王子ホールディングス・三菱製紙/資本提携が公取委の審査をクリア
公正取引委員会はこのほど、王子ホールディングス(HD)と三菱製紙がかねて発表していた、王子HDによる三菱製紙の株式取得について、排除措置命令を行わない旨、王子HDに通知した。
王子HDと三菱製紙は2018年2月、提携関係を従来の業務提携から本格的な資本提携に拡大することを発表、王子HDは三菱製紙の総議決権数の33%を取得して持分法適用会社にするとしていた。同提携の実施に向けて王子HDは、国内外の競争当局のクリアランス取得にかかる手続きを進めていたが、このほど、公取委からクリアランスを取得したもの。
公取委が、王子による三菱製紙株の取得によって競争に大きな影響が生じる可能性がある市場として、重点的に審査したのはアート紙、壁紙原紙、プレスボード市場について。最終的に「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならない」と判断されたわけだが、公取委が示した判断の根拠は次記の通り。
・アート紙
隣接市場である上質コート紙からの競争圧力が一定程度認められるほか、アート紙よりも市場規模の大きい紙も調達している需要者からの競争圧力が働いている。
・壁紙原紙
当事会社間の競合の程度が限定的であるほか、有力な競争事業者からの競争圧力および需要者からの競争圧力が働いている。
・プレスボード
輸入圧力が一定程度働いているほか、海外プレスボード市場の状況に通じている需要者からの競争圧力が働いている。
クリアランス取得を受けて両社は今後、具体的な業務提携に関して協議・検討を進めていく。なお王子HDは、引き続き海外競争当局のクリアランス取得に向け手続きを進めていくとしている。
(Future 2019年1月28日号)