日本製紙/CNF強化樹脂の実証生産を本格化
日本製紙は7月末、富士工場(静岡県富士市)内にあるセルロースナノファイバー(=CNF)強化樹脂の実証生産設備を拡張した(写真)。サンプル製造能力を拡大し、用途開発を加速させる。
同社のCNF強化樹脂『Cellenpia Plas(セレンピアプラス)』は、CNFをポリプロピレンやナイロン6などの樹脂へ混練・分散することにより製造される高強度な新素材で、自動車、建材、家電などでの利用が期待されている。部材を軽量化できることに加え、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量を削減でき、CO2を主とした温暖化ガス排出削減にも貢献する。
富士工場の実証拡張設備は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金を活用して建設されたもので、年間50t以上のCNF強化樹脂マスターバッチ(CNFを30~50%高含有した樹脂)を製造できる。CNF強化樹脂の設計開発・製造については、新たにISO9001の認証を取得しており、同社はこれにより、マスターバッチの品質マネジメントを徹底させる。今後は安定して大量生産できる製造技術の確立を目指すと同時に、CNF強化PA6は10月から、CNF強化PPは来年4月からサンプル提供を拡大し、自動車用部品を始めとする幅広い用途開発を加速させていく。
なお、『Cellenpia Plas』は、静岡県富士市が推進する「富士市CNFブランド」の第1期の認定を取得した。同認定は、富士市がCNF関連産業の創出を図るため、産学金官のネットワーク作りの場として設立した「富士市CNFプラットフォーム」事業の一環として実施されたもので、このほど第1期の認定が決定した。
(FUTURE2021年10月11 日号)