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ANFA、ANNA/12年振りに日本で国際不織布産業総合展を開催


今年6月6日~8日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「ANEX2018(アジア不織布産業総合展示会・会議)」に関する記者会見が3月15日に東京都中央区のビジョンセンター東京で開かれ、今回の開催規模が700社を超える見込みにあるなど、世界最大規模の不織布展示会になる見通しとなったことが明らかとなった。会見に臨んだ大石義夫・日本不織布協会会長(ダイニック社長)は、今回のANEX2018を「不織布産業における日本のプレゼンスを世界へアピールする場として、また各社のビジネスチャンス拡大の場として活用していただきたい」と開催に向け期待を寄せている。
開催概要は以下の通り。
展示会名:ANEX2018(アジア不織布産業総合展・会議)
会  期:2018年6月6日(木)~8日(金)
開催時間:午前10時~午後6時(最終日は午後5時まで)
会  場:東京ビッグサイト(東1・2・3ホール)
主  催:アジア不織布協会(ANFA)、日本不織布協会(ANNA)
運  営:日本イージェイケイ㈱
展示規模:出展面積10,800m2、展示小間数約1,200小間、出展者数約700社(共同出展も含む)、参加国数30ヵ国、来場者数(見込み)3万人
入 場 料:ネットによる完全事前登録・無料(登録Webサイトはhttps://anex2018。com)、会場での当日登録は有料(1,000円)
併催行事:グローバル・ノンウーヴンズ・サミット(GNS:アジアと欧米の不織布団体がそれぞれの地域における業界動向を発表する国際会議)、開会式、ウエルカムパーティ(6日)、ANEXセミナー、出展者プレゼンテーション、プライベートセミナー(6~8日)、レセプションパーティ(7日)
併 催 展:NANOFIBERS 2018、JPCA Show(7~8日)
後  援:経済産業省、米国不織布工業会(INDA)、欧州不織布工業会(EDANA)、中国不織布技術協会、台湾区不織布同業公会、香港不織布協会、韓国不織布工業共同組合、インドネシア不織布協会、その他関連団体など
協 賛 誌:ノンウーヴンズ・レビュー(Nonwovens Review)、紙パルプ技術タイムス、紙業タイムス、繊研新聞、繊維ニュース、日本繊維信息、ウェブ・ジャーナル、Nonwovens Industry、 Nonwovens Market、Nonwovens Report International、 Sustainable Nonwovens、 AVR Nonwovens & Technical Textile

 最先端の製品と技術が結集

アジアで3年ぶり、日本で12年ぶりとなる「ANEX」展の開催まで残り2ヵ月半を切った。ANEXは、米国不織布工業会(INDA)主催の「IDEA」や欧州不織布工業会(EDANA)主催の「INDEX」と並び世界三大不織布展の1つとして数えられるアジア最大の不織布産業総合展示会であり、今回で7回目を迎える。主催はアジア不織布協会(ANFA)および日本不織布協会(ANNA)。本誌も協賛誌として開催へ向け協力している。
展示会名の「ANEX」は英文の正式名称である“Asia Nonwovens Exhibition and Conference”を省略したもので、日本語では「アジア不織布産業総合展示会・会議」となる。IDEAならびにINDEXとともに各団体がそれぞれ3年ごとに各地域で開催。今年はANFA担当の年として日本での開催が決まり着々と準備が進められていた。
ちなみに、ANEXが最後に日本で開催されたのは2006年(東京)であり、それ以降は09年中国(上海)、12年韓国(ソウル)、15年中国(上海)となっていたため、今回の日本開催はじつに12年振りとなり、国内不織布業界の開催に対する意気込みはなみなみならないものがある。
この結果、会場となる東京ビッグサイト東1・2・3ホール(1,200小間)は3月15日現在で、国内外からの業界キープレイヤーによりほぼ完売。出展者数は671社、これに各ブースでの共同出展者などを加えると最終的には700社を超える見込みにあることから、これまで世界における不織布分野の展示会で過去最高を記録していた「INDEX2017」(出展者数660社)を上回り、世界最大の不織布産業展となることが確実となった。さらに、出展者の国別構成も日本で開催される展示会としてはめずらしく7割以上を海外企業が占めるなど、まさに国際展示会の名に相応しい内容となっており、来場者数は3日間で3万人を予想している。
今回これだけの規模に至った背景として大石義夫・日本不織布協会会長は「世界経済が好調なうえ、なかでもアジア地区における不織布産業が順調な伸びを示していること、さらに開催国がいま外国人観光客の人気を集めている日本であること」の3つを要因として指摘。「これに加え、メイドイン・ジャパンの不織布に対する安心・安全への信頼性の高さや、高度に特化・差別化された日本の不織布技術などへの関心の高さへの表れでもある」と分析し、今回のANEX2018開催により「不織布産業における日本のプレゼンスを世界へアピールする場として、また各社のビジネスチャンス拡大の場として活用していただきたい」と各社に呼びかけている。
ANEX2018の展示内容は以下の通り。
① 不織布(製法別)
エアレイド、複合、乾式(熱接着、ケミカルボンド、ニードリング、水流交絡)、フィブリル、穿孔、メルトブローン、スパンレイド、湿式、その他
② 不織布(用途別)
研磨剤、農業・園芸、車輛、電池・そのほか電気、建築、ケーブル被覆、カーペット、土木、複合材、エレクトロニクス、ろ過、衛生、家具、家庭用清掃・ワイピング、工業用清掃・ワイピング、芯地・衣類、皮革、医療、包装、パーソナルケアワイプ、印刷、保護衣、靴、輸送、壁装材、リネン、コーティング基材、その他
③ 原 料
接着剤、ホットメルト樹脂、バインダー、ラテックス、添加剤、繊維、フィラメント、フィルム、膜、パルプ、ポリマーチップまたは粒剤、スクリム、その他補強材、高分子吸収剤、表面処理剤、テープ、ファスニング材、ティシュ、紙、ワディング、その他
④ 設備機械
不織布生産設備:ウェブ前処理、ウェブ形成、ウェブ結合(接着、交絡)、形成、乾燥設備(ベルト、ドラムなど)、アキュムレーター、スリッター、ワインダー、仕上設備(含浸・湿潤)、その他不織布生産設備・付帯設備:メタリックワイヤー、ニードル、ノズル、ほか。加工設備:吸収性衛生品加工機、ワイプ加工機、コーティング・ラミネート機、超音波接着機、その他加工機。リサイクル処理機、生産用付帯設備、オンラインモニター、検査機器、試験機器、その他
基調講演からシンポジウムまで

