2022
Archive for 2022
丸住製紙/2隻目のエコシップ新造チップ船が就航
丸住製紙では、木材チップ専用運搬船「STELLAR HARMONY」(ステラハーモニー)が8月23日に就航した。同船は、今年2月に就航したSTELLAR SYMPHONYに続き、2隻目のエコシップとして主にニュージーランド、豪州、北米、南米から木材チップを運ぶ。
STELLAR HARMONYは、日本郵船が2020年から行っているマイクロプラスチック分布外洋調査のサンプリング船の一つとして、航海中に海水を汲み上げ、海洋中のマイクロプラスチックを採取する。採取後のマイクロプラスチックは陸揚げ後に千葉工業大学によって分析され、海洋プラスチック汚染の実態調査・研究に役立てられる。
また、同船は最新鋭の環境性能を持ち、推進率を向上させる省エネ装置「Hybrid Fin」に加え、燃料節減やエンジンへの負荷緩和効果がある「省エネガバナー」を搭載するほか、低負荷運転時の燃費効率改善を実現する仕様を備えたエンジンを採用している。
〔STELLAR HARMONY〕
全 長:199.9m
全 幅:32.24m
載貨重量:約4万9,506t
載貨容積:約360万ft3
造 船 所:今治造船
(FUTURE 2022年9月12日号)
大王製紙/ペット用品製造会社を買収
大王製紙は、ペット用品製造会社の㈱大貴(東京)の全株式を取得し、10月3日付で子会社化する。
大貴は国内の主要ペット用品メーカー向けに、主に紙製の猫砂をOEM供給しており、紙製猫砂市場では同社製品が約4割のシェアを占める。製品原料にはメーカーで規格外となった紙おむつ、壁紙、パルプ系不織布などのリサイクル原料を活用しつつ、高品質な紙製猫砂を製造しており、高度化・多様化するニーズに合わせた製品開発とコスト競争力に強みを持つ。工場は2ヵ所あり、東日本は栃木県の真岡工場から、西日本は香川県の四国工場から製品を供給している。
一方、大王グループは「大王グループ サステナビリティ・ビジョン」を策定し、使用済み紙おむつのリサイクルに関する共同研究にも着手するなど、社会課題の解決に取り組んできた。衛生用紙、紙おむつなどの製造過程で発生する生産ロスについては、その多くを原料工程まで戻して製品化する一方、再利用が難しい部分はリサイクル原料として外販、もしくは自社ボイラーの燃料として利用していた。この生産ロスが、大貴の子会社化により、グループ内で完結する形でマテリアルリサイクル可能となり、また、紙製猫砂の製造販売は収益力強化にもつながる。さらに大王製紙では、使用済み紙おむつのリサイクル事業で分離・回収したパルプ・ポリマーの、紙製猫砂への活用も目指す考え。
〔大貴の概要〕
所 在 地:東京都港区
事業内容:ペット用品、紙加工品等の開発および製造販売/リサイクル商品、産業廃棄物の再生処理業/新商品の企画・開発、製造・販売
創 業:1986年
業 績:売上高27億1,300万円、営業利益1億5,200万円(2022年4月期)
(FUTURE 2022年9月5日号)
王子ネピア/初の自社物流倉庫「江戸川倉庫」が竣工
王子ネピアはこのほど、東京・江戸川区の江戸川工場内に、同社初となる自社物流倉庫「江戸川倉庫」(写真)を竣工した。
これにより、埼玉や神奈川に点在していた外部委託の物流機能を再編し、関東圏の物流拠点を整備する。ティシュやトイレットペーパー、紙おむつやマスクなどの一大消費地である関東地域への供給をスムーズにすると同時に、Eコマース向けや小ロット配送中心のBtoC事業にも活用していく。また、倉庫屋上には太陽光パネルを設置し、倉庫と江戸川工場の使用電力の一部を太陽光発電に置き換える。
〔倉庫概要〕
敷 地:約7,050m2
保管数量:約11.6万ケース
(FUTURE 2022年9月5日号)
紙容器リサイクル/日本製紙やKPPが使用済紙コップを再資源化
済み紙コップは古紙の分類では禁忌品に指定され、通常は一般廃棄物として焼却処理される。しかし、昨今は資源循環促進のため、紙容器のリサイクルニーズも高まっている。使用済み紙コップの再資源化を目指す動きも出てきており、直近では日本製紙や国際紙パルプ商事(KPP)が取組みを開始した。
日本製紙は、前号で紹介した「ガーデンフェスタ北海道」に続き、8月28日に開催された「北海道マラソン2022」でも紙コップリサイクルの取組みを実施。マラソンコース上の給水所やランナーサポートエリアで使用し分別回収された紙コップを、日本製紙が引き受け、段ボール原紙などの原料に活用していく。
またKPPは、㈱ザスパが運営するサッカークラブ「ザスパクサツ群馬」とともに、使用済み紙コップのリサイクルを開始した。同クラブのホームスタジアム、正田醤油スタジアム群馬で開催される4試合(8/20、8/28、9/14、9/24)で、東罐興業製の紙コップ専用回収機を場内に4ヵ所設置して使用済み紙コップを回収し、これを原料として再生紙トイレットペーパーを製造する。
(FUTURE 2022年9月12日号)
大王製紙/CNF実装電気自動車が米国レースで完走
大王製紙はかねてセルロースナノファイバー(CNF)の事業化に向け、モータースポーツチームのSAMURAI SPEEDとパートナーシップを結んでいる。このほどCNF素材を実装した電気自動車で参戦したSAMURAI SPEEDが米国レースを完走した。
SAMURAI SPEEDは去る6月20~26日に米国コロラド州で開催された第100回パイクスピークインターナショナルヒルクライム(略称:PPIHC)に電気自動車(EV)で参戦。ドライバーの大井貴之選手は本レース初出場だったが、改造無制限クラスで12チーム中9位(13分37秒568)という成績で完走した。
チーム代表の神子力氏は、この結果について「車体上部の軽量化を実現できたことで、急勾配のヒルクライムレースにおいて有利とされる後輪駆動や4輪駆動がひしめく中、前輪駆動車両で大いに善戦した。急変する山岳特有の環境に対応し、目標としていた完走を無事に果たすことができた」とコメントしている。
参戦したレース車両は昨年と同様、EVの日産リーフe+をベースにCNF複合樹脂をドアミラー筐体に、CNF成形体をルーフ、ドアのすべてに実装。さらに今回はCNF連続成形体をフロントボディ、リアボディに新たに採用した。このCNF連続成形体は愛媛大学、川之江造機との共同開発により、従来バッチ式で生産していた成形体を連続式で製造した素材。
CNF実装の効果として、日産リーフe+のドアミラー筐体、ルーフ、ドア、フロント・リアボディをCNF部材に置き換えたことで約60㎏、率にして51%の軽量化に貢献した。また標高4,000mを超える環境下でも耐久性において通常パーツと遜色なく、使用することができたという。
(FUTURE 2022年9月5日号)
第一工業製薬/CNF『レオクリスタ』のサンプル無償提供を開始
第一工業製薬はこのほど、同社のセルロースナノファイバー(CNF)『レオクリスタ』の研究開発を促進するため、アカデミア向けにサンプルの無償提供を開始した。
『レオクリスタ』は完全水系で製造し、透明なゲル状で高いチクソトロピー性を有するなどの特徴を持つ。微粒子などの沈降防止や、スプレー可能でタレないゲル、高透明・高強度で折り曲げられる皮膜形成など、ユニークな剤形を作り出せる。サンプル無償提供の請求フォームは次記webサイトから。
https://www.dks-web.co.jp/product/rheocrysta/index.html
(FUTURE 2022年9月12日号)
〈9月19日号〉
●R&D情報
製品高機能化から省人化、輸送効率向上まで/ユーザーの幅広いニーズに応える紙加工各社の研究開発活動〈2〉
●ワールドレビュー
原価高騰を値上げでカバーした米国紙パ企業の4〜6月期業績
