日本製紙、東北大学/CNFの大容量蓄電効果を世界で初めて発見
東北大学未来科学技術共同研究センター、東北大学大学院工学研究科附属先端材料強度科学研究センターなどの研究グループと、日本製紙研究開発本部CNF研究所は、共同研究により、このほどCNFに強力な蓄電効果があることを世界で初めて発見した。
太陽光発電をはじめとする自然エネルギーは、気象状況に左右されるため予測が難しく、現在のように発電した電気を送電線に直接流し込む方法はブラックアウトのリスクが高いので、エネルギーの地産地消が望まれている。また、リチウムイオン電池などの2次電池は電気エネルギーを直接蓄えることができず、化学エネルギーに変換するため瞬間的に大量の電気を蓄えるのは原理的に不可能。
今回の共同研究では、CNF表面形状を制御したナノサイズの凹凸面を作り出すことにより、乾式で軽量のスーパーキャパシタの開発に世界で初めて成功。構成材料に電解液を全く用いないため、使用温度が広範囲で電圧耐性が高い(~400V)のが特徴だ。電圧短時間充電が可能となり、空中、真空中から充電できる可能性も出てきた。またナノサイズ径CNFの使用によって、電子吸着量が飛躍的に向上することから、蓄電大容量化も見えてきた。研究チームは今後、NEMS(ナノ電気機械システム)加工技術を導入し、集積化と積層化を行い、弱電用蓄電体としてパワー密度とエネルギー密度の向上を図る。
なお、研究成果はSpringe-Nature誌のScientific Reportsにオンライン掲載された。
(FUTURE2021年4月12日号)