王子HD、丸紅/マレーシアで感熱紙加工製品会社を買収
王子ホールディングスと丸紅は、マレーシアの感熱紙加工製品メーカー、Tele Paper(M)Sdn Bhd(=TP社)の株式を取得する株式売買契約書を締結した。TP社の株式を、王子HDが40%、丸紅が36%、計76%を取得する。
ASEANを中心とするアジアでは、経済成長に伴いコンビニなどでレジスター導入やクレジットカード利用が進み、またATM機の普及やLCCを含む航空旅客数増大もあって、感熱紙関連市場の拡大が見込まれている。TP社の主力商品である感熱紙の加工製品は、レジスター用、ATM用、医療用、航空券や荷物タグ用など多岐にわたる。多彩な商品群をひっさげ、感熱紙加工製品の製造販売ではマレーシア首位のシェアを占めるほか、ASEANを中心に世界各国への製品輸出も積極展開している。丸紅は、「今回の出資を契機に、TP社の人材や事業ノウハウを活用しながら、アジアでの感熱紙加工事業の拡大を図る」と述べている。
一方、王子グループも、事業構造改革を推進する中で海外事業の拡大を大きな柱の一つとしており、とりわけ機能材事業については、新製品の開発・拡販に加え、東南アジア地域での事業展開に力を注いでいる。感熱紙、ノーカーボン紙事業では、すでにタイに「OJI PAPER(THAILAND)」(感熱紙、ノーカーボン紙生産)があるが、新たに加工・印刷のTP社を傘下に収めることで、今まで手薄だった加工分野まで事業領域を拡げる。“川上”から“川下”まで一体化した事業運営により、市場ニーズを的確かつ迅速に吸い上げて、タイムリーな製品の開発と投入を進めていく考え。川下の加工・印刷事業を獲得することで、川上部門の販売先を安定確保する狙いもある。また、TP社の人材や事業ノウハウ活用により、他地域における感熱紙加工・印刷部門の拡充も見込んでいる。
王子グループは、今後も機能材事業の海外展開を積極的に進め、5月に株式取得したHyper-Region Labels Sdn Bhdなどの粘着ラベル事業とともに、東南アジアでの事業拡張を推進していく。
〔TP社の概要〕
所在地:シャーラム(マレーシア・クアラルンプールから37km)
設 立:1994年4月21日
事 業:感熱紙・ノーカーボン紙などを加工・印刷し、レジスター用紙など各種事務機器用記録紙などを製造販売
従業員:590名(15/12末)
15年12月期業績(100万RM):売上高189(53億円)、総資産184(52億円)
(Future 2016年6月13日号)