●話題を追って
スマートエネルギー 2022〈秋〉/脱炭素経営の支援で多彩な提案
●REPORT
DBJ 2022年度 設備投資計画調査/先送りした案件の再開で大幅増に
●ワイドフレックス
国産木材の展示会「JAPAN ReWOOD」開催/各産地が木材の普及・活用事例を紹介
●統計と市況
紙
●中国市況
原料、紙・板紙製品
●米国市況
グラフィック用紙
●ニュースファイル
企業の動き 決算 トピックス 新製品 移転・変更 人事異動
<9月2号>特集■サニタリー
特集 ■ サニタリー
●Trend
《大人用紙おむつ/ベビー用紙おむつ/生理処理用品ほか》コロナ禍の影響で在宅介護増加 高機能化を呼び込んだ“清潔志向”
《紙おしぼり/ウエットティシュ》過熱気味のウエットティシュ市場 やや落ち着いた2021年
●製品紹介
売れ筋商品紹介~王子ネピア、大王製紙、日本製紙クレシア、オーピーパーム、カミ商事、大富士製紙、大髙製紙、大一紙工、㐧一衛材、西日本衛材~
6品種の生産・販売会社リスト
◇
●Column
仕切屋の真剣コラム/盆明けに洋紙の値上げが一気に動き出す 経済とは“ひとりひとりの生きる糧”
●Topics
原燃料高騰+円安で猛烈なコストプッシュ/製品価格への転嫁を急ぐ製紙各社
シコー/ツイッターをきっかけに、米袋で「こどもカレッジ」に出展
山陽製紙/キンコーズ・ジャパンと連携 「紙資源の循環サービス」を開始
『100年企業のすごすぎる製紙工場』/鶴見製紙の里和社長が書籍を上梓
ジェトロ×経産省「通商白書2022」を読む/コロナ禍、エネルギー危機、デジタル貿易─様変わりする世界の貿易環境
●Trend
2022年上半期の紙・板紙需給/コロナ禍前を上回った段ボール原紙、トイレットペーパー
2022年上半期の原材料需給/紙の減産を反映して消費は総じて低調
●Report
2022~2024年 世界の広告費成長率予測/デジタル広告が牽引し高伸長も新聞、雑誌はマイナストレンド
●統計
東京市況/コーテッド紙A3巻取 チラシ案件の動き増大
家庭紙/市中の価格値上げ 安定化広がる
古紙/6月度の古紙回収率 3ヵ月連続の80%台
●インフォメーション
〈9月12日号〉
●R&D情報
個別ニーズにも細やかに対応/利便性・効率性、コスト削減を追求する紙加工各社の研究開発活動〈1〉
●ワールドレビュー
インドの大口輸入契約破棄が引き金になった欧州産OCCの下落
●話題を追って
出そろった各社の値上げアナウンス/世界的な原燃料高騰に追い打ちをかける円安
●今週の数字
上期の古紙需給は入荷、消費とも微減/輸出は数量大幅減も㎏単価は28.9円と急上昇
●講演から
古紙再生促進センターのオンラインセミナー/ECの需要増が見込まれるマレーシア
●REPORT
上半期のマスコミ4媒体広告量/紙系では「交通・レジャー」が二桁増に
●統計と市況
関連指標
●米国市況
パッケージング用紙
●ニュースファイル
企業の動き 決算 トピックス 新製品
紙パルプ技術協会/第75回定時総会で理事長に日本製紙の福島副社長を選出
紙パルプ技術協会は7月15日、東京・銀座の紙パルプ会館で「第75回定時総会」を開催した。今回は昨年の定時総会同様、新型コロナウイルス感染拡大防止のためマスクを着用し座席の間隔を開けるなど万全の対策を講じて実施され、出席者も限られた数の下で執り行われた、
当日の総会は委任状を含め251名以上の定足数を満たす参加者数によって成立。福井照信専務理事の司会進行でスタートし、進藤富三雄理事長(王子ホールホールディングス・取締役、専務グループ経営委員)が開会挨拶を述べた後、引き続き会則により進藤理事長が議長を務め、2021年度事業、同収支決算書・貸借対照表および財産目録の議案について満場一致で承認。次いで同協会役員の改選が行われ、新理事長に福島一守氏(日本製紙・代表取締役副社長兼副社長執行役員)を選出するとともに、副理事長には海老原洋氏(レンゴー・専務執行役員[上席])、要堺由隆氏(中越パルプ工業・取締役常務執行役員、生産本部長)が就任、福井専務理事は再任となった。
当日の定時総会において各議案が満場一致で承認され役員選出が終了した後、引き続き同会場で三賞(藤原賞、大川賞、佐伯賞)の表彰式が執り行われた。この三賞は故・藤原銀次郎(1869 ~1960年)、故・大川平三郎(1860 ~ 1936年)、故・佐伯勝太郎(1870 ~ 1934年)の3氏が紙パルプ産業で残した偉大な功績を記念し、会社・工場経営、機械技術および化学技術の分野で著しく貢献した人を表彰するもの。2022年度における各賞の受賞者は、藤原賞:加来正年氏(王子ホールディングス・代表取締役会長)、大川賞:石田浩一氏(王子エンジニアリング・顧問、元王子ホールディングス・取締役常務グループ経営委員)、佐伯賞:音羽徹氏(日本製紙専任アドバイザー、元日本製紙常務執行役員)であった。
当日は佐々木賞と紙パルプ技術協会賞の受賞技術も発表されたが、表彰式については10月5日、第65回年次大会の会場(千葉市・幕張メッセ)で行われる予定になっている。佐々木賞は、IHIフォイトペーパーテクノロジー:インテンサマックスによるデトラッシング技術、アンドリッツ:難処理損紙用マシンパルパー Fiber Solve パルパー FSV(U)C型、日本製紙ユニテック:オンラインダート観測装置(Open-K-DO)の3社、紙パルプ技術協会賞は、研究報文「難リサイクル性印刷物の新規判別法の開発とその運用」小泉博比古、渕瀬(福岡)萌、乙幡隆範、後藤至誠の4氏(日本製紙)、研究報文「水性塗料配合用セルロースナノファイバー原料の調製─ ソーダ・アントラキノン蒸解と過酢酸漂白の適用─」真柄謙吾、戸川英二、久保智史、下川知子の4氏(森林研究・整備機構)であった。
(詳細は紙パルプ技術タイムス2022年9月号で)
2022年 <9月号> 特集/製紙と設備の改良・改善技術
特集/製紙と設備の改良・改善技術
●特集寄稿
バルメット・アセット・パフォーマンス・マネジャーによる次世代機器運用管理手法
バルメット㈱ オートメーションシステムズビジネスライン 石原健一
等高線図を用いた製紙関連データの解析
山崎秀彦
米国の板紙需要と世界における段ボール加工産業のトレンド
豊福邦隆
●特集インタビュー
製紙産業の持続的発展を念頭に新展開に向けた戦略を国内外で推進
㈱メンテック 代表取締役社長 関谷宏氏
●特集業界動向
相川鉄工/第32回相川技術発表会をウェブ上で開催 ─ SDGsに貢献する最新技術を提案
◇
●サプライヤーに聞く
製紙用薬品の国内基盤を強化し海外展開と研究開発で成長を果たす
星光PMC㈱ 代表取締役社長執行役員 菅正道氏
●寄稿
CNF/化学合成繊維混抄紙“フィブリメルト”の開発
天間特殊製紙㈱ 製造部第二製造課 佐野朗仁
薬剤添加による紙の機能発現〈その6〉PAM添加における内部添加と外部添加の違い
山内龍男
●業界動向
伸興/幅10m超の長尺クリーナーを公開 ─ UVU–W型ニューウルトラクリーナ
日本製紙連合会/古紙配合率問題に関するフォローアップ調査を実施
日本製紙連合会/「長期ビジョン2050」達成に向けた取組みと今後について報告
紙パルプ技術協会/安定的な事業継続で持続可能な社会への貢献を ─ 第75回定時総会で日本製紙の福島副社長を理事長に選出
日本不織布協会/新会長に三木特種製紙の三木雅人社長が就任 ─ 2022年度定時総会を大阪で開催
●データシート
主要国の紙パルプ産業動向(2021年および22年第1四半期)
●連載
老舗を再生させた三代目が,どうしても伝えたい「経営革新」講義(117)福井大学大学院での講義─「Web3.0的製造業とは?」
中山裕一朗
●ニュース・統計
月間ニュース
海外情報
アジア通信
イベントカレンダー
機械・資材業界短信
