2019
Archive for 2019
王子ホールディングス・三菱製紙/資本提携が公取委の審査をクリア
公正取引委員会はこのほど、王子ホールディングス(HD)と三菱製紙がかねて発表していた、王子HDによる三菱製紙の株式取得について、排除措置命令を行わない旨、王子HDに通知した。
王子HDと三菱製紙は2018年2月、提携関係を従来の業務提携から本格的な資本提携に拡大することを発表、王子HDは三菱製紙の総議決権数の33%を取得して持分法適用会社にするとしていた。同提携の実施に向けて王子HDは、国内外の競争当局のクリアランス取得にかかる手続きを進めていたが、このほど、公取委からクリアランスを取得したもの。
公取委が、王子による三菱製紙株の取得によって競争に大きな影響が生じる可能性がある市場として、重点的に審査したのはアート紙、壁紙原紙、プレスボード市場について。最終的に「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとはならない」と判断されたわけだが、公取委が示した判断の根拠は次記の通り。
・アート紙
隣接市場である上質コート紙からの競争圧力が一定程度認められるほか、アート紙よりも市場規模の大きい紙も調達している需要者からの競争圧力が働いている。
・壁紙原紙
当事会社間の競合の程度が限定的であるほか、有力な競争事業者からの競争圧力および需要者からの競争圧力が働いている。
・プレスボード
輸入圧力が一定程度働いているほか、海外プレスボード市場の状況に通じている需要者からの競争圧力が働いている。
クリアランス取得を受けて両社は今後、具体的な業務提携に関して協議・検討を進めていく。なお王子HDは、引き続き海外競争当局のクリアランス取得に向け手続きを進めていくとしている。
(Future 2019年1月28日号)
丸紅/ベトナムで段原紙製造・包装資材販売事業開始
丸紅は、パッケージ市場の成長著しいベトナムで、丸紅100%出資の段ボール原紙製造・包装資材販売事業を開始する。
事業開始に先立ち丸紅は、バリアブンタウ省に段ボール原紙製造会社「Kraft of Asia Paperboard & Packaging Co., Ltd.」を設立、工事着工に必要なすべての許認可を取得した。今後は速やかに着工し、2020年度下期の商業稼働を目指す。22年のフル操業時の年産能力は35万tを見込んでいる。
丸紅は、日本国内での興亜工業(丸紅79.95%出資)・福山製紙(丸紅55%出資)の経営・操業経験に加え、海外でも段ボール原紙事業の知見を蓄積してきた。興亜工業の生産技術と丸紅の販売ネットワークを活かし、丸紅主導の事業運営によって、伸長するベトナム市場で事業拡大を目指す。
世界の段ボール原紙需要は、経済規模の拡大と電子商取引の伸長に伴い、今後も堅調に推移すると考えられている。中でもベトナムは、ASEAN第3位の9,300万人を超える人口を擁し、国民所得の伸張に伴って段原紙の内需も今後大きく増大すると予想されている。またベトナムは、外国資本の輸出産業を数多く誘致することで経済成長を実現し、段原紙需要では、タイやインドネシアなどのASEAN製紙先進国を大きく上回る年率10%以上の成長を遂げており、20年代前半にはASEAN最大の段原紙消費国になると見込まれている。丸紅は、日本で培った省資源・省エネ技術を活用した段原紙生産により、地域社会との共生を図っていく考え。
〔Kraft of Asia Paperboard & Packaging社の概要〕
本 社:バリアブンタウ省フーミー3特別工業団地
出資比率:丸紅100%
事業内容:段ボール原紙製造・包装資材販売事業
年産能力:段ボール原紙35万t
(Future 2019年2月11日号)
レンゴーグループ/八潮流通センターでAI活用の新運営システムが稼働
レンゴーは、連結子会社のレンゴーロジスティクスが運営する八潮流通センター(埼玉県八潮市)で、AI技術を活用した製品荷揃え計画・トラック誘導に関する新システムを完成し、このほど運用を開始した。
八潮流通センターは、日本最大の板紙製紙工場であるレンゴー・八潮工場の物流センター。製品物流の効率化と迅速化を目的として2015年に開設され、約2万5,000tの板紙製品を収容できる。
