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日本製紙/タイで木質バイオマス燃料事業の生産実証設備を設置


 日本製紙は同社が出資するタイのSCGパッケージング社フィブラス事業部門会社、Phoenix Pulp and Paper社(PPPC社)が保有する木質バイオマス資源を活用し、タイでトレファクション技術を用いた木質バイオマス燃料「トレファイドペレット」の生産実証設備を設置する。日本製紙とPPPC社は4月21日、設備設置に向けた共同研究開発で契約を締結した。
 トレファクションとは、比較的低温で木質バイオマスを炭化させることで通常の炭化より熱量を大幅に残すことができる技術。トレファイドペレットは、木質バイオマスをそのままペレット化したもの(ホワイトペレット)や木質チップに比べて、耐水性、粉砕性に優れ、エネルギー密度が高まることによる物流費低減などのメリットが期待されている。そこで日本製紙は、これまで蓄積してきたトレファクション技術をベースに、事業化を視野に入れPPPC社と共同で年間約8,000t規模の実証生産を行うことにしたもの。
 生産実証設備はタイ東北部にあるPPPC社の工場敷地内に設置し、原料となる木質バイオマスは近隣の同社植林地から調達する。2017年春からトレファイドペレットの生産を開始し、日本製紙釧路工場の微粉炭ボイラーでの混焼試験を経て、同年12月末を目途に事業化に向けた見極めを行っていく予定。事業化実現の際は、年産8万t規模の商業生産設備の設置を想定しており、今回並行して三井物産と共同でアジアを対象とした市場調査を進める。
 木質バイオマス燃料はCO2排出量抑制につながる再生可能エネルギーとして、日本を含め世界的に需要が拡大している。日本製紙は、木質バイオマス燃料の中でも多くのメリットが期待されるトレファイドペレットの安定生産に向けた操業技術を早期に確立し、燃料供給から発電までエネルギー事業の領域拡大を進めたい考え。

(Future 2016年5月16日号)

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