紙パルプ製品・設備・原材料 月別需給統計〈令和4年5月度〉
<9月1号>
●座談会
緊急記者匿名座談会~第十弾~“乱世”で生き残る身の処し方/“コロナ脳”から脱し率先して地元の経済・社会・文化を盛り上げよ
●Report
製紙関連企業の設備投資動向/コロナ禍前の水準に回復 「構造転換」「新規事業」「環境関連」が成長のカギ
紙加工関連企業の設備投資動向/投資額は対売上比率5%を再び割り込む 6割以上の企業が前年比マイナス
●Topics
グリーンピース・ジャパン/国内のカフェ9社を調査 使い捨てカップの総数は約3.7億個
第16回「古紙配合率問題フォローアップ調査」/風化させない教育方法を各社が工夫
●Trend
環境NGO3団体 米国木質ペレット工場の現地視察報告/日本が長契で年間350万tの調達を計画~周辺住民の間で広がる不安と懸念~
●Review
『森林・林業白書』/“ウッドショック”のあとさき 木材不足・価格高騰を契機に国産材への転換が進展
●催事
こんの「リサイクル工場」見学会/小学生や近隣住民を招きヤードを案内
●くらしと紙
日本製紙クレシア、大王製紙
●統計
板紙/22年5月度生産実績 前年比100.0%
段ボール/5月度の段ボール生産 前年比102.5%と増加
パルプ・パルプ材/パルプ材の消費が2年ぶりに100万t割れ
出版/直木賞関連作品が好調な伸びを見せる
●インフォメーション
〈9月5日号〉
●R&D情報
素材や技術だけが対象ではない/従業員の安心・安全など多方面に目配りする紙パの研究開発活動〈3〉
●ワールドレビュー
国内工場の操短、輸出市場の不振で大幅に下落した米国古紙価格
●REPORT
2021年の欧州製紙産業/売上高は16%増の950億ユーロと急伸
●ワイドフレックス
㈱こんの「リサイクル工場」見学会/近隣住民や小学生を招きヤードを案内
●話題を追って
鶴見製紙の里和社長が書籍を上梓/“ガン鶴”の知恵と再生の物語
●講演から
ジェトロ×経産省 「通商白書2022」を読む/不確実性が増す時代の通商課題を提起
●統計と市況
原材料
●アジア市況
輸入古紙、輸入パルプ
●国際市況
市販パルプ
●ニュースファイル
企業の動き 決算 トピックス 人事異動
紙・板紙需給2022年上半期/段原紙、トイレ紙はコロナ前を上回る
日本製紙連合会の集計による、今年1~6月期の国内紙・板紙需給実績がまとまった。国内景気は持ち直しの動きが見られるものの、回復のペースは緩やかで、実質GDP成長率は2020年10~12月期以降、1期ごとにプラス成長とマイナス成長を繰り返しており、一進一退の動きが続いている。
<2022年1~6月の概況>
こうした経済情勢のもと、紙・板紙需給に目を向けると、1~6月の生産は前年比△0.1%の1.189万t(以下、「%」表記は特記しない限り前年同期比)と、2年ぶりに前年を下回った。出荷は+0.5%の1,189万tで、こちらは2年連続で前年を上回った。出荷のうち、国内向けは+0.2%の1,085万t。価格修正に伴う前倒し需要とその反動減などから、1~3月は+1.9%のプラスも、4~6月は△1.4%とマイナスに転じている。
一方、メーカー輸出は+3.0%の104万tで、中国を中心にアジア向けが増加し、前年を上回って過去最高を更新も、4月以降はマイナス(4~6月:△4.1%)に転じた。在庫は6月末時点で195万t、一部品種は高水準だが、全体としては概ね適正水準だ。価格(日銀:企業物価指数)は印刷・情報用紙、パッケージング用紙で上昇している。
<今後の景気と製紙各社の対応>
国内景気は、回復のペースは緩やかも持ち直し基調が続くと見られているが、ウクライナ危機の長期化による資源・エネルギー価格の高騰や中国のゼロコロナ政策、米国のインフレ、利上げペースの加速といった下振れリスクが大きくなっており、先行きは予断を許さない状況だ。
製紙産業においても、原燃料価格の高騰や円安の急激な進行など、経営環境は一段と厳しさを増し深刻化している状況にある。各社は需要の構造的な変化に合わせた生産体制の再構築などを通じて、既存事業の競争力を強化するとともに、堅調な段ボール原紙を中心とするパッケージング分野や衛生用紙分野への事業転換を進めている。
また、環境・社会ニーズに対応した新規事業の立ち上げ、温室効果ガスの削減など、持続可能な社会への貢献を進める取組みを強化している。
(以下、詳細はFUTURE 2022年8月15日号で)
紙・板紙需給速報6月/国内出荷3ヵ月ぶりに増加
日本製紙連合会が集計した6月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比+0.4%の181.5万tで、3ヵ月ぶりのプラスとなった。以下、%表記は前年同月比。
国内出荷のうち、紙は△0.7%の85.9万t、板紙は+1.3%の95.6万t。用途別では、グラフィック用紙が△0.9%の61.2万tで5ヵ月連続マイナス、パッケージング用紙は+1.1%の105.9万tで2ヵ月連続のプラス。主要品種は新聞用紙、非塗工紙、情報用紙を除きプラス。
紙・板紙のメーカー輸出は△2.6%の16.8万tで3ヵ月連続のマイナス。うち、グラフィック用紙は塗工紙が東南アジア、南アジア向けで増加して+8.2%の4.8万tとなり、2ヵ月ぶりのプラス。パッケージング用紙は段ボール原紙が東南アジア向けを中心に減少し、△6.3%の12.0万tで3ヵ月連続マイナス。
紙・板紙の在庫は前月比△11.8万tの194.9万tで2ヵ月ぶりの減少。うち、グラフィック用紙は印刷・情報用紙が減少し、同△10.3万tの83.4万tで3ヵ月ぶりの減少。パッケージング用紙は段ボール原紙を中心に包装用紙、白板紙も減少して同△2.4万tの101.3万tとなり、2ヵ月ぶりの減少。衛生用紙は同+0.9万tの10.1万tで2ヵ月連続の増加。
〔主要品種の動向〕
新聞用紙:国内出荷は△3.9%の15.5万tで13ヵ月連続のマイナス。
印刷・情報用紙:国内出荷は+0.1%の45.7万tで3ヵ月ぶりのプラス。非塗工紙、情報用紙はマイナスも、塗工紙が増加した。メーカー輸出は+8.2%の4.8万tで2ヵ月ぶりのプラス。
包装用紙:国内出荷は+2.3%の5.4万tで15ヵ月連続のプラス。メーカー輸出は+1.4%の1.2万tで3ヵ月ぶりのプラス。
段ボール原紙:国内出荷は+1.2%の78.4万tで3ヵ月ぶりのプラス。メーカー輸出は△7.3%の9.1万tで2ヵ月連続のマイナス。
白板紙:国内出荷は、+3.5%の11.0万tで2ヵ月連続のプラス。
衛生用紙:国内出荷は+0.5%の14.4万tで8ヵ月連続のプラス。
(FUTURE 2022年8月1日号)
レンゴー/発電用バイオマスボイラを利根川事業所に新設
レンゴーは、CO2削減に向けて燃料転換を進めるため、利根川事業所(茨城県坂東市)に発電用バイオマスボイラを新設した(写真)。10月から稼働を開始する予定。八潮工場内の設備に次ぐ2機目のバイオマスボイラとなる。
利根川事業所はレンゴーの基幹事業所の一つで、製紙・紙器の2工場からなり、年間約35万tの板紙生産と、加工紙やマルチパックなど紙器製品の印刷加工を行っている。
新設した発電用バイオマスボイラは、首都圏で排出される建設廃材由来の木質チップやRPF、廃タイヤなどを主な燃料とする発電施設。利根川事業所は、2007年に重油からLNGへの燃料転換を実施しており、バイオマスボイラによって再生エネルギーへ転換することで、CO2排出量はさらに年間約9万t削減される見込み。
【バイオマスボイラ設備の概要】
所在地:茨城県坂東市(利根川事業所敷地内)
設備名:3号ボイラ設備▽燃料:木質チップ、RPF、廃タイヤ
蒸気量:117t/h
(FUTURE 2022年7月25日号)
大王製紙/店頭演出・販売支援の新会社を設立
