファベット順)▽中国造紙協会▽中華台北造紙工業同業公会▽インド製紙工業連合会▽インドネシア紙パルプ連合会▽日本製紙連合会▽韓国製紙工業連合会▽マレーシア紙パルプ工業連合会▽フィリピン紙パルプ工業連合会▽タイ紙パルプ産業連合会▽ベトナム紙パルプ連合会
〔参加予定人数〕前記10団体会員企業のCEOおよび各団体の理事から成る約100名
〔会議プログラム〕▽1日目…各団体首脳夕食会▽2日目…本会議と夕食会▽3日目…ソーシャルプログラム(工場見学、観光、ゴルフ)
2日目の本会議は、午前中に各国製紙産業が最近のトピックを発表した後、出席者による質疑応答とフリーディスカッションを行い、午後は製紙原料(古紙)問題や地球温暖化問題などの議題を設定、外部より専門家を招き産業が直面する課題について深い議論の場を設ける。また出席者への参考資料として、各参加団体は一般経済および製紙産業に関する各種統計を用意する。
なおホスト側となる製紙連では新会議の趣旨を踏まえ、約70名に上る海外の参加者から1人当たり150ドルの参加費用を徴収することにしている。

(詳細は Future誌7月21日号 で)

オフィス町内会/古紙回収、「森の町内会」ともに順調に推移
オフィス町内会の第19回目となる会員総会が7月16日、都内で開催された。同町内会は今年3月に事務所を移転したが、基本的な活動である古紙回収・リサイクル事業および「森の町内会」活動は順調に推移している。
同町内会の会員企業は、都内千代田区・中央区・港区を中心とした1,182社で、古紙回収に携わる会員古紙業者は40社に上る。会員企業からの07年度古紙回収実績は6,923t、そこから得た回収会社からの古紙返却代金約4,350万円が会員企業にバックされた。オフィス町内会の古紙回収事業は、契約に基づいて会員企業が専門業者に古紙を回収してもらい、専門業者は回収経費の中から一部を会員企業に返却するというユニークなシステムを構築している。ちなみに会員企業の07年度平均負担額は、1kg当たり14.5円となっており、東京都内の企業が廃棄物処理する際の上限負担金(同32.5円)よりずっと負担が少なくて済む。
また2年前に会員6社で始めた間伐促進を目的とする「森の町内会」活動も、現在は60社に会員が増え今後も増加する見込みとなっている。「森の町内会」が指定する岩手県岩泉町にある森林からの間伐材と、同重量の紙を「間伐に寄与した紙」とするクレジット方式を採用、会員企業(間伐サポーター企業)はこの紙を使用することにより、環境貢献に参加することになる。「間伐に寄与した紙」を製造するのは三菱製紙で、その紙の流通は卸商の(株)市瀬が受け持つ。
日本の山林における間伐は、それに従事する作業者の人件費や間伐材を山から下ろすための専用道路の建設など諸費用がかかり、なかなか進捗しないのが実情。このため「森の町内会」では、間伐サポーター企業に「間伐に寄与した紙」を通常の同品種の紙よりやや高め(10%)の値段で購入してもらい、その差額分を間伐の促進費に充ててもらおうという活動を展開している。
「お陰で2007年度は用紙重量にして330tの『間伐に寄与した紙』が得られた。アカマツを611、間伐面積にして18.6haの実績を上げたことになり、これは136tのCO2削減に相当すると聞いている。今年度はさらにサポーター企業を増やし、また岩泉町に加えてもう一つの市町村で間伐促進ができないかと検討していきたい」(半谷栄寿代表)

(詳細は Future誌7月28日号 で)