トラックへの製品積込みのための荷揃えは、異なるエリアに製品が分散して在庫されていることも多く、またトラックバースの空き状況も把握しなければならないことから、自動化が遅れていた。今回運用を開始した新システムは、自社開発のAI技術により、従来はオペレーターが行っていた製品荷揃え位置の立案作業を自動化すると同時に、最も効率的かつフォークリフトの交錯も考慮した安全性の高い計画立案を可能にした。また、担当者ごとの計画のバラツキも解消し、平準化と全体的な計画精度の向上により積込み時間の削減も実現。
レンゴーは、「新システムの導入により、トラックの入場誘導から、製品の荷揃え、積込みに至る一連のシステムが完成し、物流センターの運営効率向上と同時に、トラックドライバーの拘束時間も削減できた。今後も物流現場の業務改革を進め、輸送品質の向上を図るとともに、荷主企業の立場からトラックドライバーの働き方改革にも寄与していく」と述べている。
(Future 2019年2月4日号)
日本紙パルプ商事グループ/大豊製紙で新原質棟設備設置工事を完了
日本紙パルプ商事の連結子会社、大豊製紙(岐阜県加茂郡)では、2016年から進めてきた新原質棟建築と設備設置工事を完了、この1月から稼働を開始した。昨年12月には、工事関係者や地元の自治会、議員ら40名を招いて竣工式が執り行われた(写真)。
同社では、老朽化した旧建物と設備の更新により、今後想定される大規模地震などの災害から社員の安全を守るとともに、操業の安定を図る。また新設備では、機械による作業の自動化を各所に取り入れ、オペレーターの作業軽減と各工程の省エネルギー化も見込む。
(Future 2019年2月4日号)
国際紙パルプ商事/豪州の紙卸売商社を買収
国内紙販売代理店2位の国際紙パルプ商事(KPP)は1月17日、オーストラリア(豪州)およびニュージーランド地域で紙・包材関連製品の卸売事業を行うSpicers Limited社の全発行済み株式を買収、完全子会社化すると発表した。
Spicers社はオーストラリア証券取引所に上場しており、今後、KPPはSpicersの株主総会やオーストラリア裁判所による承認など一連の手続きを経て、今年7月頃には買収が完了する見通し。
わが国代理店による直近の海外M&A事例としては、国内首位の日本紙パルプ商事による豪州BJ Ball AU社の子会社化があるが(2017年7月)、この時の取得価格は約64億円。これに対し今回、KPPはアドバイザリー費用などの3億5,000万円を含め合計73億9,000万円前後を支払う見通しで、紙流通業界としては過去最大級規模の海外M&Aとなる。
(以下、詳細はFuture 2019年2月4日号)
新生紙パルプ商事/プラリサイクル会社を会社化
新生紙パルプ商事(SPP)は、プラスチックリサイクル事業を展開する㈱タイボー(和歌山市)とタイボープロダクツ㈱(岐阜県安八郡)が実施する第三者割当増資を引き受け、両社を子会社化する。12月25日付で契約を締結しており、新株引受けは1月下旬の予定。
SPPの主要事業は、紙類販売のほかに化成品の販売事業があるが、化成品は世界的に脱プラスチックの動きが加速している。この分野では、リサイクルの必要性が高まっていることから、プラスチックなどのリサイクル事業を主業とするタイボー社、また再生樹脂原材料・再生樹脂原材料を用いた成形製品の製造を主業とするタイボープロダクツ社と、資本提携することとしたもの。両社との資本提携を通じて、リサイクルプラスチックの利点を活かした潜在製品市場に新規参入する考え。また、自社の取引先とも連携し、環境配慮製品の展開を視野に入れた持続可能な循環型製品の販売・回収・製造サイクルを確立することで、市場ニーズに対応していく。
〔タイボーの概要〕
代 表 者:平野二十四(かずとき)
事業内容:再生プラスチック原材料・成型製品などの製造および販売
設 立:1967年4月7日
資 本 金:5,000万円(第三者割当後は9,500万円)
第三者割当増資後の持株比率:SPP67.1%、平野二十四32.9%
〔タイボープロダクツの概要〕
