日本製紙、四国化工機/次世代型アセプティック紙容器システムを完成
日本製紙は9月16日、本社のある東京・御茶ノ水ソラシティ内で、次世代型アセプティック紙容器システム『NSATOMR(えぬえすアトム)』の完成発表会見を開いた。2年前の9月に行った同システムの発表会で、2019年度中の市場投入を予告していたが、コロナ禍などの影響により2020年度にズレ込んだ形。
当日は野沢徹代表取締役社長のほか、紙パック営業本部長の大林保仁・常務執行役員、四国化工機の植田滋代取社長CEOが出席し会見に臨んだ。
冒頭、野沢社長は「近年、低迷するグラフィック系市場に代わるものとして、当社はパッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギー、木材の各分野に比重を置いて事業を強化している。段ボール加工事業については昨秋、豪州の企業を買収しこの分野を補完するなど、総合パッケージメーカーを指向している。アフターコロナの社会は環境・衛生・健康がますます重要視されるはずで、そういう意味でも『NSATOM』には期待している」と述べた。
また大林常務執行役員は、日本製紙が掲げるスローガン「紙でできることは紙で!」を紹介しつつ、同システムの開発の背景として、全世界で脱プラスチック容器の潮流が加速、日本製紙における最近の紙容器新製品開発状況、温暖化・気候変動による自然災害発生、新型コロナウイルス感染拡大、従来の紙容器で出来なかったこと――などの要素を挙げた。
『NSATOMR』は日本製紙と四国化工機それぞれの社名をとって「Nippon-Shikoku Aseptic Total Optimized Method」の頭文字をつなげたものであり、両社はこれまでも常温長期保存タイプの無菌充填システム『NS-FUJI』(レンガ型紙容器で65~1,000?の幅広いラインアップがある)を共同開発し、飲料メーカーを通じて30年以上にわたり日本の消費者に提供してきた。
今回完成した無菌充填システムは、これまで液体用紙容器では不可能とされていた固形物・長繊維・高粘度の飲料内容物(タピオカ、ナタデココ、リンゴ、トマト、イチゴ、ニンジン、調味料、ドレッシングなど)の充填に対応しつつ、長期常温保存ができるという特長を持つ。さらに充填 機は全自動洗浄(高衛生/省力化)の機能に加え、容器殺菌レベルは業界最高水準の「キルレート6」を実現している。
両社は今後もトータルシステムサプライヤーとして、「原紙」→「容器製造」→「充填機」→「メンテナンスサービス」という一連のアセプティックパッケージソリューションを「NIPPON QUALITY」と名づけ、事業を継続していく。
なお、『NSATOMR』の今後の販売スケジュールとしては本年10月に顧客を招いての実機見学(徳島)を行い、11月から充填機の受注を開始、2021年度からはテスト用の1号機、2号機を設置する予定。うち1台は日本製紙リキッドパッケージプロダクト(茨城県猿島郡)内に設置し、顧客のテスト充填などを可能とする環境を整える予定。2025年度に10台の稼働を目標としている。
(FUTURE2020年10月5日号)