大王製紙は、小売店での店頭演出やフィールドマーケティング活動の強化を目的に、新会社「エリエールフィールドパートナー㈱」を8月中(予定)に設立する。事業開始予定は10月1日。
新会社では、販売店の店頭活性化、販売支援などのフィールドマーケティングを行う。これまではホーム&パーソナルケア部門の国内事業部リテールサポート本部がこれらの業務を担ってきたが、同業務に特化した新会社を設立することで、機敏性と商談力を備えた活動に進化させ、各店の特性に合わせた提案を行うとともに、販売店と協働してより魅力ある店頭演出を行っていく。将来的にはグループ外企業からの業務受託も進める考え。
【エリエールフィールドパートナー】
所在地:東京都千代田区富士見(大王製紙東京本社内)
代表者:若林公男代取社長
資本金:1,000万円
株 主:大王製紙100%
従業員:54名
(FUTURE 2022年8月1日号)
レンゴー/『ビスコパール』増産に向け新プラントが本格稼働
レンゴーは、木材由来のパルプを原料とした、マイクロサイズの球状セルロース微粒子『ビスコパール』を増産するプラント(写真)を新設し、7月中に本格稼働を開始する。
『ビスコパール』は海水や土壌で生分解可能な素材で、海洋生分解性の国際認証「OK biodegradable MARINE」を取得しており、樹脂やインキの添加剤、研磨剤など幅広い分野で使用されるマイクロプラスチックビーズの代替品として期待されている。
特に欧米で法規制が進む化粧品分野では、マイクロプラスチックビーズから『ビスコパール』への転換需要が見込まれるため、レンゴーは小粒径『ビスコパール』の増産体制を整備したもの。なお化粧品向けについては、すでに化粧品原料メーカーへ出荷しており、大東化成工業(大阪市旭区)から『CELLULOBEADS』の製品名で国内外の化粧品各社へ販売されている。
新プラントは金津工場(福井県あわら市)の敷地内に新設し、現在、新たな製造技術による品質向上を実現させるべく、本格稼働に向けて試験運転中。
【新プラント】
名 称:セルロース微粒子新プラント
面 積:約1,400㎡(建屋+屋外設備)
【製造製品について】
小粒径ビスコパール:粒径3~30μm
生産能力:120t/年
(FUTURE 2022年7月18日号)
日本紙パルプ商事/英国でフィルム事業を強化
日本紙パルプ商事(JP)の連結子会社Premier Paper Group Limited(=PPG社。英国・バーミンガム市)はこのほど、英国・ケント州のフィルム卸売会社、Zulu Packaging Limitedの全株式を取得した。
PPG社は、英国各地に在庫拠点を持ち、“Premier”ブランドで紙卸売ビジネスを展開するほか、包装資材や看板で使用されるグラフィックボードなどの拡販にも取り組んでいる。一方Zulu社は、食品包装加工業者向け軟包装フィルムや容器製造業者向け商業印刷用ラミネートフィルムなど、幅広いフィルム製品を取り扱っている。PPG社は、Zulu社の買収により製品ラインアップを拡充すると同時に、在庫・配送機能の効率化など、シナジー効果の創出を目指す。
JPグループは現在、紙・板紙事業を主力としつつ、パッケージやフィルムなど、ローカル販売力を有効活用できる高付加価値商材の取扱いを増やすための補完的なM&Aを推進している。
(FUTURE 2022年8月29日号)
国際紙パルプ商事/連結子会社がスペインのパッケージ企業を買収
国際紙パルプ商事(KPP)の連結子会社、Antalis S.A.S(仏・パリ)は、スペインのパッケージメーカーAutoadhesivos Cohal,S.A.(マドリッド)およびGaralmi,S.A.(同)の全株式を取得し、子会社化する。
買収する2社は、スペイン中南西部を中心にラベル、フィルム、パッケージ事業を展開するCohal Groupの企業で、両社ともパッケージ製造とラベル・パッケージ販売を行っている。Cohal Groupのビジネスモデルはイベリア半島全体への事業展開の余地があり、またフランスやイタリアへの事業拡大、および産業用ラベルへの進出の可能性、さらには欧州でのプロダクト・ラインの拡充など、Antalisのイベリア事業との相乗効果も期待できるため、KPPは買収を決めた。
(FUTURE 2022年8月1日号)
中越パルプ工業、丸紅/CNFを使用した農業資材試験販売を開始
中越パルプ工業と丸紅はこのほど、中越パルプが製造するACCセルロースナノファイバー(CNF)『nanoforest』を使用した、新たな農業資材『nanoforest-S【アグリ】』の法人向け試験販売を開始した。
『nanoforest-S【アグリ】』は、病原菌から植物の葉表面を守る防除資材。主成分はセルロース繊維と水のみで、殺虫・殺菌成分などの合成分は含まれておらず、さまざまな野菜類や果樹に使用できる。葉面に散布すると微細なセルロース繊維の網がネットのように葉面を保護し、病原菌の侵入を物理的に防ぐほか、CNFの両親媒性が葉面を親水性にし、菌が葉面だと認識できなくなる「カモフラージュ効果」もある。
『nanoforest-S【アグリ】』は、農林水産省が「みどりの食料システム戦略」で推進する総合的病害虫・雑草管理に対応した新しい農業資材でもある。総合的病害虫・雑草管理とは、経済性を考慮しながらも、化学農薬だけに頼らずさまざまな防除手段を組み合わせることで、環境負荷を低減しつつ病害虫・雑草の発生を抑える技術。防除手段には、耕種的防除(圃場の衛生管理など)、生物的防除(天敵の活用)、化学的防除(化学農薬の使用)、物理的防除(防虫ネットなど)があるが、『nanoforest-S【アグリ】』は物理的防除資材に当たる。
中越パルプ工業と丸紅は、『nanoforest-S【アグリ】』の使用方法の確立に向け、今後も圃場試験と研究開発を重ねていく方針。
(FUTURE 2022年8月1日号)
北越コーポレーション/セルロース学会の技術賞を受賞
北越コーポレーションはこのほど、「バルカナイズドファイバーの微細構造制御と炭素繊維複合化への展開」で、2021年度セルロース学会の技術賞を受賞した。
受賞した研究グループは、150年以上の歴史を持つバルカナイズドファイバーを、先端科学を用いて理解を深め、ナノとマイクロのセルロースが融合したオールセルロース材料として再評価、さらに炭素繊維との複合化や人工衛星部材といった新製品の開発にもつなげている。
(FUTURE 2022年8月29日号)
北越コーポレーション/Beyond 5Gにも対応の電磁波ノイズ抑制シート
北越コーポレーションはこのほど、CNFの技術とコート紙製造などで培った塗工技術を融合し、5Gや次世代の移動通信システムであるBeyond 5Gにも対応可能な電磁波ノイズ抑制シートを開発した。
従来の電磁波ノイズ抑制シートは、樹脂に磁性体を練り込んだ磁性シートが主流だったが、北越が開発した電磁波ノイズ抑制シートは、カーボンナノチューブ(CNT)をシートの表面に塗布することにより、その厚さを0.055㎜以下まで薄く、軽くすることを可能にした。伝導ノイズと放射ノイズともに抑制効果があり、特に伝導ノイズは従来品と比較して10GHz以上の高周波数帯域に優れている。また、放射ノイズでも5G帯域、4G帯域ともに抑制効果があり、4G通信で重要な周波数帯域(プラチナバンド)である800MHzにおいても高い効果が確認されている。製品ラインアップは、紙基材とフィルムの2種類を揃えた。
(FUTURE 2022年8月29日号)
王子ホールディングス/マテリアルリサイクル対応コップ原紙を開発
王子ホールディングスと王子パッケージングは、水系樹脂コーティング技術を活用し、マテリアルリサイクルできる『環境配慮型コップ原紙』を開発した。