代 表 者:平野二十四
事業内容:再生原材料・再生原材料を用いた成形製品の製造
設 立:2000年1月14日
資 本 金:1,000万円(第三者割当後は4,000万円)
第三者割当増資後の持株比率:SPP85.7%、平野二十四14.3%
(Future 2019年2月11日号)
大王製紙/NEDOから優良事業表彰
大王製紙は、「省エネルギー型ナノセルロースの製造プロセスの開発」で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から、「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」事業の優良事業表彰を受けた。1月30日~2月1日に東京ビッグサイトで開催された「ENEX 2019」のNEDOブース内に、大王製紙は2015年度から3年間取り組んだ開発の成果を紹介、併せてブース内で表彰を受けた。
また、大王製紙は同時開催の「nano tech 2019」にも、愛媛県産業技術研究所のブース内に、愛媛県内企業と共同開発を進めているCNFシート成形体のサンプルおよび用途開発事例を展示した。
(Future 2019年2月11日号)
〈2月4日号〉
●R&D情報
「第7回 日中古紙セミナー」から/国策の大転換にも大胆かつ、したたかに対応する中国製紙産業
●ワールドレビュー
包装廃棄物処理コストの産業界、全額負担を打ち出した英国政府
●今週の焦点
KPPが豪州の紙卸売商社を買収/紙流通業界では過去最大級の海外M&Aに
「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」/海洋プラごみ問題の解決に向け設立
●話題を追って
新年互礼会—トップの発言から〈1〉/紙素材への期待の高まりに応える
●統計と市況
原材料
●ニュースファイル
企業の動き・団体の動き・決算・トピックス・催事
<2月1号>
2019年 <2月号> 特別企画 最新計装ガイド2019
●巻頭インタビュー
生産体制再編成を着実に進め成長分野での技術競争力を強化 日本製紙㈱取締役執行役員,技術本部長兼エネルギー事業本部長 上田彰司氏
特別企画 最新計装ガイド2019
●特集寄稿
回収ボイラーの還元率制御について
バルメットOy,オートメーションビジネスライン ティモ・ラウリラ,ヤルモ・マンシッカサロ,ミッコ・レスキネン
訳)バルメット㈱オートメーションビジネスライン/山本篤
紙特有の欠陥検出・弁別機能強化による品質管理支援 ─ 発生要因分析などにより製造ラインの保守作業を効率化
東芝デジタルソリューションズ㈱インダストリアルソリューション事業部 新井規之,前之園克美,松田光司
AI・IoTとマシン汚れ防止技術の融合による生産性向上と働き方改革の両立
㈱メンテック富士事業所・アプリケーション開発課 坂田人丸
製紙技術者のためのデータ処理テクニック その5:主成分分析によりデータの構造を探る
山崎秀彦
充実したバリエーションであらゆる要望に対応可能な電磁流量計
㈱ノーケン マーケティング部 田中稔秋
●特集業界動向
IoT活用による技術の進展と課題を考察 ─ 紙パルプ技術協会『第42回紙パルプ計装技術発表会』
日本製紙/本社で計装勉強会を開催 ─ 日本ハネウェルが“コネクテッド”技術を提案
●計測制御関連機器・システム
●計装関連機器サプライヤーガイド
◇
●寄稿
世界の特殊紙市場と技術発展の状況
豊福邦隆
●業界動向
紙のエレクトロニクス応用研究会/先進技術・伝統・遊び心がクロスオーバー ─ 第17回技術発表会&交流会
三浦工業/クローズドドレン回収装置が省エネ大賞の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞
●連載
老舗を再生させた三代目が,どうしても伝えたい「経営革新」講義(74)「全米一住みたい街」ポートランドで見つけた紙製品(Part1)
●講演・セミナー・展示会
繊維学会/紙パッケージの機能化と材料の動向を報告 ─ 第53回紙パルプシンポジウム
水素エネルギー協会/第38回大会
高分子学会/オールジャパンでポリマー材料を語り合おう!
