リンテック/新中期経営計画「LIP-2019」を策定
リンテックは3月16日、2019年度を最終年度とする3ヵ年(2017年4月~2020 年3月)の新たな中期経営計画「LIP(LINTEC INNOVATION PLAN)-2019」を策定した。
2014年4月にスタートし、この3月に終了する3ヵ年の中期経営計画「LIP-2016」では、「攻めの経営と間断なきイノベーションで成長軌道を取り戻す」という基本方針のもと、国内事業の持続的な成長を図りつつ、経済発展が見込まれる国・地域での事業規模拡大や、次世代を担う革新的新製品の創出、事業戦略をスピーディーに実現していくうえで欠かせないM&Aの推進など、各重点テーマについて積極的に取り組んできた。
しかしながらアジア新興国経済の成長鈍化や、国内の個人消費低迷などが同社グループの業績に大きな影響を及ぼし、計画の最終年度に当たる2017年3月期の業績は、スタート時に掲げた定量目標である連結売上高2,400億円、連結営業利益200億円を下回る見通し。
第3四半期連結業績を発表した時点での3月通期予想は、売上高が前年同期比△2.6%の2,050億円、営業利益が同△3.9%の170億円、経常利益が△12.1%の155億円、最終利益が△3.7%の105億円。営業利益率の8.3%は定量目標のそれにほぼ匹敵し、業界他社と比べれば図抜けて高いが、金額面ではそれぞれ△14~△15%の目標未達となる。なお同社の西尾弘之社長は株主・投資家向け広報誌『リンテックウエーブ』3月号の巻頭頁で、この第3四半期業績について触れている。
グループを取り巻く事業環境はますます不透明感を増しているが、同社としては将来にわたる持続的な成長・発展を担保していくため、改めて新中計LIP-2019を策定し、新事業年度からスタートさせることとしたもの。
〔計画の概要〕
新中計では、前中計の成果と反省を踏まえて「イノベーションをさらに深化させ、新たな成長にチャレンジ」という基本方針を掲げ、各重点テーマに積極果敢に取り組んでいく。
2016年に買収した欧米3社との販売面・技術面における相乗効果を最大限に引き出していくことや、2015年に完成させた研究開発本部の「先端技術棟」をフルに活用し、新製品投入のスピードアップや次世代を見据えた新素材の開発強化を図っていくことなど、取り組むべき課題は多岐にわたる。さらに企業体質の強化や社会的課題への取組みなども含め、グループ一丸となって新たな成長への挑戦を続けていくとしている。
(1) 基本方針
「イノベーションをさらに深化させ、新たな成長にチャレンジ」
(2) 重点テーマ
① 地域戦略の強化
・国内におけるシェア拡大と新市場・新需要の開拓
・アジア地域における戦略的投資と事業拡大
・欧米における既存領域の拡大と買収子会社との相乗効果追求
② 新たな価値の創造
・顧客ニーズを超える差別化製品の創出
・市場の変化を先取りした次世代製品の開発
③ 企業体質の強靭化
・グループ会社の健全化と持続的な収益拡大
・組織横断的な業務改革の推進
・コスト構造改革のさらなる推進
④ 持続可能な社会の実現に向けた取組み
・社会的課題の解決に寄与する事業活動の推進
・働き方改革と多様な人材の育成・活躍促進
(3) 定量目標
計画最終年度(2020年3月期)の主要数値目標(連結ベース)
・売上高 2,700 億円
・営業利益 250 億円
・売上高営業利益率 9%以上
・ROE(自己資本利益率) 9%超
(Future 2017年4月3日号)