王子HD、三菱製紙/ノーカーボン紙の生産・販売を三菱・高砂に集約
王子ホールディングスと三菱製紙は、王子HD100%子会社の王子イメージングメディアが行っているノーカーボン紙の生産・販売を終了し、三菱製紙へ移管することで合意した。2020年7月1日を目途に、生産拠点を現在の王子イメージングメディア・神崎工場から三菱製紙・高砂工場に変更する。
王子イメージングメディアと三菱製紙は、2007年に情報用紙事業で業務提携して以降、密接な関係を構築してきた。また王子HDと三菱製紙は、2019年3月の資本業務提携成立を機に、新たなシナジー発現を検討している。需要構造の変化や電子化によるノーカーボン紙市場の縮小が続く中、生産・販売を三菱製紙に集約することで、王子イメージングメディアは経営資源の選択と集中を進めて生産性向上と競争力強化を図り、一方、三菱製紙はシェア拡大と収益改善につなげる考え。
ノーカーボン紙の公式統計はないが、感圧材料を塗布する前の原紙の統計は日本製紙連合会が集計している。それによると2018年の実績は生産が前年比+1.0%の14.2万t、出荷が+2.5%の14.4万t。出荷は全量、国内向けである。10年前の08年はそれぞれ19.0万t、19.2万tだったので、年率平均では△2.86%、△2.83%の落込みとなる。
一般に斜陽のイメージが強いノーカーボン紙だが、それでも月1.2万tほどの生産・出荷が続いているのは、手書き伝票を主体に根強い需要があるからだろう。なお18年のメーカー別生産実績は、ノーカーボン原紙を含む複写原紙合計のものしかない。しかし、このセグメントではノーカーボン紙が95%を占めているので、ニアイコールと考えられる。その18年生産実績とシェアは次記の通り(単位:t、カッコ内はシェア)。
①三菱製紙;72,006(48.0%)
②日本製紙;43,732(29.2%)
③大王製紙;21,141(14.1%)
④王子マテリア;5,446(3.6%)
⑤王子エフテックス:2,773(1.8%)⑥日本製紙パピリア;2,662t(1.8%)
⑦三善製紙;2,263t(1.5%)
王子イメージングメディアの名前がないのは、④⑤のグループ会社から原紙の供給を受けて塗工工程以降を受け持っているからだと考えられる。その意味でも、生産・販売を三菱製紙に一本化するのは理に適っていると言える。
(FUTURE2019年12月23日号)