リンテック/剥離紙の無溶剤化を強化
リンテックはこのほど、剥離紙の製造時に有機溶剤を使わない無溶剤製品の提案・採用拡大を一層強化していく方針を発表した。同社は2030年を見据えた長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」を21年からスタートし、注力テーマの一つとしてVOC(揮発性有機化合物)の大気放出抑制を掲げている。剥離紙の無溶剤化はその一環。
剥離紙は、粘着製品の裏側に台紙として貼り合わされる用途のほか、合成皮革や炭素繊維成形品の製造過程で工程紙に応用されるなど、幅広い産業分野で使われている。剥離紙の製造においては、剥離剤を薄く均一に塗工するため有機溶剤で希釈する必要があるが、石油由来の有機溶剤は塗工後に蒸発して大気に放出されると有害なVOCとして環境に負荷を与えることから、その使用量削減がメーカーにとって課題の一つとなっている。同社ではこれまで、生産拠点に排ガス処理設備の設置を進め、VOC排出量の削減に努めてきたほか、剥離剤の無溶剤処方の開発・提案にも取り組んできた。環境対応のニーズがますます高まる昨今、2021年には無溶剤型剥離紙用の新規塗工設備(写真)を埼玉県の熊谷工場に導入するなど、無溶剤化に向けた取組みを一層推進している。
リンテックは、同社の剥離紙に使用される剥離剤の無溶剤化率を、23年3月期の64%(生産量ベース)から、30年までに100%にすることを目指し、今年度、熊谷工場をはじめ同社で生産する剥離紙全量(一部特殊品を除く)を無溶剤タイプに切り替えていく考え。また、この取組みへの理解促進を図るため、webサイトに無溶剤化について紹介する特設ページ(https://www.releasepaper-film.com/)も新設した。情報発信を強化して無溶剤型剥離紙の採用拡大に注力していく。
(FUTURE 2023年5月29日号)