経産省・紙業生活文化用品課/新課長に進藤秀夫氏
経済産業省製造産業局紙業生活文化用品課の新課長に、進藤秀夫(しんどう・ひでお)氏が就任した。
<進藤秀夫氏の略歴>
進藤秀夫氏は1963(昭和38)年生、東京都出身。86年3月東京大学教養学部基礎化学科第二卒、同年4月入省。03年NEDO技術評価部評価企画課長、NEDO研究評価部主幹(兼企画調整部主幹)、04年NEDOワシントン事務所長、07年経済産業政策局産業再生課長を経て、08年7月製造産業局紙業生活文化用品課長に就任。
なお、進藤課長は7月22日に開催された日本製紙連合会の理事会に出席し、就任の挨拶を行った。その中で、(1) 産業競争力を高める (2) 国際的な対応 (3) 環境問題、の重要性を指摘。特に (3) については「先の洞爺湖サミットでは日本のイニシァチブもあり、排出権取引の試行的実施という方向が示された。これは製紙産業とも大きな関わりがある。また、年初の古紙配合率問題で社会の信頼を失っている面もあるが、回復に向け努力してほしい。役所としても、そのお手伝いをさせていただく」と抱負を述べた。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

北米紙パ産業/設備投資計画は金額を抑制しエネルギー関連を優先
北米紙パルプ産業の08年度における設備投資金額は対前年比で概ね横ばいである。多くのメーカーは投資する際に利益と製品構成の改善、コストの削減が期待できるプロジェクトを選択している。需要が伸びず利益が圧迫されている現状では、メーカーとして投資対象を緊急度の高い更新やメンテナンスなどに限定せざるを得ない。またエネルギーコストが急騰しているので、この削減を目的とした投資が注目を集めている。
エンジニアリング企業の関係者は「最近は目的を限定したプロジェクトが多い。具体的にはエネルギーコスト削減、より付加価値の高い紙を生産するためのマシン改造、需要低迷の新聞用紙などを含む製品構成の改善に的を絞っている」と指摘する。「10年前と比較すれば投資は減少した。メーカーは非常に厳しく投資対象を選択している」と述べる消息筋もある。現に米国大手10社の08年投資額は、合計で前年に比べ3%のマイナスだった。
「北米で特に活発な投資活動が行われている分野としては衛生用紙や段ボール原紙などがあるが、多くのメーカーは投資を抑制する姿勢を強めており、事業の現状維持に主眼を置いた取り組み方をしている」(メーカー関係者)
北米最大のメーカー、インターナショナルペーパー(IP)は08年の投資額を07年の13億ドルから11億ドル(減価償却の100%に相当)に削減している。IPは09年には10億ドル(減価償却見積り額の63%に相当)の投資を見込んでおり、この中には先に買収を決めたウェアーハウザーの段ボール原紙事業部門向けの2億ドルも含まれている。
北米最大の上質紙メーカー、ドムターは07年版の年次報告書に「08年の投資額を減価償却の60%に限定する計画」と記載していた。一方、中質紙と新聞用紙のメーカー、カナダのカタリスト・ペーパーは07年版の年次報告書に「08年の投資を主に高利益率で高品質が保証されるプロジェクトに集中させていく計画だ」と記していた。

(詳細は Future誌7月21日号 で)

