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クレシア春日/二号機が稼働開始、長尺トイレットロールを主力商品へ


 クレシア春日(成田弘文社長)の二号抄紙機が当初の予定より若干早く、5月から稼働を開始した。同社は2017年4月に日本製紙クレシア80%、春日製紙工業20%の出資比率により、資本金4億5,000万円で設立された、家庭紙の生産・加工・販売を目的とする合弁事業会社。
 翌18年5月には、日本製紙・富士工場の敷地内に設置された年産3.6万tの第一抄紙機が営業運転を始めた。その後、新マシンによる販売は順調に伸び、1年足らずで生産余力が乏しくなったことから、19年2月に第二抄紙機の増設を決定、80億円を投じて工事を進めてきた。
新たに稼働した第二抄紙機は年産4万tで、第一抄紙機より能力が1割程度アップしている。日本製紙・富士工場の持つユーティリティー資産を有効活用する点は第一抄紙機と同様で、2台の抄紙機は隣接して設置されている。
 新マシンでは近年需要が増加している長尺トイレットロールなどを主体に生産し、日本製紙クレシアで販売する。富士工場は大消費地である首都圏に隣接しており、もともと物流上の優位性を備えているが、この競争力をさらに高めるため『スコッティR(登録商標) フラワーパック3倍長持ち4 ロール』(写真上) を主軸とした長尺トイレットロールの主力商品化に向けて、供給体制の構築を進めていくとしている。
 日本製紙クレシアでは長年にわたり、トイレットロールの長尺化に取り組んできた。中でも2016年に発売した前出の『~3倍長持ち4ロール』は、1ロールに通常品3ロール分のトイレ紙を巻き、 4ロールで12ロール分の長さがある。
 コンパクトなので消費者は持ち帰りが容易になるだけでなく、取り替えの手間と収納スペースが削減できる。また販売店サイドにとっても、売場や在庫スペースの削減と品出し回数の減少に繋がる。
 さらに輸送効率の向上によるCO2排出量の削減、包装材の減少などを通じて地球環境の改善にも貢献できることから、同社では「四方良し」の商品として訴求していく考えだ。
 また日本製紙クレシアは、今度のクレシア春日の新設備に加え、全工場で長尺トイレットロール製品の供給体制充実を図る予定。これにより、トイレットロールの主流である12 ロールの形態から、長尺トイレットロールをスタンダードのラインアップとする“長尺化”を推進。さらにトイレ紙だけでなく、キッチンタオルについても同様のソリューションを提案していく考え。
家庭紙分野では好調な需要を背景に、このところ各社の増設が活発になっている。本誌前号では、大王製紙の川之江・三島両工場における増設計画を取り上げた。営業運転開始は三島が21年7月、川之江が21年10月。
 一方、詳細なアナウンスはないが、王子ホールディングスは5月25日に公表した決算説明会資料の中で、今年7月に中国の江蘇王子製紙(南通)において年産能力12万tという大型の家庭紙原紙マシンを立ち上げ、この原紙を王子マテリアの江戸川工場で加工する計画を明らかにしている。
 江戸川に設置する加工マシンの運転開始は、原紙マシン稼働から1ヵ月後の8月。「国内外で連携し、家庭紙生産・供給を強化」するとしている。

 

(FUTURE2020年6月15日号)

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