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日本製紙/富士工場にCNF強化樹脂の実証生産設備を設置


 日本製紙はポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ナイロンなどの樹脂にCNFを混練することによって得られるCNF強化樹脂の実用化を推進するため、富士工場に実証生産設備を設置する。2017年6月稼働予定で、年間10t以上のCNF強化樹脂を生産し、自動車、建材、家電など、幅広い産業へ向けてサンプル提供を行っていく。

 CNFは木材パルプをナノレベルまで細かく解繊したもので、軽量かつ弾性率が高く、熱寸法安定性が良好であるなど、多くの優れた特性を持つことが知られている。樹脂などへの混練により、樹脂を軽量で高強度化する新素材として期待されているが、CNFは親水性が高いため、樹脂などに均一に分散させることが技術的に難しく、CNFの疎水化法確立が課題となっていた。

 日本製紙は京都大学を拠点として実施されている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトに参画しており、CNF強化樹脂の開発に取り組んでいる。同プロジェクトでは、パルプの有効な疎水化法と、樹脂との混練時にナノ解繊することによって安価で高品質なCNF強化樹脂を作り出す手法を開発している。その中で得られた知見を利用し、CNF強化樹脂の大量生産技術の実用化を目指すとともに、具体的な用途開発を進めていくため、実証生産設備を設置するもの。

 日本製紙は研究開発体制の再編により、2017年下期からCNF研究拠点を富士工場に移転する。CNFについては、すでに石巻工場(宮城県石巻市)、ケミカル事業本部江津事業所(島根県江津市)の2拠点で、それぞれ用途に応じたCNF量産設備の設置を進めているが、CNF強化樹脂では、関東・中部地域の自動車用途などでの利用を見込んでおり、富士工場の実証生産を通じて実用化のスピードアップを図る。

 

(Future 2017年1月16日号)

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