 各種セミナーを開催

会見では、アジア不織布協会名誉会長兼ANEX2018大会委員長である金井宏彰氏(金井重要工業社長)により、ANEX2018の開催内容が次の通り説明された。
ANEX2018のテーマは「多様な未来を拓く不織布─Link to Innovative Future」である。このテーマのもと、ANEX2018ではセミナーをはじめ製品展示や交流会、シンポジウムなどにより、最新の技術や市場動向を紹介していく。
セミナーは、「基調講演」「GNS(グローバル・ノンウーブンズ・サミット)」「ANEXセミナー」「アカデミア/ナノファイバープレゼンテーション」「ナノファイバーシンポジウム」「出展者プレゼンテーション」の6つで構成。
基調講演は、7日午後3時より会議棟7階の国際会議場において開催され、小池百合子・東京都知事、濱田州博・信州大学学長、日覺昭廣・東レ社長など、産官学それぞれの分野を代表する3氏を講師に迎え、各分野からの視点による業界横断的なテーマについて語っていただく。聴講希望者はウエブによる事前申込みが必要。
GNSは、6日午後3時45分より会議棟6階会議室(605、606)で開催。同会議はIDEAやINDEXでも開催されているもので、アジア(ANFA)だけでなく北米(INDA)や欧州(EDANA)に加え今回は、中国(CNTA:中国不織布技術協会)とインド(BCH:Business Co-Ordination House)の不織布関係者も招いて各地域における不織布市場の動向について情報交換を行う。聴講無料、事前登録の必要はない。
ANEXセミナーは、会期中の3日間を通し会場内のセミナールームにおいて「アカデミア」「機械・設備」「医療・衛生」「環境」「自動車」の5分野をテーマに約30の講演を予定。各講演時間は約40分。聴講希望者は、ウエブにより参加証の購入が必要(3日間通し券:一般3万円/枚、学生3、000円/枚)。1日券もある。
アカデミア/ナノファイバープレゼンテーションは、会場内に設けられたアカデミア・ナノファイバーパビリオン内にて3日間を通して実施する。聴講無料。なお、同パビリオン内では京都工芸大学や信州大学、ノースカロライナ州立大学(米国)アーヘン工科大学(ドイツ)など内外の大学や研究機関、さらに日本のナノファイバー学会などによる出展やポスター展示も行われる。
ナノファイバーシンポジウムは、ANEX2018による新たな試みとして設けられた目玉企画の1つ。特定非営利活動法人ナノファイバー学会による第5回国際シンポジウム「Nanofibers 2018」を7日と8日の2日間にわたり同時開催する。ものづくり技術の要として、また不織布とも関わりのあるナノファイバーは世界各国で注目され、その研究開発の進展や商業化には目覚ましいものがある。同シンポジウムは2009年6月に東京工業大学で開催されて以来、これまで4回開催されているが、このほどANEX2018と併催されることとなり、環境やエネルギー、水処理、IoT(モノのインターネット)、医療などの分野とナノファイバーに関するさまざまな講演が予定されている。聴講希望者は、ウエブにより参加証の購入が必要(2日間通し券:一般2万5、000円/枚、学生3、000円/枚)。
出展者プレゼンテーションは、出展企業による製品や技術・サービスに関するアピールの場として各社がブース内で行うもの。聴講無料。
なお、各セミナーの聴講申込みは4月10日よりANEX2018公式サイトで受付を開始する。
一方、ANEX2018では今回、ANFAとANNAによる45小間のスペースを用いた共同パビリオンでテーマ展示を行う。同パビリオンでは、不織布用途の広がりや役割についての認知度を高めるための啓蒙・普及拡大を目的に、多様な用途分野のなかから「医療」「環境」「自動車」「土木」「衛生材料」の4つの分野にターゲットを絞り、不織布が各用途にどのように関わり、重要な役目を果たしているかを、実際に使用されている紙おむつや医療用不織布だけでなく自動車1台分のカットモデルや、建築・土木現場のジオラマなどを用いながら100種類にのぼる製品を紹介する。
また、7日夕刻に開催されるレセプションでは、優れた製品や技術を対象としたアワードの発表を行う。これは会期初日から2日目にかけて来場者に対しアンケートを行い、その結果を4つのアワードとして発表し、レセプション会場で表彰式を行うというもの。製品・技術・展示においてもっとも優れた企業に対する「最優秀賞」、新製品がとくに優れた企業に贈られる「新製品賞」、技術(研究・開発)においてとくに優れた企業に贈られる「技術賞」、展示がとくに優れた企業に贈られる「ベストPR賞」の4つが贈られることになる。なお、Nanofibers2018において行われるポスターセッションの結果も同レセプションで表彰式が行われる予定。

