王子ホールディングス/CNF増粘剤を来春から販売開始
王子ホールディングスは増粘剤用のセルロースナノファイバー(CNF)を開発、“アウロ・ヴィスコ”の商品名で2017年4月から販売を開始する。
“アウロ・ヴィスコ”は市販されている天然の増粘剤に比べて粘度が10~100倍と非常に高く、少ない添加量でも十分な効果が得られる点が特長。同社独自のCNF製造技術、リン酸エステル化法によって製造されるが、セルロース繊維をほとんど傷めない化学処理法であるため、CNF分散液の高粘度化に成功したもの。また、静止状態では高粘度だが、攪拌などの力を加えることによってサラサラになるという「チキソ性」も特長の一つ。一旦低下した粘度は、一定時間放置することによって元の粘度まで回復するので、使用時はサラサラで扱いやすく、乾くとしっかり固着するという、使い勝手のよい性質を持つ。
リン酸エステル化法で製造された同社のCNFは、光の可視光領域の波長(数100nm=ナノメートル)よりはるかに小さい直径約3~4nmの超極細繊維であるため透明度が高く、意匠性や透明性が求められる材料に混ぜても、色や透過性にはほとんど影響を与えない。また化粧品などにも使用されている安全な薬品(リン酸など)のみを使用しているので安心して使える。
(Future 2016年12月5日号)