●ニュース・統計
機械・資材業界短信
月間ニュース
海外情報
アジア通信
イベントカレンダー
紙パルプ製品・設備・原材料 月別需給統計〈平成30年11月度〉
<1月2号>年頭所感《新春に想う》 地域特集■関 東
●19年頭所感■《新春に想う》
矢嶋進(日本製紙連合会)
青山秀彦/石川喜一朗/今枝英治/大久保賢治/大久保信隆/大坪清/岡田光弘/柏原孫左衛門/加藤康次郎/岸本晢夫/北村光雄/栗原正雄/郡司勝美/小林武雄/齋藤英男/坂田智/佐光正義/佐藤信一/實守敏訓/鈴木邦夫/田北裕之/田名網進/田辺円/手島徹/中村真一郎/野口憲三/松尾正/馬城文雄/村井久容/森田伸介/矢倉義弘/矢嶋進/湯本啓市/吉田福平/渡辺昭彦/渡良司
地域特集■ 関 東
●Interview
佐藤信一(日本紙通商)/1年半かけて全社員と面談、情報の横展開でビジネスチャンスを拡大
●Special edition
日中古紙セミナーから/日本の古紙リサイクルは未来への財産
関東製紙原料直納商工組合 経営革新委員会 新井重樹 委員長
●地域の有力企業
◇
●Topics
日家工元会長・黒㟢暁氏が《チコちゃんに叱られる!》出演/TPシングル・ダブルのコスト差問題をアピール
●催事
エコプロ 2018〈前篇〉/SDGsに貢献するサステナブルなものづくりをアピール
ユニ・チャーム/高原慶一朗氏お別れの会“すべての人を不快から解放”の生涯に幕
●統計
東京市況/A2、A3ともに底堅い需要で前年増
家庭紙/ティシュの価格 底上げ継続か
古紙/9月度の回収率 2ヵ月ぶり80%台に回復
●インフォメーション
〈1月28日号〉
●R&D情報
人口1人当たり平均の消費量は57.2㎏/北米の相対的な地位低下が目立つ17年の世界紙・板紙需給
●ワールドレビュー
工場の大規模操短を背景に輸入パルプの値下げ圧力を強める中国
●今週の焦点
全印工連と日紙商が連名で要望書を作成/メーカーは値上げの「十分な説明を」
●ワイドフレックス
第15回「手づくり絵はがきコンクール」団体の部/最優秀賞は蒲郡市立竹島小学校
●今週の数字
中国政府の古紙輸入ライセンス/2019年度の初回は大手主体に504万t
●話題を追って
海洋プラスチック対策イノベーションフォーラム/官民の連携で海洋プラ問題解決へ
●R&D情報関連付表
世界紙パルプ産業の生産と消費(2016~17年)
●中国市況
古紙・パルプ
●統計と市況
関連指標
●ニュースファイル
業界の動き・企業の動き・決算・トピックス・人事異動
単行本『紙パルプ 日本とアジア 2019』を刊行
紙業タイムス社とテックタイムスは単行本『紙パルプ 日本とアジア2019』を2018年12月27日に刊行した。
本書は発展・変化するアジア経済圏の紙パルプ産業を知る恒例企画として高い評価を得ているが、今回はとくに米中貿易戦争や中国による古紙輸入規制、東南アジア諸国の成長、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)などの影響を踏まえた内容構成となっている。
B5判・本文208頁、定価10,000円(税・送料別)。
本書の内容は以下の通り。
●グローバル新時代の日中製紙産業
特別寄稿/東アジアのパワーシフトが生み出す新たなリスクと紙パルプ産業の将来(東京大学名誉教授、日本印刷学会元会長 尾鍋史彦)
特別寄稿/中国における次世代型古紙リサイクルへ向けた取組み(中国紙パルプ研究院、中国造紙雑誌社・社長補佐、『造紙信息』編集長 郭彩雲)
●日系企業のアジア進出と事業拡大の方向性
第6回 アジア紙パルプ産業会議/求められる環境規制強化への対応〜アジア各国に広がる中国古紙輸入規制の影響
日・メコン ビジネスフォーラム/アジア地域バリューチェーンのハブへ躍動するメコン
ジェトロ海外ビジネス調査にみる投資マインド/ASEAN 6での拡大意欲が高まる日系企業
●アジア発展下における日中製紙産業の課題と今後
日本/「紙でなければできないこと」を追求する
中国/影響大きい米中貿易戦争と古紙輸入規制
●Future誌に見るアジアの紙パルプ
古紙輸入規制─中国の動き/古紙輸入規制─諸外国の動き/貿易措置/海外展開・M&A/欧米/日本/中国/台湾/韓国/ベトナム/インドネシア/マレーシア/ラオス/インド
●アジアにおける紙パルプ関連の主要日系企業
中国/台湾/韓国/フィリピン/ベトナム/タイ/マレーシア/インドネシア/ラオス/シンガポール/カンボジア/ミャンマー/インド/UAE/トルコ
王子ホールディングス/APPグループとインドネシアで段ボール事業を開始
王子ホールディングスとAPPグループのPT Purinusa Ekapersada社(以下、PE社)は、合弁で新会社「PT Oji Sinar Mas Packaging」を設立し、インドネシアに段ボール工場を建設する。出資比率は王子55%、PE社45%。
