紙・板紙需給1~6月期/生産・出荷が2年ぶりのプラスに
日本製紙連合会の集計による1~6月期の紙・板紙需給(6月分は速報ベース)は、生産・出荷とも2年ぶりに前年同期を上回った。だが、これは主として紙分野の輸入減を国内の増産でカバーした結果であり、内需としては依然1%近いマイナスとなっている。
その国内紙・板紙需給のバックボーンである日本経済は、2015年4~6月期以降マイナス成長とプラス成長を繰り返しており、回復感の乏しい状況が続く。
2016年1~3月期の実質GDPは、前期比+0.5%(前期比年率1.9%)と2四半期ぶりにプラス成長となったが、うるう年効果によって個人消費や政府消費が全体を押し上げており、実態としての景気は横ばい圏内での動きにとどまる。
そのうるう年効果で嵩上げされた反動や熊本地震の影響は、4~6月期以降に出ることから、景気停滞感は強まっていくものとみられ、政府や日銀が今後どのような政策を打ち出していくのか注目される。なお政府は2016年度の経済見通しについて、年央試算で実質GDP成長率を1月時点の+1.7%から+0.9%に下方修正した。
そうしたなかで紙・板紙需給に目を向けると、1~6月期の生産は前年同期比+0.2%の1,309.5万t、出荷のうち国内向けが同△0.3%の1,231.9万t、メーカー輸出が同+17.5%の67.4万t、合計で+0.5%の1,299.3万tとなり、生産・出荷とも2年ぶりに前年同期を上回った。
国内出荷に輸入通関実績(6月は製紙連による推計値)を加え、流通在庫の増減を織り込んだ内需は、紙が△2.5%の750.7万t、板紙が+1.4%の570.6万t、合計で△0.9%の1,321.3万t。
ちなみに製紙連が年初に試算した2016年の通年予想はそれぞれ△2.2%、+0.4%、△1.1%なので、今のところ紙は想定よりわずかに悪く(△0.3ポイント)、板紙は想定よりかなり良い(+1.0%)状態で推移している。すなわち製紙連の通年予測では紙と板紙の伸び率の差が2.6ポイントだったが、1~6月期の実績値では3.9ptに拡大した。
この需給を用途別に眺めたのが表2。消費増税以降、不振のグラフィック系用紙(新聞用紙+印刷情報用紙)が前年を下回っているのに対し、パッケージング系用紙(包装用紙+雑種紙+板紙)および衛生用紙は消費増税の影響が一巡して以降、堅調に推移し、生産・出荷とも2年ぶりに前年を上回っている。
在庫は荷余り感こそなかったものの、主要品種はいずれも前年を上回って推移した。また日銀:企業物価指数にみる価格は、グラフィック系など一部品種で前年後半以降に軟化傾向を示している。
(以下、品種別動向はFuture 2016年8月15日号に)