2016年紙・板紙内需試算/構造的要因定着で前年割れ続く
日本製紙連合会は2016年紙・板紙内需試算を取りまとめ発表した。
それによると、15年の実績見込みに対して1.1%減の2,658万tにとどまり、6年連続で前年実績を割り込むと試算している。品種別の内訳では「紙」が07年以降10年連続のマイナスを予測しているのに対し、「板紙」は2年ぶりのプラスを見込んでいる。ITC化の波に押されるグラフィック系の低調、リアルな物流を担うパッケージング系の堅調という近年の傾向が改めて裏づけられた形だ。雇用状況の改善やインバウンド効果の継続といったプラス材料はあるものの、人口減/少子高齢化、電子媒体へのシフトなどの構造的要因をカバーするほどではない、と製紙連は見ている。概略は以下の通り。
(1) 紙・板紙合計
2016年の景気は新興国経済の減速による影響が懸念されるが、企業業績は堅調とみられインバウンド効果も引き続き見込まれることから、緩やかに回復すると予想される。こうした経済環境のもと板紙は堅調な食品分野を中心に増加を見込むものの、紙は電子媒体へのシフトやペーパーレス化などで減少し、紙・板紙全体の内需は前年を下回ると予測した。
紙・板紙合計について品種別試算結果を積み上げると、内需量は2,658万tで前年比△1.1%、量にして約29万tの減少。マイナス成長は6年連続で、過去の実績値と比較するとリーマン・ショック直後の2009年(2,791万t)に対し△4.8%、約134万tの減少である。
紙・板紙別寄与度は紙が△1.3pt、板紙が+0.2ptで、紙のマイナスが全体を押し下げている。
(2) 紙
主要品種のうち衛生用紙は微増を予測したが、新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙は他媒体へのシフト、ペーパーレス化、省包装化の進展によりマイナスと見る。
この品種別試算結果を積み上げると紙合計の内需量は1,501万tで前年比△2.2%、約34万tの減少となる。マイナス成長は10年連続。過去の実績値と比較すると、リーマン・ショック直後の2009年(1,687万t)に対しては△11.0%、約186万tの減少である。
品種別寄与度は新聞用紙△0.4pt、印刷・情報用紙△1.8pt、包装用紙△0.1pt、衛生用紙△0.0ptとグラフィック系の落ち込みが全体に影響している。
(3) 板 紙
主要品種について、主力の段ボール原紙は+0.7%だが、紙器用板紙は△0.6%(うち白板紙は△0.7%)とマイナスを見込んだ。
板紙合計の品種別試算結果を積み上げると、内需量は1,157万tで前年に対して+0.4%、量にして約5万tの増加となる。リーマン・ショック後では、09年の1,105万tに対し+4.7%、約52万tの増加である。
品種別寄与度は段ボール原紙が+0.5pt、紙器用板紙が△0.1pt、その他の板紙が△0.0ptと主力の段ボール原紙が牽引する形。
(以下、詳細はFuture 2016年2月8日号および2月15日号で)