工場の建設地はジャカルタ中心部から東へ約50㎞に位置する、西ジャワ州ブカシ県の工業団地で、投資総額は約40億円。段ボール製品を生産し、生産量は5,000t/月、2020年1月の営業開始を予定している。成長が見込まれるインドネシアの段ボール市場で、増加する日系企業への拡販を事業方針の一つとして展開していく。
(Future 2019年1月7日号)
ユポ・コーポレーション/来秋の竣工目指し開発研究所に新棟を建設
ユポ・コーポレーションは、鹿島工場(茨城県神栖市)の再構築の一環として、同工場内に設置している開発研究所に新棟を建設する。新棟は工場北側に確保した隣接地に建設し、2018年着工、竣工予定は19年秋。総工費は13億円。イラストは完成予想図。
鹿島工場は、国内外ユポグループの研究開発を担う、同社唯一の国内生産拠点。開発研究所は1971年に旧・王子油化合成紙研究所の工場内研究棟として開設されて以来、一貫して合成紙ユポの新製品開発や基材研究に取り組んできた。近年、市場からの要望が多様化し、またSDGsが提唱する環境配慮型製品への期待も高まっていることから、製品開発力をさらに強化するため、創立50周年を迎える2019年に開発研究所新棟を設置することとしたもの。
新棟竣工後は、工場内に分散している各種パイロット・試作・試験設備を新棟に集約するとともに、新たに各種分析・検査機器を導入し、バイオマス由来樹脂を配合した製品「ユポグリーン」や印刷工程での生産性向上を目指した「紙用油性インキで両面印刷が可能なユポ」など、次代を担う新製品開発のスピードアップを図る。
また、開発関連設備の移設跡地には、将来の多品種・新製品生産に対応した生産設備を順次導入し、需要増に備えた生産能力増強を計画している。
〔開発研究所新棟の概要〕
・鉄筋コンクリート造2階建、建屋面積1,375m2(55×25m)
・ベンチ設備および各種実験室、評価関連設備、執務・会議エリアを配置
・施行会社:三菱ケミカルエンジニアリング
(Future 2018年12月24日号)
レンゴーグループ/日之出紙器工業が博多段ボールを子会社化
レンゴーの連結子会社、日之出紙器工業はこのほど、博多段ボール(福岡県宇美町)の発行済株式の70%を取得し、子会社化した。
博多段ボールは、段ボールケースを製造・販売する福岡県の有力メーカー。経営基盤の強化を目的に、同社よりレンゴーグループに資本参加の依頼があり、今回の株式取得となった。日之出紙器工業は今後、博多段ボールと営業・生産の両面で連携を強化する。
〔博多段ボールの概要〕
代 表 者:片山浩一・代表取締役社長
資 本 金:1,500万円
事業内容:段ボールケースの製造・販売
売 上 高:5億7,900万円(2018年1月期)
従 業 員:19名
(Future 2018年12月24日号)
日本製紙/江津工場のCNFが化粧水に採用
日本製紙はこのほど、㈱RBP(東京都文京区)が新開発した化粧水に、江津工場(島根県江津市)で製造するセルロースナノファイバー(=CNF、製品名『セレンピア』)を提供した。RBPは12月21日から、セルロース・ナノ・コスメ 『SURISURI(スリスリ)』として、ローション、ローションモイストの2種類を全国のドラッグストア・バラエティショップで販売している。
『SURISURI』は、“誰もがスリスリしたくなるお肌に”のコンセプトで開発された化粧水。RBP独自技術の「ナノモイストバリア」構造により潤いをキープし、さらに『セレンピア』を配合することで、保湿性とサラッとした感触を同時に実現している。
江津工場で製造するCNFは、長年にわたり食品添加物として製造・販売しているカルボキシメチルセルロース(=CMC)の実績をもとに、日本製紙が独自に開発したもの。同社では、「今後も食品・化粧品をはじめ、幅広い産業分野で用途開発を進めていく」としている。
(Future 2019年1月7日号)
ザ・パック、三重大学/木製ストローの共同開発でウッドデザイン賞
ザ・パックと三重大学大学院生物資源学研究科の野中寛教授が開発した木製ストロー「ウッドストロー」(写真)がこのほど、ウッドデザイン賞2018(ライフスタイルデザイン部門/技術・研究分野)を受賞した。
ザ・パックと三重大学大学院・野中寛教授はかねて、木材に含まれるセルロースの繊維や粉末に対して、食品にも使われるセルロース製品を加え、セルロース系素材のみで三次元成形する技術を開発してきた。この技術を野中研究室が木粉へと展開し、石油系の樹脂や接着剤を一切使わずに押出成形により作成したのが今回の「ウッドストロー」。
「ウッドストロー」は、天然系素材による石油プラスチックの代替えの可能性を示すものであり、ザ・パックは今後、耐水性の付与などについても研究を進めていく方針。
(Future 2018年12月24日号)