日本製紙、大王製紙/海上共同輸送を開始
日本製紙グループと大王製紙グループは、首都圏~関西エリア間の海上共同輸送を8月2日から開始した。これにより、物流2024年問題への対応やCO2排出量削減を図る。製紙業界で同業社間の定期的なラウンド輸送が行われるのは初めて。
この共同輸送は、国土交通省が募集する「令和5年度の物流総合効率化法に基づく総合効率化計画の認定及びモーダルシフト等推進事業」の交付を受け、日本製紙と大王製紙のほかに日本製紙物流、南光運輸、ダイオーロジスティクス、RORO船を運行する大王海運の計6社による「紙・パルプ協業モーダルシフト化推進協議会」が実施する。写真はRORO船第五はる丸。
大王製紙は現在、愛媛県四国中央市の三島工場で生産する紙・板紙製品を、大王海運のRORO船により三島川之江港から堺泉北港(大阪府堺市・高石市・泉大津市)経由で千葉中央港(千葉県千葉市)まで輸送し、首都圏や東北地区へ供給している。今後はティシュや紙おむつなど、家庭紙製品のRORO船輸送も予定していることから、東日本から西日本向けの逆ルートでRORO船を活用する新たなパートナーの確保と安定稼働を検討していた。
一方、日本製紙はこれまで、福島県いわき市の勿来工場から関西圏への製品供給をトラックの長距離輸送で行っていたため、CO2排出削減や物流2024年問題への対応が課題だった。特に今後は安定的なトラック輸送が難しくなると予想されるため、輸送手段の複線化を検討しており、これが大王との海上共同輸送につながった。共同輸送では、勿来工場から千葉中央港までをトラックで輸送し、同港で大王海運のRORO船に積み替えて、堺泉北港まで海上輸送することでモーダルシフトを図る。
以上により、日本製紙は従来の輸送と比較しCO2排出量を年間46.7%、トラックドライバーの総走行時間を78.8%削減でき、また大王製紙は東日本⇒西日本ルートのRORO船活用パートナーを確保したことになる。
(FUTURE 2023年9月4日号)