紙コップや牛乳パックに使われるラミネート紙は、現行の紙リサイクルシステムでは禁忌品であり、可燃ゴミとして扱われるため、“マテリアルリサイクル”という点では課題が残っていた。そこで王子は、特殊な水系樹脂を表面に薄く均一にコーティングすることにより、紙コップに必要な耐水性、耐油性、ヒートシール性を備えつつ、現行の紙リサイクルシステムで紙原料としてマテリアルリサイクルできるコップ原紙の開発に成功した。写真は開発品の使用例。
(FUTURE 2022年8月1日号)
レンゴー/抗ウイルス段ボール『ウイルスレンガード』
レンゴーは、抗ウイルス段ボール『ウイルスレンガード』を上市した。
『ウイルスレンガード』は、抗ウイルス銅化合物をライナー原紙にコーティングした段ボール箱で、抗菌製品技術協議会(SIAA)による抗ウイルス加工の認証「SIAAマーク」を取得済。表面に付着したウイルスが24時間で99%以上減少することを確認しており、また印刷適性も良好で、印刷部分でも抗ウイルスの効果が認められている。多くの人が直接手に取る通信販売、引っ越し、医療現場、紙おむつの段ボール箱のほか、幅広い場面で活用できる。
(FUTURE 2022年7月18日号)
ザ・パック/廃材をアップサイクルした新パッケージブランド
ザ・パックはこのほど、産業廃棄物を配合した、環境配慮パッケージの新ブランド『エコカラ』を発売した。資源に循環できる産業廃棄物を高濃度にプラスチックと混合した製品群で、プラスチックパッケージの代替需要を狙う。
新ブランドの第一弾製品として発売するのは、国内で大量に回収可能で、かつ資源(原料)としても利用できる“卵殻”を配合したバイオマスパッケージ。ユーザーから卵殻の指定回収先がある場合は、回収から製品納品までのプロセスを含めて企画提案していく。ラインアップは、『エコカラトレー』と『エコカラフィルム』の2種類を揃えた。
『エコカラトレー』は、冷凍・冷蔵対応や再原料化・再商品化が可能で、構成によって食品にも対応できるバイオマストレー。フィルムタイプの『エコカラフィルム』は、チューブとシートの両方の形状で提供可能で、環境負荷の少ないフレキソ印刷にも対応している。
トレー、フィルムともに重量比で3~51%の卵殻を配合でき、50%超配合した場合はプラマーク表示が不要となる。供給形態は、トレーやフィルムのほかにも、手提げ袋などのフィルム製品、ボトルなどのブロー成型品、食品トレーなどのシート成型品と、各種成型品での提供が可能。別注でサイズ、配合比率の要望にも応じる。
テイクアウトやフードデリバリー向けの需要が拡大しているプラスチック食品容器の市場は4,000億円以上と言われている。ザ・パックは『エコカラ』を資源循環型パッケージの戦略的製品と位置付け、同市場をターゲットに販売拡大を目指すほか、2025年を目途に別の廃材を原料にした製品の開発も進めている。
(FUTURE 2022年7月11日号)
〈8月29日号〉
●R&D情報
品質向上やコストダウン対策も/高機能化や独自技術の深化を進め拡販に注力する紙パの研究開発〈2〉
●ワールドレビュー
市場沈静化という予想の中で8月値上げに踏み切ったレヨニヤ
●今週の焦点
2022年上半期の原材料需給/輸入材はNが回復もLは不振継続
●REPORT
古紙センター オフィス発生古紙実態調査/5年前対比で回収は増加、廃棄は減少
●講演から
環境NGO3団体 米ペレット工場の現地視察報告/周辺住民の間で広がる不安と懸念
●統計と市況
板紙
●中国市況
原料、紙・板紙製品
●国際市況
市販パルプ
●ニュースファイル
企業の動き 決算 催事 新製品 人事異動
単行本『脱プラ・脱炭素社会を支える産業へ』を刊行
紙業タイムス社とテックタイムスは、好評企画となっている単行本シリーズ『紙パルプ産業と環境』の2023年版を8月8日に刊行した。今回は「脱プラ・脱炭素社会を支える産業へ」をテーマに掲げ、とくに“高度な資源循環システムの実現”といった視点からのアプローチによる内容も盛り込んでいる。B5判180頁 定価2,200 円(税込・送料別)。
本書の内容は以下の通り。
●紙パのカーボンニュートラルとSDGs
脱プラ・脱炭素/資源循環型産業として期待される紙パの新たな役割
CO2削減目標見直し/2030年度に13年度比で38%削減の高みを目指す
製紙のサステナビリティレポート/SDGsを踏まえ“エッセンシャル産業”としての訴求に注力
生物多様性保全/製紙業界の社会的責務として更なる取組みの深化を
ASEAN諸国の気候変動対策/各国がグリーン成長プログラムを策定
私はこう考える/地球環境と紙メディアの価値について
環境経営士R 木村 篤樹
●プラ代替で発揮される木材利用の技術
プラスチック新法/木質資源利用の産業として新たな成長戦略に
私はこう考える/脱炭素・循環経済の実現に向けたセルロースナノファイバーの利活用
環境省地球温暖化対策事業室室長 加藤 聖
私はこう考える/リグニンの分離と利用技術について
岩崎 誠
私はこう考える/中国製紙産業にとってのチャンスと課題 ─ カーボンニュートラルの実現へ向けて ─
中国紙パルプ研究院有限公司、中国造紙雑誌社副社長 劉 振華
●転換点迎えた日本の古紙利用
インタビュー/法規制で大きな山を越える古紙持ち去り問題対策
全国製紙原料商工組合連合会 栗原 正雄 理事長
インタビュー/古紙不足時の対応を真剣に考えるべき時機が到来した
古紙再生促進センター輸出委員会 中道 徹 委員長(国際紙パルプ商事 執行役員 製紙原料営業本部長)
古紙センター/地方自治体の紙リサイクル施策調査 各自治体で異なる「雑がみ」の排出区分
●変化する世界の原燃料事情
インタビュー/コロナ禍で低空飛行が続いたがトータルの利益は確保できている
トーチインターナショナル 龍 国志 社長
世界の古紙需給/コロナ禍で数量が減少も、回収率・利用率は上昇した20年
〈付表〉世界の国・地域別古紙需給(2019~20年)、世界各国の古紙回収率・利用率試算(2019~20年)
木質バイオマスの利用/エネルギー、マテリアルの両分野で活用が広がる
私はこう考える/発電用バイオマス燃料に関する欧州の動向
北越コーポレーション㈱ 環境統括部 中俣 恵一
●データで見る紙パの環境対応
産業廃棄物対策/最終処分量・有効利用率いずれも目標クリア
エネルギー/引き続き全体的に“バイオマス燃料”へ移行
違法伐採対策/消費者の環境意識に応え継続的モニタリング
環境関連ニュース・ダイジェスト (2021年5月~22年4月)
紙パルプ産業と環境 2023 「脱プラ・脱炭素社会を支える産業へ」
〈8月15日号〉
●R&D情報
CNFは開発から製品展開へ/脱プラ・減プラなどへの取組みを加速させる紙パ各社の研究開発〈1〉
●ワールドレビュー
蘭の再生資源大手買収で古紙の国際調達網を拡大するタイのSCG
●今週の焦点
2022年上半期の紙・板紙需給/段原紙、トイレ紙はコロナ前を上回る
●今週の数字
2021年上半期の紙・板紙貿易/出超幅が64万t、504億円とさらに拡大
●マーケット
2022〜2024年 世界の広告費成長率予測/デジタル広告が牽引し高伸長が続く
●統計と市況
紙
●アジア市況
輸入古紙、輸入パルプ
●米国市況
グラフィック用紙
●ニュースファイル
企業の動き 団体の動き 決算 催事 トピックス 人事異動
<8月2号>
●Lecture
第12回「板紙・段ボール産業労使幹部セミナー」/世代間ギャップ、人員不足、安全衛生など課題が浮き彫りに
国際貿易投資研究所と日印協会/日本の対インド戦略を各方面から提起
●Review
世界の段ボール原紙市場/コロナ禍でも着実に伸長 生産量3位の日本にドイツが肉薄
●Topics
ロシアのウクライナ侵攻に伴う貿易制限/欧州のパルプ減産はアジアにも影響
国際紙パルプ商事/「リラックマ×スポGOMI」調印式を開催 リラックマたちと一緒に日本をキレイに!
