王子HD/生産体制再構築でグラフィック用紙を年産40万t削減
王子ホールディングスは5月22日、国内需要に見合った生産体制再構築の一環として、抄紙機4台の転抄・停機による能力削減を次記の通り決定した(以下、会社・工場名ごとに抄紙機No./主要生産品種/削減年産能力/再構築内容/実施予定時期の順で記載)。
〔王子製紙・苫小牧工場〕
N5号マシン/新聞用紙/20万t/段ボール原紙・クラフト紙製造設備に改造/2020年度上期に停止、改造後2021年度に稼働(年産30万t)
〔王子製紙・富岡工場〕
9号マシン/印刷・情報用紙/13万t/停止/2019年度末
〔王子エフテックス・江別工場〕
1号マシン/印刷・情報用紙、特殊紙/4万5,000t/停止/2020年度上期
4号マシン/特殊紙/1万5,000t/停止/2020年度上期
これらの停止・転抄にともなうグラフィック用紙(新聞用紙+印刷・情報用紙)の生産能力削減量は年産約40万t。王子HDグループのグラフィック用紙生産実績は2018年に約240万tだったので、この削減量は約17%に相当する。
また今回の措置で唯一の転抄マシンとなる苫小牧のN-5は、改造後の段原紙・クラフト紙年産能力が約30万t。米坪範囲は未定だが、厚物へのシフトなので、抄速の低下を勘案しても生産量としては1.5倍程度になる見込みだ。改造による設備投資額は概算150億円。
一方、この生産体制再構築によるコスト削減額は年間37億円を見込んでいる。停機にともなう余剰人員対策については、グルーブ全体での吸収を検討している。なお今回停止する設備は、すでに過年度において簿価を回収可能な価額まで切り下げているため、2019年度の連結業績に及ぼす影響はないとしている。
2016年以降に実施された、あるいは実施が決まっている各社の停止・転抄マシンは合計すると20台(塗工機を含む)となり、転抄前の削減量が約170万tに上る。このうちグラフィック用紙に限ると163万t、印刷・情報用紙に限ると117万tで、2018年の生産実績に対する割合はそれぞれ16%、15%という、かつてない規模となる〈併抄マシンは各品種を均等に生産したものとして計算〉。
(Future 2019年6月10日号)