大王製紙/CNF高配合成形体のサンプル提供を開始
大王製紙は昨秋開発に成功したセルロースナノファイバー(CNF)とパルプ繊維を複合化したCNF高配合の成形体のサンプル提供を8月から開始する。
サンプルはCNF含有率50~80%、サイズ280×170㎜、厚さ200~500μmの成形体で、大王製紙の設計をもとにヤマセイ㈱(愛媛県松山市)が製造し、大王製紙が提供する。ヤマセイは昨年11月からえひめ産業振興財団の支援・助成を受け、CNF成形体の製造技術開発を進めている。
大王製紙が開発したCNF成形体は軽量かつ高強度というCNFの特徴を活かした高性能材料で、汎用プラスチック材料の約5倍の力学物性を示し、熱特性にも優れている。汎用プラスチックとの物性比較では、23℃の環境下では引張弾性率、引張強度ともに約5倍、90℃では、引張弾性率は約20倍、引張強度は約8倍という値を示した。
今回のサンプル提供開始に先行して、スポーツ用品国内メーカーと進めている共同開発では、その性能が高く評価され、スポーツ用品部材として選手によるトライアルの段階まで進んでおり、今後は販売を目指して開発を進めていく。さらに、これまでプラスチック材料が利用できなかった高強度用途や耐熱性を必要とする用途など、自動車部材、建材、家電筐体、電子基板など多岐にわたる用途展開を加速させ、事業化を進めていく考え。
(Future 2017年8月21 日号)