日本を代表する88社が出展

アジアの不織布産業は依然成長過程にあり、ANEXの展示会も回を重ねるごとに大きくなっている。近年は「ANEX 2012」のソウル開催が来場者1万3、373人、出展者数237社、「ANEX 2015」の上海開催が同じく2万90人で400社。市場および生産量がANFA構成国のなかで最大規模の中国で開催されるANEXが入場者数や出展者数でも多い傾向を示してきたが、今回のANEX2018はそれを上回る規模となることが確実となった。
前回(12年前)の日本開催である「ANEX2006」が出展面積4、448m2、出展者数248社、展示小間数497小間、来場者数1万3、150人に比べると、ANEX2018は出展者数で2。8倍、来場者数で2。3倍となる計算だが、この間のわが国における不織布生産量の変化は06年32万9、992t、16年33万9、748tで、10年間に約3%しか伸びておらず、ほぼ横這いと言っていい状況である。展示会の規模とのギャップを感じる向きもあろうが、実際には海外展開の拡大や高付加価値製品へのシフトなど、市場グローバル化のなかで日本の不織布産業は着々と成長を続けており、今回のANEX2018はそれを裏づけた格好となる。
以下に、今回出展予定の日本企業を列挙しておこう(50音順)。なお、共同出展会社について日本法人は併記し、海外企業は省略した。
㈱アクシス
旭化成㈱
旭硝子㈱AGC化学品カンパニー
アンビック㈱
ESファイバービジョンズ㈱、JNC㈱
㈱いけうち
伊藤忠システック㈱
ウスターテクノロジーズ㈱
宇部エクシモ㈱
㈱NBCメッシュテック
王子キノクロス㈱
大塚産業マテリアル㈱
オーミケンシ㈱
㈱オステム
オルガン針㈱
春日電機㈱
㈱化繊ノズル製作所
カトーテック㈱
金井重要工業㈱
㈱兼松KGK
川之江造機㈱
金星製紙㈱
㈱キンダイ
倉敷繊維加工㈱
クラレクラフレックス㈱
㈱クロスリンク・パシフィック
㈱グロッツ・ベッケルト ジャパン
ケーザー・コンプレッサー㈱
江洲産業㈱
㈱コルテック
堺商事㈱
サンアッド㈱
三幸毛織紡績㈱
㈱サンコウ電子研究所
JX ANCI㈱
新江州㈱
シンワ㈱
住友精化㈱
精電舎電子工業㈱
積水フーラー㈱
ダイワボウグループ
ダイニック㈱
ダウ・ケミカル日本㈱
㈱髙木化学研究所
髙安㈱
高山リード㈱
タピルス㈱
蝶理㈱
㈱ツジトミ
㈱ティ・ワイ・テックス
帝人フロンティア㈱、帝人㈱、ユニセル、帝人 コードレ㈱
㈱テクノスマート
天間特殊製紙㈱
東洋紡㈱、日本エクスラン工業㈱
東レ㈱
東レ・オペロンテックス㈱
トクデン㈱
ニッコーテクノ㈱
日清紡テキスタイル㈱
日本アビオニクス㈱
日本エマソン㈱ブランソン事業本部
日本音響エンジニアリング㈱
日本金属探知機製造㈱
日本タングステン㈱
日本ノズル㈱
日本バイリーン㈱
日本PDI㈱
日本フイルコン㈱、関西金網㈱
日本フエルト㈱
ノードソン㈱
ハーマン・ウルトラソニック・ジャパン㈱
萩原工業㈱
ハッソー㈱
ビーエスティ・エルトロマット・ジャパン㈱
廣瀬製紙㈱
深瀬商事㈱
フタムラ化学㈱
プラクスエア工学㈱
プロップ貿易㈱
フロンティアシステム㈱
ヘンケルジャパン㈱
前田工繊㈱
㈱丸石製作所
丸三産業㈱
三木特種製紙㈱
三菱ケミカル㈱
三菱製紙㈱
㈱メディア研究所
㈱ヤギ
ヤマウチ㈱
山口産業㈱
ユニチカ㈱
現時点で88社が出展、不織布メーカーだけでなく関連分野からさまざまな有力企業が顔を揃えている。素材産業ではあるが、同時に技術開発型の産業でもあるだけに、これら企業が一堂に会することの意味は大きい。