●Report
紙加工関連企業の2021年度業績/紙業界と軌を一にする業績回復 DX化と環境商材開発を急ぐ
設備投資に対する企業の意識調査/DX投資の意欲は高いが、円安・原料高がブレーキに
●催事
大阪和紙三団体/「紙は人生を彩るバロメーター」 新たな需要を作り出しお客様に提案する
●くらしと紙
大王製紙、コクヨ工業滋賀
●統計
東京市況/駆け込み需要あるも 低調な印刷用紙A
家庭紙/安値品が販売減 値上げの浸透進む
古紙/5月度の古紙回収率 2ヵ月連続の80%台
●インフォメーション
〈8月1日号〉
●R&D情報
6割以上の企業が前年比マイナス/対売上高比率5%を再び割り込んだ紙加工関連企業の設備投資額
●ワールドレビュー
レゾリュート・フォレストとの提携で段原紙市場参入を加速するドムター
●話題を追って
CO2排出実質ゼロを目指す「長期ビジョン2050」/製紙連が取組みの現状、方向性を報告
●注目企業
国際紙パルプ商事/「リラックマ×スポGOMI」大会の調印式を開催
●今週の数字
グリーンピースが国内のカフェ9社を調査/使い捨てカップの総数は約3.7億個
●Future’s EYE
〜『森林・林業白書』にみるウッドショックの影響〜/木材不足・価格高騰を契機に国産材への転換が進展
●REPORT
第16回 古紙配合率問題フォローアップ調査/風化させない教育方法を各社が工夫
●統計と市況
関連指標
●ドイツ市況
紙・板紙、古紙
●ニュースファイル
企業の動き 団体の動き トピックス 新製品 人事異動
〈7月25日号〉
●R&D情報
構造転換から新規事業、環境関連まで/コロナ禍前の水準に回復した紙パ関連企業の設備投資額
●ワールドレビュー
使い捨てプラに替わる新たな紙系包材開発に注力する中南米
●話題を追って
ロシアのウクライナ侵攻に伴う貿易制限/欧州のパルプ減産はアジアにも影響
●今週の数字
海外製紙企業の業績比較/1〜3月期は増収も、利益はまだら模様
●注目企業
山陽製紙がキンコーズ・ジャパンと連携/「紙資源の循環サービス」を開始
●この人
北越紙販売 鈴木司 代表取締役社長/メーカー直系代理店として非価格競争力を高めていく
●ワイドフレックス
2022年度の設備投資に関する企業の意識調査/デジタル投資が進む一方、円安・原料高で迷いも
●統計と市況
原材料
●米国市況
古紙
●ニュースファイル
企業の動き トピックス 新製品 人事異動
『紙・不織布・フィルム 加工ガイド2023-市場と技術』
<8月1号>
●総会から
日本再生資源事業協同組合連合会 第50回全国大会岡山県倉敷大会/「専ら再生利用の目的となる廃棄物について」 環境省の見解が文書で示される
京都府紙商組合/合同定時総会開催、4団体の新役員を選任
●Topics
国際紙パルプ商事/第3次中計で記者説明会 グローバル化で持株会社体制に移行
大王製紙/「エリス」ブランドで生理にまつわる課題への取組みを国内外で展開
●Report
製紙関連企業の2021年度業績/原燃料コスト急騰で値上げ効果がカギ 経済活動の再開で収益向上が鮮明に
●Trend
ASEAN諸国の気候変動対策/再生可能エネの位置づけと日本企業のビジネスチャンス
●New Products
柏原紙商事/“1度で2色”楽しめる新アイテム「ツートンホワイトFS」「ツートングレーFS」
●催事
第49回 金沢ペーパーショウ/金沢21世紀美術館へ会場移し3年ぶりに紙の恒例イベント開催
●くらしと紙
大王製紙、ナカバヤシ
●統計
板紙/22年4月度生産実績 前年比101.6%
段ボール/4月度の段ボール生産 前年比98.6%と減少
パルプ・パルプ材/国産材集荷6ヵ月連続減少
出版/書店の収益改善に向けた実証実験実施へ
●インフォメーション
2022年 <8月号> 特別企画/紙・不織布・フィルム 加工ガイド2022─市場と技術
紙・不織布・フィルム 加工ガイド2023
─市場と技術─
●市場・技術動向
戦争ジャーナリズムにおける紙メディアの存在理由 ─ メディアが武器にもなり得る新たな時代に考える
東京大学名誉教授 尾鍋史彦
食品包装における紙化の動きと今後の課題 ─ 脱プラ・減プラとバリア性・リサイクル性向上の取組み
岩崎誠
コロナ禍から脱プラ・脱炭素へ向けた不織布産業の現状と今後
日本不織布協会顧問,技術委員会委員長,環境委員会委員長,(一社)日本繊維機械学会 フェロー,不織布研究会委員長 矢井田修
■報道発表などに見る最近の製品開発(2021年7月〜22年6月)
■加工製品/資材 品種・銘柄データ
印刷・情報,印刷・その他,包装・パッケージ,粘着・剝離,産業・工業用資材,土木・建築,家庭・衛生,その他
●開発事例
日本製紙/抗菌・消臭機能を兼ね備えた“npi抗ウイルス紙”
レンゴー/抗ウイルス段ボール“ウイルスレンガード®”
カミ商事/カテキン塗工紙およびカテキンマスクについて
王子マテリア/リサイクル可能,透明化しやすい包装用紙“サンカヨウ”
大王製紙/脱プラスチック社会に貢献する「エリプラシリーズ」
レンゴー/球状セルロース粒子“ビスコパール®”
北越パッケージ/意匠性と環境対応を両立させた蒸着紙
特種東海製紙/表面平滑性・美粧性に優れた“シルキーモウルド”
リンテック/ぬれても破れにくい印刷用紙“プラレスペーパーCoC”
ユポ・コーポレーション/環境対応粘着ラベル用原紙“ユポエアー(開発品)”
三菱製紙/超耐熱ガラス繊維不織布“BarrifireTM(バリファイヤ)”の開発
カミーノ/古紙と植物由来生分解性樹脂を複合した“PAPLUS®”
レンゴー/セロファン製造技術を利用したセルロースナノファイバー“RCNF®”
●最新技術情報
小林製作所/新たな特殊加工に役立つワイヤーバー,各種コータ,不織布用クロスカッタ,テスト用ラボ
大昌鉃工所/特殊紙製造装置から機能を高める加工機器へ展開
伸興/ロールや基材の微小異物・液状異物を除去するEXワイピングクロスクリーナー
新日本通商/SENSORIK社製オンライン水分計SensoWeb MoistとACA社製超ハイシェア粘度計AX-100
明成化学工業/非フッ素系紙用耐油剤“メイシールドK-182”(開発品)
春日電機/エレクトレット加工システム コロナプラズマ表面処理装置,生産現場での事故・トラブルを未然に防ぐ静電気除去装置
金陽社/製紙カレンダー用樹脂ロール“ZE-Kシリーズ”
ABB/L&WオートラインS&L(全自動紙試験機),L&Wオートライン 測定モジュール(全自動紙試験機)
東京計器/素材検査装置 M–CapV2,印刷品質検査装置 P-CapV6
三菱重工機械システム/三菱段ボール製函機EVOL
チノー/赤外線多成分計 IMシリーズ
●「加工ガイド」インタビュー
他社との協力・連携も視野に業界全体の価値向上を目指す
㈱トライフ 代表取締役社長 渡邊克宏氏
◇
●寄稿
中国名所案内(7)/上海周辺・江蘇省・浙江省の発展と歴史を実感 ─ ICPPB参加や王子南通建設を振り返って
豊福邦隆
●連載
老舗を再生させた三代目が,どうしても伝えたい「経営革新」講義(116) 最新の打抜き加工技術をアップデート!「ダイカッティング・サミット」
中山裕一朗
●ニュース・統計
機械・資材業界短信
月間ニュース
海外情報
アジア通信
イベントカレンダー
紙パルプ製品・設備・原材料 月別需給統計〈令和4年4月度〉
〈7月18日号〉
●R&D情報
共通のテーマは環境対応/商品開発力と提案力で22年度の増収増益を見込む紙加工業界〈2〉
●ワールドレビュー
人手不足と物流混乱で困難さが増す米国グラフィック用紙の供給
●話題を追って
製紙パレット機構/回収促進へ紙販売業界に期待
