KJ特殊紙/CNT関連の新製品を開発
三菱製紙の100%子会社、KJ特殊紙はこのほど、カーボンナノチューブ(CNT)関連の新製品として、セラミック紙と複合化した「耐熱面状発熱基材」と、CNT染糸を用いた「フレキシブル織物基材」を開発した。
KJ特殊紙は、従来、低濃度(5%未満)でしか分散できなかったCNTを、高濃度(6~10%)で低粘度の水系分散液とする独自技術を持つ。この技術を活用し、すでにCNT関連製品として、CNT分散液「KJカーボンnanoリキッド」、および同分散液とバインダーを混合した塗料「KJカーボンnanoコート」、さらに同塗料をフィルム上に塗工成型したシート「KJカーボンnanoシート」を商品化している。今回の開発品は、それらに続く新製品で、特徴は次記の通り。
・耐熱面状発熱基材
構 成:セラミック繊維紙「コーセラン」にCNTを塗工した高温耐熱仕様の面状発熱基材
特 徴:耐熱性(340℃で連続使用可能)、レスポンス(通電開始から4秒で200℃、50秒で340℃に昇温。30秒で室温に降温)、薄型(1mm以下の厚みを実現し部材のダウンサイジングに最適)
想定用途:工場配管加熱用のヒーター、特殊ヒーターなど
・フレキシブル織物状発熱基材
構 成:CNTを担持させた染糸を織り込んだフレキシブルな織物状発熱基材
特 徴:布の風合い(厚みと柔軟性、触感がよい)、耐久性:屈曲疲労による断線が発生しにくい)、発熱性(昇温が早く、織物全体がムラなく発熱)、省エネ効果(ニクロム線ヒーターに比べ電力消費は60%)
想定用途:産業用途(融雪マット、着氷・着霜防止用材料、車の座席ヒーターなど)、生活用途(床暖房などの暖房装置部材、寝具、衣料、飲料加熱用ヒーターなど)
(Future 2017年7月24 日号)