出展意欲の高さ示す中国勢

海外からも有力な不織布関連企業が出展しており、ANEX2018への関心がアジアにとどまらないことを示している。
地域別に主要な出展者を見ていくと、欧州・中東からは、A。Cell Nonwovens、Dell’Orco & Villani、Andritz Nonwoven(Andritz Asselin-Thibeau、Andritz Kusters、Andritz Perfojet)、Autefa Solutions Germany、Albany International、Enka Tecnica、Freudenberg Performance Materials、Lenzing、Optima Packaging Group、Reifenhauser Reicofil、Trutzschler Nonwovens & Man-Made Fibers、Avgol、Mogul、Fibertex Nonwovens、Fibertex Personal Careといった世界的な不織布メーカーや繊維メーカー、機械メーカーが登場、米国からはBerry Global Group、 Inc、中国からはJofo Nonwovens、Zhejiang Kigsafe、台湾からはKHN Enterprise、Nan Lui Enterpriseといった、世界の不織布原反売上で上位に名を連ねる大手メーカーも出展している。
海外からの出展を国・地域別に企業数が多い順に見ていくと、中国183社、ドイツ19、台湾17、韓国11、香港8、インド8、イタリア5、フランス4、デンマーク3、米国3、シンガポール3、イスラエル2のほか、フィンランド、イギリス、スイス、オランダ、オーストリア、ベルギー、スペイン、トルコ、タイが各1となっている(グループ企業での出展は1社として集計)。
ANFA主催だけに地域別ではアジアからの出展者が大半を占めているが、そのなかでも中国企業の圧倒的多さが目立つ。日本企業が88社の約2倍の数だが、小間数で言えばほぼ同規模であり、1社当たりの出展規模は日本企業の方が大きいと言える。
ただ、中国企業の多さは生産規模の違いやアジア市場グローバル化の進展を反映したものであろうし、一方では日本開催の利点、すなわち先進的な日本企業との交流や、先端技術、将来へ向けた開発動向などの最新情報を探るにうえで重要な機会にもできる。さらには、不織布関連企業としてアピールする効果的な情報発信の場になることは間違いないのである。
また、前回の日本開催に比べると、韓国、台湾などANFAの中心的メンバーとなっている国・地域以外からの出展が増えていることもアジアにおける不織布市場の拡大を窺わせるものと言える。とくにインドからの出展者数は同国において不織布産業が本格的な発展期を迎えようとしていることを物語るものかもしれない。
なお、テックタイムスおよび紙業タイムス社は主催者であるアジア不織布協会・日本不織布協会来場者が会場で配布する『ANEX2018公式ガイドブック』の制作を担当する。また、テックタイムス発行のNonwovens Review Vol.29 No.1では特別企画号として同展の出展動向を分析し日本やアジア、欧米などの不織布産業に関しその現状と今後を展望、ANEX2018来場者が内外の不織布産業をより一層身近に感じてもらえるよう会場にて配布予定である。

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