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大王製紙、北越コーポレーショ/業務提携契約を締結NEW


 大王製紙と北越コーポレーションは5月15日、戦略的業務提携基本契約を締結した。
両社はかねて、北越による大王製紙株式の保有をめぐって関係が複雑化、いったん結んだ総合技術提携契約を解消した経緯もあるが、関係改善に向けて意見交換を重ねてきた。また、紙パルプ企業を取り巻く状況は、国内紙需要の減少や需要構造の変化、原燃料価格の高止まりに加え、物流2024年問題や環境対策など課題は多い。これらの課題を解決していくには協業が効果を発現できるとの認識に立ち、両社は2月以降、業務提携に向けた具体的な検討を進めていた。今後は、独立性と健全な競争関係は維持しつつ、各々の強みを活かして補完し合うなど、両社の中長期的な企業価値向上につながる取組みを推進していく。
 なお北越は、大王製紙の株式を約25%保有しているが、今回の業務提携により、「株式の保有目的であった強固なパートナーシップ構築を実現し、両社の関係が新たなステージを迎えた」として、必要な範囲で削減する方針を示した。資本政策、各種投資、株主還元策などを考慮しながら、大王製紙とも協議の上、検討を進めていくとしている。
業務提携の推進体制としては、両社社長を共同委員長とする業務提携委員会を設置し、取組みテーマの進捗と効果をモニタリングするとともに、取組みテーマを追加・変更しながら提携効果の極大化を図る。2024年度に着手を計画している取組みは以下の通り。
 ①生産技術…両社固有のノウハウの共有。定期点検や機械修理など保全に関する情報の共有や機械部品の相互活用。省エネ、排水・廃棄物対策、安全衛生管理に関する情報の共有。相互OEMなど。
 ②原材料購買…2港揚げやチップ船の相互活用、海上輸送問題に対する共同BCP対策。自製パルプや原材料・消耗品の相互融通。製品物流と併せた原材料国内輸送連携(原燃料の一部共同調達)など。
 ③製品物流…両社生産拠点間のラウンド輸送を、当初は北越・新潟工場と大王・可児工場(岐阜県)およびいわき大王製紙(福島県)間、大王・三島工場(愛媛県)と北越・紀州工場(三重県)間で試験的に開始し、体制を確立したら両社グループ全体に展開。北越の私有コンテナや両社物流倉庫の相互活用。
 両社の2024年3月期の売上高は、大王製紙6,717億円、北越コーポレーション2,971億円。紙パ関連10社のうち、王子HD、日本製紙、レンゴーに次ぐ4位と5位の業務提携となる。営業利益はそれぞれ144億円と153億円で、提携効果として、3年後の26年度に大王20億円程度、北越30億円程度の営業利益増加を目指す。また中長期的には、新技術の共同研究やエネルギー転換、DX推進、森林資源活用などについても検討していく。

(FUTURE 2024年6月3日号)

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