レンゴー、大興製紙/大興製紙の事業再生をレンゴーが支援検討
レンゴーは大興製紙が1月15日付で東京地裁に会社更生手続開始を申し立てたことを受けて、再生支援を検討するため、同日付で同社と基本合意書を結んだ。大興製紙は、5期連続赤字となる中、債権者約310名に対して約140億800万円の負債を抱え、自力再建を断念した。
大興製紙は1950(昭和25)年6月の設立で、主力製品は各種製袋用のクラフト紙。原料のUKPから紙までの一貫メーカーとして、米麦袋や製粉袋向けなどの重袋用クラフト紙、ショッピングバッグや角底袋などの軽包装用クラフト紙に加え、産業用特殊紙の開発にも注力し、ガラス保護紙やキッチン用薄紙、プリント基板クッション紙、ステンレス巻取紙など製造・販売品目を広げてきた。
独立系の産業用紙メーカーとして、全国の紙商を得意先としていたほか、大手商社経由で海外へも輸出し、ピーク時の85年3月期には売上高198億円、直近でも2009年3月期には約153億円の売上高を計上していた。06年9月には投資ファンドが株式を取得して事業拡大を狙ったが、紙需要の落ち込みなどから10年3月期以降、売上高は130億円前後で推移し、伸び悩んでいた。
15年には地元企業や取引先などがファンドから株式を取得。巻き返しを図ったが、パルプ原料の高騰や為替などのデリバティブ損失が発生し、競争激化などから業績が悪化していた。20年3月期は売上高122億円弱に落ち込み、固定資産除却損など特別損失が膨らむなどしたため、最終利益は5期連続の赤字となる△18億2,659万円を計上した。金融機関に借入返済計画の変更を要請したほか、新型コロナウイルス感染拡大に伴う制度融資などを活用したが、販売不振から回復できなかった。
レンゴーは、事業再生を支援することで対象事業の収益改善を図るとともに、レンゴーグループの製紙・重包装事業の原材料であるクラフトパルプ、クラフト紙の製造事業に進出し、サプライチェーンの川上を取り込む考え。今後は、具体的な支援方法などを定めるスポンサー契約の締結を目指す。
(FUTURE2021年2月1日号)