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大王製紙/三浦印刷をTOBで取得へ


 大王製紙は中堅印刷の三浦印刷を完全子会社化するため、株式公開買付を実施する。買付期間は2月28日~4月11日の30営業日で、買付価格は普通株式が260円/株、新株予約権が13万7,000円/個。発行済み株式数の66.67%を買付予定数の下限に設定しており、その場合の買付金額は56億円。仮に全株式を取得した場合、総額は83億6,400万円に上る。
 大王製紙は傘下に100%出資の連結子会社、ダイオープリンティングを擁しているが、ここに三浦印刷が加わることで印刷市場とコンバーターのニーズをより幅広く適切に把握し、新たな商品開発や品質改善を通じた洋紙事業の競争力強化につなげられる。
 またダイオープリンティングが印刷領域の中でもチラシ、タブロイド、シール、ビジネスフォームなどの製品に強みを持つのに対して、三浦印刷はパンフレット、カタログ、ポスターといった商業印刷の分野で豊富な知見と実績を有している。その結果、前者がスーパーや通販会社、専門広告代理店、同業印刷会社などを取引先としているのに対し、後者は上場企業やその子会社である百貨店、金融機関、メーカー、広告代理店などを主な顧客としている。
さらに設備面でもダイオーは汎用の印刷設備のほかシール印刷機やビジネスフォ ーム印刷機、三浦は大ロットから小中ロット印刷物に適した各種商印用の設備をそろえている。このように同じ印刷業であっても両社の事業領域はあまり重ならず、シナジー効果がフルに発揮されると大王はみている。
 三浦印刷は1931(昭和6)年に三浦東八が個人創業し、戦後の1950年に株式会社化。1964年に東証二部上場。業界の厳しい競争環境を反映して、このところの業績は芳しくなかったが、製販一体で取り組んだ受注強化と生産性向上策が奏功して、2016年3月期は減収ながら大幅な経常増益を達成している。
大王製紙は今回のTOB開始に先立ち、三浦印刷筆頭株主のAG投資事業有限責任組合(所有割合26.01%)、第4位株主で取締役会長の三浦剛治氏とその親族が保有する三浦総業(同3.42%)、第9位株主で三浦剛治氏の実兄に当たる三浦久司氏(2.23%)および三浦剛治氏(1.39%)との間で公開買付応募契約を締結、合計33.05%に上る株式のすべてを取得することで合意している。
 一方、三浦印刷は大王製紙が計画を発表した2月27日に取締役会を開催、株主に対してTOBに応募することを推奨する旨の決議を行った。なお大王の買付終了後、三浦印刷は非公開化され上場廃止となる。
 大王製紙にとっては先の日清紡紙製品事業の取得に続くM&A案件だが、三浦印刷には少数株主も多く、同業の印刷会社や製紙会社も株主に名を連ねているため、最終的な保有割合がどの程度になるかは未知数だ。

(Future 2017年3月20日号)

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