UPM/中国で麦わらパルプ工場の建設を計画
フィンランドのUPMが中国で、新しい技術を用いた麦わらパルプ工場の建設を計画している。同社は江蘇省の常熟工場で2000年から上級紙を生産しているが、その北方にある小麦畑にわらパルプ工場の建設用地を確保した。ここで環境負荷の少ない麦わらパルプを年間10万t生産する。投資金額は約1億ユーロで、通常の木材パルプ工場の建設に比べ1割程度のコストで済む。09年中に収益性調査を終え、中国当局の認可が下り次第、最終的に決断するとしている。
中国において麦わらは伝統的なパルプ用原材料だが、現在の製造方法では環境負荷が大きいという難点がある。このため中国政府は年間500万tの汚染工場をすでに閉鎖したが、今なお800万t相当の工場設備が全国に散在しており、黒液排水によって河川の汚染を引き起こすなど社会問題にもなっている。
これに対してUPMが中国で導入しようとしているのは、同じフィンランド企業のChempolis社が開発した技術。この技術は、農業廃棄物や木材以外のアシなどをパルプや生物化学材料の原材料として利用するもの。UPMの場合、収穫を終えた後の麦わらを利用するので、廃棄物を出さないというメリットもある。またChempolis社の技術は硫黄や塩素を使わず、水の消費が少なく、温室効果ガスの排出も少ない。
この新技術を利用した工場は原料不足に悩む中国以外の国、例えばインドなどでも応用できる。そこでUPMとChempolis社は中国のみならず、他国の企業に対してもこの技術ライセンスの供与を検討しているという。
なお、この新しいパルプ工場で作られる麦わらパルプはUPMの常熟工場では使用されない。常熟では、昨年末に稼働したUPMウルグアイのパルプ工場や他社から調達した通常のクラフトパルプを原料に、上級紙を製造している。

(詳細は Future誌7月14日号 で)

中国の古紙動向/業者を育成し国内回収率向上に注力−『造紙年鑑』
『2007 中国造紙年鑑』(中国造紙学会編)によれば、中国における06年の古紙回収率は35.9%、古紙パルプ利用率(古紙利用率ではない)は56.0%で、前年より回収率は5.4ポイント、古紙パルプ利用率は2.0ポイントアップした。同年の紙・板紙生産量が6,500万t、消費量が6,600万tと急増を続ける中、古紙の利用も急ピッチで進んでいる様子が窺える。
しかし現状(別の資料によると、07年の古紙回収量は2,650万t)では、回収率が30%台とまだまだ低く、その主な理由として『年鑑』では次のような点を指摘している。
○輸出用製品に使用される紙・板紙が多い(段ボール箱や紙器、食品包装紙など)ため、それらの製品とともに紙・板紙も外国に出ていってしまう。
○古紙の回収に係る組織や管理体制が不備で、政策や法制度も十分に整っていない。
○古紙回収業の多くが民間のごく小規模レベルで行われており、大規模な法人組織が少ない。したがって古紙回収のための技術や資金に乏しい。
○脱墨や異物除去、白色度アップなど、古紙パルプの製造利用技術に限界があるため、国産の古紙パルプは品質面でも一定しない。
これを受けて、紙・板紙生産に要する原料パルプの種類別消費量と構成費について、05年時点の実績と2010年の予測を次のように行っている(単位:万t、%)。
  05年 比率 10年 比率
木 材 1,144 22 1,755 26
古 紙 2,810 54 3,780 56
非木材 1,248 24 1,215 18
これを見ると、現状より非木材パルプの比率を減らし、木材パルプ(+4ポイント)と古紙パルプ(+2ポイント)を増やす方針が読み取れる。これは同国が進める第11次5ヵ年計画に沿った方向でもある。2010年時点の紙・板紙生産量を7,500万tとしており、これに要するパルプの消費量は6,750万tだが、この計画を達成するためには「国内における古紙回収量を増加させ、かつ輸入依存型から脱却する必要がある」としている。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

ブラジルの紙パ産業/CO2排出枠の売却ビジネスに注力
ブラジルの紙パルプメーカーは、温室効果ガスの排出削減問題に強い関心を示している。クラビン、スザーノ、アラクルス、セニブラの各社はすでにシカゴ気候取引所(CCX)でカーボン・クレジット(=炭素排出枠、以下「排出枠」)を売り出している。紙パルプメーカーはまた、京都議定書の枠組みに参加している欧州連合排出取引機構(EU ETS)の下で、クリーン開発メカニズム(CDM)の開発も進めている。CCXとのETSの違いは、後者が植林による吸収を排出枠と認めていない点である。
南米のエコエナジー・カーボン・マーケットで新規事業開発を担当する支配人、コトリム氏によれば「現在、京都議定書に基づいて紙パルプメーカーから9件のプロジェクトが国連に登録されており、中でもインドは8件も出している。インドからは紙パ以外にも26の案件が国連に提出されており、目下検証中である。中国からは2件、イスラエルとブラジルからは各1件となっている」と説明した。
大方のプロジェクトは、バイオマスの熱電併給ボイラー、燃料の代替品、水蒸気の最適化、廃液からメタノールを回収処理するプラントなどである。コトリム氏は「中国、インド、韓国は現在、京都議定書に基づいて得た排出枠の90%を保留している。この3ヵ国は環境汚染が激しく、新たな排出量削減策を開発する必要に迫られおり、その道筋がつくまでは排出枠を担保しておきたいからだ」と語っていた。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