日本紙類輸出組合・日本紙類輸入組合/サポートセンターとしての役割を強化
●今週の数字
日本の包装産業市場2021/段ボール原紙の“一強”が続く紙系素材
●講演から
国際貿易投資研究所と日印協会/日本の対インド戦略を各方面から提起
●アジア市況
輸入古紙、輸入パルプ
●国際市況
市販パルプ
●ニュースファイル
企業の動き 団体の動き 決算 トピックス 新製品 人事異動
〈7月11日号〉
●R&D情報
売上高は8%増、営業利益は4%増/2021年度は業績回復も、DX化と環境商材開発を急ぐ紙加工業界〈1〉
●ワールドレビュー
対露制裁で販路が限られ、NBKP 値下げを余儀なくされたイリム
●話題を追って
国際紙パルプ商事が第3次中計で記者説明会/グローバル化で持株会社体制に移行
●この人
ディーソル 今村勇雄 社長/ペーパーサプライ事業にはまだ伸びしろがある
●講演から
古紙再生促進センター 川上正智 専務理事/50周年を見据え中長期課題を整理
●統計と市況
板紙
●米国市況
グラフィック用紙
●ニュースファイル 企業の動き
団体の動き トピックス 新製品 移転・変更 人事異動
<7月2号>特集■くらしと紙〈夏〉
特集 ■ くらしと紙〈夏〉
●Interview
増田明彦・日本家庭紙工業会 会長(マスコー製紙㈱代表取締役社長)/市場の安定化が家庭紙各社の収益に貢献
●Review
静岡・愛媛ほかの《ヒット・ロングセラー》製品
【静岡県】イデシギョー、春日製紙工業、コアレックス信栄、紺屋製紙、シーズイシハラ、新橋製紙、大一紙工、大興製紙、特種東海エコロジー、林製紙、藤枝製紙、富士里和製紙、マスコー製紙、丸井製紙、丸富製紙
【愛媛県ほか】泉製紙、イトマン、大髙製紙、カミ商事、金柳製紙、ゴークラ、大富士製紙、トーヨ、西日本衛材、服部製紙、丸住製紙、三木特種製紙
●Report
世界の衛生用紙市場/高伸長だが1人当たりの消費量では見劣りするアジア
付表.世界の国・地域別衛生用紙需給(2019~20年)
●催事
日本家庭紙工業会/タオルペーパー委員会を新設 輸入紙流入の実態把握と抑制目指す
●総会から
日本衛生材料工業連合会/標準化・環境対策を推進、マスクのJIS適合番号検索システムも始動
◇
●総会から
日本洋紙板紙卸商業組合/第37回通常総会・全国大会、懇親会/組合員企業が3年ぶりで一堂に会し“紙の秘めた力”を再確認
●Report
川上正智・古紙再生促進センター専務理事/設立50周年を見据え中長期的な課題整理に着手
●くらしと紙
大王製紙、服部製紙、日本製紙クレシア、ユニ・チャーム
●統計
東京市況/印刷用紙A再生巻取 大口入札受注で大幅増
家庭紙/4月特需の反動で受注が低迷
古紙/4月度の古紙回収率 4ヵ月ぶりの80%台
●インフォメーション
日本包装学会/第31回年次大会を7月21、22日にオンライン開催
日本包装学会は新型コロナウイルス感染症拡大の終息が不透明な状況にあることから、「第31回年次大会」の現地開催を中止し、2022年7月21、22の両日オンラインにより開催する。
現在、包装は価値観やライフスタイルの変化にあわせて多様化や高機能化、合理化の要求が加速、さらにはSDGsへの関心が高まるなかで海洋プラスチックごみ問題や食品ロス問題といった環境問題への対応が求められている。他方では、少子高齢化社会に適応したユニバーサルデザイン、各国・地域による規制への対応などを含め包装の果たすべき役割は広範かつ高度になっており、加えて感染症への対策も必須条件とされてきている。そうしたなかで包装産業が一層の発展を遂げるための方策について、各専門分野における研究成果が発表される。開催概要は以下の通り。
会 場:日本包装学会・年次大会Web サイト(オンライン開催)
会 期:2022年7月21日(木)、22日(金)の2日間
内 容:「包装材料」「輸送包装」「加工・装置」「環境・安全」「評価手法」などのセッションにいて口頭・ポスター発表および製品展示コーナーをオンラインにて発表
参加登録:日本包装学会ホームページより。または、参加登録申込書に必要事項を記入し同学会事務局にFAX またはE-maiで。
なお、詳細は以下のURLに。
http://www.spstj.jp/event/nenji/index.html
丸住製紙/CNF商品化第1弾をMakuakeで販売開始
丸住製紙は6月21日(火)から、独自の化学変成技術を用いて開発したCNF『ステラファイン』の商品化プロジェクト第1弾を、“アタラシイものや体験の応援購入サービス”「Makuake」(クラウドファンディング)で販売開始した。
プロジェクト第1弾の製品は、『ステラファインハンドジェルミスト』。「CNFの新素材感を感じられる製品」をコンセプトに、手軽に使えるアルコール配合の香り付きハンドジェルミストを開発した。ジェルのべたつきやミストの液垂れを、『ステラファイン』の保水性や粘性がカバーし、スプレーするとトロトロなのに馴染ませるとサラサラとした感触で、新感覚の使い心地が特徴的なハンドジェルだ。香りは「YUZU」と「TREE」の2種類。
【プロジェクト概要】 https://www.makuake.com/project/stellafine
丸住製紙は2021年にCNF開発センターを創設し、生産技術の確立とともに『ステラファイン』の用途開発を進めている。商品化第2弾についても現在検討中。
(FUTURE 2022年7月4日号)
日本製紙/カップ原紙の生産体制を強化
日本製紙はカップ原紙事業を強化するため、日本製紙クレシア・興陽工場の2号抄紙機を11月末で停機し、2023年度後半を目処にカップ原紙の塗工専用設備に改造する。同抄紙機は1966年に稼働を開始し、現在は商業印刷向けの高級白板紙などを、抄紙から塗工までの一貫体制で製造している。
飲料、食品容器を主用途とするカップ原紙の市場は、「プラスチックから紙へ」の動きが加速する中、一層活発化している。日本製紙グループは現在、旭川、石巻、大竹、白老工場のほか、日本製紙クレシア・興陽工場の1号抄紙機でもカップ原紙を製造している。さらに2号抄紙機も改造してカップ原紙の塗工設備を増強することで、より幅広い製品群を揃えると同時に、さらなる高機能・高付加価値化に取り組む。
(FUTURE 2022年6月27日号)
大王製紙、丸住製紙/技術提携基本契約を締結へ
大王製紙と丸住製紙は5月26日、技術提携基本契約を締結することを決めた。
同じ四国中央市を創業の地とする両社は、すでに昨年6月、四国中央市の脱炭素に向けて「四国中央市カーボンニュートラル協議会」を設立するなど、地域経済に貢献する事業活動を推進している。今後は、共同でパルプ・紙製品の製造に関する技術開発や相互活用を進め、両社の競争力と企業価値の向上を図っていく。
(FUTURE 2022年6月20日号)
日本製紙/豪州に現地法人を新設
日本製紙はグローバル市場で液体用紙容器事業を拡大するため、オーストラリアに現地法人を設立する。
持続可能なパッケージへの転換が求められる中、オセアニア市場でも紙容器の需要増加が期待されている。日本製紙はオセアニア進出に当たり、3月に液体用紙容器の世界的リーディングカンパニー、Elopak ASAとオセアニア地域でのライセンス契約を締結、また液体紙容器充填機の国内最大手である四国化工機と、同地域の充填機総代理店契約を締結している。今回の現地法人設立により、Elopakの『Pure-Pak』と日本製紙『NP-PAK』の紙容器、および四国化工機の充填機をオセアニア地域で販売する体制が整った。
【現地法人の概要】
商 号:Nippon Paper Liquid Package Australia Pty. Ltd.
