大王製紙/CNF複合樹脂のパイロットプラントが稼働
大王製紙は三島工場(愛媛県四国中央市)にセルロースナノファイバー(CNF)複合樹脂「ELLEX-R55」のパイロットプラントを設置、このほど稼働を開始した。生産能力は約100t/年(最大生産時)。これにより、CNFの用途としてニーズが高いCNF複合樹脂の一貫製造プロセス確立に向けた実証を加速させ、サンプル供給量の拡大を図る。
CNFの実用化と用途拡大には、CNF複合樹脂の製造コスト低減が不可欠。そのため同社では、CNFの前処理プロセスや複合樹脂の生産性を改善する技術の開発を進めており、前処理プロセスでは、変性セルロースの量産技術確立を進めている。また複合樹脂の生産性改善では、芝浦機械と共同で高効率な複合技術を開発し、同社設備を導入した。
ELLEX-R55はセルロース濃度55%のCNF複合樹脂で、樹脂材料設計の自由度が高く、混練・成形加工しやすい特徴がある。またCNFが植物由来であることや、繊維が破断しにくいことから、減プラスチックやマテリアルリサイクルも期待できる。
大王製紙のCNFの強みは、三島工場の多様なパルプを活用できることや、ニーズに応じてさまざまな形態、繊維サイズのCNFを供給できる点。この強みを活かして、これまで自社製品への配合以外にも、卓球ラケット用部材に採用されたほか、レース用車や公道走行バスに部材供給し、車両部品への展開の可能性を探ってきた。今後は製造技術と用途開発を加速させ、自動車部材や家電製品などの幅広い用途展開を目指す。
(FUTURE 2022年4月18日号)