日本製紙クレシア/クリネックスティシュとTPをリニューアル
日本製紙クレシアはこのほど、クリネックスブランドの『フェイシャルティシュー 5BOX 』と『トイレットティシュー 12ロール』(シングル、ダブル、プリントタイプ)をリニューアル発売した。
新製品は原料に厳選したパルプを配合し、独自のソフトアップ加工技術で肌触りとボリューム感を向上させた。また『トイレットティシュー』は、パッケージデザインも一新し、ウェーブデザインでよりクリネックスらしさを強調している。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

王子特殊紙/銀の変色を防ぐ防錆紙『KS−VCI(AG)』
王子特殊紙はこのほど、銀用防錆紙『KS−VCI(AG)』を発売した。
同社は1962年に防錆紙『KS−VCI』を上市して以来、鉄用、表面処理鋼板用、銅用など各種防錆紙をラインアップし、鉄鋼・自動車・自動車関連部品・家電メーカーなどに提供してきた。そして今回新たに追加したのが銀用防錆紙の『KS−VCI(AG)』。
銀を使用した製品は、銀と硫化水素ガスとの化学反応により腐食が発生し、茶色や黒色に変色することが知られている。そこで『KS−VCI(AG)』は、pHを管理したベース原紙に、銀の変色要因である硫化水素ガスを吸収する薬品を塗工することで銀の腐食による変色を防ぐ機能を持たせた。密閉容器内部に挿入するたけで防錆効果を発揮する。生産は神崎工場。
同社では銀製食器など銀製品の包装用や、銀メッキした電子部品の包装用を用途として想定しており、『KS−VCI』シリーズ全体で08年度販売量1,200万m2を目指す。

(詳細は Future誌7月28日号 で)

リンテック/ロール巻き取り式の粘着捕虫器を発売
リンテックはこのほど、ハンドル操作で手を汚さずにシート交換できる、ロール巻き取り式の粘着シートタイプ捕虫器『捕虫王』を発売した。
『捕虫王』は、蛍光ランプを使ってハエや蚊などの飛翔性昆虫類を誘引し、透明粘着シートで捕虫する「光誘引式粘着シート捕虫器」。電撃殺虫器のように虫の死骸が飛び散らず、より清潔な環境を保つことができる。また、従来の粘着シート捕虫器は捕虫用の粘着シートを1枚ずつ手作業で交換するため、“手間がかかる”、“手が汚れる”などの問題があったが、『捕虫王』はハンドルを回すだけで古い粘着シートを巻き取りながら簡単に新しいシートを連続供給できる。捕虫シートにはリンテック独自の強力特殊粘着剤を使用、紫外線による粘着力の低下が非常に少なく、屋外でも長期間安定的に優れた捕虫性能を発揮する。
さらに、転倒防止アンカープレートやガラス飛散防止対策フィルム付蛍光ランプを標準装備し、人の出入りが多い場所でも、転倒による蛍光ランプの破損、ガラス破片によるけがなどのリスクを大幅に軽減した。同社では、工場や配送現場などでの採用を見込んでいる。

(詳細は Future誌7月28日号 で)


Copyright © 2010 紙業タイムス社 テックタイムス. All Rights Reserved.