トップページ > 業界ニュース > 大王製紙、ほか/多孔質の人工骨補填材をCNFを利用して開発

大王製紙、ほか/多孔質の人工骨補填材をCNFを利用して開発


 大王製紙は㈱福山医科、千葉工業大学の3者はこのほど、セルロースナノファイバー(CNF)を利用した多孔質の人工骨補填材の開発に成功した。

 3者は、CNFを利用したセラミック人工骨補填材の共同研究で、人工骨補填の原料として利用されているリン酸カルシウムとCNFを混合し、乾燥、成形、焼結することによってリン酸カルシウム系人工骨補填材を多孔質化できることを見出した。CNFをバインダーに用いることでリン酸カルシウムの乾燥、成形が容易になり、また、焼結によりCNFが消失するため、従来の発泡法と比較して連通した微小な孔の比率(開気孔率)を高めることができる。

 発泡法とは、セラミック原料の分散液に気泡剤を添加し、発泡させて乾燥・焼結することにより多孔質化する方法で、3者が行った試作品試験では、発泡法の開気孔率が約30%だったのに対し、開発品は43~53%という値を示した。これにより、孔内に細胞や血液が入り自家骨化しやすくなるほか、孔内に薬剤を充填して治療などに役立てられることも期待できる。

 3者は今後も共同で人工骨補填材の開発を進めていく意向で、また、この効果はリン酸カルシウム以外のセラミック材料にも現れていることから、大王製紙は軽量化、断熱、吸音、吸着、ろ過分離などの機能性を持つ多孔質セラミック用バインダーとして、CNFの用途展開を進めていく。

(Future 2016年12月26日号)

ページのTOPへ