所 在 地:ビクトリア州メルボルン市
設 立:2022年6月(予定)
資 本 金:50万豪ドル㌦(日本製紙100%出資)
事業内容:オセアニアにおける液体用紙容器および充填機の輸入、並びに卸売販売
(FUTURE 2022年6月20日号)
紙・板紙需給速報4月/パッケージング用紙の国内出荷が14ヵ月ぶり減少
日本製紙連合会が集計した4月の紙・板紙国内出荷は、前年同月比△2.2%の188.2万tで、6ヵ月ぶりのマイナスとなった(以下、%表記は前年同月比)。
国内出荷のうち、紙は△2.5%の89.1万t、板紙は△2.0%の99.1万t。用途別では、グラフィック用紙が△6.3%の60.4万tで3ヵ月連続のマイナス、パッケージング用紙は△1.8%の110.3万tで14ヵ月ぶりのマイナス。主要品種は包装用紙、衛生用紙を除きマイナスとなった。
紙・板紙のメーカー輸出は△3.0%の15.3万tで3ヵ月ぶりのマイナス。うち、グラフィック用紙は塗工紙が南アジア向けで増加し、+5.2%の5.0万tとなり13ヵ月連続のプラス。パッケージング用紙は包装用紙、白板紙などが東南アジア、東アジア向けで減少し、△6.3%の10.4万tとなり3ヵ月ぶりのマイナス。
紙・板紙の在庫は前月比△2.5万tの186.5万tで3ヵ月連続の減少。うち、グラフィック用紙は印刷用紙が増加して同+0.3万tの84.8万tとなり3ヵ月ぶりの増加。パッケージング用紙は段ボール原紙を中心に包装用紙、白板紙も減少して同△2.0万tの94.6万tとなり2ヵ月連続の減少。衛生用紙は同△0.9万tの7.1万tで3ヵ月連続の減少。
〔主要品種の動向〕
新聞用紙:国内出荷は△6.4%の15.3万tで11ヵ月連続のマイナス。
印刷・情報用紙:国内出荷は△6.3%の45.1万tで4ヵ月ぶりのマイナス。非塗工紙、塗工紙、情報用紙いずれもマイナスだった。メーカー輸出は+5.2%の5.0万tで13ヵ月連続のプラス。
包装用紙:国内出荷は+2.1%の5.9万tで13ヵ月連続のプラス。メーカー輸出は△25.0%の1.3万tで2ヵ月ぶりのマイナス。
段ボール原紙:国内出荷は△1.9%の81.7万tで6ヵ月ぶりのマイナス。メーカー輸出は+3.1%の7.5万tで3ヵ月連続のプラス。
白板紙:国内出荷は、△2.7%の11.2万tで14ヵ月ぶりのマイナス。
衛生用紙:国内出荷は+11.2%の17.5万tで6ヵ月連続のプラス。
(FUTURE 2022年6月13日号)
大王製紙/グループ会社の新築工事にCNF配合コンクリート活用
大王製紙は、CNF(セルロースナノファイバー)の用途開発のため、清水建設と共同で、大王グループのダイオーロジスティクス(DLC)本社ビル(写真)の新築工事にCNF配合コンクリートを活用し、コンクリート打設時の施工性が改善できることを確認した。
大王製紙のCNF水分散液『ELLEX(エレックス)-S』は、静置状態では高粘度で、力がかかると粘度が低下するという特性を持つ。この特性を活かした用途展開として、コンクリートのほか塗料、インキ、化粧品などに粘度調整剤として配合し、流動性の改善につなげる使い方が期待されている。
今回の取組みでは、DLC本社ビルの新築工事で実際に『ELLEX-S』を配合したコンクリートを活用。門塀、土間、境界壁、機械基礎などに使用したところ、コンクリートの流動性がよくなった結果、打設時の施工性を改善できた。清水建設からは、「コンクリート打設時間の短縮、現場労務の改善を図ることができた。施工性、出来型ともに良好で、基準以上の強度も確認できた」との評価を得た。
大王製紙はこの結果をもとに、今後もコンクリートへのCNF配合効果を検証し、『ELLEX-S』の粘度調整剤としての用途拡大につなげていく考え。 あわせて、自動車、家電製品などさまざまな分野への用途展開も進めていく。
(FUTURE 2022年6月13日号)
レンゴー/ドイツに新会社を設立し重量物包材メーカーを買収
レンゴーはこのほど、欧州事業に一層注力するため、ドイツに100%子会社「レンゴー・ヨーロッパ社」を設立した。あわせて、レンゴー・ヨーロッパ社と連結子会社のトライコー社(ドイツ)を通じ、ドイツ中部ノルトハウゼンに本社を置く重量物包装資材メーカー「ティム・パッケージング・システムズ社」の持分100%を取得することを決議、同社の出資者であるドイツの独立系総合包装メーカー、ティムグループと持分譲渡契約を締結した。なお持分譲渡は、ドイツ連邦カルテル庁の承認を得たうえで実行される。
ティム・パッケージング・システムズ社は、傘下の事業会社も含めてドイツに7工場とチェコに1工場を持ち、多岐にわたる素材を用いた重量物包装資材を製造・販売している。一方、レンゴーグループのトライコー社は、ドイツ南部バイエルン州の本社工場を中心に、重量物包装資材の製造・販売事業と物流サービスを展開している。レンゴーは、ティム・パッケージング・システムズ社をグループに加えることにより、製品ポートフォリオの拡充と供給体制の充実を図り、より幅広い包装ニーズに応えながら、ドイツ周辺地域で唯一無二のパッケージ/サービス・プロバイダーとなることを目指す。3社の事業内容は次の通り。
【レンゴー・ヨーロッパ社(Rengo Europe GmbH) 】
欧州におけるグループ会社の事業管理・経営支援・中間持株会社
【トライコー社(TRICOR Packaging & Logistics AG)】
重量物包装資材(段ボール、木材パレットなど)の製造・販売、物流サービス
【ティム・パッケージング・システムズ社】
重量物包装資材(段ボール、木材包装・パレット、パルプ系・プラスチック系包装資材など)の製造・販売
(FUTURE 2022年6月13日号)
北越コーポレーション/「紙の人工衛星プロジェクト」に参画
北越コーポレーションは、京都を拠点に超小型人工衛星を開発しているベンチャー企業、テラスペース㈱が進める、「紙の人工衛星プロジェクト」への参加を決めた。
同プロジェクトでは、紙で人工衛星を制作するという最終目標に向け、第一歩としてテラスペース製超小型人工衛星の初号機となる「TATARA-1」の衛星外壁の一部に、北越コーポレーションが開発した『ReCell(リセル)』を試用し、2023年(予定)に軌道高度での実証実験を行う。
『ReCell』は、セルロースナノファイバーによって強化された紙。紙を超えた強度と優れた成形性を備えており、『ReCell』を人工衛星の材料に用いることで強度を維持しつつ軽量化が期待される。また従来のアルミニウムと比較して電波を透過しやすいため、通信用アンテナを衛星内部に搭載でき、衛星設計の自由度を広げることができる。さらに、従来の人工衛星はミッションを終えると大気圏に突入し、将来的に大気汚染を引き起こす可能性が指摘されているが、紙は大気との摩擦によって水蒸気とCO2になるだけなので環境汚染は発生しないと言われており、環境負荷の面でもメリットがある。
(FUTURE 2022年6月6日号)
日本製紙連合会/新会長に王子HDの加来正年会長
日本製紙連合会は5月20日に定時総会を開催し、役員改選で加来正年・王子ホールディングス代表取締役会長(写真)を選任した。
加来氏は1956年1月2日生。78年3月/九州大学工学部卒、同年4月/日本パルプ工業入社。79年3月/王子製紙、93年10月/神崎製紙、96年10月/本州製紙との合併を経て、2008年4月/王子製紙苫小牧工場長代理兼施設部長、09年6月/統括技術本部副本部長兼技術部長、10年4月/参与-米子工場長兼洋紙事業本部副本部長、11年4月/執行役員兼王子特殊紙取締役専務執行役員兼新事業・新製品開発センター長、12年4月/常務執行役員兼王子特殊紙社長、10月/持株会社制移行により王子ホールディングス常務グループ経営委員兼王子エフテックス代取社長兼王子機能材事業推進センター専務、13年6月/取締役、17年4月/コーポレートガバナンス本部副本部長兼王子エンジニアリング代取社長、19年4月/代取社長社長グループ経営委員、22年4月代取会長。
加来新会長は就任に際し、「製紙連が行う事業は、会員各位の理解と協力なくしては達成できない。 またウィズコロナ、アフターコロナ下における事業環境の変化や流動化する国際社会下においては、通常の事業展開に加え新たな共通問題・課題などが発生する可能性もある。そうした事態にも、関係省庁はじめ関係機関と連携し迅速に対応していきたい。会員各位の一層のご支援ご協力を重ねてお願い申し上げる」と挨拶した。
(FUTURE 2022年6月6日号)
日本製紙、日本製紙木材/先端技術の現場実装で静岡県と協定を締結
日本製紙と日本製紙木材はこのほど、静岡県と「先端技術現場実装に関する協定」を県内で初めて締結した。
静岡県は地域林業の持続的な発展や森林の適正な保全のため、先端技術の現場実装を推進しており、これまでも日本製紙と共同で、林業経営体向け研修やエリートツリー苗木の試験植栽などを、日本製紙の社有林で行ってきた。今回の協定はその連携を強化するもので、林業現場への先端技術導入を加速させ、持続可能な形での現場実装を推進する。
三者は今後、次の4項目について連携・協力を進め、日本製紙と日本製紙木材は、富士宮市北山をはじめとする県内の社有林をフィールドとして提供する。
① 森林・林業の先端技術に関する研修や情報の共有
② 森林資源などの高精度森林情報の共有および活用
③ 森林・林業の先端技術に関する実証と成果の普及
④ その他森林・林業の先端技術の現場実装に関すること
日本製紙グループは、昨年策定した「2030ビジョン」で、「社会・環境の持続可能性と企業の成長をともに追求するサステナビリティ経営を推進し、SDGsの達成に貢献していくこと」を、目指す企業像に掲げている。特にグリーン戦略では、「国内林業再生を支援するフィールドとして社有林を活用する」ことをうたっており、今回の協定締結はその取組みの一環。協定の期間は2023年3月31日までとし、以後、双方から申し出のない限り、1年ごとに自動更新していく。
静岡県は、SGEC森林認証のFM(日本製紙)、CoC(日本製紙木材)、プロジェクト(静岡県富士山世界遺産センター)を、いずれも国内第1号で認証取得した象徴的な土地であり、日本製紙は今後も持続可能な森林経営、木材利用の推進について県と協働していく方針。
(FUTURE 2022年5月30日号)