王子製紙/フルフラールの連続製造技術を確立
王子製紙の米子工場では、溶解パルプの製造時に連続的に分離されるヘミセルロースからフルフラールを製造する技術を確立、商業生産が可能になった。2016年4月からサンプルの提供・試験販売を開始する計画。写真はフルフラール製造設備(実証設備)。
フルフラールは、主に石油や潤滑油の精製時の溶剤として使用されるが、世界的な潮流として、化石原料からバイオマス原料への切り替えが期待されている。化石原料から製造されている汎用化成品(ポリウレタンやPETなど)、あるいはバイオプラスチックをフルフラールから製造する研究が国内外で進められており、注目度の高い化学物質となっている。
王子のフルフラールは、溶解パルプのセルロース純度を高める過程で取り除かれるヘミセルロースを連続的に抽出し、実証設備で反応、精製して製造する。品質的には、フルフラール純度が98.5~99.0%、製品中に含まれる水分の割合が0.013~0.200%、初留点(液体が最初に沸騰する温度)が150.0~156.0℃、終点(液体の最高到達温度)が162.5~170.0℃で、同社では「当社のフルフラールは今後、フルフラールの新たな用途開発に大きく貢献できる」と抱負を語っている。
(Future 2016年1月4日号)