日本製紙/無機物とセルロースの複合化新機能材を開発
日本製紙はこのほど、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる独自技術によって無機物の特徴・特性を備えた機能性材料を開発した。この技術を用いることで、木材パルプをベースに無機物がもついろいろな特性を付与した新しい素材を提供できるようになる。
無機粒子はコピー用紙や新聞用紙など通常の紙の製法では白さや不透明性などを高めるために使われる。しかし、無機粒子は紙の原料であるセルロース繊維に直接定着しないので、多くを配合することはできなかった。
同社が開発した新しい機能性材料は、通常の紙の製法とは異なり、まずセルロース繊維の表面に無機粒子を高密度に定着させることで、無機粒子とセルロース繊維の複合体を作る。そして、これを原料として紙を作ることで無機物の配合を最大90%まで高められ、無機物と紙・セルロース繊維の特性・長所を併せもつた新しい素材を作り出せる。また、新しい機能性材料はウエットパルプ、シート、ボード(貼り合わせ)、パウダーなど、必要に応じた形態にできるとともに、「木」を原料としているのでリサイクル適性も兼ね備えている。
日本製紙は、この機能性材料を“ミネラルハイブリッドファイバー”と名づけ、“ミネルパ(英文名 MinerPa)”の商標で商標登録を申請した。ネーミングの由来は知恵の象徴である「ミネルヴァ(ローマ神話の女神)」。ロゴには、古代より知恵のシンボルとして用いられてきたフクロウのイラストをマーク化し、ミネラル(鉱物)の硬さとパルプの柔らかさを表現した。
今後は難燃性のある壁紙やパーティションボード、消臭・抗菌機能があるペーパータオル、放射線遮蔽効果のある建材など、さまざまな分野で用途開発を図り、商品化を進めていく。
(Future 2017年2月20日号)